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2022.05.01
FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!APOGEE・大石晴子・Helsinki Lambda Club ほか全19作品 -2022.04.30-
カルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信するサービス FRIENDSHIP.の新譜を紹介。
キュレーターの金子厚武とラジオDJ MISATOによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
MISATO:4月25日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全19作品の中から、まずはPart 1の10作品をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます!全部触れたいですね。
金子:いやあ、充実してましたね。いい曲多いな。
MISATO:この並びにdownyが入ってくるとなぜか笑ってしまう私たち(笑)。
金子:ゆうらん船からのギャップがすごかったですからね(笑)。
MISATO:本当にかっこいいのですが、急に「おおー!」という圧倒的な音圧がすごいですね。そしてSen Morimotoさん、なんという豪華なコラボレーションなんでしょうか。
金子:Sen Morimotoさんはずっとリミックスのリリースが続いていて、今回ermhoiとJuaくんが参加してるんですけど、この前アメリカでコーチェラフェスティバルがありまして。
MISATO:観てました!最高でしたね。
金子:88risingのステージに宇多田ヒカルさんが出ていて。
MISATO:ちゃんと日本語で「Automatic」歌ってくれてましたね〜。
金子:そうそう。Sen Morimotoはもともと88risingがピックアップして、日本でも名前が知れ渡った人なので、改めて「アジアから世界へ」ということを感じたりもして。で、今回参加しているermhoiとJuaくんは、King Gnuの常田くんがやってるmillennium parade周辺で一緒に活動している組み合わせだったりもして、millennium paradeも絶対に世界を狙っているじゃないですか?
MISATO:当初からそうですもんね。
金子:ここで直接88risingとの接点が生まれるかどうかはわからないけど、こういうコラボレーションが世界へ羽ばたいていくきっかけになればいいなと思って、改めてピックアップさせてもらいました。
MISATO:一番最後のArrowArrowも、それこそコーチェラで流れてそうと思いました。
金子:そうなんですよ。ArrowArrowもコラボレーションもので、お相手がLA 在住のLondon Lawhonさん。ちょっとややこしいですけど、LAなのにロンドンさん(笑)。海外のシンガーとのコラボレーションによるトラックというのも、可能性を感じさせますよね。
MISATO:本当にいま現行で大型フェスで流れてたり、サンプリングとして使われていても遜色ないという。FRIENDSHIP.からこういう素晴らしい楽曲が出ているという喜びがありますね。そして、すなお!今回はアルバムです。
金子:すなおも良かったですね。
MISATO:良かった!
金子:『roman』というアルバムタイトル通りのロマンティックな楽曲が詰まっていて、名曲集だなという感じがすごくしました。
MISATO:ロマンの切り口っていろいろあるんだなと教えてもらった気もします。
金子:そうですね。セルフライナーノーツも届いてるんですけど、「"ロマンがある"とか"ロマンチックだなぁ"という受け身、羨望では無く、イメージとしては"ロマンチックな方へ!"というイメージです。訪れるものではなく赴く事によって得られるものだと思います。踏み出すその一歩になりますように。という祈りを込めたアルバムです」というコメントがきていて、たしかにこのキラキラした感じがすごく伝わってくる作品でした。
MISATO:ロマンチックの方へ踏み出したいんだけど、しっかり過去を踏襲した「スイミングスクール」はあのころの甘酸っぱさを思い出させてくれる。いいアルバムでしたね。
金子:ノスタルジックなムードがいいですよね。あとやっぱりボーカルの大畑カズキくんはいい声をしていますね。
MISATO:してますね。「スイミングスクール」の歌詞なんですけど、「塩素臭い君の」ってすごくバカにされている感じじゃないですか(笑)?でもこんなにグッとくる言葉に変えられるなんて、ボーカルの声と、そこに至るまでの構成ゆえだと思うんです。見えてきますよね、夏の夕暮れ。
金子:夏が忍び寄ってきていますね。
MISATO:さあ1曲、Part 1からお送りするのは?
金子:APOGEEをかけようかなと思います。
MISATO:永遠に聴いています。
金子:これもかっこよかったですね。
MISATO:かっこいい!
金子:APOGEEは活動休止前のラストライブの音源のリリースから始まって、去年の12月に3人体制になってから初めての新曲「Sink/Rise」をリリースしていたんですけど、この曲自体はその活動休止前のラストライブのアンコールで初めて披露されていて、言ってみれば原型は4人のときにあった曲なんですよね。なので、3人になってからの本当にブランニューな新曲というのは、今回の「TiDE」からということが言えると思うんです。
MISATO:今回の曲がなかったら、方向性であったりとか、「じゃあ一緒にやっていこう」というのもなかったかもしれない?
金子:かもしれないですね。まあ、まずはやっぱり「Sink/Rise」が大きくて、あの曲を3人で改めてレコーディングするにあたって、一発録りをしたという話を以前したと思うのですが、どうやらそのムードが続いているようで、今回もスタジオのセッションから生まれた曲らしく、頭からソリッドなギターサウンドで、非常にライブ感ありますね。昔のAPOGEEに「GIRAFFE」というソリッドなギターのいい曲があるんですけど、それもちょっと連想させつつ、でもやっぱりサウンドメイクはすごく削がれたモダンなサウンドメイクになっていて、声の加工があったりしつつ、後半にはAPOGEEらしいシンセが出てきたりとか、彼ららしさも存分に含まれているし、めちゃめちゃいい曲だと思いました。
MISATO:なんとミステリアスな展開なんですか...。ドキドキしますね。聴きながら、この後こんな展開が待っているんだ?という予測不可能な感じ。しかもそれを難なくセッションでやり遂げてしまうAPOGEE。センスが問われる1曲、素晴らしいですね。
金子:5月には新体制初のライブも決まっているとのことなので、楽しみですね。
MISATO:これは行きたいですね。
MISATO:4月25日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全19作品の中から、Part 2の9作品をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます!感情の起伏が激しい Part 2でございました。
金子:こちらも充実してましたね。
MISATO:ペペッターズが楽しすぎて!
金子:ペペッターズはかっこいいですねえ。昨年の3月以来の新曲なんですけど、すごく好きです。複雑なトラックとキャッチーさ、この癖になる組み合わせはなんなんでしょうね?
MISATO:どうやって作っているのか想像できません。
金子:影響源とかを聞いてみたいですね。セルフライナーノーツには「叶うならいつか行ってみたいインディアナ州コロンバス!」とあって......。
MISATO:待って!セルフライナーノーツの始まりがおかしいもん(笑)。
金子:コロンバスって建築が有名な場所で、曲の中にも建築家の有名な人の名前が入っていたりして、そこがテーマになってるっぽいんですけど、トラック作りも建築的というか、もしかしたらそういう部分で通じるところがあったりするのかなと思ったりもして。やっぱり作りが普通じゃないんですよね。
MISATO:土台はしっかりしているけど、上に乗っけているものが、ちょっといろいろ乗っかっているよ、という感じなんですかね。
金子:乗っちゃってもいるし、でも引き算もできてるし。アウトロとか明らかに変だもんなあ(笑)。
MISATO:おかしいですよね(笑)。しかも嬉しいのが、5ヶ月連続シングルの第1弾!
金子:ここからいっぱい曲が聴けるみたいですね。楽しみ。
MISATO:どんな変な曲がリリースされるのか楽しみですね。
金子:完全な褒め言葉の「変な曲」をたくさん聴きたいですね。
MISATO:さらにyeti let you notice、こちらは2ヵ月連続のリリースとなります。「夜間飛行 space tour Ver.」。
金子:もともと「夜間飛行」という曲が2016年リリースのファーストアルバムに入っていたんですけど、2018年にはピアノバージョン、さらに今回「space tour Ver.」と、どんどんアップデートされているんですよね。音ももちろん良かったんですけど、「夜間飛行」という曲名って、それこそPart 1に出てきたAPOGEEにも「夜間飛行」という曲があったり、あとFRIENDSHIP.だと江沼くんがやっていたplentyにも「夜間飛行」という曲があったりとか。
MISATO:そうでしたね!
金子:よく「"東京"ってタイトルはみんな名曲だ」みたいなのあるじゃないですか?僕の中で「"夜間飛行"ってタイトルもみんな名曲」みたいな印象があって(笑)。「夜間飛行」って結構使われるじゃないですか?
MISATO:使われますね!歌詞の中に入ってくる曲もありますし。
金子:それも含めて、大体いい曲なんですよね(笑)。
MISATO:「夜間飛行」というタイトルから、もう背景にあるエモさというか、感傷的な感じが伝わりますもんね。そして私「真っ暗なドーナツ」が食べたい。
金子:美味しそうでしたね〜。Helsinki Lambda Clubの新曲ですね。彼らもいろんなリリースを重ねてきて、どんなジャンルでも自由自在な感じになってきましたね。今回の曲はVulfpeck経由のミニマル・ファンクみたいな感じですけど、もうそれも完全に自分たちのものにしていて、そこにちょっとラップっぽいボーカルが乗って、後半になると歪んだギターも出てきたりとか。好き放題やりつつも、最終的にはめちゃめちゃキャッチーなポップソングに結実していて、「Helsinki Lambda Club、めちゃめちゃノッてんなあ」という感じがします。
MISATO:おっしゃる通りでずっとキャッチーなんだけど、ただ気持ちいいだけでは終わらせないぜという、一回ズドンと落ちたりとか、歪んだギターが入ってきたりとか、聴き流せない音作りとはこれだなという。いや〜、いいですね。
金子:そのあたりはペペッターズとも少し通じる感覚あるかもしれないですね。
MISATO:いい意味での気持ち悪さがありますね。
金子:気持ち悪くてポップなのが好きですねえ。
MISATO:大石晴子さんも気持ちいいんですけど、違う種類の気持ち悪さがありましたね。音階の不可解さというか、よくこれ歌えるなという。
金子:大石晴子さんもよかったですね。アルバム『脈光』がリリースということで。
MISATO:おめでとうございます。
金子:やっぱりちょっと普通ではないですよね。ジャズやソウルが基調になっていて、アコースティックな演奏の良さもあるんだけど、シンセとかも入ってて、ミックス含めてかなり不思議な音像になっていて、さらにはコード進行も工夫されていて、そこに乗る大石さんのアンニュイな歌声とメロディーもいい。言葉にするなら「幽玄」みたいな、幽玄な音世界がアルバム全編で流れているような、そんな感じがすごくしました。
MISATO:どこか幻のような、掴みどころのないような感じなんだけど、でもはっきり見える気もしちゃう。
金子:アルバムタイトルが『脈光』で、かすかに光が射しているような、そういう感じもします。そして、参加しているミュージシャンも豪華で。BREIMENのベースの高木祥太くんだったり、Bialystocksの鍵盤の菊池剛さんだったり、あと「まつげ」には沼澤成毅くん、この前FRIENDSHIP.からソロで作品を出した彼も参加していたりとか。彼らの演奏自体も聴きどころとなっております。
MISATO:セルフライナーノーツで、「ハッピーな曲とは言い難いかも知れませんが、それでも私は生きていこうという強く前向きな楽曲です。誰かが失恋や落胆から立ち直るとき、聴かれたいです」という。"聴き手に委ねる"というのも簡単ではないかもしれませんが、"こういうときに聴いて欲しい"、"このために作ったんだ"と言い切る強さというのも、なかなかないかなと。きっとその傷というのは、いま癒えた気がしていても、実はまだ癒え切っていなかったりという人が多いと思うから、そういう方には良い絆創膏になりそうな、温かい曲ですね。
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、MISATOと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。
放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
MISATO
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。
TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。
安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10
Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin
FRIENDSHIP.
キュレーターの金子厚武とラジオDJ MISATOによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
New Release Digest Part 1
MISATO:4月25日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全19作品の中から、まずはPart 1の10作品をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます!全部触れたいですね。
金子:いやあ、充実してましたね。いい曲多いな。
MISATO:この並びにdownyが入ってくるとなぜか笑ってしまう私たち(笑)。
金子:ゆうらん船からのギャップがすごかったですからね(笑)。
MISATO:本当にかっこいいのですが、急に「おおー!」という圧倒的な音圧がすごいですね。そしてSen Morimotoさん、なんという豪華なコラボレーションなんでしょうか。
金子:Sen Morimotoさんはずっとリミックスのリリースが続いていて、今回ermhoiとJuaくんが参加してるんですけど、この前アメリカでコーチェラフェスティバルがありまして。
MISATO:観てました!最高でしたね。
金子:88risingのステージに宇多田ヒカルさんが出ていて。
MISATO:ちゃんと日本語で「Automatic」歌ってくれてましたね〜。
金子:そうそう。Sen Morimotoはもともと88risingがピックアップして、日本でも名前が知れ渡った人なので、改めて「アジアから世界へ」ということを感じたりもして。で、今回参加しているermhoiとJuaくんは、King Gnuの常田くんがやってるmillennium parade周辺で一緒に活動している組み合わせだったりもして、millennium paradeも絶対に世界を狙っているじゃないですか?
MISATO:当初からそうですもんね。
金子:ここで直接88risingとの接点が生まれるかどうかはわからないけど、こういうコラボレーションが世界へ羽ばたいていくきっかけになればいいなと思って、改めてピックアップさせてもらいました。
MISATO:一番最後のArrowArrowも、それこそコーチェラで流れてそうと思いました。
金子:そうなんですよ。ArrowArrowもコラボレーションもので、お相手がLA 在住のLondon Lawhonさん。ちょっとややこしいですけど、LAなのにロンドンさん(笑)。海外のシンガーとのコラボレーションによるトラックというのも、可能性を感じさせますよね。
MISATO:本当にいま現行で大型フェスで流れてたり、サンプリングとして使われていても遜色ないという。FRIENDSHIP.からこういう素晴らしい楽曲が出ているという喜びがありますね。そして、すなお!今回はアルバムです。
金子:すなおも良かったですね。
MISATO:良かった!
金子:『roman』というアルバムタイトル通りのロマンティックな楽曲が詰まっていて、名曲集だなという感じがすごくしました。
MISATO:ロマンの切り口っていろいろあるんだなと教えてもらった気もします。
金子:そうですね。セルフライナーノーツも届いてるんですけど、「"ロマンがある"とか"ロマンチックだなぁ"という受け身、羨望では無く、イメージとしては"ロマンチックな方へ!"というイメージです。訪れるものではなく赴く事によって得られるものだと思います。踏み出すその一歩になりますように。という祈りを込めたアルバムです」というコメントがきていて、たしかにこのキラキラした感じがすごく伝わってくる作品でした。
MISATO:ロマンチックの方へ踏み出したいんだけど、しっかり過去を踏襲した「スイミングスクール」はあのころの甘酸っぱさを思い出させてくれる。いいアルバムでしたね。
金子:ノスタルジックなムードがいいですよね。あとやっぱりボーカルの大畑カズキくんはいい声をしていますね。
MISATO:してますね。「スイミングスクール」の歌詞なんですけど、「塩素臭い君の」ってすごくバカにされている感じじゃないですか(笑)?でもこんなにグッとくる言葉に変えられるなんて、ボーカルの声と、そこに至るまでの構成ゆえだと思うんです。見えてきますよね、夏の夕暮れ。
金子:夏が忍び寄ってきていますね。
MISATO:さあ1曲、Part 1からお送りするのは?
金子:APOGEEをかけようかなと思います。
MISATO:永遠に聴いています。
金子:これもかっこよかったですね。
MISATO:かっこいい!
