SENSA

2022.11.24

『YAJICO GIRL presents

『YAJICO GIRL presents "YAJICOLABO 2023"』開催記念!YAJICO GIRL四方颯人×odolミゾベリョウ対談

11月9日にニューEP『幽霊』を発表したYAJICO GIRLが、12月と1月に『YAJICO GIRL presents "YAJICOLABO 2023"』を開催。【YAJICOLABO】とはYAJICO GIRLがシンパシーを感じるアーティストをゲストに迎え、今のバンドの立ち位置を提示するようなツーマンイベントで、コラボとラボ(実験室)をかけたタイトル通り、一夜限りの化学反応が醍醐味でもある。今年の1月・2月にはBBHFとYONA YONA WEEKENDERSを迎えて開催されたが、2回目となる今回は12月18日に梅田CLUB QUATTROでodol、1月7日に渋谷CLUB QUATTROでDATSとの共演が決まっている。

そこでSENSAでは、前回に続いてYAJICO GIRLの四方颯人(Vo)と各バンドのフロントマンとの対談を実施。前編ではodolのミゾベリョウ(Vo/G)を迎え、四方が「一方的にシンパシーを感じていた」という作詞の話を中心に、両バンドの共通点と相違点を語り合ってもらった。


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生活していくことに関してのモチーフが多い歌詞にシンパシーを感じた

―まずは今回イベントにodolを誘った理由を教えてください。


四方颯人:2020年かな?ラジオでめっちゃ曲が流れてたときあったじゃないですか?

ミゾベリョウ:CMやったときかな。

四方:もちろん、名前はその前から知ってたんですけど、そのときにめっちゃいい曲やなと思って、そこから新しい曲が出るたびに聴いてて。で、(事務所が)近い関係性っていうのもあったので、リキッドルームのライブを観に行かせてもらって、めちゃくちゃ感動して。それでぜひ一緒にやりたいと思いました。

ミゾベ:大阪が地元なんですよね?

四方:はい。

ミゾベ:うれしいです。地元に呼んでいただいて。

四方:こちらこそ、ありがとうございます。

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―odolのことを好きになった具体的なポイントってありますか?


四方:歌詞がめちゃ好きなんです。大それたことじゃなくて、暮らしの中の小さなこととか、ちょっとした景色とか、人の記憶とか、生活していくことに関してのモチーフが多いと思っていて。僕もそういう歌詞が好きで、自分でも書いてるので、一方的にシンパシーを感じたのが大きいです。

―今の話って、実際にミゾベくんは意識をしていますか?


ミゾベ:歌詞を書くときは、暮らしのことを特別意識しているわけではないんですけど......自分たちが曲を作るときに出てくるワードとして、"生活感"っていうのがあって。今誰でも使ってるもの、例えば"LINE"とかって、生活感がある言葉だと思うんです。あとは"街"よりも"渋谷"の方が生活感があるし、"渋谷"よりも"道玄坂"の方がより生活感がある。曲によって、生活感を減らしていく方がいいのか、増やした方がいいのかっていうのは、結構いつも考えるポイントではあって。

四方:曲によって変わるんですね。

ミゾベ:そうなんですけど、自分が好きなのは無機質というか、限定的な方よりは、"街"とかの方が好きで。"街"って書くと、東京に住んでる人なら新宿とか渋谷を思い浮かべて、僕の地元の福岡の人だったら天神を思い浮かべたり、聴く人にゆだねる方が好きではあります。

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―四方くんの歌詞にはどっちもある感じがしますね。


四方:そうですね。僕はどっちも好きです。いろんな曲があるから、それに合った方を選んでる感じかもしれないです。

ミゾベ:今回対バンとこの対談が決まって、音源を聴かせていただいて、描こうとしてるものの本質的な部分は、確かに普通のことというか、何者でもない人が歌ってるような感じというか。「生まれにすごい壮絶なストーリーがあって」みたいな感じではないと思ったので、そこは確かにシンパシーを感じるところだなと思いつつ、でも曲に対しての言葉の使い方は僕にはないものをすごく持ってると思って。メロディーの中にあえて言葉を詰め込んで、そこでフックを作ったり、気持ちいいリズムの乗せ方をしてるのがすごいなって。

