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2021.06.19
FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!Pictured Resort・YESEYSESY・butohesほか全13作品 -2021.06.16-
カルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信するサービス FRIENDSHIP.の新譜を紹介。
キュレーターの金子厚武とラジオDJ MISATOによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
MISATO:6月14日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全13作品の中から、まずは前半7作品をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます!FRIENDSHIP.から初めてのリリースになるのがダイジェストの後半、フレディーマーキュリーズとしてデビュー後、改名したフレディーマーズ、さらにはラッパーのMaphieさんですね。
金子:MaphieはFRIENDSHIP.からリリースしているgatoのメンバーがトラックを担当していて、gatoらしいエレクトロなセンスも感じられて。
MISATO:なるほど、たしかに通じる所ありますね。
金子:世界的なラッパーの盛り上がりに比べると、FRIENDSHIP.はまだラッパーのリリースがそんなに多くはないけど、でもMaphieだったり、Joe Cupertinoだったり、面白いラッパーも出てきているので、この番組を聴いてるラッパーの人もどんどんデモを送ってほしいな。
MISATO:参加して欲しい!しかも、FRIENDSHIP.を通してリリースされているラッパーの方々って、世界の潮流にしっかり乗っているスタイルがすごく多い印象がありますね。世界を見据えているというか、意識されてるんでしょうかね。
金子:いいトラックメーカーとかもね、紹介できるかもしれないし。勝手なこと言ってますけど(笑)。
MISATO:厚武プロデュースで何か生まれるかもしれない(笑)!
金子:FRIENDSHIP.は良いトラックメーカーもたくさんいますからね。
MISATO:他にも、YESEYSESYは新人バンドと申し上げてよろしいのでしょうか。
金子:これはすごいですね。メンバーは、dipのヤマジさんと石橋英子さん、須藤俊明さんという三人で。なぜ、この三人がこのタイミングでバンドを始めたのかはあまりわかってないんですけど、ヤマジさんはdipというバンドで80年代から活躍している日本のロックシーンのレジェンドの一人と言って良いし、石橋英子さんはソロもすごく素敵だし、ジム・オルークと一緒にエクスペリメンタルな音楽をやってる一方で、最近だと星野源さんのバンドでもご活躍と、超多忙な方ですね。
MISATO:多忙ですよね。よくお名前見かけますよね。
金子:音楽的にはヤマジさんの鋭利なギターサウンドを押し出したものになっていると思うんですけど、個人的に気になったのが、3ピースで、どういう楽器編成なのかなと思って。ヤマジさんがギターで、須藤さんは多分ベースなんですよ。この方、ドラムもできる方なんですけど、多分ベース。そうなると、石橋さんがドラムなのかなって思って。石橋さんがドラムをやるのって珍しいんですけど、もともと石橋さんはキャリアのスタートが福岡発のPANICSMILEというバンドで。ナンバーガールとかと一緒にやっていた、アンダーグラウンドなシーンの中では有名な存在で、そのバンドのドラマーが石橋さんのキャリアのスタートなんですよ。
MISATO:えーっ!そうだったんですか!?
金子:もしかしたら、ここではドラムを叩いてて、それをdipのヤマジさんとやってるって、すごいなと思って。
MISATO:これは、エモいっていうやつですよねー。しかもそれをFRIENDSHIP.から、この番組でご紹介できるっていうのも、福岡と繋がってきて。
金子:PANICSMILEのボーカルの吉田さんは以前は東京に出てきて、石橋さんたちと一緒に活動していたんですけど、今は福岡に戻って、PANICSMILEをやりつつ、ライブハウスにも関わったりとか、福岡に根ざした活動をしていらっしゃるので。
MISATO:この番組を聴いてくださってるかもしれませんね。また、YESEYSESYって文字面がとっても可愛いんですよ。
金子:まあ、読みづらいとも言いますけどね。
MISATO:そうなんです(笑)。YES YES YESと読みたくなるような、YESEYSESY、是非検索してみてください。ここで前半から一曲お届けしようと思いますが、いかが致しましょう。
金子:ここではbutohesを紹介しようかな、と。
2019年の6月に東京で結成されたバンドで、2020年9月から今の4人のメンバーで、バンド名は日本の前衛芸術である暗黒舞踏から来ているという、そんなバンドですけれども。もともと一般公募の中から選ばれて、そのときからキュレーターの中では評価が高かったんですよ。サウンド、音作り、その良さっていうのは当時から一歩抜きん出たものがあって。シャープなギターサウンドであり、タイトなリズム隊であり、ポストパンクとかポストロックとかをルーツに感じさせつつも、すごく洗練された音作りをしていて。レコーディングとかミックスとかもメンバーが自分達でやってるみたいなんですよね。
MISATO:そうなんですね。
金子:これまで「Hyperblue」と「T.O.L」という2曲を発表していて、どちらもリズム的には軽快で、ポストパンク寄りな感じだったんですけど、今回EPをリリースするタイミングでのリードトラック「zero gravity」という曲は、もっと広い映像を感じさせるような、シューゲイザー寄りのサウンドで、「この人たち、こっちもできるんだ」みたいな感じもあったり。この曲ではトラックメイクもしていて、資料によると、心臓の音、車のウインカー、足踏み、弦楽器の短い波形などの録音物のみを使ってトラックメイクをしている。
MISATO:面白いですよね。
金子:そういう宅録的な要素も持っていたりとか、幅の広さをEPという形で見せてくれてる感じがして、butohes面白いなと改めて思いました。
MISATO:水とか青が形を変えてこの6曲に変化しているというか、この「zero gravity」は大気圏を抜けて無重力という形だし、「Aquarium」なんかもっと水の中に潜るような質感になっていたり、イントロだけでその形が変わったなっていう、物質の形が変わったっていうのがつかめるような音像の使い方。まさにサンプリングしたものとかが丁寧に形になっているんだなーというのが分かるEPですね。
金子:EPのタイトルが「Lost In Watercycle」で、水が循環していくような流れをEPの中で感じられる作品になっていますね。
MISATO:そして戻ってくる、というテーマもとっても素敵ですね。
MISATO:お送りしたのは6月14日週リリースの新譜ダイジェスト Part 2でした。厚武さん、Part2すごい曲入ってましたね。
金子:間違い探しみたいになってましたね(笑)。
MISATO:あはは。間違ってないですよね。3曲目、4曲目あたりは重鎮たちが並んでましたね。am8の夏木マリさんがフィーチャリングの曲と、Jack Bruce、Char、屋敷豪太って。合ってますよね?(Jack Bruce,Char,Gotaの「White Room(Live in Japan)」は権利の関係上、ダイジェストからは除外してます。)
金子:合ってます(笑)。4曲目に関しては、震災の翌年の2012年に復興を意味して、このメンバーでビルボードでライブをやって、その時の映像が期間限定で公開されるということで、音源も配信するということらしく。
MISATO:絶対、映像観たいですよね。絶対、観ます。凄いな〜。
金子:でも、これがクリームの名曲であるとかっていうのも、若い子とかってどうなんですかね?
MISATO:もしかしたらイコールにならない方も聴いてくださっているかもしれませんね。でもそれが音楽の面白さですよね。なんとなく聴いたことあるっていうのが、ここでつながってくると嬉しいな。
金子:そうですよね。エリック・クラプトンの名フレーズを、日本が誇るCharさんが弾いているっていうのもスペシャルなことなので。
MISATO:一人も名前聞いたことなかった、というリスナーの方がいらっしゃったら、お一人お一人すごい経歴の持ち主で、日本のミュージシャンがここまで技巧派なんだよってことであったりとか、日本人だってグルーヴあるんだよっていうところを世界に引っ張っていってくださった人たちだと思うので。
金子:まさに。
MISATO:そういう先輩たちがいてこそ、今みなさんが聴いているミュージシャンたちが引き上げられている歴史があるので、Jack Bruce、Char、屋敷豪太、ここを押さえていると、もっと音楽のトークが楽しくなりますよね。
さらにはKoji TakagiさんによるPictured Resort、もうお馴染みですね。
金子:はい、この番組では何度か紹介していますね。
MISATO:今回、ミニアルバムからの先行シングルなんですけど、同じタイミングで5年前にリリースしたアルバム「All Vacation Long」も新しい音でリリースしたので、こちらも是非聴いてみて欲しいです。
金子:今回フワッとした音の曲が多いって話もありましたけど、前半の揺らぎとか、それこそbutohesとかも、ちょっとシューゲイザーっぽい要素だったのに対して、Pictured Resortの今回の曲はChill Waveを感じさせる曲で。Chill Waveっていうのも、もともとシューゲイザーがあって、そこからの派生というか、年代を経てもう1回リバイバルしたような要素がある音楽だったから、通じる要素ありますよね。
MISATO:さあ、一曲どれをかけましょうかね。
金子:今回はさっき最後にかかったPablo Haikuを紹介しようかなと思っていまして。
MISATO:気になっていました。初めて知りました。
金子:そうですよね。去年結成されたばっかりの3ピースで、butohesと同じく、この人たちも一般公募からなんですけど、今FRIENDSHIP.と音楽サイトのナタリーが一緒に特集を展開していて、選曲会議をゲストを呼んで開催したことがあって、そこにmabanuaさんに...Ovallのドラマーであり、今や星野源さんから米津玄師さんに至るまで、幅広く活躍されてる方ですけど、彼を呼んで選曲会議をやって、その時に選ばれたのがこのPablo Haikuで。
MISATO:うわー、嬉しいだろうな。Pablo Haikuからしたら、mabanuaさんに選んでもらったってことですよね。
金子:その選曲会議の模様が記事になって既に上がってるんですけど、そこでmabanuaさんもPablo Haikuに対してコメントを寄せていて、mabanuaさんはメロディの作り方が好みだと。コードの展開で作っていくタイプというよりも、反復で作っていくタイプで、言ってみれば、洋楽的な作り方で、自分にとっては好みだと。 あと選ぶ側っていう視点に立ったときに、今完成されてなくても、一緒にやっていきたいと思えるかどうかがすごく大事で、彼らに対してはそれを感じたっていうことを言っていて。そうだよなあって。
MISATO:良い話だなー。記事見てほしいですね。
金子:彼らは3ピースのバンドなんだけど、打ち込みのビートを取り入れたりとか、すごく今のセンスも持ってる人たちだし、本当にね、まだスタートしたばっかりで、これからより洗練されていくと思うんですけど、可能性はすごく感じられるバンドじゃないかなと思います。
MISATO:今、聴いているミュージシャンにとっては希望のお話ですよね。確かに、UKガラージをストリングスで華やかにしているところのバランス力がすごいなと思う反面、ここからもっと成長していく余白っていうのも感じられる楽曲だなと思うし。
金子:そうですよね。
MISATO:「応募するのどうしよう?」って二の足踏んでらっしゃる方、まずは気軽に応募してみてください。
金子:さっきも言ったように、現時点での完成度を重視するというよりも、「これからこの人たちと一緒にやっていってみたい!」と思わせるような人たちと出会いたいですね。
MISATO:待ってます!
FM福岡で毎週月曜日から金曜日まで深夜にオンエアされる、福岡市・警固六角にある架空のマンションの一室を舞台に行われ、次世代クリエイターが様々な情報を発信するプログラム「ミッドナイト・マンション警固六角(けごむつかど)」。"303号室"(毎週水曜日の27:00~27:55)では、FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」をオンエア。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、MISATOと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。
放送時間:毎週水曜日 27:00~27:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
MISATO
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。
TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。
安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10
Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin
FRIENDSHIP.
キュレーターの金子厚武とラジオDJ MISATOによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
New Release Digest Part 1
MISATO:6月14日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全13作品の中から、まずは前半7作品をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます!FRIENDSHIP.から初めてのリリースになるのがダイジェストの後半、フレディーマーキュリーズとしてデビュー後、改名したフレディーマーズ、さらにはラッパーのMaphieさんですね。
金子:MaphieはFRIENDSHIP.からリリースしているgatoのメンバーがトラックを担当していて、gatoらしいエレクトロなセンスも感じられて。
MISATO:なるほど、たしかに通じる所ありますね。
金子:世界的なラッパーの盛り上がりに比べると、FRIENDSHIP.はまだラッパーのリリースがそんなに多くはないけど、でもMaphieだったり、Joe Cupertinoだったり、面白いラッパーも出てきているので、この番組を聴いてるラッパーの人もどんどんデモを送ってほしいな。
MISATO:参加して欲しい!しかも、FRIENDSHIP.を通してリリースされているラッパーの方々って、世界の潮流にしっかり乗っているスタイルがすごく多い印象がありますね。世界を見据えているというか、意識されてるんでしょうかね。
金子:いいトラックメーカーとかもね、紹介できるかもしれないし。勝手なこと言ってますけど(笑)。
MISATO:厚武プロデュースで何か生まれるかもしれない(笑)!
金子:FRIENDSHIP.は良いトラックメーカーもたくさんいますからね。
MISATO:他にも、YESEYSESYは新人バンドと申し上げてよろしいのでしょうか。
金子:これはすごいですね。メンバーは、dipのヤマジさんと石橋英子さん、須藤俊明さんという三人で。なぜ、この三人がこのタイミングでバンドを始めたのかはあまりわかってないんですけど、ヤマジさんはdipというバンドで80年代から活躍している日本のロックシーンのレジェンドの一人と言って良いし、石橋英子さんはソロもすごく素敵だし、ジム・オルークと一緒にエクスペリメンタルな音楽をやってる一方で、最近だと星野源さんのバンドでもご活躍と、超多忙な方ですね。
MISATO:多忙ですよね。よくお名前見かけますよね。
金子:音楽的にはヤマジさんの鋭利なギターサウンドを押し出したものになっていると思うんですけど、個人的に気になったのが、3ピースで、どういう楽器編成なのかなと思って。ヤマジさんがギターで、須藤さんは多分ベースなんですよ。この方、ドラムもできる方なんですけど、多分ベース。そうなると、石橋さんがドラムなのかなって思って。石橋さんがドラムをやるのって珍しいんですけど、もともと石橋さんはキャリアのスタートが福岡発のPANICSMILEというバンドで。ナンバーガールとかと一緒にやっていた、アンダーグラウンドなシーンの中では有名な存在で、そのバンドのドラマーが石橋さんのキャリアのスタートなんですよ。
MISATO:えーっ!そうだったんですか!?
金子:もしかしたら、ここではドラムを叩いてて、それをdipのヤマジさんとやってるって、すごいなと思って。
MISATO:これは、エモいっていうやつですよねー。しかもそれをFRIENDSHIP.から、この番組でご紹介できるっていうのも、福岡と繋がってきて。
金子:PANICSMILEのボーカルの吉田さんは以前は東京に出てきて、石橋さんたちと一緒に活動していたんですけど、今は福岡に戻って、PANICSMILEをやりつつ、ライブハウスにも関わったりとか、福岡に根ざした活動をしていらっしゃるので。
MISATO:この番組を聴いてくださってるかもしれませんね。また、YESEYSESYって文字面がとっても可愛いんですよ。
金子:まあ、読みづらいとも言いますけどね。
MISATO:そうなんです(笑)。YES YES YESと読みたくなるような、YESEYSESY、是非検索してみてください。ここで前半から一曲お届けしようと思いますが、いかが致しましょう。
金子:ここではbutohesを紹介しようかな、と。
2019年の6月に東京で結成されたバンドで、2020年9月から今の4人のメンバーで、バンド名は日本の前衛芸術である暗黒舞踏から来ているという、そんなバンドですけれども。もともと一般公募の中から選ばれて、そのときからキュレーターの中では評価が高かったんですよ。サウンド、音作り、その良さっていうのは当時から一歩抜きん出たものがあって。シャープなギターサウンドであり、タイトなリズム隊であり、ポストパンクとかポストロックとかをルーツに感じさせつつも、すごく洗練された音作りをしていて。レコーディングとかミックスとかもメンバーが自分達でやってるみたいなんですよね。
MISATO:そうなんですね。
金子:これまで「Hyperblue」と「T.O.L」という2曲を発表していて、どちらもリズム的には軽快で、ポストパンク寄りな感じだったんですけど、今回EPをリリースするタイミングでのリードトラック「zero gravity」という曲は、もっと広い映像を感じさせるような、シューゲイザー寄りのサウンドで、「この人たち、こっちもできるんだ」みたいな感じもあったり。この曲ではトラックメイクもしていて、資料によると、心臓の音、車のウインカー、足踏み、弦楽器の短い波形などの録音物のみを使ってトラックメイクをしている。
MISATO:面白いですよね。
金子:そういう宅録的な要素も持っていたりとか、幅の広さをEPという形で見せてくれてる感じがして、butohes面白いなと改めて思いました。
MISATO:水とか青が形を変えてこの6曲に変化しているというか、この「zero gravity」は大気圏を抜けて無重力という形だし、「Aquarium」なんかもっと水の中に潜るような質感になっていたり、イントロだけでその形が変わったなっていう、物質の形が変わったっていうのがつかめるような音像の使い方。まさにサンプリングしたものとかが丁寧に形になっているんだなーというのが分かるEPですね。
金子:EPのタイトルが「Lost In Watercycle」で、水が循環していくような流れをEPの中で感じられる作品になっていますね。
MISATO:そして戻ってくる、というテーマもとっても素敵ですね。
New Release Digest Part 2
MISATO:お送りしたのは6月14日週リリースの新譜ダイジェスト Part 2でした。厚武さん、Part2すごい曲入ってましたね。
金子:間違い探しみたいになってましたね(笑)。
MISATO:あはは。間違ってないですよね。3曲目、4曲目あたりは重鎮たちが並んでましたね。am8の夏木マリさんがフィーチャリングの曲と、Jack Bruce、Char、屋敷豪太って。合ってますよね?(Jack Bruce,Char,Gotaの「White Room(Live in Japan)」は権利の関係上、ダイジェストからは除外してます。)
金子:合ってます(笑)。4曲目に関しては、震災の翌年の2012年に復興を意味して、このメンバーでビルボードでライブをやって、その時の映像が期間限定で公開されるということで、音源も配信するということらしく。
MISATO:絶対、映像観たいですよね。絶対、観ます。凄いな〜。
金子:でも、これがクリームの名曲であるとかっていうのも、若い子とかってどうなんですかね?
MISATO:もしかしたらイコールにならない方も聴いてくださっているかもしれませんね。でもそれが音楽の面白さですよね。なんとなく聴いたことあるっていうのが、ここでつながってくると嬉しいな。
金子:そうですよね。エリック・クラプトンの名フレーズを、日本が誇るCharさんが弾いているっていうのもスペシャルなことなので。
MISATO:一人も名前聞いたことなかった、というリスナーの方がいらっしゃったら、お一人お一人すごい経歴の持ち主で、日本のミュージシャンがここまで技巧派なんだよってことであったりとか、日本人だってグルーヴあるんだよっていうところを世界に引っ張っていってくださった人たちだと思うので。
金子:まさに。
MISATO:そういう先輩たちがいてこそ、今みなさんが聴いているミュージシャンたちが引き上げられている歴史があるので、Jack Bruce、Char、屋敷豪太、ここを押さえていると、もっと音楽のトークが楽しくなりますよね。
さらにはKoji TakagiさんによるPictured Resort、もうお馴染みですね。
金子:はい、この番組では何度か紹介していますね。
MISATO:今回、ミニアルバムからの先行シングルなんですけど、同じタイミングで5年前にリリースしたアルバム「All Vacation Long」も新しい音でリリースしたので、こちらも是非聴いてみて欲しいです。
金子:今回フワッとした音の曲が多いって話もありましたけど、前半の揺らぎとか、それこそbutohesとかも、ちょっとシューゲイザーっぽい要素だったのに対して、Pictured Resortの今回の曲はChill Waveを感じさせる曲で。Chill Waveっていうのも、もともとシューゲイザーがあって、そこからの派生というか、年代を経てもう1回リバイバルしたような要素がある音楽だったから、通じる要素ありますよね。
MISATO:さあ、一曲どれをかけましょうかね。
金子:今回はさっき最後にかかったPablo Haikuを紹介しようかなと思っていまして。
MISATO:気になっていました。初めて知りました。
金子:そうですよね。去年結成されたばっかりの3ピースで、butohesと同じく、この人たちも一般公募からなんですけど、今FRIENDSHIP.と音楽サイトのナタリーが一緒に特集を展開していて、選曲会議をゲストを呼んで開催したことがあって、そこにmabanuaさんに...Ovallのドラマーであり、今や星野源さんから米津玄師さんに至るまで、幅広く活躍されてる方ですけど、彼を呼んで選曲会議をやって、その時に選ばれたのがこのPablo Haikuで。
MISATO:うわー、嬉しいだろうな。Pablo Haikuからしたら、mabanuaさんに選んでもらったってことですよね。
金子:その選曲会議の模様が記事になって既に上がってるんですけど、そこでmabanuaさんもPablo Haikuに対してコメントを寄せていて、mabanuaさんはメロディの作り方が好みだと。コードの展開で作っていくタイプというよりも、反復で作っていくタイプで、言ってみれば、洋楽的な作り方で、自分にとっては好みだと。 あと選ぶ側っていう視点に立ったときに、今完成されてなくても、一緒にやっていきたいと思えるかどうかがすごく大事で、彼らに対してはそれを感じたっていうことを言っていて。そうだよなあって。
MISATO:良い話だなー。記事見てほしいですね。
金子:彼らは3ピースのバンドなんだけど、打ち込みのビートを取り入れたりとか、すごく今のセンスも持ってる人たちだし、本当にね、まだスタートしたばっかりで、これからより洗練されていくと思うんですけど、可能性はすごく感じられるバンドじゃないかなと思います。
MISATO:今、聴いているミュージシャンにとっては希望のお話ですよね。確かに、UKガラージをストリングスで華やかにしているところのバランス力がすごいなと思う反面、ここからもっと成長していく余白っていうのも感じられる楽曲だなと思うし。
金子:そうですよね。
MISATO:「応募するのどうしよう?」って二の足踏んでらっしゃる方、まずは気軽に応募してみてください。
金子:さっきも言ったように、現時点での完成度を重視するというよりも、「これからこの人たちと一緒にやっていってみたい!」と思わせるような人たちと出会いたいですね。
MISATO:待ってます!
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
FM福岡で毎週月曜日から金曜日まで深夜にオンエアされる、福岡市・警固六角にある架空のマンションの一室を舞台に行われ、次世代クリエイターが様々な情報を発信するプログラム「ミッドナイト・マンション警固六角(けごむつかど)」。"303号室"(毎週水曜日の27:00~27:55)では、FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」をオンエア。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、MISATOと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。
放送時間:毎週水曜日 27:00~27:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
番組MC
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
MISATO
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。
TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。
安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10
Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin
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