金子:APOGEEは活動休止前のラストライブの音源のリリースから始まって、去年の12月に3人体制になってから初めての新曲「Sink/Rise」をリリースしていたんですけど、この曲自体はその活動休止前のラストライブのアンコールで初めて披露されていて、言ってみれば原型は4人のときにあった曲なんですよね。なので、3人になってからの本当にブランニューな新曲というのは、今回の「TiDE」からということが言えると思うんです。
MISATO:今回の曲がなかったら、方向性であったりとか、「じゃあ一緒にやっていこう」というのもなかったかもしれない?
金子:かもしれないですね。まあ、まずはやっぱり「Sink/Rise」が大きくて、あの曲を3人で改めてレコーディングするにあたって、一発録りをしたという話を以前したと思うのですが、どうやらそのムードが続いているようで、今回もスタジオのセッションから生まれた曲らしく、頭からソリッドなギターサウンドで、非常にライブ感ありますね。昔のAPOGEEに「GIRAFFE」というソリッドなギターのいい曲があるんですけど、それもちょっと連想させつつ、でもやっぱりサウンドメイクはすごく削がれたモダンなサウンドメイクになっていて、声の加工があったりしつつ、後半にはAPOGEEらしいシンセが出てきたりとか、彼ららしさも存分に含まれているし、めちゃめちゃいい曲だと思いました。
MISATO:なんとミステリアスな展開なんですか...。ドキドキしますね。聴きながら、この後こんな展開が待っているんだ?という予測不可能な感じ。しかもそれを難なくセッションでやり遂げてしまうAPOGEE。センスが問われる1曲、素晴らしいですね。
金子:5月には新体制初のライブも決まっているとのことなので、楽しみですね。
MISATO:これは行きたいですね。
New Release Digest Part 2
MISATO:4月25日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全19作品の中から、Part 2の9作品をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます!感情の起伏が激しい Part 2でございました。
金子:こちらも充実してましたね。
MISATO:ペペッターズが楽しすぎて!
金子:ペペッターズはかっこいいですねえ。昨年の3月以来の新曲なんですけど、すごく好きです。複雑なトラックとキャッチーさ、この癖になる組み合わせはなんなんでしょうね?
MISATO:どうやって作っているのか想像できません。
金子:影響源とかを聞いてみたいですね。セルフライナーノーツには「叶うならいつか行ってみたいインディアナ州コロンバス!」とあって......。
MISATO:待って!セルフライナーノーツの始まりがおかしいもん(笑)。
金子:コロンバスって建築が有名な場所で、曲の中にも建築家の有名な人の名前が入っていたりして、そこがテーマになってるっぽいんですけど、トラック作りも建築的というか、もしかしたらそういう部分で通じるところがあったりするのかなと思ったりもして。やっぱり作りが普通じゃないんですよね。
MISATO:土台はしっかりしているけど、上に乗っけているものが、ちょっといろいろ乗っかっているよ、という感じなんですかね。
金子:乗っちゃってもいるし、でも引き算もできてるし。アウトロとか明らかに変だもんなあ(笑)。
MISATO:おかしいですよね(笑)。しかも嬉しいのが、5ヶ月連続シングルの第1弾!
金子:ここからいっぱい曲が聴けるみたいですね。楽しみ。
MISATO:どんな変な曲がリリースされるのか楽しみですね。
金子:完全な褒め言葉の「変な曲」をたくさん聴きたいですね。
一昨年公開した、ルーツや人となりを探っていくINTERVIEWシリーズ「Highlighter」もぜひチェックを!
MISATO:さらにyeti let you notice、こちらは2ヵ月連続のリリースとなります。「夜間飛行 space tour Ver.」。
金子:もともと「夜間飛行」という曲が2016年リリースのファーストアルバムに入っていたんですけど、2018年にはピアノバージョン、さらに今回「space tour Ver.」と、どんどんアップデートされているんですよね。音ももちろん良かったんですけど、「夜間飛行」という曲名って、それこそPart 1に出てきたAPOGEEにも「夜間飛行」という曲があったり、あとFRIENDSHIP.だと江沼くんがやっていたplentyにも「夜間飛行」という曲があったりとか。
MISATO:そうでしたね!
金子:よく「"東京"ってタイトルはみんな名曲だ」みたいなのあるじゃないですか?僕の中で「"夜間飛行"ってタイトルもみんな名曲」みたいな印象があって(笑)。「夜間飛行」って結構使われるじゃないですか?
MISATO:使われますね!歌詞の中に入ってくる曲もありますし。
金子:それも含めて、大体いい曲なんですよね(笑)。
一昨年公開した、ルーツや人となりを探っていくINTERVIEWシリーズ「Highlighter」もぜひチェックを!
MISATO:「夜間飛行」というタイトルから、もう背景にあるエモさというか、感傷的な感じが伝わりますもんね。そして私「真っ暗なドーナツ」が食べたい。
金子:美味しそうでしたね〜。Helsinki Lambda Clubの新曲ですね。彼らもいろんなリリースを重ねてきて、どんなジャンルでも自由自在な感じになってきましたね。今回の曲はVulfpeck経由のミニマル・ファンクみたいな感じですけど、もうそれも完全に自分たちのものにしていて、そこにちょっとラップっぽいボーカルが乗って、後半になると歪んだギターも出てきたりとか。好き放題やりつつも、最終的にはめちゃめちゃキャッチーなポップソングに結実していて、「Helsinki Lambda Club、めちゃめちゃノッてんなあ」という感じがします。
MISATO:おっしゃる通りでずっとキャッチーなんだけど、ただ気持ちいいだけでは終わらせないぜという、一回ズドンと落ちたりとか、歪んだギターが入ってきたりとか、聴き流せない音作りとはこれだなという。いや〜、いいですね。
金子:そのあたりはペペッターズとも少し通じる感覚あるかもしれないですね。
MISATO:いい意味での気持ち悪さがありますね。
金子:気持ち悪くてポップなのが好きですねえ。
一昨年公開した、ルーツや人となりを探っていくINTERVIEWシリーズ「Highlighter」もぜひチェックを!
MISATO:大石晴子さんも気持ちいいんですけど、違う種類の気持ち悪さがありましたね。音階の不可解さというか、よくこれ歌えるなという。
金子:大石晴子さんもよかったですね。アルバム『脈光』がリリースということで。
MISATO:おめでとうございます。
金子:やっぱりちょっと普通ではないですよね。ジャズやソウルが基調になっていて、アコースティックな演奏の良さもあるんだけど、シンセとかも入ってて、ミックス含めてかなり不思議な音像になっていて、さらにはコード進行も工夫されていて、そこに乗る大石さんのアンニュイな歌声とメロディーもいい。言葉にするなら「幽玄」みたいな、幽玄な音世界がアルバム全編で流れているような、そんな感じがすごくしました。
MISATO:どこか幻のような、掴みどころのないような感じなんだけど、でもはっきり見える気もしちゃう。
金子:アルバムタイトルが『脈光』で、かすかに光が射しているような、そういう感じもします。そして、参加しているミュージシャンも豪華で。BREIMENのベースの高木祥太くんだったり、Bialystocksの鍵盤の菊池剛さんだったり、あと「まつげ」には沼澤成毅くん、この前FRIENDSHIP.からソロで作品を出した彼も参加していたりとか。彼らの演奏自体も聴きどころとなっております。
MISATO:セルフライナーノーツで、「ハッピーな曲とは言い難いかも知れませんが、それでも私は生きていこうという強く前向きな楽曲です。誰かが失恋や落胆から立ち直るとき、聴かれたいです」という。"聴き手に委ねる"というのも簡単ではないかもしれませんが、"こういうときに聴いて欲しい"、"このために作ったんだ"と言い切る強さというのも、なかなかないかなと。きっとその傷というのは、いま癒えた気がしていても、実はまだ癒え切っていなかったりという人が多いと思うから、そういう方には良い絆創膏になりそうな、温かい曲ですね。
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、MISATOと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。
放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
番組MC
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
MISATO
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。
TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。
安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10
Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin
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