四方:ありがとうございます。ブラックミュージックとかラップミュージックが好きで、特にラップはどんどんフロウが進化してるのをリアルタイムで聴いているので、そこには影響を受けていて。どう言葉を詰め込めるか、どう言葉をはめられるかっていうのは、常に意識してることのひとつではあります。

―新作の曲で言うと「寝たいんだ」とかフロウかっこいいですよね。それこそ〈Netflix〉っていう言葉が使われていて、さっきのミゾベくんの話で言うと、それによって生活感が出てる歌詞でもある。


四方:ありがとうございます。今までは「こうじゃないと口が気持ち悪い」みたいなのを優先してたんですけど、今回は逆に入れたい言葉をがっつり入れちゃって、自分の歌唱でそれを上手いこと発声するというか。昔に比べると、歌もある程度できることが増えてきたので、自由度が増したっていうのもあると思います。

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同じ方向を向いてなくても一緒にやれるっていうのは、バンドの面白いところ

―ミゾベくんはYAJICO GIRLに対してどんな印象を持っていますか?


ミゾベ:昔のインタビューを読ませてもらったんですけど、フランク・オーシャンとかにハッとさせられて、それまでと音楽性を変えて、『インドア』を作ったっていうのを見て。僕らも2枚目のアルバム(『YEARS』)を出すまではみんな学生だったので、普通にスタジオに集まって、セッションして曲を作ってたんです。でも卒業するタイミングで、これからも音楽を続けていくならちゃんと意味を見つけなくちゃいけないんじゃないかと思って、内にこもった『視線』っていうEPを作って、そこから今みたいにDAWで曲を作るようになって。なので、結構近いストーリーがあるなと思ったんですよね。

四方:確かに。

ミゾベ:『インドア』の後の『アウトドア』で外向きな曲が増えたっていうのも、僕らも一回こもったやつを作って、その延長でアルバムを出して、そこからタイアップとかが来るようになって、外向きになれたので、そこも踏んでいった足跡が近いというか。ただ、僕らはそのときピアノのやつ(森山公稀)と僕を中心に話し合って、いろんなことを突き詰めていって、それは作曲をする人と作詞をする人だったからなんですけど。『インドア』のときのインタビューでは、「他のメンバーは結構戸惑いがあった」って書いてあったので、作詞作曲をしている四方さんはそこで「ひとりでやろう」とは思わなかったのかな?って。

四方:今思えばひとりでもよかったのかもしれないですけど(笑)、「一緒にやるか、やらないか」っていう選択肢がそもそもなかったかもしれないです。メンバーとは高1からずっと一緒だし、すでに事務所に拾っていただいてたので、「違うのやりたいからこのバンドはなし」みたいな選択肢はなかったんですよね。かといって、以前の音楽性のまま進めていくのは自分的にはやりたくなかったので、無理を言って変えた感じでした。

ミゾベ:僕らはそこまで引っ張る人がいないんです。音楽的にはピアノのやつが引っ張ってるんですけど、「ついていく」みたいな感覚はフロントマンが引っ張っていくバンドに比べるとみんなそんなにないと思う。バンドのあるべき形って、特に何か考えたり話したりしなくても、すでにみんなが同じ方向を向いてる、みたいなことだよなとか思ったりもして。

四方:逆に言うと、同じ方向を向いてないのに一緒にやれるっていうのが、バンドしかないのかなって。社会一般だと、同じ方向を向いてなかったら淘汰されたり、「じゃあ、あなたは要らないです」ってなるけど、バンドはそうはならないじゃないですか。もちろん同じ方向を向いてるときもあるんですけど、向いてなくても一緒にやれるっていうのは、バンドの面白いところな気がします。

ミゾベ:それは確かに。

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―odolは一年前に3人体制になってからの最初のEP『pre』を発表して、制作はメンバー中心で行いつつ、録音やライブはサポートメンバーを入れて、という形で活動をしてきたわけですけど、その手ごたえをどのように感じていますか?


ミゾベ:まず「新しくメンバーを入れるのか、サポートで行くのか」ってなったときは、サポートミュージシャンの人たちは自分たちより圧倒的に技術と経験があるから、フィードバックしかないだろうっていう、ある種の願いも込めて、サポートの人を呼ぶことにしたんです。で、実際に西田(修大)さんとかカズくん(大井一彌/DATS)を呼んで、同世代なんですけど、みんなめちゃくちゃ上手くて。たとえば「そもそもこういう音がギターなんだ」みたいなところから教えてもらったり、ドラムも初見で録音してグリッドに全部ぴったりで叩けたり、マイク4本とかでもめちゃめちゃバランスよかったりして、まずそこでフィードバックをもらって。

―プラスの効果が大きかったと。


ミゾベ:メンバーがいたときは時間関係なく突き詰められたのに対して、サポートの人の場合それができないっていうのはあったんですけど、でもだんだん自分たちのやり方が定まってきたというか。フィードバックをもらって、自分たちの技術も上がった分、アレンジを合わせに行くこともできるようになったし、「この人のギターはこういう音だから、ベースでノイズを出しておきます」とか「このメロディーは絶対必要だから、ここはピアノで弾いておく」とか、いろんなアプローチができるようになって。そうやって自分たちの知見もスキルも上がったので、サポートの人に入ってもらったのはすごくよかったなと思ってます。もちろん、まだまだ旅の途中というか、やっとスタートラインに立てた感じですね。

観に来てくれた人たちが「よかったなあ」って染みる一日が作れたら
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―YAJICO GIRLの新作『幽霊』の制作にあたってはどんなテーマがありましたか?


四方:前作の『Retrospective EP』のときは、自分の過去の思い出とか記憶から歌詞のテーマを広げていったので、それとは違うことがやりたいなっていうのがざっくりあったのと、あとは「俯瞰する感じ」っていうか。2020年の1月に大阪からこっちに来たんですけど、それが初めてのひとり暮らしで、だんだん生活をしていく中で、「もっと部屋をすっきりさせたい」とか、ミニマリストの考え方が自分的にしっくり来て。それでモノをめっちゃ捨てたり、そういうことをずっとやってたのが、今回かなり歌詞にも表れてると思います。

―「Airride」の〈いろいろ手放す 売り払うシャネル〉とか、「寝たいんだ」の〈よりよい暮らしを手にするためにはその商品が必要?〉とか、確かにそうですね。


四方:僕もodolの昔のインタビューを読ませてもらったんですけど、ミゾベさんの歌が「ナレーションっぽい」みたいな話をしていて、それは「確かに」と僕も思って。エモーショナルに「こう思ってる」みたいな感じというよりは、ちょっと俯瞰で、神の視点で語られていくというか、そういうことを自分もできるようになりたいと思って、それが今回の大きなテーマではありました。だから、自分をもう少し客観的に捉えたり、街の暮らし全体を見てみたり、そういうのは今まであんまりなかったので、そこが今回の特徴かなと思ってます。

―ミゾベくんは歌詞における「主観/客観」みたいなことはどの程度意識していますか?


ミゾベ:さっきもちょっと話した「壮絶な生まれがあって」みたいな人だと、まず伝えたいことがあって、その手段として音楽を選んでいて、だから音楽性はロックでもヒップホップでも何でもよくて、別にYouTuberでもいいのかもしれない。でも僕とかは高校のときに「バンドがしたい」と思ってバンドを始めて、そこから「バンドやるならオリジナルが作りたい」ってなって、そのテンションで2枚目まで行ってて。だから、そこまで音楽にテーマとかってなかったんですけど、でも歌詞がないと歌えないから、歌うことをその都度探して、あてはめて、極端にいうと「曲っぽくしてた」みたいな感じだったと思うんです。最初に伝えたいことがあって音楽を選んだ人じゃないし、もともと「俺が」っていうタイプのボーカリストでもないから、歌詞もそうだったと思う。

―なるほど。


ミゾベ:でもバンドを続けていく中で、YAJICO GIRLで言うところの『インドア』的な、僕らの『視線』っていうEPを出したときに、どんな些細なことでも、自分が思ったことなら曲にしていいんだと思えたんです。それまで歌いたいことがなかったら、明確な思想を持ってたり、壮絶な生まれがある人をうらやましいと思ったこともあったけど、そこに価値があるわけじゃなくて、僕が何かを思って、それを僕が歌うっていう、その行為はすごくピュアなものだから、その内容が何であれ、それ自体が音楽表現として正しいし、むしろ価値はそこにしかないと気付けたというか。なので、僕という人間は普通の人間だし、バンド自体も「ボーカリストが引っ張る」っていう感じじゃないので、「俺が」っていう歌よりは、それこそナレーションじゃないけど、情景描写を書いたりすることで、誰でもそこに入っていけて、自分が歌ってるかのように感じてもらえる、そういう曲が自分にフィットするのかなと思ってます。

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―YAJICO GIRLの新作にもそういう要素は入ってる気がしますね。『幽霊』というタイトルに関しては、どのように決まったのでしょうか?


四方:「幽霊」っていう曲がわりと自信作っていうのもありつつ、「寝たいんだ」と「美しき町」には〈風〉っていう言葉が入ってて、さっき話した「俯瞰っぽい感じ」というか、浮いてる感じ、浮遊感みたいなものもテーマとしてあったから、「目に見えないもの」のメタファーとしても、『幽霊』がいいんじゃないかなって。

ミゾベ:自分たちではつけないようなインパクトのあるタイトルが多いですよね。「幽霊」もそうだし、「寝たいんだ」もそうだし。

四方:「寝たいんだ」は僕らの曲の中でも結構攻めましたね(笑)。

ミゾベ:それこそ歌詞に〈Netflix〉って出てきて、僕とかは例えば20年後にNetflixがめっちゃ古いものになってたとしたら、曲も古いものになっちゃうんじゃないかとか思うんですよ。でもこの曲はこの部分がフックになってて、特にメロディーのノリがいいところでもあるから、聴き終わったときに印象に残る部分でもあるんですよね。僕らがそういう表現を避けてきたのは、半永久的に聴いてもらえる曲であってほしいからなんですけど、そこはある意味逃げでもあると思っていて。"テレビ"とか"ビデオ"にした方が長く聴ける気がするけど、でも今は"Netflix"の方がそこに移入できる人が多いと思うから、ちゃんとそういう表現をしてるのはすごいなって思います。サウンドは邦楽というより洋楽にドンピシャな音で、でもメロは結構J-POP的な要素もあって、日本人に刺さりそうだなと思うし、そこに日本語と英語のいいバランスの歌詞が乗っていて、そこがすごくいいなって。

四方:うれしいです。でも僕にとっては逆にそこが逃げでもあって、odolはそうじゃないところを突き詰めてるというか。言葉自体に特別フックがあるわけじゃないのに、その言葉が積み重なっていくことによって、ジワジワ感動していく。そういう部分がodolにはあると思っていて、そこがすごく好きなんですよね。

―お互いの共通点・相違点がそれぞれ見えたところで、最後にイベント当日に向けての意気込みを話していただけますか?


ミゾベ:僕たちも自称「音楽性の幅が広い」っていう感じなので、YAJICO GIRLのファンの方に自分たちの音楽がどう受け入れられるのかすごく楽しみです。サポートを入れて5人のチームで行くので、よろしくお願いします。

四方:よろしくお願いします。この間の(ワンマンライブ)『individuals』も観させていただいたんですけど、本当に感動して。いい小説を読み終わったときとか、いい映画を観た後の帰り道と同じ感覚になって、「音楽っていいなあ」と思ったんですよね。帰った後もまだ余韻が残っていて、それも含めて本当にいいライブだったと思っていて。odolの曲はそういう気持ちになれる曲がいっぱいあるし、YAJICO GIRLにもそういう部分はあると思ってるので、観に来てくれた人たちが興奮しながら帰るというよりは、「よかったなあ」って染みる感じというか、そういう一日が作れたらなと思ってます。

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取材・文:金子厚武
撮影:板場俊

RELEASE INFORMATION

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YAJICO GIRL「幽霊」
2022年11月9日(水)
Format:Digital

Track:
1.幽霊
2.Airride
3.寝たいんだ
4.美しき町

試聴はこちら


YAJICO GIRL「幽霊」MUSIC VIDEO




LIVE INFORMATION

YAJICOLABO 2023

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2022年12月18日(日)
梅田CLUB QUATTRO
YAJICO GIRL/odol

2023年1月7日(土)
渋谷CLUB QUATTRO
YAJICO GIRL/DATS

【TICKET】
チケット:¥4,500
(税込/ドリンク代別途要)
コラボ先行受付中:http://eplus.jp/YAJICOLABO/


LINK
YAJICO GIRLオフィシャルサイト
@YAJICOGIRL
@yajicogirl
Official YouTube Channel
@YAJICORADIO

odolオフィシャルサイト
@odol_jpn
@odol_jpn



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