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2022.12.18
FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!First Love is Never Returned・POOLS・yeti let you noticeほか全20作品 -2022.12.17-
カルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信するサービス FRIENDSHIP.の新譜を紹介。
キュレーターの金子厚武とサトーカンナによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
カンナ:12月12日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全20作品の中から、まずはPart 1の7作品をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます!まずははじめましてとなります、スーパーノア。
金子:スーパーノアのボーカル・井戸健人さんのソロ作はこれまでもFRIENDSHIP.から出していて、その井戸さんがもともとやってるバンドがスーパーノアなのですが、結成は2004年で、キャリアの長いバンドです。
カンナ:20年近く活動されているんですね。
金子::京都の愛されバンドのイメージがあります。コロナ禍を経て、制作をリモートで行ったりもしていたようで、曲を聴いてもいわゆるバンドサウンドというより、もう少し作りこまれた感じが伝わってきます。違う拍子のフレーズが同時進行していて、ポリリズムになっていたり、後半になるとポエトリーが出てきたり、かなりいろんな要素が盛り込まれていますね。もともとのスーパーノアのバンド感もありつつ、井戸さんのソロの作り込まれた感もありつつ、それがハイブリッドしてより新しいものになってる感じがしました。
カンナ:世代的に言うとRADWIMPSと一緒に並べて聴けるのかなと私は感じました。
金子:へー!なるほど!
カンナ:そんな聴き方もしてみると面白いかもしれません。続いてアルバムがリリースになりました、Joe Cupertino(ジョー・クパチーノ)さん。
金子:2枚目のアルバムがリリースされました。コメントをいただいておりまして、「本作品を作るにあたり、ファーストアルバムを超えなきゃいけないものだという一般的な考えからは早々に離れ、全くの別物で両方同じくらい良いものにできるように、関連性は持たせつつもある程度の距離感を感じられる作品を目指しました」とのことです。ファーストはそれまでの集大成だから全部詰め込めるけど、「じゃあその次は?」となると、それを超えるのは難しいとたしかによく言われますよね。でもこうやって別物だけどちゃんと関連性はありつつ、というそのアプローチがまず面白いなと思いました。
カンナ:なるほど。
金子:音楽的にはもちろんヒップホップやラップというのがありますけど、かなりミクスチャーでした。今回オンエアしている「CITY」という曲にしても、前半と後半で全然ビートが違って、アルバム全体としてかなりのミクスチャーになっていて。でも今のヒップホップはもうミクスチャーであることが普通になってきてるから、そういう意味で現代性もありつつ、冒険的でもある。すごく良いなと思います。
カンナ:今回T-Razorさんという大学のお友達と一緒に作られたみたいですね。前回はジャケットを漫画家の魚豊さんが描いていたりして、そうやってお友達と一緒に作るスタイルなんだなと思って。そこが暮らしに密着してる感じがしていいなと思いました。
金子:周りに才能豊かな人たちが多いですね。
カンナ:それではPart 1から聴いていただく曲はどちらにしますか?
金子:FRIENDSHIP.からは初めてのリリースとなる、First Love is Never Returnedをかけようかなと思います。バンド名からして結構インパクトありますよね。
カンナ:そうですよね。ロマンティックなバンド名がきました。
金子:日本語訳すると"初恋はもう戻らない"という。
カンナ:私の好きなセンチメンタルですね。
金子:もともと2018年に札幌で結成されています。やっぱりコロナ禍の影響があって、メンバーの脱退とかもあり、活動休止状態となっていたのですが、メンバーチェンジを経て現体制で再始動。その一発目が今回の曲ということです。曲を聴いて印象的なのは、まず歌声ですね。Kazuki Ishidaさんはニューヨークにボーカル留学の経験もある方ということで、この声はめちゃめちゃ魅力的です。キャッチコピーに「この声に恋をする」とありますけど。
カンナ:本当にその通りですね。
金子:この声にしろ、曲自体にしろ、すごくラジオフレンドリーですよね。「シューズは脱がないで」というタイトルで、歌詞の中に「Spot light 浴びるまで シューズは脱がないで」というラインがあって、一時期は活動休止状態になったけど、もう一度スポットライトを浴びるために、ここからもう一度動き出すというバンドの想いみたいなものもちゃんと伝わってくるし、再始動の一発目として相応しい楽曲かなと思います。
カンナ:これからどんな風に動いていくのかも楽しみですね。
カンナ:新譜ダイジェストPart 2でした。リリースおめでとうございます。みらんさんの新曲が出ました。
金子:ちょうど昨日弾き語りライブをやっていたということで、それにあわせてのリリースだと思うんですけど、弾き語りを基調としつつ、そこにストリングスが合わさっていて、いい意味で簡素だからこそみらんさんの歌が引き立つ、すごく良い曲でした。
カンナ:前作もそうだったんですけど、みらんさんからはちょっとオザケンを感じるんですよね。すごく似てるというわけじゃないけど、何かエッセンスというか、血の中に流れているなにかを感じて(笑)。
金子:あはは。それは言語化が難しそうですね。
カンナ:オザケンのファンとしては、ちょっとそこが気になっているので、いつかルーツとか聞いてみたいなと思います。続いては放課後ホタル。今年結成されたんですよね?
金子:そうなんです。まだ今回が2作目のリリースなんですけど、この2人はどうにも気になるんですよね。島根在住の設楽ナギさんと横浜在住の根菜さんの2人がリモートでやっているというプロフィールからして面白いんですけど、すごくわかりやすく言っちゃうと"KEYTALK+アニソン"みたいな感じの作風を、バンドじゃなくて2人でやっちゃうみたいな感じで、変にクオリティが高いんですよね。
カンナ:あはは。
金子:KEYTALKはメインでソングライティングしてる義勝くんが、バンドマンにしてはかなり作曲家的な、職人的な曲を作る人だから、もともとアニソンとかとも親和性があるんですけど、放課後ホタルはバンドじゃなくて2人というところも含めて、より職人な感じがします。みらんさんもストリングスが印象的でしたけど、こっちの曲もまた全然違う、それこそアニソンの劇伴っぽいストリングスの使い方で、「もうこういうのやっちゃうんだ」という感じもしたし、やっぱり変にクオリティ高くて気になる存在なんですよね(笑)。
カンナ:個人的には根菜さんのコメントでこの曲について、「今まで経験してきた、数多の恋を思い出しながら歌いました!」って、どれくらい恋してきたんだろうとすごく気になって(笑)。
金子:どうなんでしょうね(笑)。あと言葉も面白いですよね。おそらくは"白雪姫"をもじって「白息姫」。冬に白い息を吐く女の子をイメージしてると思うんですけど、数多の女の子と冬にお付き合いしていたのか、それとも憧れていたのか、とにかくその人を思い出しながら歌っているんでしょうね。
カンナ:それではPart 2では何をかけましょうか?
金子:POOLSをかけようと思います。
カンナ:EPがリリースとなりました。おめでとうございます!
金子:もともと2019年に京都で結成されてるので、今週はスーパーノアも京都だし、東京少年倶楽部ももともと京都で結成なので、京都の週かもしれません。やっぱり関西は良いバンドやアーティストがいっぱいいますよね。
カンナ:いますね。
金子:プロフィール的にはシューゲイズやドリームポップの影響みたいなことがよく書いてあって、たしかにその要素もあるんですけど、今回の作品は個人的にはパワー・ポップの印象が強くて。先行でリリースされていて、EPの頭の方に入ってる「effect!」とか「breaking」、最後の「mokuzu」とかは特にパワー・ポップっぽい感じがします。それだけキャッチーなメロディーが引き立っていて、でもいわゆる洋楽直系みたいな感じよりも、もう少し日本らしさもあって、それこそ同じ関西のKANA-BOONとかも思い出したり。
カンナ:あ〜、たしかに。
金子:そういうバンドに通じるキャッチーさもちゃんとあって、すごくいいバランスだなと思いました。
カンナ:"ボーカルのハイトーンボイス"と紹介文にあるんですけど、男性ですよね?
金子:男性ですね。
カンナ:一聴してわからないというか、良い声だなぁと思って。炭酸飲料のCMぐらいの爽やかさがありますよね。めちゃくちゃよかったです。
カンナ:新譜ダイジェストPart 3でした。リリースおめでとうございます。今回はじめましてのフリージアンさんはクリスマスソング。
金子:2021年の正月に「最強のジャパニーズソング」を追い求めるためにどうしても手ぶらで歌いたいマエダカズシが、歌以外を全部やってくれそうなメンバーを集めて、神戸で結成とのこと。
カンナ:潔くていいですね!
金子:「俺に歌わせてくれ!」と(笑)。すでに関西のライブハウスシーンではかなり話題を呼んでいるバンドということです。たしかに歌力ありますよね。
カンナ:弾かなくても大丈夫な歌声だなと思いました。
金子:演奏は他の人に任せてね。
カンナ:この曲はめちゃくちゃカラオケで歌いたいと思いました。
金子:冬の忘年会シーズンにもピッタリ?
カンナ:カラオケに入ってくれないかな...。続いてアイラヴミーがニューシングルを出しました。
金子:Part 3には男女ユニットがちらほらいて、sucolaもよかったですが、アイラヴミーは自主レーベル「OMAMORI RECORDS」を立ち上げて、今回が新たなスタートとのことです。しかもこの曲はストーリーがあって、イラストレーターさんの作品がインスピレーション源になった曲なんですけど、もともとその人の作品を見つけて、「使わせてください」とお願いしたんだけど、「いいですよ」とすぐには言ってもらえなかったらしくて。
カンナ:そうなんですね。
金子:でも熱量をかけて「使いたいんです」と丁寧に伝えて、前回の曲にその人の作品を使わせてもらったそうなんですね。そのときに何作品か描いてくれた中で、さとうみほのさんにとってビビッとくる作品があって、「この作品をインスピレーション源に曲を書こう」となったのが、今回の曲だそうです。しかも、後々になって聞いたら、その絵はイラストレーターの方がさとうみほのさんをイメージして描いた作品だったそうで。いいストーリーですよね。
カンナ:めちゃくちゃいい!
金子:「にんげんのかたち」というタイトルで、「信じているんだよ 私の強さを」と歌っていて、アイラヴミーの新たなテーマソングみたいな、そんな印象も受けました。
カンナ:前向きな曲を作るっていうのが私は苦手なので、「力強いなあ」と思って。
金子:でもきっと弱さの裏返しで作ってる気もして、そこはたぶん紙一重なんだと思います。「OMAMORI RECORDS」というレーベル名の通り、音楽がお守りになってるんでしょうね。
カンナ:解説を聞いてこの曲を聴くと、より一層楽しめるのではないかと思います。さてPart 3から聴いていただく曲はどちらにしましょう?
金子:yeti let you noticeの曲をかけようかと思います。
カンナ:アルバムのリリースおめでとうございます!
金子:長く活動してると思うんですけど、フルアルバムは初めてですね。彼ららしいちょっと影のある内省的なロックというのは基本にありつつ、やはり彼らもコロナ禍で悩んだ中、ボーカルの大雪男くんが録音からミックスまで全部自分でやって、一時期デモシリーズを出していたりして。この期間はバンドをどう続けていくのか、かなり考えた期間だったみたいです。
カンナ:なるほど。
金子:それを経ての今回のアルバムで、実際半分ぐらいは自分たちでレコーディングとミックスをしていて、だからこそいわゆるバンドサウンドだけではなく、もうちょっと作り込まれた楽曲も増えています。そういう作品をファーストフルアルバムとして出すというのは、バンドの積み重ねてきた歴史が感じられるなと思いました。
カンナ:yeti let you noticeは私がラジオに初めて参加した週に曲をリリースされていたんです。そこから何曲かリリースを追いかけてきて、コメントとかもずっと読んできて、すごく戦ってる人なんだというのを知っていたので、アルバムのリリースがすごく感慨深いなと思って聴いておりました。
金子:『bookmarks (I can be *** with some chalky candys.)』というタイトルですけど、このアルバムの曲は過去の思い出がテーマになっていて、それを一つひとつ"ブックマーク"するように曲にしてきて。でも最後に入ってる「葡萄糖」という曲に関しては、その先をちょっと見据えている曲で。でも決して明るくはないんです。まだ「うーん...」という迷いも感じるんだけど、それでもただ過去の思い出に浸るんじゃなくて、なんとか前を見ようとしてるのがすごく感じられる曲で。そういうストーリー性も、アルバムだからこそ意味があるなと思いましたね。
カンナ:それでは聴いていただきましょう。
金子:アルバムの1曲目で、MO MOMAの土器大洋くんがアレンジで参加している曲です。
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、MISATOと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。現在はお休み中のMISATOに替わり、サトーカンナがMCを務めている。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。
放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
サトーカンナ
ボーカル、コーラス、作詞、ナレーション、執筆など、声と言葉にかかわる幅広い活動を続ける。
バンド(Kurhaus、グッド・ライフ・フェロウズ)ではシンセサイザーやパッドの演奏も担当。
ウェブサイト / @milkcupcakes / @kannasat
Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin
FRIENDSHIP.
キュレーターの金子厚武とサトーカンナによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
New Release Digest Part 1
カンナ:12月12日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全20作品の中から、まずはPart 1の7作品をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます!まずははじめましてとなります、スーパーノア。
金子:スーパーノアのボーカル・井戸健人さんのソロ作はこれまでもFRIENDSHIP.から出していて、その井戸さんがもともとやってるバンドがスーパーノアなのですが、結成は2004年で、キャリアの長いバンドです。
井戸健人の今年のアルバムのレビュー記事が公開されておりますので、あわせてぜひチェックしてみてください!
カンナ:20年近く活動されているんですね。
金子::京都の愛されバンドのイメージがあります。コロナ禍を経て、制作をリモートで行ったりもしていたようで、曲を聴いてもいわゆるバンドサウンドというより、もう少し作りこまれた感じが伝わってきます。違う拍子のフレーズが同時進行していて、ポリリズムになっていたり、後半になるとポエトリーが出てきたり、かなりいろんな要素が盛り込まれていますね。もともとのスーパーノアのバンド感もありつつ、井戸さんのソロの作り込まれた感もありつつ、それがハイブリッドしてより新しいものになってる感じがしました。
カンナ:世代的に言うとRADWIMPSと一緒に並べて聴けるのかなと私は感じました。
金子:へー!なるほど!
カンナ:そんな聴き方もしてみると面白いかもしれません。続いてアルバムがリリースになりました、Joe Cupertino(ジョー・クパチーノ)さん。
金子:2枚目のアルバムがリリースされました。コメントをいただいておりまして、「本作品を作るにあたり、ファーストアルバムを超えなきゃいけないものだという一般的な考えからは早々に離れ、全くの別物で両方同じくらい良いものにできるように、関連性は持たせつつもある程度の距離感を感じられる作品を目指しました」とのことです。ファーストはそれまでの集大成だから全部詰め込めるけど、「じゃあその次は?」となると、それを超えるのは難しいとたしかによく言われますよね。でもこうやって別物だけどちゃんと関連性はありつつ、というそのアプローチがまず面白いなと思いました。
カンナ:なるほど。
金子:音楽的にはもちろんヒップホップやラップというのがありますけど、かなりミクスチャーでした。今回オンエアしている「CITY」という曲にしても、前半と後半で全然ビートが違って、アルバム全体としてかなりのミクスチャーになっていて。でも今のヒップホップはもうミクスチャーであることが普通になってきてるから、そういう意味で現代性もありつつ、冒険的でもある。すごく良いなと思います。
カンナ:今回T-Razorさんという大学のお友達と一緒に作られたみたいですね。前回はジャケットを漫画家の魚豊さんが描いていたりして、そうやってお友達と一緒に作るスタイルなんだなと思って。そこが暮らしに密着してる感じがしていいなと思いました。
金子:周りに才能豊かな人たちが多いですね。
カンナ:それではPart 1から聴いていただく曲はどちらにしますか?
金子:FRIENDSHIP.からは初めてのリリースとなる、First Love is Never Returnedをかけようかなと思います。バンド名からして結構インパクトありますよね。
カンナ:そうですよね。ロマンティックなバンド名がきました。
金子:日本語訳すると"初恋はもう戻らない"という。
カンナ:私の好きなセンチメンタルですね。
金子:もともと2018年に札幌で結成されています。やっぱりコロナ禍の影響があって、メンバーの脱退とかもあり、活動休止状態となっていたのですが、メンバーチェンジを経て現体制で再始動。その一発目が今回の曲ということです。曲を聴いて印象的なのは、まず歌声ですね。Kazuki Ishidaさんはニューヨークにボーカル留学の経験もある方ということで、この声はめちゃめちゃ魅力的です。キャッチコピーに「この声に恋をする」とありますけど。
カンナ:本当にその通りですね。
金子:この声にしろ、曲自体にしろ、すごくラジオフレンドリーですよね。「シューズは脱がないで」というタイトルで、歌詞の中に「Spot light 浴びるまで シューズは脱がないで」というラインがあって、一時期は活動休止状態になったけど、もう一度スポットライトを浴びるために、ここからもう一度動き出すというバンドの想いみたいなものもちゃんと伝わってくるし、再始動の一発目として相応しい楽曲かなと思います。
カンナ:これからどんな風に動いていくのかも楽しみですね。
New Release Digest Part 2
カンナ:新譜ダイジェストPart 2でした。リリースおめでとうございます。みらんさんの新曲が出ました。
金子:ちょうど昨日弾き語りライブをやっていたということで、それにあわせてのリリースだと思うんですけど、弾き語りを基調としつつ、そこにストリングスが合わさっていて、いい意味で簡素だからこそみらんさんの歌が引き立つ、すごく良い曲でした。
カンナ:前作もそうだったんですけど、みらんさんからはちょっとオザケンを感じるんですよね。すごく似てるというわけじゃないけど、何かエッセンスというか、血の中に流れているなにかを感じて(笑)。
金子:あはは。それは言語化が難しそうですね。
カンナ:オザケンのファンとしては、ちょっとそこが気になっているので、いつかルーツとか聞いてみたいなと思います。続いては放課後ホタル。今年結成されたんですよね?
金子:そうなんです。まだ今回が2作目のリリースなんですけど、この2人はどうにも気になるんですよね。島根在住の設楽ナギさんと横浜在住の根菜さんの2人がリモートでやっているというプロフィールからして面白いんですけど、すごくわかりやすく言っちゃうと"KEYTALK+アニソン"みたいな感じの作風を、バンドじゃなくて2人でやっちゃうみたいな感じで、変にクオリティが高いんですよね。
カンナ:あはは。
金子:KEYTALKはメインでソングライティングしてる義勝くんが、バンドマンにしてはかなり作曲家的な、職人的な曲を作る人だから、もともとアニソンとかとも親和性があるんですけど、放課後ホタルはバンドじゃなくて2人というところも含めて、より職人な感じがします。みらんさんもストリングスが印象的でしたけど、こっちの曲もまた全然違う、それこそアニソンの劇伴っぽいストリングスの使い方で、「もうこういうのやっちゃうんだ」という感じもしたし、やっぱり変にクオリティ高くて気になる存在なんですよね(笑)。
カンナ:個人的には根菜さんのコメントでこの曲について、「今まで経験してきた、数多の恋を思い出しながら歌いました!」って、どれくらい恋してきたんだろうとすごく気になって(笑)。
金子:どうなんでしょうね(笑)。あと言葉も面白いですよね。おそらくは"白雪姫"をもじって「白息姫」。冬に白い息を吐く女の子をイメージしてると思うんですけど、数多の女の子と冬にお付き合いしていたのか、それとも憧れていたのか、とにかくその人を思い出しながら歌っているんでしょうね。
カンナ:それではPart 2では何をかけましょうか?
金子:POOLSをかけようと思います。
カンナ:EPがリリースとなりました。おめでとうございます!
金子:もともと2019年に京都で結成されてるので、今週はスーパーノアも京都だし、東京少年倶楽部ももともと京都で結成なので、京都の週かもしれません。やっぱり関西は良いバンドやアーティストがいっぱいいますよね。
東京少年倶楽部のレコメンド記事が公開されておりますので、あわせてぜひチェックしてみてください!
カンナ:いますね。
金子:プロフィール的にはシューゲイズやドリームポップの影響みたいなことがよく書いてあって、たしかにその要素もあるんですけど、今回の作品は個人的にはパワー・ポップの印象が強くて。先行でリリースされていて、EPの頭の方に入ってる「effect!」とか「breaking」、最後の「mokuzu」とかは特にパワー・ポップっぽい感じがします。それだけキャッチーなメロディーが引き立っていて、でもいわゆる洋楽直系みたいな感じよりも、もう少し日本らしさもあって、それこそ同じ関西のKANA-BOONとかも思い出したり。
カンナ:あ〜、たしかに。
金子:そういうバンドに通じるキャッチーさもちゃんとあって、すごくいいバランスだなと思いました。
カンナ:"ボーカルのハイトーンボイス"と紹介文にあるんですけど、男性ですよね?
金子:男性ですね。
カンナ:一聴してわからないというか、良い声だなぁと思って。炭酸飲料のCMぐらいの爽やかさがありますよね。めちゃくちゃよかったです。
POOLSのインタビュー記事が公開されておりますので、あわせてぜひチェックしてみてください!
New Release Digest Part 3
カンナ:新譜ダイジェストPart 3でした。リリースおめでとうございます。今回はじめましてのフリージアンさんはクリスマスソング。
金子:2021年の正月に「最強のジャパニーズソング」を追い求めるためにどうしても手ぶらで歌いたいマエダカズシが、歌以外を全部やってくれそうなメンバーを集めて、神戸で結成とのこと。
カンナ:潔くていいですね!
金子:「俺に歌わせてくれ!」と(笑)。すでに関西のライブハウスシーンではかなり話題を呼んでいるバンドということです。たしかに歌力ありますよね。
カンナ:弾かなくても大丈夫な歌声だなと思いました。
金子:演奏は他の人に任せてね。
カンナ:この曲はめちゃくちゃカラオケで歌いたいと思いました。
金子:冬の忘年会シーズンにもピッタリ?
カンナ:カラオケに入ってくれないかな...。続いてアイラヴミーがニューシングルを出しました。
金子:Part 3には男女ユニットがちらほらいて、sucolaもよかったですが、アイラヴミーは自主レーベル「OMAMORI RECORDS」を立ち上げて、今回が新たなスタートとのことです。しかもこの曲はストーリーがあって、イラストレーターさんの作品がインスピレーション源になった曲なんですけど、もともとその人の作品を見つけて、「使わせてください」とお願いしたんだけど、「いいですよ」とすぐには言ってもらえなかったらしくて。
カンナ:そうなんですね。
金子:でも熱量をかけて「使いたいんです」と丁寧に伝えて、前回の曲にその人の作品を使わせてもらったそうなんですね。そのときに何作品か描いてくれた中で、さとうみほのさんにとってビビッとくる作品があって、「この作品をインスピレーション源に曲を書こう」となったのが、今回の曲だそうです。しかも、後々になって聞いたら、その絵はイラストレーターの方がさとうみほのさんをイメージして描いた作品だったそうで。いいストーリーですよね。
カンナ:めちゃくちゃいい!
金子:「にんげんのかたち」というタイトルで、「信じているんだよ 私の強さを」と歌っていて、アイラヴミーの新たなテーマソングみたいな、そんな印象も受けました。
カンナ:前向きな曲を作るっていうのが私は苦手なので、「力強いなあ」と思って。
金子:でもきっと弱さの裏返しで作ってる気もして、そこはたぶん紙一重なんだと思います。「OMAMORI RECORDS」というレーベル名の通り、音楽がお守りになってるんでしょうね。
カンナ:解説を聞いてこの曲を聴くと、より一層楽しめるのではないかと思います。さてPart 3から聴いていただく曲はどちらにしましょう?
金子:yeti let you noticeの曲をかけようかと思います。
カンナ:アルバムのリリースおめでとうございます!
金子:長く活動してると思うんですけど、フルアルバムは初めてですね。彼ららしいちょっと影のある内省的なロックというのは基本にありつつ、やはり彼らもコロナ禍で悩んだ中、ボーカルの大雪男くんが録音からミックスまで全部自分でやって、一時期デモシリーズを出していたりして。この期間はバンドをどう続けていくのか、かなり考えた期間だったみたいです。
カンナ:なるほど。
金子:それを経ての今回のアルバムで、実際半分ぐらいは自分たちでレコーディングとミックスをしていて、だからこそいわゆるバンドサウンドだけではなく、もうちょっと作り込まれた楽曲も増えています。そういう作品をファーストフルアルバムとして出すというのは、バンドの積み重ねてきた歴史が感じられるなと思いました。
カンナ:yeti let you noticeは私がラジオに初めて参加した週に曲をリリースされていたんです。そこから何曲かリリースを追いかけてきて、コメントとかもずっと読んできて、すごく戦ってる人なんだというのを知っていたので、アルバムのリリースがすごく感慨深いなと思って聴いておりました。
金子:『bookmarks (I can be *** with some chalky candys.)』というタイトルですけど、このアルバムの曲は過去の思い出がテーマになっていて、それを一つひとつ"ブックマーク"するように曲にしてきて。でも最後に入ってる「葡萄糖」という曲に関しては、その先をちょっと見据えている曲で。でも決して明るくはないんです。まだ「うーん...」という迷いも感じるんだけど、それでもただ過去の思い出に浸るんじゃなくて、なんとか前を見ようとしてるのがすごく感じられる曲で。そういうストーリー性も、アルバムだからこそ意味があるなと思いましたね。
カンナ:それでは聴いていただきましょう。
金子:アルバムの1曲目で、MO MOMAの土器大洋くんがアレンジで参加している曲です。
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、MISATOと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。現在はお休み中のMISATOに替わり、サトーカンナがMCを務めている。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。
放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
番組MC
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
サトーカンナ
ボーカル、コーラス、作詞、ナレーション、執筆など、声と言葉にかかわる幅広い活動を続ける。
バンド(Kurhaus、グッド・ライフ・フェロウズ)ではシンセサイザーやパッドの演奏も担当。
ウェブサイト / @milkcupcakes / @kannasat
Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin
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