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2023.07.23
FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!KENT VALLEY・DURAN・WOLVEs GROOVYほか全21作品 -2023.07.22-
カルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信するサービス FRIENDSHIP.の新譜を紹介。 キュレーターの金子厚武とナビゲーターの奥宮みさとによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
New Release Digest Part 1
みさと:7月17日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全21作品の中から、まずはPart-1、7作品ダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます。さてさて、はじめましてさんがいらっしゃいました。Miyamotoさんです。
金子:Miyamotoさんは東京在住のアーティストで、僕も初めて知ったんですけど、過去のディスコグラフィーを見てたらEXPECTRとコラボレーションしていて。だから、エレクトロニックな要素と生の要素とを掛け合わせて、という感じもあるんですけど、でもこの曲は生の楽器の音がしっかり鳴っていて、クレジットを見たらギターとベースがbutohesのメンバーで。
みさと:納得です。すごく深夜の温度感を持つ楽曲だなと思っていたんですけど、その感じはbutohesのメンバーがいるからこそ、相乗効果も相まった感じがあるのかもしれないですね。
金子:ポストロック発のR&B的な世界観があって、途中に出てくるギターの感じはレディオヘッドっぽさもあったり。オルタナ、インディー系が好きな人にはグサリと刺さるんじゃないかと思います。
みさと:レビューには「D.A.N.が好きな方にも刺さりそう」と書いてありましたけど、まさに刺さりそうだなと思いつつ、ただボーカルはD.A.N.よりも温もりが感じられるので、聴き手の幅が広がるアーティストさんなんじゃないかなって印象もありました。そして今週はですね、"もう夏じゃん!"という雰囲気がすごく感じられるリリースが続いておりまして、それぞれの夏ソングが届いているんですが、笹倉慎介さんもとっても好きでした。
金子:これは良かったですねえ。
みさと:すごく今の季節にぴったりで。
金子:4月末に行われたハイドパーク・ミュージック・フェスティバルでのライブ音源で、曲自体も去年出たアルバムの中からの曲なんですけど、でも今聴くのがぴったりですよね。
みさと:今、聴きたい!
金子:夏がやってきたタイミングでね。
みさと:本当に。雨上がりのコンクリートの匂いと、曇り空から晴れ間が見える瞬間に外で聴いてみたんですけど、もうシチュエーションばっちりで。季節とか空とか目に映るもののニュアンスがちょっと変わっていく瞬間に似合う楽曲だなという印象でした。
金子:バンドメンバーもね、リズム隊が伊賀航さんと伊藤大地さんで、細野(晴臣)さんはじめ幅広くいろんなミュージシャンに関わっている方だし、ギターは岡田拓郎くんで、ここ最近はとにかくいろんなところで名前を目にするから、「何人いるんだ?」状態ですけど、このメンバーの演奏も素晴らしいし、もちろん笹倉さん自身の歌も素晴らしいし、これは名演だと思いますね。
みさと:ですね。そして、そんなPart-1からはどの曲をかけましょうか?
金子:これぞ夏ソングということで、KENT VALLEYをかけようかなと思います。
みさと:これは今年の夏のテーマソングにしたいくらい、すごく気持ちが良い、大好きでした。
金子:タイトルからして「SUMMERTIME」ですからね。ド頭のシンセから気持ちいいし、ダンス特化型の曲なので、ループがとにかく気持ち良くて、この夏はひたすらこれで踊りたいって感じがしました。
みさと:まさにですね。"夏始まったじゃん!"という高揚感と開放感と、そのループが続く中で"もう夏が永遠にこのテンションのまま続けばいいのに"という願望もフツフツと湧き上がるような、本当に今にぴったりな楽曲になってます。
金子:KENT VALLEYは3月に心斎橋で開催されたSOUND RIVERSEで初めてライブを観たんですけど、ライブもすごく良くて。
みさと:そうなんだ。
金子:今年の1月に出た「HALL-ROLL」がわかりやすいんだけど、KENT VALLEYの曲はイギリスのHot Chipっていう、2000年代からずっと活躍しているバンドとすごくリンクがあるんですね。で、ライブ自体もHot Chipに通じる楽しさがすごくあって、めちゃめちゃいいなと思ったので、この曲もぜひライブで観たいなと思います。
みさと:観たいなー。
New Release Digest Part 2
みさと:お送りしたのはPart-2でした。リリースおめでとうございます。さあさあ、2番目にかかっていましたポニーのヒサミツが盤石の布陣でしたね。
金子:今回はKiss The Gamblerをフィーチャリングに迎えてのカントリータッチの曲で、Part-1の笹倉慎介さんの曲にはギターで岡田拓郎くんが参加してましたけど、こちらにはドラムに増村くん、ピアノに谷口くんという、同じくex-森は生きている組が参加しておりまして、ちょっと兄弟的な感じも感じたりしました。
