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2022.12.11
FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!Keishi Tanaka・Charlotte is Mine・Ghost like girlfriendほか全21作品 -2022.12.10-
カルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信するサービス FRIENDSHIP.の新譜を紹介。
キュレーターの金子厚武とサトーカンナによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
カンナ:12月5日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全21作品の中から、まずはPart 1の7作品をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます!Part 1は特徴的な女性ボーカルがたくさんいました。
金子:みんなそれぞれ個性的で、まさに「みんな違ってみんないい」と思いましたけど、個人的な趣味で言うとCape of good hopeが好きでした。
カンナ:すごい曲でしたよね。
金子:歌はとてもポップでキャッチーなんだけど、アレンジがストレンジ。このいい意味でガチャガチャしてる感じが好きなんです。ペペッターズとかとも近い系統な気がして、好きですね。
カンナ:どうやって作っているのか気になりました。続いては初登場となります、田中ヤコブさん。
金子:Part 1は"タナカさん"が2人いるわけですけど、最初の田中さんです。FRIENDSHIP.からは初めてのリリースなんですけど、大好きなんですよ。
カンナ:最高ですよね。私も大好きです。
金子:FRIENDSHIP.から出してくれてありがとうございます。ギターをはじめ、ベースやドラムなど、多くの楽器を自ら演奏し、録音〜ミックスまでこなす宅録音楽家であり、家主というバンドのメンバーでもある、才能あふれる方です。ひさびさのアルバムが出るのですが、そこからの先行シングルで、良い曲でしたねえ。
カンナ:よかったです...。なんでこの人が歌うと本当のことを言っている感じがするんだろうというか。突き刺さざるを得ない、そんなアーティストですね。
金子:ちょっと前に台風クラブも初めてFRIENDSHIP.から出してましたけど、NEWFOLKというレーベル兼プロダクションがありまして、そこのアーティストのデジタル配信をFRIENDSHIP.が担当していて。田中さんも台風クラブもNEWFOLKの所属で、そこのアーティストみんないいんですよね。
カンナ:たしかに。
金子:この後にアルバムが控えているので、改めてそこでじっくり語りたいなと思います。
カンナ:それではPart 1から何をかけましょうか?
金子:2人目の"タナカさん"、Keishi Tanakaさんをご紹介しようかなと思います。今年ソロデビュー10周年ということで、おめでとうございます。
カンナ:おめでとうございます!
金子:そんな中でアルバムが完成して、とても良い作品でした。Keishiさんはコロナ禍の中でもずっと動きを止めずに、弾き語りだったり、スリーピースやフルバンドだったり、いろいろライブをやり続け、曲も作り続けて来ました。その歩みの集大成であり、この10年も含めたひとつの集大成と言えるような作品になっていると思います。楽曲の幅は非常に広くて、ファンクがあれば、ラテンっぽいものやゴスペルの要素もありますし、使われている楽器もストリングスからホーンまで幅広いです。メンバーもお馴染みのパジャ海の別所さんやLUCKY TAPESのベースの田口くんとか、これまでも関わってきた様々な人たちが参加していて。
カンナ:10周年で5枚目って、ずっとしっかりと活動を続けている感じがしました。着々と、歩みを止めずに来たんだなというのを、今回のアルバムを聴いていて思いました。
金子:アルバムタイトルが『Chase After』で「追いかける」というような意味合いで。ひとつのことで満足せずに、常に次を見て、追いかけ続けていくこと。それが自身のクリエイティブにも繋がるし、人生の幸福度を上げていくと言いますか。まさにKeishiさんの生き方をそのまま表しているタイトルだなとも思いました。
カンナ:ポップな曲だからこそ、いろんな要素を取り入れられるというか。ひとつのジャンルだけじゃなくて、「Keishiさんは本当に音楽好きなんだな」というのが伝わってくる気がしました。それでは聴いていただきましょう。
金子:この曲はOvallの関口シンゴさんがギターで参加していて、めちゃめちゃかっこいいカッティングが聴きどころです。
カンナ:新譜ダイジェストPart 2でした。リリースおめでとうございます。最後にかかりましたKEISUKE SAITOさんは一応はじめましてということですね。
金子:FRIENDSHIP.ではOsteoleucoとして、Shimon Hoshinoさんとのユニットとして作品を発表していて、ラッパーなんですけど、ソロではインストのトラックになります。今年から本格的に始めたパステル画を主軸に、絵から受けたインスピレーションをもとにトラックを制作しているということです。Shimon Hoshinoさんもお父さんのイラストをアートワークとして使用していたり、やっぱり同じOsteoleucoで活動しているだけに、インスピレーションを与え合っているんだろうなという感じがしました。普段は言葉で勝負している人が、言葉のない音楽を作るというのも面白いと思います。
カンナ:ジャケットがパステル画なんだと思いますが、すごくかっこいいなと思ったので、みなさんもぜひ見ていただきたいと思います。続いてもはじめまして、Nezumi Coo(ネズミクー)。
金子:読み方を間違えるとちょっと怪しい感じになってしまいそうですけど(笑)。Nezumi Cooは2020年に結成された音楽集団。3人主軸のメンバーがいて、歌っていて曲を作っている渡邊さんと、主にアレンジを担当する中村さん、主にミックスを担当するAlexさん。この3人が軸になって、曲によっていろんな人を巻き込みながら楽曲を制作しています。過去にはパジャ海のFiJAさんと一緒に作っていたり、あとMichael Kanekoさんとかとも一緒にやっていたり、すでにいろいろと活動をしてきている人たちです。すごくいい曲で、そしてクリスマスっぽい。
カンナ:「grace」というと「Amazing Grace」を思い出してしまうのですが、まさに内容的にもクリスチャンとしての歌詞ということで。
金子:そうみたいですね。しかもマライア・キャリーが好きで、彼女の曲もイメージしながら書いているそうです。でも「All I Want for Christmas Is You」じゃなくて、「I Wish You Well」をモチーフに書いているとのこと。日本にもゴスペルっぽい曲をやる人は増えてますけど、ここまでしっかりとしたゴスペルの曲は意外とないような気もして、すごくよかったですね。
カンナ:クリスマスにぜひお聴きください。ではPart 2からは何をかけましょうか?
