SENSA

2021.02.27

チルウェイブへの愛が止まらない シンセポップ・ユニット「Pictured Resort」-Highlighter Vol.058-

チルウェイブへの愛が止まらない シンセポップ・ユニット「Pictured Resort」-Highlighter Vol.058-

音楽だけでなく、どのカルチャーも共通点やつながりがあるということをコンセプトにしているSENSA。INTERVIEWシリーズ「Highlighter」では、アーティストはもちろん、音楽に関わるクリエイターにどのような音楽・カルチャーに触れて現在までに至ったか、その人の人となりを探っていく。
Vol.058は、バンド形態からフロントマンKoji Takagiのソロプロジェクトへと移行したPictured Resortを取り上げる。


Pictured Resortは、2014年から大阪を拠点に活動を続けるシンセポップ・ユニット。The Embassy、Computer Magic、Ice Choir、Alpaca Sportsら、海外アーティストの来日公演への出演、中国各地やフィリピン、マニラでの公演など、国内外でライブ活動を展開。
2月24日にリリースされたソロ移行後、初作品となるEP『S.T.』は、米フィラデルフィアのWork Drugsと共に日米シンセポップ・ユニットによるスプリット盤としてリリース。海外のインディーロック、ドリームポップ、チルウェイブ、80sディスコの要素をリスペクトを込めて取り入れた新しいPictured Resortを体感できる1枚になっている。

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活動を始めたきっかけ
バンドとしてのPictured Resort(以下、PR)は2014年に始まりました。学生時代に書き溜めていた僕のデモをもとにして、Yushi Ibuki(Syn/Naive Super他)、Yuki Akashi(Ba/Arty・PRサポートメンバー)、Yutaro Okawa(Dr)の4人で活動をスタート。途中、Kyosuke Tanimura(Gt)を加えて、2020年まで5人で活動しました。今回のWork DrugsとのスプリットEP『S.T.』から、僕Koji Takagiのソロプロジェクトとして再スタートを切りました。

影響を受けたアーティスト
僕の永遠のアイドルはシンガーソングライターのJohn Mayer。彼のギター機材、サウンドメイクは常に研究していて、歌詞や編曲のオマージュも頻繁にしています。「Where The Light Is」のライブ映像は、歌だけでなく、全曲ギターソロを口で歌えるくらい何度も観て、僕がギターで弾ける曲の8割くらいは彼の曲だと思います。



いちばん好きなアルバムは、1stの『Room For Squares』です。



PRのドリームポップ~チルウェイブ的な側面で言うと、Washed OutLake HeartbeatIce ChoirThe Radio Dept.等の影響が色濃いと思います。チルウェイブ、また流行ってくれないかな......。



いちばん好きなWashed Outのアルバムは『Paracosm』ですね。







その他、AORや70s~80sポップスが好きで、現行のインディーアーティストを中心にいろいろ掘っています。
PRがソロプロジェクトになって、改めてDTM的な側面にウェイトが移ってきていて、今後はさらにディスコ的な要素もクロスオーバーさせていきたいと思っています。

注目してほしい、自分の関わった作品
今回、米フィラデルフィアのシンセポップ・ユニットWork Drugs(以下、WD)とともに、スプリットEP『S.T.』をリリースしました。
もともと僕がWDの大ファンで、僕からスプリットのオファーをしたら、快諾してくれました。
びっくりしたのは、WDは去年アルバムを出したところだったのに、「この中から好きな曲選んでよ」と言って、未発表曲を10曲くらい送ってきてくれたこと。僕ももっと曲を書かなきゃと思いました。3曲ともビタースウィートな80sシンセポップで、本当に最高の内容です!



『S.T.』は、僕のソロプロジェクトとしては初のリリースとなる3曲で、いままでの音楽性を土台にしつつ、よりシンセサイザーやリズムトラックにDTM的な要素を感じられる曲を選びました。今後のPRがどうなっていくのか楽しみにしてもらえたら、という気持ちです。また、今年も夏に大きめのリリースをする予定です。

僕は友だちのバンドのミックス・マスタリングもよくしていて、最近だと、レーベルの後輩でPRのシンセサポートもしてくれているSolitude 2:14amや、スペインのインディーポップの名門・Elefant Recordsから今春リリースされるStill Dreamsのアルバムを手掛けさせてもらいました(ミックスやマスタリングで困っている方、お気軽に相談してください)。





あと、これを書いている時点では未アナウンスなのですが、旧PRメンバーのYushi Ibukiによるソロプロジェクト・Naive Superの新曲にギターで参加させてもらっています。こちらもリリースされた際にはぜひ!

今後挑戦してみたいこと
2020年までは、中国やフィリピンなど、海外公演がほぼ毎年あったのですが、コロナ禍で完全に止まってしまったのがすごく辛かった。海外渡航が解禁されたら、中国やタイ、インドネシアなどにツアーにいきたいです。

カルチャーについて

触れてきたカルチャー
実はアニメが大好きで、以前数えたら、テレビ放送、映画作品含め、トータルで400作品以上を鑑賞していました。2周3周している作品も多いので、よくそれだけ時間があったなと我ながら思います。

特に00年代のアニメが好きで、オールタイムベスト作品は『攻殻機動隊 S.A.C.』(2002年)。好きな監督は湯浅正明監督です。
攻殻機動隊は原作・押井守版・ARISEと、それぞれ個性があってどれも面白いですが、僕は神山健治監督の描く素子がいちばんハードボイルドで好きですね。
去年NETFLIXで配信された攻殻機動隊新シリーズには震えました! 攻殻機動隊はいま観たり読んだりしても、その先見性に驚くところが多くて、21世紀が5分の1を過ぎた現在、イーロン・マスク氏率いるNeuralink社の活動のように、往年のSFがSFでなくなってきているような状況で、AIと人間の関係、ヒトの意識や魂の本質、科学の発展と倫理観の限界など、この作品の提起する問題の重要性は日に日に高まっているように思います。



湯浅監督作品は、昨年放送された『映像研には手を出すな!』(原作:大童澄瞳)がめちゃくちゃ面白くて、原作の漫画もすぐに全巻買って3周読みました。
女子高生の主人公たちが、部活を立ち上げてアニメーション作品を作るストーリーなのですが、「なにかを作る」という行為そのものに対する哲学や深みがシリアス且つコメディチックに描かれていて、いちクリエイターとしてすごく刺激を受けました。
アニメ版は、漫画で表現しきれなかった主人公の空想世界を忠実に、そしてダイナミックに動かしつつ、それでいて完全に"湯浅ワールド"へと導いていて、サイエンスSARUを中心とした製作陣の「ものづくり」への愛を存分に味わうことができます。
「アニメーション」と「音楽」は作り方も様式も全く違いますが、アニメを毎週観るたびに「ワシも曲を作るんじゃ......」と楽器に向かう日々でした。続編を心待ちにしています。何かを作ることが好きな人にもそうでない人にも、ぜひ観てもらいたいです。

湯浅監督作品では『四畳半神話大系』(2010年/原作:森見登美彦)も大好きで、オールタイムベストを3つ挙げろと言われたら、攻殻に並んで絶対に入ります。あとひとつがめちゃくちゃ迷うんですけどね。

今注目しているカルチャー
カルチャーかどうかわかりませんが、先ほど少し触れたイーロン・マスク氏の活動を追いかけています。電気自動車テスラと決済サービスPayPal(と、恋人Grimes)のイメージが強い彼ですが、僕は中でもSPACE Xの今後の発展が楽しみです。史上初の民間宇宙船としてISSへ宇宙飛行士を運んだ功績も記憶に新しいですが、彼らはいま火星への移民も視野に入れた巨大ロケットの開発を行っています。飛行実験のたびに進展が見られて、本当にワクワクします。クラークアシモフの世界が現実になる(かもしれない)時代をこうして共有していることが嬉しく、また驚きでもあります。



RELEASE INFORMATION

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Pictured Resort, Work Drugs『S.T.』
2021年2月24日(水)
視聴はこちら

Side-A: Pictured Resort
1. My Heart
2. Frozen Pacific
3. Karma

Side-B: Work Drugs
1. Drive
2. Out Of Time
3. Tender Age

PROFILE
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Pictured Resort
2014年から大阪を拠点に活動を続けるシンセポップ・ユニット。The Embassy、Computer Magic、Ice Choir、Alpaca Sportsら、海外アーティストの来日公演への出演、中国各地やフィリピン、マニラでの公演など、国内外でライブ活動を展開。 2020年10月よりバンドからフロントマンであるKoji Takagiのソロユニットへと移行し、3rdフルアルバムを鋭意制作中。


LINK
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@pictured_resort

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