みさと:気負うことなくポニーのヒサミツ節と言いますか、ひょうひょうと形にされているのは本当に軸がしっかりされているからだなと。リスナーとしてもいろんな意味で安心感のある楽曲でありチームといいますか、やっぱりポニーのヒサミツさんだなあという安心感をすごく感じました。
金子:でもそこにKiss The Gamblerの歌が入ることによって、この曲には安心感と新鮮味とが両方ちゃんとありますよね。
みさと:安心感といえば、ZARUKAMEのファースト・ミニ・アルバムが本当に癒しでございました。
金子:沁みますよねえ。ZARUKAMEもドラムの石若くんはじめバックに一流の人たちが揃ってるんですけど、ミニアルバムの中にはバンドと録った曲もあれば、今回の「Sou」みたいにストリングス2本とピアノのみで奏でられてる曲もあって、悲しみのメロディを歌うチェロにバイオリンが寄り添うことによって、美しい音を奏でている。このミニアルバムで彼女たちの多面的な魅力がすごく見えてくるんじゃないかなと思います。
みさと:本当にその通りですね。普段から言葉を使わず表現をされてきたプロの成せる技が詰まったミニアルバムなんだなとも思いましたし、人が物悲しく切なさを感じるメロディー進行とか、癒しを感じる音階とか、心の機微を表現できるテクニックとか、もうとにかくエクセレントです。
金子:劇伴とかにも数多く関わってると思うから、この「Sou」は特にそういう色合いも、音で心象を奏でるという感じがすごく伝わってくる曲だと思いました。
みさと:そんな癒しが2曲続きましたけど、逆にいっちゃいますか。
金子:ちょっとぶち壊しましょうかね。DURANをかけましょう。
みさと:やっぱり、こうやってまとめて曲を聴くと、いつもDURANだけ突出した感情に......。
金子:本当にね(笑)。
みさと:格好良かった。
金子:でも、これはこれで夏に聴きたいですよね。このむさ苦しいぐらいの熱さ。これで汗だくになりたい、みたいな感じもあるなって。
みさと:真夏にラーメン食べたい派の人たちにオススメ(笑)
金子:そういう感じ(笑)。DURANはリリースはひさしぶりなんですけど、ちょっと前にB'zの稲葉さんのTHE FIRST TAKEに一緒に出ていたこともかなり話題になりました。もともとライブとかレコーディングでサポートを務めてた縁もあっての出演で、ただTHE FIRST TAKEではアコギを弾いてたんですけど、今回の曲はエレキの格好良さがバリバリ出ていて。基本シンプルなリフの反復ではあるんだけど、ミックスであったりとか、音色を変えていたり、楽器の抜き差しも含めて上手く緩急をつけていて、さらには途中で出てくるギターソロ、DURANの歌、それらが重なり合うことによって、全く飽きさせない強力な楽曲になっていました。
みさと:もともとアナログでリリースされていた楽曲の配信版ということで、やっぱりアナログの文化も途絶えさせないでほしいと思うと、こういったリリースの方法も続けてほしいなと思いますし、やっぱり格好良いって不便なことと表裏一体なのかな、ともすごく思ったところがあります。
金子:楽器演奏というのはある種のアナログな文化ではあるとは思うけど、それこそDURANのライブを観るとその力がいかほどのものかというのをまざまざと感じさせられますからね。
みさと:ずっとこのスタイルを貫き通して、また更なる進化を遂げてくれるんだろうなと思うと、やっぱり目が離せないアーティストさんです。
金子:音源だとミックス含め、ちょっとデジタルな要素もあったりするから、ちゃんとアナログとデジタルを組み合わせて、モダンな音楽をつくり出してる。この人はそこもすごく格好良いなと思いますね。
New Release Digest Part 3
みさと:お送りしたのはダイジェストPart-3でした。リリースおめでとうございます。さあ、はじめましてさんがいらっしゃいます。LOARさんです。
金子:LOARは仙台市出身のアーティストで、ドレイクとかにも通じるような現代的なR&Bを鳴らす格好良いアーティストですね。FOFUというプロデューサーと一緒にやっていて、サウンドメイクしているという。
みさと:LOARの声、とっても好きです。
金子:声自体も良いし、色んなリズムを組み合わせたり、ボーカルを加工をしてたり、歌自体の良さとサウンド全体で聴かせる良さと、両側面持ってますよね。最近のVivaOlaくんとかともね、わりと共通するムードを持ってるというか。
みさと:確かに。
金子:いわゆる日本的な、歌がど真ん中にあるR&Bというよりも、もっとサウンド全体で、雰囲気も含めて聴かせる格好良いR&Bだなと思います。
みさと:歌唱方法も、かっこつけすぎてないのが逆に格好良いなっていう。この声でキメキメにされちゃうと、もしかしたらくどくなっちゃうかもしれないですけど、素材そのままが一番格好良いんだよというのが、サウンドメイクも含めて、それを引き立たせてくれてる歌唱法だなと聴いていました。
そして、Forever Luckyもめちゃめちゃ格好良かったですよね。
金子:俺、この曲好きだなあ。
みさと:俺も好き(笑)。
金子:これはこれでまた夏にずっと流しておきたいですね。
みさと:いいですね。
金子:僕が毎年夏に聴きたくなる作品で、フェネスの「Endless Summer」というエレクトロニカ系の名作があって、ちょっとタイプは違うんですけど、トレモロの感じとか、ある種バックグラウンド的に聴けて、めちゃめちゃ気持ち良いみたいなところで通じるものを感じて、これはずっと流しておきたいなと思いました。
