2021.12.23
以下のインタビューは、いよいよ4人での活動も残りわずかとなった12月7日におこなったものだ。なぜ彼らはその選択をしたのか。テレンのその先に何を見ているのか。そして、バンドとして新たなフェーズに突入していることを感じさせる12月8日リリースのデジタルEP『A Dream Of Dreams』(今年リリースされた「心身二元論」「ニューワールド・ガイダンス」に加えて、結成15周年ライブで初披露された「カームダウン」を収録)には、どんな心境で取り組んでいたのか。包み隠さずに語ってもらった。
正直、取材の前は4人への最後のインタビューという感傷的な気持ちで臨んだのだが、彼らの真摯な話を聞き終えたあと、これからも続いていく彼らの人生を見届けたいと思った。松本は「全部つながっている」「続いていく」と何度も言っていた。LAMP IN TERRENという名前の終わりを寂しく思う人にとって、この言葉が少しでも希望になればと思う。
L→R:大屋 真太郎(Gt)、川口 大喜(Dr)、松本 大(Vo&Gt)、中原 健仁(Ba)
LAMP IN TERRENは「居場所」として大事なものだった。
―9月に川口くんの脱退が発表されました。バンドとしてそういう話をするようになったのはいつ頃だったんですか?
松本 大(Vo/Gt):8月っすね。
―わりと発表の直前だったんですね。
松本:大喜の意思としては(年末に出す)再録ベストアルバム『Romantic Egoist』のリアレンジのレコーディングが終わり次第(の脱退)だったと思うんですけど。さすがに期間を設けたほうがいいだろうってことで、じゃあ年内でっていう話をしましたね。
―発表後、10月と11月に開催した15周年ライブを挟んだあと、松本くんのツイキャスで「年内にLAMP IN TERRENという名前での活動を終わらせます」という報告があって。
松本:そこは人によってはもしかしたら改名に見えるのかもしれないですけど。個人的にはスタンスから何から変えようという気持ちではいるんですよ。
―川口くんの脱退を受けて、バンドそのものも終わらせるというのは、どういう想いがあったんですか?
松本:大喜から脱退の話があって。改めてこのバンドって、この4人じゃないといけなかったんだろうなと思ったんです。LAMP IN TERRENとしての未来を考えたときに、他の人間と一緒にやっていくことに違和感があったんですね。それを考えるのが全然楽しくない。だったら新しいものにしたほうがいいだろうって。
中原 健仁(Ba):俺としてもLAMP IN TERRENっていう名前で今後やっていくビジョンは全く見えなくて。(川口が)抜けて誰かが入ってきたとしても、LAMP IN TERRENって呼びづらい。大喜とのライブが年内で終わったあと、そこからまたLAMP IN TERRENをやるっていうのはないだろうなというのが俺のなかでは強くありました。
大屋 真太郎(Gt):たぶん俺がいちばんテレンを続けたいと思ってたんですよ。それがなんでなのかは自分でもよくわからなかったけど。俺にとってはLAMP IN TERRENが自分と音楽をつないでいるものっていうのがすごいあったんだろうなと思うんです。
松本:作った曲がもったいないって言ってたね。
大屋:それも自分の感情の照れ隠しじゃないけど。論理的に何かを伝えることができない、みたいな。他の言い方が見つからなかったんです。
松本:LAMP IN TERREN時代の曲も新しいプロジェクトでいつかやってもいいなと思ってはいるんです。ま、わりと早い段階でやり始めそうな気がするんですけどね、なんやかんや言って(笑)。僕らのなかで大喜の脱退がここまで重くなったのは、そのぐらい一緒に過ごした時間があったからというか。いいのか悪いのかわからないですけど、音楽を作ることよりも居場所として大事にしてた感じがあった。大喜が抜ける発表をしてから週1くらいみんなで会議をしてたんですけど、そのなかでどう話してもLAMP IN TERRENの未来を考えたときに言葉に詰まる。逆にそれ以外の新しいプロジェクトをするのはどうだろう?って言い出してから話が広がりはじめたんです。
―川口くんは自分の申し出からバンドがこういう決断をすることになって、複雑な想いもあったと思うんですけど......。
川口 大喜(Dr):寂しいなっていう気持ちはありました。ただ、俺っていう人間がいなくなったら必然的にバンドの名前も変わらざるをえないっていうのはわかる気がするんですよね。それぐらい名前って重要なんだろうなって。
松本:もともとLAMP IN TERRENって名前をつけたときに「この世の微かな光」っていうのが、そのときの自分をいちばん象徴してたと思うんですよ。
―暗闇のなかで何か希望を探していた自分がいた。
松本:そこからお引越しをするっていう感じですね。
「守りたかったのは各々の人生なんだろうなと思います」
―今回の決断をするにあたってはバンドを解散するっていう選択もなくはなかったと思うんですね。
松本:ありました、ありましたよ、全然。
―でも最終的に「名前をも変えてバンドを続ける」って決めたわけで。この選択をするうえでいちばん守りたかったものは何だったんでしょう?
中原:「自分が本当にやりたいことを1回考えてほしい」って大に言われて、そもそも俺はベースを弾くことが楽しくて好きだから、それをやって生きていけたらいいなって思ったんです。そのうえで俺は大が作ってくる曲、声が大好きだから。ずっと一緒にやれてたら幸せだなとも思って。そういうことを考えていくうちに、プレイヤーでもあるけど、ひとりの人間としてありたいなって最近は思うんですよね。
―自分がやりたいことをやることが人生にとってベストなんじゃないかと。
中原:個人的な俺の考えではそうですね。
大屋:大は大で俺がほっといてもひとりでやる実力はあると思うんですよ。何かしらやっていくだろうなっていう、楽曲提供にしろ何にしろ。
松本:でも他の人がいない状態の俺って危なっかしいと思いますけどね(笑)。
大屋:自分の人生で考えても「松本大の歌」を埋もれさせるのはあまりにも惜しいんです。それを支えたいって言うと変なんですけど、力になりたいでもない気がするし。
松本:真ちゃんは俺と戦っていたいんだと思う。頑固なんですよ、真ちゃんって。曲を作るときにもここまでアレンジを変えてくるかってぐらいのものをポンポン投げてくるし、「こっちのほうが良くない?」っていうのを論理的に言ってくれる。俺は感情でアレンジを左右するときがあるから、このぶつかり合いが俺はけっこう楽しくて。
大屋:そうだね。戦ってるがいちばんしっくりきたわ、俺のなかでも。
―松本くんは?
松本:俺は「バンドがやりたい」っていうのがあったんですよ。でも、このバンドをやるうえで1対3の感じがすごいあったと思うんですね、それは俺も悪いんですけど。
―過去のインタビューでそういう話もしてくれましたね。
松本:うん。本当は4人が1対1対1対1で立っていたかった。それを強要したときもあったし、自分が引こうと思った時期もあったし、いろいろ試行錯誤してきたんですけど。僕自身が誰かに任せることができなかったんですよね。最近ようやくそのやり方がわかってきたけど、本当は個々人がもっと個々人で関われるバンドになりたかったんです。だからLAMP IN TERRENのままでいてしまうと、これからもどこかで見えない強制力が働くだろうなっていうのはあった。それでワクワクできなくなるのは嫌だから。今度は完璧に個々人が軸になった状態でバンドと関わっていくほうがいいんじゃないかなと思ってて。だから守りたかったのは各々の人生なんだろうなと思います。
初のホールライブを楽しむことに全力を注いだ結成15周年ライブ
―10月と11月には初のホール会場で結成15周年ライブ「Branch」を開催しましたけど。どういう心境で臨んでたんですか?松本くんはMCで川口くんの脱退のことには触れないようにしてましたよね?
松本:そうですね。口を開くとネガティブなことしか言えそうになくて(笑)。どこか心に蓋をしてあのステージには立ってたなと思います。そういう複雑な心情も含めて歌には表れてるのかなって。歌いながら思ってました。
中原:どうしても大喜が脱退することを考えちゃうけど、あんまり意識しすぎると絶対よくないと思ってたので。ホールでやれることを思う存分楽しんだって感じですかね。
大屋:最後ですってなると、お涙頂戴みたいな感じになっちゃうじゃないですか。でも自分たちなりにホールっていう場所でちゃんといいパフォーマンスをできたのかなと思うので。それは自信になったかな。なんだかんだ俺らってここぞっていう舞台でコケがちなので(笑)。まあトラブルはあったし、ミスもしてないとは言わないですけど。いいライブができたかなって思いますね。
―川口くんはどうでしたか?
川口:やってきたことが全部出せたなって思いました。脱退が決まってからはなるべく特別な感情を持たないようにしてるんですけど。俺は来年からライブが当たり前じゃなくなると思うんです。いろいろがんばらなきゃライブ1本すら俺はできない。っていう意識があるせいか、普通にいつもどおりやってるつもりなんですけど、「ああ音楽って楽しいな」って思っちゃうんですよね。
松本:だってお前終わったとき、めちゃくちゃ充実した顔してたもんな。
全員:あはははは!
川口:最高のライブだったなと思って。
松本:珍しくイキイキ話しかけてくるなと思ったよ(笑)。
中原:でもあそこで終わりにはしたくないですね。LAMP IN TERRENとしてじゃないけど、これからもバンドを続けていくから。あれがいちばんでかいステージでしたみたいな感じにはしたくない。これからもがんばりたいので。
次に目指したのは、感情と音が一体になった音楽
―12月8日にリリースされたデジタルEP 『A Dream Of Dreams』は、新作としてはテレン名義での最後の作品です。今年配信リリースされた2曲に、新曲「カームダウン」が加わった1枚ですけど。どういう意味合いで出すことにしたんですか?
松本:いままで僕らが作った曲って全部CDになってるんですよ。それがものになってないのは終わらせる手前、不誠実だなと思ったんです。
―結果的にテレン今年のモードをパッケージするようなかたちになりましたよね。
松本:僕はアルバムごとに一つひとつ試練を越えてきた感覚があるんです。1st(『silver lining』)、2nd(『LIFE PROBE』)はバンドに対する憧れが原動力だったかもしれない、3rd(『fantasia』)でようやく音楽のこととか、音像がもたらす世界観をいかに見せるかを考えはじめるようになって。そこから4thアルバム(『The Naked Blues』)はひとりの人間が歌を作るってどういうことなんだろうということを考えたり、『FRAGILE』は、そうだな......自分の生活のなかから話をしはじめるっていうこと、社会とどうやって向き合っていくかってことだったのかな。
―ええ。
松本:それを経て、このEPは自分の感情と音楽そのものっていうものになってると思うんです。僕、曲を作るうえであんまりメロディってちゃんと考えたことないんですよ。何となく気持ちよかったらいいっていう感覚で作ってて。だから僕の歌って、僕以外の人が歌ってもあんまりぐっとこない可能性があるんですよ。
―たしかに松本くんの声と歌い方だからこそぐっとくるというのはあるかもしれない。
松本:でも感情がのる、かつメロディとして素晴らしいっていうのはすごい大事なことだなと思ってて。僕のなかでは音楽と自分の感情をミックスさせるっていうことが今回の作品でようやく叶ったかなと思うんです。
ハネのリズムを重視したハートウォームな新曲「カームダウン」
―メロディとして普遍的ものを目指したっていうことですよね。まさに「カームダウン」はそういう曲だなと思います。メロディがとってもいい。
松本:これは今年の2月頃に残していたボイスメモからふくらませていったものですね。
―スローテンポで温かな楽曲ですけど、楽器隊はどう向き合ったんですか?
川口:「カームダウン」はこのテンポ感で普通にやっちゃうと、すごくのっぺりとした空気感になっちゃうので、それを避けたかったんですよね。僕は楽曲制作するときに「(打ち込みのデモを)生でやったらこうなるよ」っていうのを伝えたいから、動画で撮って送るんです。そこに対してのやりとりは「カームダウン」がいちばん多かった。普段は大とLINEとかでやりとりするけど、この曲に関しては珍しく電話がかかってきて。
松本:「お前がいま叩いてる、叩いてないところの音を聞かせてほしい」って言ったね。
―というのは?
松本:要はハネのリズムを大事にしたかったんですよ。跳ねてるところでドラムは叩いてないけど、音の伸び具合とか、演奏者が意識してるものは不思議と聞こえてくるんです。だから八分で叩いてるんだけど、十六分で叩いてる感覚を意識してくださいっていう。
川口:言ってることはわかるんですけど、どうやろう?って。
中原:体がついてこない、みたいなね。
川口:それを何回も何回もひたすら反復して探ってようやくわかって。レコーディング前日に「どうだ!」って聴かせたら「それ!」みたいな。めっちゃ楽しかったです。
―ハネがひとつキーワードだったわけですね。
中原:そうですね。Vulfpeckっていう海外のバンドがいて、そこのベーシストが俺大好きで、大も好きで。「カームダウン」はそいつが出してるような音で弾いてくれって言われたんです。俺も好きだからやりたいんだけど、どうやったらこれ出んの?みたいな。
松本:でも俺意外とパワーだと思うんだけどね。
中原:いやあれパワーだよ。
松本:でしょ?
―へえ、パワーですか。聴き手の感触としてはパワーっていうよりも包み込むような優しさを感じますけど。
中原:出したいニュアンスはそうなんですけど、プレイする側としてはパワーなんですよね。そこらへんは俺もいろいろ研究するきっかけになったから、壁をひとつ越えたぜって感じがあるんです。自分って本当にできるのかな?って疑っちゃいがちなんですね。でも今回は「大丈夫だぜ」って自分に言える曲になったと思います。
―「カームダウン」の歌詞って、すごく自分と向き合ってる曲じゃないですか。それこそ『FRAGILE』のインタビューのときには「もう自分と向き合い切った」みたいな話をしてたけど、やっぱりまた向き合うんだなって思いました(笑)。
松本:あはは!俺思うんすけど、結局「自分と向き合わなくていい」って書いてる本人がいちばん自分を意識してるんですよね。たぶん誰よりも俺は気にしいだから曲を書けているっていう。他の人を励ましてるけど、結局それをいちばん受け入れられてないのは自分なんだろうなと思います。いまだにそういうところはあるから、似たようなことをずっと言ってるんだろうし、変わらないというか。
―またここに戻ってきたな、みたいな。
松本:そうですね(笑)。
出口がひとつじゃない。多面性を感じさせる歌とは
―「心身二元論」もバンドとしてはトライアルになった曲ですよね。
松本:俺はもう歌詞が重たいんで。この曲はヘラヘラしてたかったんです。ヘラヘラR&Bなんですよ。へラヘラコーラスで、酔っ払い千鳥足ビートっていう。あの曲のなかでいちばんしっかりしてるのって弦楽器ですね。ベースはどうしてもボトムの支えになるし、なんだったらギターがいちばんリズムだった可能性あるよね。
大屋:そう。だけど、ギター的にはR&B寄りではないんだよな。最初やったときはソウルっぽいギターをのせようと思ったけどなんか違って。
松本:曲として破綻してた。
大屋:つまんない感じがあったから、ちょっとズラしてるんです。
―こういうブラックミュージック的なアプローチって、いままでのテレンの曲には少なかったと思いますけど。新しいほうに向かいたい時期でもあったんですか?
松本:というよりも、歌にしてることと音楽との親和性がニコイチになっていく感覚が今回3曲とも強くあるんですよ。歌詞に準するアレンジというか。自分がこの世界で負けないものって何だろうなっていろいろ考えてたんですけど。わりと俺の武器ってそこかもしれないなと思うようになってるんですよね。答えがひとつじゃない感じ。俺の昔の曲って、わりと入口と出口をもうけてた感じがあるんです。たとえば生きることに悩んでいる人に向けて、俺はこう思うよっていう答えまでちゃんと導いていく。俺が言いたい「この1行」のためだけに全部があったんです。けどいま僕が作ってるものって、言いたいことが1行に込められてるわけじゃない。全行を大事にできてる。だから聴く人によって答えが変わってくると思うんですよ。出口が何個もある感じというか。
―うんうん。
松本:たとえば「心身二元論」を暗い曲として受け止めることもできれば、癒しとして受け止めることもできると思うし、何に使うかはその人の自由になってくるんです。それって昔の僕じゃできなかったんですよ。言いたいことが強すぎたから。これが多面的になったんですよね。だけど本筋として自分が言いたいことと音楽はものすごい密接な関係になってて。言葉だけでもダメだし、音だけでもダメっていうものがようやく作れるようになった。この曲作りの肌触りはいままではなかったですね。
―たしかに「カームダウン」も穏やかで落ち着いた気持ちになる曲だけど、私はどこか戦っている曲のようにも感じたんですよ。そういうことですよね?
松本:うん。実際「カームダウン」はDメロだけ込み入ったアレンジになってるじゃないですか。他はシンプルで落ち着いてるのにDメロだけがものすごく力強いっていう。あれはみんなでアレンジするときに、ここだけはどうしても渦になりたい、怒ってる感じを出したいって話したんです。
大屋:「カームダウン」はDメロがいちばん好きかも。スパイスが効いてて。
中原:そうね、いちばん感情入るとこだな。
固定概念をぶち壊すテレンのロックのニューモード
―「ニューワールド・ガイダンス」はどういうモードで作ったんですか? 初期のテレンのロックの正当進化版とも言えるし、そこにヒップホップっぽいニュアンスも入ってるからすごく新しさも感じました。
松本:固定観念ぶち壊したかったんですよね。きっかけは渋谷のセンター街で見たボヤで。段ボールが燃えてるだけのたいしたことない火事だったんですけど。それが「カームダウン」と「心身二元論」を作ったあと、もう1曲作らなきゃっていうタイミングだったんです。もう何回目の緊急事態宣言だっけ?......ちょっとわかんないけど、新世界に向けて曲を作ろうって考えてて。
―新世界に向けて?
松本:世界の当たり前が変わってしまったじゃないですか。ちょっと家から部屋着でコンビニに行くにもマスク付けてなきゃいけないとか。もちろん物事が変わっていくことは普通だと思うけど、また別の固定観念ができていることが気持ち悪い。全部を決めつけていってる感じがすごく嫌だったんです。だからそれをぶち壊したいって思いながら作りはじめたんですよね。たぶんこの曲をこういうかたちにしたのは、いま日本にロックバンドがいない、ぐらいに思ってるからだと思います。いるのかもしれないですけど......。
―まあ、少なくともチャートのなかにはほとんどいない。
松本:それって角が立つ言い方かもしれないですけど。いい意味でも悪い意味でも時代の流れのなかで(ロックバンドが)変われてないところがあると思うんです。だったらそれ(変わってゆく世界)を、いままでの日本のロックバンドっぽくないかたちで自分が曲にしたらどうだろうって考えながら作ったんです。いま考えると、曲の冒頭でどこにいるのかわからないみたいな状態なのは、そういうことだったのかもしれないなと思います。たぶん新世界の迷える子羊が自分自身だったっていうことですよね。
―「ニューワールド・ガイダンス」を作ってる時期は、もしかしたらLAMP IN TERRENがこうなるかもっていう話もあったんですか?
中原:いや、まだないです。
松本:実は「ニューワールド・ガイダンス」を作り終わったあとに、俺がみんなに対して「バンドでドラムを叩いて、ギター弾いて、ベースを弾いてっていうことが、本当に自分がやりたいことなのか持ち帰って考えてくれ」って言ったんですよ。それで大喜がやめるって言いだしたんです。「俺は別の道を歩みたい」って。
川口:だから当時、大に「お前がいちばんニューワールド・ガイダンスしてる」って言われた(笑)。
―じゃあテレンの曲作りの最後は......。
松本:「ニューワールド・ガイダンス」ですね。
中原:なんか仕組まれてる感じだな(笑)
松本:これを言っちゃうと、「ニューワールド・ガイダンス」がみんなに嫌われそうだけどね。LAMP IN TERRENをなくしたきっかけの曲みたいで。
川口:いやいや、はじまりの曲でしょ。
松本:いいこと言うね。
『A Dream of Dreams』というタイトルに込めた想い
―この曲のなかに〈夢から目醒めたみたいにわかった〉っていうフレーズもあるけど。EPのタイトルが「A Dream Of Dreams」なのもこの歌詞から?
松本:「夢から醒めた夢」っていう劇団四季でやられてるお話があるんですよ。その英語のタイトルが「A Dream Of Dreams」なんです。中学1年生の頃に授業を選べるコースみたいなのがあって。その演劇のコースでそのお芝居をやって、僕はヤクザ役でちょっとだけ出たんです(笑)。それが僕がステージに立つ原体験なんですけど。ふとそれを思い出して。自分がバンドを続けてきた感覚と近いものがあるなと思ったんですよね。
―バンドはずっと夢のなかにいるようなもの?
松本:うん。結果的にLAMP IN TERRENとしての活動を終了するっていうのは決めたけど、そのあともバンド自体は続いていく。ある意味、僕のなかでLAMP IN TERRENが終わるっていうのは夢が醒めることと近いんです。で、また新しい夢を見にいく。そういうような意味でこれをタイトルにしたいって言いましたね。
中原:なんかもう1個案あったよね。
松本:あった! 何だっけ? ふざけてたよね、『ゆで卵EP』みたいな?
マネージャー:『おまけEP』。
中原:あー、おまけだ!
川口:ゆで卵はねーだろ(笑)。
中原:いまになって思うけど、おまけじゃなくてよかったですね。俺最初はけっこう「おまけ」推しだったんですよ。あんまり堅い感じにしたくなくて。
―「おまけ」と呼ぶには忍びない作品ですしね。この3曲の新しい挑戦は絶対に次のバンドに生かされるはずだし。結局は全部つながっていくから。
松本:うん、そうですね。もっと言えば、中1の舞台に立った瞬間からここまでも、僕は全部つながってたなって思うんです。LAMP IN TERRENとして終わっても、ここから先も全部つながっていくんですよね。批判的な意見として「こいつは本当にリセットボタン押すのが好きだな」みたいなのがあったんですけど、別にリセットボタンを押してる感覚はないんですよ。俺は俺として生きていく。続けていくためにこの選択をしてるだけなんで。
LAMP IN TERRENとしてのラストライブに向けて
―12月28日の恵比寿リキッドルームは、EPと同じ「Dream of Dreams」というタイトルを掲げた、LAMP IN TERRENとしての最後のライブになります。
松本:4人が好きにやった結果がそこにあると思いますね。
―どんなライブをイメージしていますか?
松本:たぶんめっちゃ真剣に考えると思いますね、未来について。そのうえで自分たちの背中も、見に来てくれる人の背中も押せるようなものにしたいなと思います。
中原:終わりっていうふうにはしたくないですね。実際まだ俺らには先があるし。いま残りのライブも1本1本全力で楽しもうっていう気持ちでやってるので。それは変わらずやるし。そのあとの自分につながっていくようなものにしたいです。
松本:シャレになんないよね、最後にこけたら。
中原:ほんとに(笑)。
大屋:俺はできるだけ平常心でいきたいですね。(15周年の)青年館のライブで大喜が楽しんで叩いてるように見えたのがよかったので。最後も普通にみんなと楽しめたらなと思います。
―川口くんはどうですか?
川口:変わらないですね。いつもどおり。そこが変わると自分の変化に気づけないし。28日に自分の感情がどう動くかっていうのは、そのときになってみないとわかんないので。ま、いつもどおりっていちばん難しいんですけど。
中原:いま話してること、当日泣く伏線になってるよ(笑)。
川口:いや、泣かない。ドラマーは泣いちゃいけないんです。
取材・文:秦理絵
写真:山川哲矢
RELEASE INFORMATION
EP「A Dream Of Dreams」
2021年12月8日(水)
会場限定販売:12月28日(火)東京・LIQUIDROOM ebisu
※15:00より先行販売
※会場販売はチケットをお持ちで無い方もお買い求めいただけます
通信販売はこちら
価格:¥1,600(税込)
Track:
M1 カームダウン
M2 心身二元論
M3 ニューワールド・ガイダンス
M4 カームダウン(Instrument)
M5 心身二元論(Instrument)
M6 ニューワールド・ガイダンス(Instrument)
各サブスクリプション等配信サービス一覧(M1〜3)
試聴はこちら
LAMP IN TERREN「Romantic Egoist」
2021年12月29日(水)
Track:
M1 BABY STEP
M2 ランデヴー
M3 ボイド
M4 メイ
M5 Dreams
M6 花と詩人
M7 Sleep Heroism
M8 innocence
M9 緑閃光
M10 New Clothe
M11 涙星群の夜
M12 L-R
M13 キャラバン
M14 地球儀
M15 multiveese
M16 おまじない
プリアド/プリセーブはこちら
LIVE INFORMATION
LAMP IN TERREN One-Man Live 2021「A Dream Of Dreams」
12月28日(火) 東京LIQUIDROOM ebisuOPEN:18:00 / START:19:00
※開催時間は全て予定。新型コロナウイルス感染拡大状況によって変更となる可能性があります。
会場TICKET:前売¥4,500(税込/別途要1ドリンク代) / SOLD OUT&当日券なし
配信チケット:¥3,000他サポートチケットあり
チケット販売はこちら
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@lampinterren
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