SENSA

2022.06.09

アコースティックな歌心に滲む大らかさと温もり「Kusabana」-Highlighter Vol.133-

アコースティックな歌心に滲む大らかさと温もり「Kusabana」-Highlighter Vol.133-

音楽だけでなく、どのカルチャーも共通点やつながりがあるということをコンセプトにしているSENSA。INTERVIEWシリーズ「Highlighter」では、アーティストはもちろん、音楽に関わるクリエイターにどのような音楽・カルチャーに触れて現在までに至ったか、その人の人となりを探っていく。
Vol.133は、三浦和峰(Vo/Gt)と普天間瞳(Dr/Vo/Cho)から成るアコースティックデュオ、Kusabanaを取り上げる。
ブルースやカントリーの芳醇な香り漂うフォーキーなバンドサウンドと、かすれ気味の素朴な歌声を持ち味とする彼ら。初音源となるミニアルバム『IRAKA』には、その佇まいが容易く想像できる大陸的な大らかさとレイドバックした空気感を纏った5曲が収められている。


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活動を始めたきっかけ
三浦和峰:元々はパンクロックに影響を受けたバンドのギタリストとして活動をしていたんですが、急に歌いたくなって仲間に声をかけ、アコースティックギター、ウッドベース、キーボード、ドラムスという編成で新たにバンドを結成しました。

パンクロックからアイリッシュトラッドにアプローチしたThe Poguesのように、自分のルーツを掘っていったらThe Beatlesの『Rubber Soul』(1965年)やNeil Youngの『Harvest』(1972年)など、ロックの系譜にあるアコースティック曲をいつも無意識のうちにピックアップして聴いていたことに気付いたので、まずはアコースティックで何ができるか挑戦してみたいなと思いました。

影響を受けたアーティスト
三浦:ロックからパンク、クラシック、アンビエントまでジャンルに関わらずいろいろと好きなアーティストを聴いていますが、やはりThe Poguesは2人が共通して特に好きなバンドであり、その世界は憧れです。ティンホイッスル、アコーディオン、ブズーキなどのアコースティック楽器の使い方が最高に好きです。大雨のなか、アイリッシュ好きの友達とSHIBUYA-AXに来日公演を観に行きました。


友部正人たまなど、歌詞のなかで日本語を大切にしているミュージャンが好きです。eastern youthは歌詞で選ぶワードもそうですが、ギターフレーズもどこか日本的な情緒を感じます。高校時代に同級生に教えてもらって聴いた時に衝撃を受け、以来ずっと大好きです。



普天間瞳:フォーキーなサウンドは誤魔化しがきかない代わりに、その国の風土や民族の香りが伝わってくるので、旅に出ている気分になれるところが好きです。Delaney & Bonnieの『Motel Shot』(1971年)は、まるで自分がそのセッションの輪のなかにいて一緒に飲んで騒いでるような臨場感があって最高です。



注目してほしい、自分の関わった作品
三浦:アコースティックのレコーディングが初めてだったので、『IRAKA』は僕の故郷、秋田の先輩でもあるシンガーソングライターの伊藤サチコさんとex.LOST IN TIMEの榎本聖貴さんのユニット、huenicaにプロデュースをお願いしました。アコギ、ウッドベース、ドラム、ピアノ、マンドリンなど、アコースティック楽器の良いところが出ていると思います。




普天間:私はJinnyOops!というバンドでも20年ドラムを叩いていて、海外ツアーに行く機会が多く、2ndシングル「君と僕 / YOU AND I」は日本語版・英語版でアレンジも変えて同時リリースしています。


英訳は海外の友達、日本に住んでいるアメリカ出身の友達、海外留学していた日本の友達など、たくさんの方に相談をして協力してもらいました。それぞれニュアンスが微妙に違ってくるので、大変でしたがおもしろかったです。


日本語版のMVは台湾で撮ってもらい、逆にこちらの歌詞テロップは日本語になっています。カタコトの英語でのやり取りだったので伝わるかなと心配したのですが、びっくりするくらいピッタリはめてくれて、「言葉は通じなくても充分私たちの音楽が伝わってる!!」と確信し、感動したのを覚えています。

今後挑戦してみたいこと
三浦:一度、雨の音や祭囃子みたいな環境音を採り入れた音楽作品を録ってみたいです。フィールドレコーディングや地元での録音なんかもできたらいいなと。

普天間:映像作品を作りたいです。曲とリンクしたものや、反対に全く別の世界観を表現した映像作品を作れたらおもしろいなと思います。

カルチャーについて

触れてきたカルチャー
三浦:今まで観た映画のなかでは、『ナイト・オン・ザ・プラネット』に一番影響を受けています。登場人物の魅力と何気ない会話のおもしろさと愛おしさ。ニューヨーク編の道化師をしていたというタクシー運転手の〈私は道化だ/お金は必要だが重要じゃない〉という言葉がずっと残っています。眠れない夜に観るのがいいです。そしてTom Waitsの音楽も秀逸です。



『ちびまる子ちゃん』『コジコジ』はもちろん、エッセイやちょっとディープな『神のちから』や『永沢君』など、さくらももこ氏の作品も好きです。

さくらももこ氏がメンバーの演奏姿を描いた、たまのベストアルバム(1992年リリースの『まちあわせ』)のジャケットも大好きで、今回のKusabanaのアルバムのジャケットは大好きなイラストレーターさんに似顔絵を描いていただきました。



今注目しているカルチャー
三浦:漫才やコントといったお笑いが大好きで、賞レースも含めよく観ます。舞台の上で、4〜5分で自分の表現をするという意味では音楽と共通した部分がある気がします。

GAGというトリオのライブのフライヤーに描かれた絵がすごく可愛くて、それを描いたイラストレーターのthe_pool_sideさんに今回のジャケットの似顔絵を描いていただきました。

音楽好きな芸人さんも多く、なかでも永野さんはよく音楽の話をされますが、〈偏愛名盤〉と題して世間的な評価は低いけれど個人的に好きなアルバムを語っていたりと、視点が独特でおもしろいです。


普天間:7年の歳月をかけ、4万枚の手書きの作画をほぼ1人で制作したという岩井澤健治監督のアニメーション映画『音楽』も独特のムードが心地良く、バンドを始めたばかりの時の手探りな気持ちを思い出させてくれました。絶妙です。



RELEASE INFORMATION

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Kusabana『IRAKA』
2022年6月1日(水)
試聴はこちら

LIVE INFORMATION

田園 vol.10
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7月2日(土)越谷・音楽茶屋ごりごりハウス
出演:Kusabana / huenica

YOU NEED HEART TO PLAY THIS GAME
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2022年6月27日(月)
新宿NINE SPICES
出演 : Kusabana / チヂタム / さっちゃん(THE FOWLS,ヨットヘヴン)

詳細はこちら


PROFILE

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Kusabana
三浦和峰(Vo/Gt)、普天間瞳(Dr/Vo/Cho)から成るアコースティックデュオ。2016年に結成、現在は東京の中央線沿線や埼玉県の越谷などを中心に、月2本前後のライブ活動を行っている。
衝動的なロック/パンクバンドを通過したメンバーが、歌をじっくり聴いてもらうためにルーツでもあるアコースティック楽器を手に取り活動を開始。結成当初はアコースティックギター、キーボード、ウッドベース、ドラムの4人編成だったが、メンバーチェンジを経て現体制へ。普天間はJinnyOops!でもドラマーとして活動中。
2017年9月、静岡県で開催された野外キャンプフェス〈MUJINTO cinema CAMP 2017〉に出演。
2021年にはhuenicaのプロデュースのもとでアルバムのレコーディングを開始。
2022年6月1日に初めての音源となるミニアルバム『IRAKA』を3rd Stone From The Sun LLCのサポートによりリリースしたばかり。


LINK
オフィシャルサイト
@kusabana_japan
@kusabana_official
@Kusabanaband
Official YouTube Channel
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