みさと:世界観としても、癒しの作業には段階があるよなって改めて気が付かせてもらえた作品だったなというのが、セルフライナーノーツに"内省の果てに、ふと、外部と繋がって軽くなるまでの時間を曲に込めました"と書いてらっしゃるんです。これはまさにだなと思っていて、転んだら、まず中の細胞が頑張って傷を修復して、その後、外の風に当たってかさぶたができるじゃないですか。私たちは内側を癒すためには外と繋がることが癒しの作業として必要なんだなっていう。それは身体の傷だけじゃなくて心の傷もそうで、結局内側に向き合わなくちゃいけない、という曲がすごく多かったと思うんですけど、最終的には私たちは社会に生きているから、そことの繋がりがあってこそ本当に癒される段階に進んでいく。何となく分かっていてもそれをちゃんと言語化して、作品化してくださったことで、何か私すごい腑に落ちたところがありました。
金子:外との繋がり、という意味ではこの曲はフィーチャリングも入ってて、Suimin Dragonって一瞬誰?と思うんですけど、これTAMTAMのボーカルのクロちゃんの別名義で。
みさと:クロちゃんか。知らなかった。どおりで良い声。
金子:サウンド的に声を使っていて、それはそれですごく気持ち良いですよね。
みさと:クロちゃんだったか。そうでしたか。もう大好き、彼女の声。そんなPart-3からは、どの曲をかけましょうか?
金子:WOLVEs GROOVYをかけようかなと思います。
みさと:彼女たちもやっぱり格好良いですね。
金子:そうですね。2枚目のEPが完成しました。今年3月に最初のEPが出てるんですけど、そのときはまだ彼女たちは遠距離バンドで、東京・大阪・新潟にそれぞれいたんですけど、4月に全員が上京してきて、そこからやっとスタジオにちゃんと入って、セッションができるようになって。これまでFRIENDSHIP.からリリースしてきた曲は、そういう中から生まれた曲たちで、それらをまとめた2枚目のEPが完成ということで、これがファーストと言ってもいいんじゃないかと言えるような作品になってるかなと思います。
みさと:確かに、今回紹介する曲に関しても、2人のデュエット感というかツインボーカルが楽しいよね、今声を合わせるのってこういう感じだよね、というのが、ファーストよりもさらに色濃く出てるところに「みんなが揃って作ったんだな」っていう背景が感じられる曲になってますもんね。
金子:ラップっぽい感じも楽しいですよね。
みさと:きっと歌い回しはましのみちゃんがディレクションしてるのかなとか、2人でこういう歌い回しにしようよって楽しく声を合わせてるんだな、という制作まで勝手に想像ができちゃうような、そういう喜びが伝わってくる作品じゃないかなと思います。
金子:ましのみさんもそうだろうし、アヤコノさんにしても、やっぱりバンドをやる喜びっていうのは相当大きいみたいで。SNSを覗いてたら、アヤコノさんは7月に誕生日を迎えて19歳になったそうなんですけど。
みさと:おめでとうございます!
金子:そこに「割と誕生日の度に病む人間なのですが、今までのどんな誕生日よりも幸せに感じるのは、ましのみちゃんと詩音くんとバンドマンになったからだと思います」と書いてて。これまではSNSを通して演奏が話題になったわけだけど、人と直に会って、一緒に演奏をして、コミュニケーションすることで生まれる音楽の喜びを今まさに感じていて、そういう喜びも詰まった作品になってるんじゃないかなと思います。
みさと:ドラムの詩音くんも9歳からドラムを始めた本当にエキスパートなので、これから3人がどうやって成長されていくのか、私たちも楽しみですね。
金子:アヤコノちゃんと詩音くんが同世代なんですよね。
みさと:すごいな。若いグルーヴを感じていただきましょう。
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、奥宮みさとと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。 放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55 放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
番組MC
金子厚武 1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。 @a2take / @a2take3 奥宮みさと ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。 TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。 安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。 @_M1110_ / @11misato10 Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar) 神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。 The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。 オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin