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2023.07.16
FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!生活は忘れて・Limited Express(has gone?)ほか全13作品 -2023.07.15-
カルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信するサービス FRIENDSHIP.の新譜を紹介。 キュレーターの金子厚武とナビゲーターの奥宮みさとによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
New Release Digest Part 1
みさと:7月10日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全13作品の中から、まずはPart-1、7作品ダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます。おひさしぶりですよね、NOUGATです。
金子:1年半ぶりぐらいかな。ツインベース編成の4ピースバンドで、いわゆるポストハードコア的な音ですね。個人的にも大好物で、スティーブ・アルビニであり、日本だと54-71、FRIENDSHIP.的に言うとdownyとか、あの世代のバンドたちを今に受け継ぐ格好良いバンドですね。
みさと:ちゃんとルーツを継承していて、今この世代で鳴らしてくれてる人がいるっていうだけで、厚武さんから見ても嬉しい要素のひとつなのかなと思います。
金子:そうですね。別にトレンドとかでは全然ないんだけど、でもやっぱりこの格好良さっていうのはある意味すごく普遍的なものでもあると思います。
みさと:退廃的で緊張感もあって。そのダークな重さの中の一部にボーカルが散りばめられてるという位置づけが作品としてすごく美しいなと思います。
金子:ツインベースと言っても、派手に音圧で攻めるとかではなくて、ギターも含めて3本が絡み合うことで緊張感を出してるっていう、そのかっこ良さがありますよね。
みさと:そして打って変わって、コンスタントにリリースを続けております、Shimon Hoshinoさんのプロジェクト、hario island。
金子:コンスタントにリリースを続けていたらいつの間にかすごいいことになっていて、Spotifyの月間リスナー数を見たら、今20万(人)越えてるんですよ。
みさと:すごいですね。
金子:Shimon Hoshinoよりも、今はhario islandの方が上になってて。それはLo-Fi Beatsというグローバルのプレイリストに、3月に出した「shunmin」と、6月に出した「mugen」と、今2曲入ってて、特に「mugen」の方はプレイリストの中でも上の方に入ってるから、多分それによってかなり回ってて。
みさと:そうだったんだ。
金子:自分の作風をちゃんと持っていて、定期的にプレイリストに入ると、こういうことが起きるっていうのをShimonさんはずっと見せてくれてますね。
みさと:塵も積もれば山となるというか、地道にコツコツやることの実直な大切さみたいなものが感じられる成功例ですよね。
金子:本当に毎週何かしらリリースしてますからね。
みさと:そうなのよ、絶対におかしいのよ、スピードが。
金子:それが普通のことになっちゃってるけど。
みさと:やっぱりすごい。しかもhario island、Shimon Hoshino、そしてinvisible designと3プロジェクトがあって、それ以外にもOsteoleucoもあって、考えられない。何人いるんだろうって思っちゃうぐらいの仕事量だけど、でも続けた先、"継続は力なり"なんだなっていう。
金子:まさに。
みさと:まさにですね。ということで、Part-1からはどなたをかけましょうか?
金子:生活は忘れてをかけようかなと思います。
みさと:とても良かったです。
金子:こちらは約半年ぶりぐらいのリリースですかね。ちょっと変わった名前の男性シンガーソングライターであり、トラックメーカーなんですけど、今回の曲はご自分のコメントで「サウンド面ではメロの部分とサビの部分でギャップを持たせることを意識しました」って書いてあって、これもまさにでね。曲の入口はフォーキーな感じで、歌もつぶやくような歌い方なんだけど、途中でトラックが入ってくると、一変してR&Bとかファンキーな感じ、ボーカルも裏声を使った感じになってて、そのギャップが非常に面白い曲になってましたね。
みさと:まさに共感です。最初の始まりから想像する展開とは全く違って驚きも感じましたし、この「Bside」というタイトル、レコードのA面B面、表裏みたいな、古き良きカルチャーの産んだ単語を使ってるのもすごく好感度が高いなと。
金子:タイトルとサウンドのある種の両面性みたいなところが歌詞のテーマとも繋がっていて、今回は「人にどんな気持ちを向けられているか、言葉に出されなくてもわかることが多くなってきた。そういうときは大体ネガティブな感情を向けられていると感じるので、その時の気持ちを曲にした」という。表に出てる部分と、でもそこから感じる裏の部分の気持ちみたいな、そこを歌詞にしてるのも面白いですよね。
みさと:面白いし、そして共感できますよね。大人になると気付いちゃう。
金子:感じちゃいますよね。
みさと:分かっちゃう、分かっちゃうことあるもんなあ。
金子:すごいニコニコしてるけど、あんまり良いと思ってないんだろうな、とか。
みさと:あるよね。あるある。苦しいねー。生きていくの大変だ。
金子:でもね、そういうことも色々覚えていきながら。
みさと:大人になるんだ。
金子:そうやって生活は続いていくということを、彼はずっと歌ってくれてますね。
みさと:そうかあ、忘れたいけどね、生活は。逃げ出したいときにでも、寄り添ってくれる楽曲でした。
New Release Digest Part 2
みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-2でした。リリースおめでとうございます。Part-2からは2組はじめましてさんがいらっしゃいます。まずはナカニシイモウさんによる、グランジィJ-POPプロジェクトの"とがる"。
金子:ひらがな3文字で"とがる"。ちょっと前にもひらがな3文字ブームみたいな話しましたよね。
みさと:ありましたね。
金子:"すなお"がいて、"はろう"がいて、"くゆる"がいて、そして"とがる"がでてきました。
みさと:3段活用みたいなのできそう。
金子:やっぱり再ブーム来てるんですかね。"とがる"はナカニシイモウさんのグランジィJ-POPプロジェクトということで、サウンドはそこまでグランジな感じでもないなと思ったけど、精神的にグランジなのかなって感じがして。今アルバムを作っているそうなんですけど、それが「永遠の別れ」をテーマにナカニシさんが書き下ろした脚本をもとに、物語を進行させていくアルバムになっていて、この曲もその中の1曲ということで。そういう精神性みたいな部分がより色濃くグランジな部分を表してるのかなって気がします。
みさと:今回の曲は〈さよならもう二度と会えないんだね〉という言葉を中心に物語が広がる曲ですけど、この言葉って、君に対しての言葉だけじゃなくて、自分に対しての言葉でもあるなと、聴きながら感じてたんです。もう二度と10代の自分には会えなくて、もう二度と10代の自分の感情に戻れないっていう、それを意図してるかわからないけど、19歳までって特別な時間だよなって思いながら聴いてました。
金子:そのあたりもきっとアルバムが出る頃には何を意味しているかが分かるんでしょうね。
みさと:楽しみです。そしてもう1組がもう私怖いんですけど(笑)。狂気を感じました、Fine,Great。
金子:すごかったですね。
みさと:怖いわ(笑)。
金子:彼らは2022年の5月に結成されたスリーピースバンドで、B級映画やクレイアニメから影響を受けた頭の中にある架空の物語やSF的なコンセプトを特徴とすると。そういう影響のせいなのか、めちゃめちゃプログレなアレンジになってまして、そこに怖さを感じた?
みさと:そうですねー、プログレ感と歌詞も相まって、ジャケットを見たらCGをちっとも隠さないタッチで核兵器が人格を持ったみたいなキャラクターが草原にいるじゃないですか。
金子:このB級感ね。
みさと:絶望とポップとB級感が共存してるってなって、もう怖いと思っちゃう。でもその理解できない、怖いもの見たさで最後まで聴いちゃう感じはありましたね。
金子:こういうパワーポップっぽい音でこのプログレ感っていうのもなかなかない組み合わせだなと思いました。曲のタイトル「Project -Queen-」が何を意味するのかは分からないけど、でもQueenの「ボヘミアンラプソディ」みたいな、そういうプログレ感もあるし、気になる存在ですね。
みさと:全部解読できないのが気になりますよね。さあ、そんなPart-2からはどうしましょうか?
金子:バンド系のサウンドが続いたので、Limited Express(has gone?)をかけようかなと思います。
みさと:〈You don't need need need〉がとっても耳に残った新曲です。
金子:やっぱりYUKARIさんの声は耳に残りますよね。ご自身のコメントでは"今回、リミエキ史上屈指のポップソング(?)に仕上げました"って書いてあって、リミエキのハードコアな部分もありつつ、確かにポップめではある。でもさらにコメントで"とはいえ、若干規格外の音像になってます"って書いてある通り、ちょっと音像が変なんですよね。
みさと:変でした。こっちも違和感だった。
金子:前半の上モノのギターとかサックスの音が少しエディットされてるのかな。なんか変な乗っかり方をしていて、それが気になって。でも展開していって、最後は同じフレーズなんだけど多分普通に乗っかってて、気持ち良く聴こえるようになってて。やっぱりリミエキってポップでハードコアなんだけど、すごくラジカルな部分があって、この曲もそういう部分をすごく感じましたね。
みさと:あと時代的にリミエキもそうだし、pandagolffもそうだけど、怒っていいのよって言ってくれる、この歌詞にすごく救われる。自分自身のことを抑圧してしまって、それで苦しんでる人って一定数いると思うんですけど、"いーじゃん、怒れば!"って。"あ、そっか!"って気付かせてくれる、救いの道を示してくれてるなっていう気もしました。
金子:pandagolffのポストパンクな感じとも確かにリミエキは通じる部分があるし、RIOT GIRLとか、そういうカルチャーからも受け継いでるものがある気がしますね。
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、奥宮みさとと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。 放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55 放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
番組MC
金子厚武 1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。 @a2take / @a2take3 奥宮みさと ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。 TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。 安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。 @_M1110_ / @11misato10 Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar) 神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。 The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。 オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin