2022.04.29
音楽だけでなく、どのカルチャーも共通点やつながりがあるということをコンセプトにしているSENSA。INTERVIEWシリーズ「Highlighter」では、アーティストはもちろん、音楽に関わるクリエイターにどのような音楽・カルチャーに触れて現在までに至ったか、その人の人となりを探っていく。
Vol.130は、土岐麻子のライブのオープニングアクトやs**t kingzへの楽曲提供などで知られるシンガーソングライター大石晴子を取り上げる。
4月27日にリリースされたアルバム『脈光』は、コロナ禍に生まれた未発表曲を多く収録。BREIMENの高木祥太、Bialystocksの菊池剛、シンガーソングライターの折坂悠太、パーカッショニストの宮坂遼太郎らが参加し、大石の歌声が持つ包容力や表現力を強く後押しする1枚になっている。
確か2011年の「真昼のストレンジランド」ツアーを今はなき横浜BLITZで観たとき、会場の後方で大人たちがお酒を片手にゆったり揺れながらライブを楽しんでいて。私は未成年だったけど、会場にいるだけで十分に酔えたし、魔法なのか少し大人になった気分でした。
2021年リリースのアルバム『新しい果実』も好きです。長きにわたってリリースやライブを続けておられて、GRAPEVINEは紛れもなく私たちの青春なのに、今もなお楽しみをいただける。ファンとして幸せです。
大学時代はソウルミュージックが好きだけれど、Aretha FranklinやChaka Khanのようなパワフルなシンガーの楽曲を歌うのが難しくて、よくカバーしていたのがCorinne Bailey Raeです。
歌えない歌があっていいと思えたし、私が自然に歌うことのずっと先の方にコリーヌのような魅力的なシンガーがいる気がして嬉しかったように思います。
2019年ビルボード東京でのライブを間近で観たときはキュートすぎて圧倒されました。
作詞と歌で参加しました。誰かが作ったメロディに歌詞をつけるのは初めてで新鮮でした。〈私は未だ昨夜の 胸に塗る薬の匂いの中〉という歌詞は、ヴイックスヴェポラップをイメージして書きました。なかなか寝付けず、明日に進むことができないでいる状態を歌いたかったです。
1stアルバム『脈光』
過去から未来への時間の繋がりだったり、人と人との繋がりにふれる楽曲が多く収録されています。時間の流れや人の縁はずっと前から私たちのそばにあるのに、制作のときに強く意識しました。
楽曲の中で描きたかった繋がりというのは、なめらかな線ではなくて点の連続をイメージしています。私も、私が過ごした今日も点でしかないけれど、それがどうした、とも思えました。
楽曲によって楽器編成や参加メンバー、曲の質量みたいなものが様々で、手探りではあったけれど、都度チャレンジできて楽しかったです。是非アルバムを通しで聴いてみていただけたら嬉しいです。
それから、もし機会があればナレーションにもチャレンジしたいです。ザ・ノンフィクションを観て、今日のナレーションは誰がやっているのか、思い巡らすのが好きです。
その延長で去年からPodcastを聞き始めました。『マユリカのうなげろりん!!』『ジェーン・スーと堀井美香の「OVER THE SUN」』などを聞いています。「OVER THE SUN」内でリスナーが各々ヒヤスンスを育てて一斉に花を咲かせましょうや、という企画があり、私も遅ればせながら球根を買ってひっそり水耕栽培しました。空太郎(そう名付けて成長を見守りました)は優等生で真っ直ぐ伸びて綺麗な花を咲かせたけれど、萎れてからは凄く嫌な匂いがして、そっと摘みました。
昨年10月『キングオブコント』というコントの賞レース番組で観た男性ブランコのネタが衝撃的でした。キャラクターや展開に、ズバッとやられてしまいました。
それから別のコント動画を見漁っては、友達に「これを見てくれ」とリンクを送りつけたりして、クリスマスイブには単独ライブに足を運んでいました。
単独ライブでは次々と演じられるコントがそれぞれ少しずつ折り重なっているようだけど、説明的ではなく、余白が存分にあり......『キングオブコント』のネタとの違いに正直戸惑いもあって、終演後友達に「よくわからなかったかも......」とラインしました。それなのに数日経っても単独ライブのことを思い返している私がいて、「あ、私はもう一度斬られていたんだ」と気付きました。
賞レース用にネタを叩いた(改良を重ねた)というインタビュー記事を見て、私も曲を叩こうと思ったし、いくつものコントが集まって単独ライブが形成されているのを目の当たりにして、私もこんな風にアルバムを作りたいと思いました。今後の活動からも目が離せません。
大石晴子『脈光』
2022年4月27日(水)
試聴はこちら
大石晴子
大阪生まれ神奈川育ち。生活の機微を美しくも不思議な響きのメロディで歌うシンガーソングライター。早稲田大学のソウルミュージックサークルで出会ったR&Bフィーリング、お笑いラジオ番組のヘヴィーリスニングで体得した鋭利な言語感覚を持つ、愛犬家。
@haru_014
@haruko_oishi
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Vol.130は、土岐麻子のライブのオープニングアクトやs**t kingzへの楽曲提供などで知られるシンガーソングライター大石晴子を取り上げる。
4月27日にリリースされたアルバム『脈光』は、コロナ禍に生まれた未発表曲を多く収録。BREIMENの高木祥太、Bialystocksの菊池剛、シンガーソングライターの折坂悠太、パーカッショニストの宮坂遼太郎らが参加し、大石の歌声が持つ包容力や表現力を強く後押しする1枚になっている。
活動を始めたきっかけ
大学のバンドサークル引退後も音楽を続けたい、できれば自分が書いた曲を形にしてみたいという思いで細々と制作・ライブを始めました。サークル時代の友達が今も協力してくれたり、各々でリリースしてはSpotifyプレイリストにお互いの曲が並んだり、会えていなくても「新しい曲聞いたよ」と連絡くれたりするのが凄く嬉しいです。影響を受けたアーティスト
学生時代はGRAPEVINEを繰り返し聴いていました。カラオケのデンモクで検索するとき、アーティスト名は「グレープバイン」ではなくて「グレイプバイン」と入力しないと出ないです。確か2011年の「真昼のストレンジランド」ツアーを今はなき横浜BLITZで観たとき、会場の後方で大人たちがお酒を片手にゆったり揺れながらライブを楽しんでいて。私は未成年だったけど、会場にいるだけで十分に酔えたし、魔法なのか少し大人になった気分でした。
2021年リリースのアルバム『新しい果実』も好きです。長きにわたってリリースやライブを続けておられて、GRAPEVINEは紛れもなく私たちの青春なのに、今もなお楽しみをいただける。ファンとして幸せです。
大学時代はソウルミュージックが好きだけれど、Aretha FranklinやChaka Khanのようなパワフルなシンガーの楽曲を歌うのが難しくて、よくカバーしていたのがCorinne Bailey Raeです。
歌えない歌があっていいと思えたし、私が自然に歌うことのずっと先の方にコリーヌのような魅力的なシンガーがいる気がして嬉しかったように思います。
2019年ビルボード東京でのライブを間近で観たときはキュートすぎて圧倒されました。
注目してほしい、自分の関わった作品
「足取り」作詞と歌で参加しました。誰かが作ったメロディに歌詞をつけるのは初めてで新鮮でした。〈私は未だ昨夜の 胸に塗る薬の匂いの中〉という歌詞は、ヴイックスヴェポラップをイメージして書きました。なかなか寝付けず、明日に進むことができないでいる状態を歌いたかったです。
1stアルバム『脈光』
過去から未来への時間の繋がりだったり、人と人との繋がりにふれる楽曲が多く収録されています。時間の流れや人の縁はずっと前から私たちのそばにあるのに、制作のときに強く意識しました。
楽曲の中で描きたかった繋がりというのは、なめらかな線ではなくて点の連続をイメージしています。私も、私が過ごした今日も点でしかないけれど、それがどうした、とも思えました。
楽曲によって楽器編成や参加メンバー、曲の質量みたいなものが様々で、手探りではあったけれど、都度チャレンジできて楽しかったです。是非アルバムを通しで聴いてみていただけたら嬉しいです。
今後挑戦してみたいこと
楽曲のコーラスを考えるのが好きなので、合唱曲を作ってみたいです。今回リリースした「さなぎ」も三声にしてみたい気がします。それから、もし機会があればナレーションにもチャレンジしたいです。ザ・ノンフィクションを観て、今日のナレーションは誰がやっているのか、思い巡らすのが好きです。
カルチャーについて
触れてきたカルチャー
ラジオを聞くのが好きです。今日は金曜日だから『バナナムーン』だ、というように習慣のひとつになるし、ちょっと先の楽しみが常にあるのは良いなとコロナ禍で改めて感じました。少し頑張ったら、少しリフレッシュします。その延長で去年からPodcastを聞き始めました。『マユリカのうなげろりん!!』『ジェーン・スーと堀井美香の「OVER THE SUN」』などを聞いています。「OVER THE SUN」内でリスナーが各々ヒヤスンスを育てて一斉に花を咲かせましょうや、という企画があり、私も遅ればせながら球根を買ってひっそり水耕栽培しました。空太郎(そう名付けて成長を見守りました)は優等生で真っ直ぐ伸びて綺麗な花を咲かせたけれど、萎れてからは凄く嫌な匂いがして、そっと摘みました。
ヒヤスンス「空太郎」初期
今注目しているカルチャー
音楽と同じくらいお笑いが好きです。今までもこれからも注目しているカルチャーです。昨年10月『キングオブコント』というコントの賞レース番組で観た男性ブランコのネタが衝撃的でした。キャラクターや展開に、ズバッとやられてしまいました。
それから別のコント動画を見漁っては、友達に「これを見てくれ」とリンクを送りつけたりして、クリスマスイブには単独ライブに足を運んでいました。
男性ブランココントライブ「てんどん記」
単独ライブでは次々と演じられるコントがそれぞれ少しずつ折り重なっているようだけど、説明的ではなく、余白が存分にあり......『キングオブコント』のネタとの違いに正直戸惑いもあって、終演後友達に「よくわからなかったかも......」とラインしました。それなのに数日経っても単独ライブのことを思い返している私がいて、「あ、私はもう一度斬られていたんだ」と気付きました。
賞レース用にネタを叩いた(改良を重ねた)というインタビュー記事を見て、私も曲を叩こうと思ったし、いくつものコントが集まって単独ライブが形成されているのを目の当たりにして、私もこんな風にアルバムを作りたいと思いました。今後の活動からも目が離せません。
RELEASE INFORMATION
大石晴子『脈光』
2022年4月27日(水)
試聴はこちら
PROFILE
大石晴子
大阪生まれ神奈川育ち。生活の機微を美しくも不思議な響きのメロディで歌うシンガーソングライター。早稲田大学のソウルミュージックサークルで出会ったR&Bフィーリング、お笑いラジオ番組のヘヴィーリスニングで体得した鋭利な言語感覚を持つ、愛犬家。
LINK
オフィシャルサイト@haru_014
@haruko_oishi
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