金子:Charlotte is Mineをかけようかなと思います。
カンナ:半年ぶりのシングルです。
金子:Part 2もPart 1に引き続き、いい女性ボーカルの曲があって、カネコアヤノさんの新曲もまたさらに歌い方が新境地な感じがして良かったですよね。そして、Charlotte is Mineは今年6月に出した曲がCharlotte is Mineとしての活動を開始して5年目というタイミングの曲で、自分がその時に歌いたいことを素直に歌おう、みたいな感じで、アコースティックな曲だったんですね。
カンナ:そうなんですね。
金子:でももともとCharlotte is MineってUSインディーとかオルタナ、シューゲイザーとかがバックボーンにある人で、今回に関してはそのアコースティックな曲を経て、もう一度Charlotte is Mineらしいところに戻っています。曲の作り方も「ここ数年はその時見た映画からインスピレーションを受けてアウトプットするというスタイルが多かったけど、今回は楽曲制作を始めた10代の頃にやっていた、自分の思っていることを曲にするという制作スタイルに戻した」ということで。「Bearfaced」というアコースティックかつシンプルな曲を経て、もう一度ここから始まっていく、自分の想いを伝えていくという。そのストーリーも含めていい曲だなと思いました。
カンナ:この曲に関していうと、もともとCharlotte is Mineって毎年冬に合うなと思っていたんですけど、余計に冬の朝の厳しい寒さのときに聴くと心に染みてくる感じがありましたね。
金子:ロックな曲ではあるけど、音像は良い感じにリヴァービーだったりして、その感じも冬の空気に合いますよね。
カンナ:新譜ダイジェストPart 3でした。リリースおめでとうございます。EPがリリースとなりましたシヴァネコはいかがですか?
金子:よかったですね。
カンナ:私もめちゃくちゃ好きです。
金子:2020年に結成された静岡県出身の4人組のポップバンドで、シティ・ポップ、ジャズ、ロック、R&Bなどメンバーそれぞれが持つルーツをポップに昇華、とプロフィールに書いてあります。今回のEPが『ひねもす』というタイトルで、これはセルフライナーノーツによると、ceroの「Orphans」の歌詞をきっかけにこのタイトルにしているそうで、このエピソードがすごく言い表しているというか。やっぱりceroみたいなR&Bやソウル、ヒップホップとかを上手くバンドサウンドに吸収した人たちがいて、下の世代がそれをよりポップな形に昇華してやっているという印象を受けます。リズムの感覚や日本語のフロウはすごくモダンで、ちゃんと更新もされている感じがするし、良かったですね。
カンナ:本人たちのコメントで「単に洒落ていて都会的なだけでなく、情緒的で田舎的ニュアンスを投じた矛盾するシティ・ポップをやりたい」と書いてあって、そこがこのエッセンスというか、曲の面白さになっているなと感じています。シティ・ポップのジャケットって、すごく洗練されたイメージがあるんですけど、今作のジャケットは手書きのイラストで、この手書き感も田舎感というか、ちょっとほっこりするところがあっていいなと思いました。
金子:シティ・ポップという言葉はもう一般に広まった中で、そこからどんどん拡散していって、いろんなものが生まれている面白さがありますよね。
カンナ:続いてひさびさとなります、butohes。
金子:1年半ぶりのリリースで、おひさしぶりですね。シティ・ポップ以降の流れみたいなものもFRIENDSHIP.では結構リリースしていますけど、その一方でオルタナな流れのバンドもたくさんいて、butohesはそっちの流れの新しいバンドかなと。前の作品のリリース時も注目されたんですけど、今回もこの少し物悲しいアルペジオの感じやミニマルな感じはポスト・ロックとかの流れを組む感じがすごくして。もともとこの曲はかなり古い曲で、1stシングルよりもさらに前に書いていたけど、リリースのタイミングを窺っていた曲らしいので、butohesの原点みたいな曲というか。ここからまたどう変化・進化していくのか、楽しみですね。
カンナ:先ほどのCharlotte is Mineもですけど、こちらもまた冬の朝にぴったりな感じですね(笑)。道を歩きながら音楽をよく聴くので、ここから1〜2ヶ月でどんどんハマってくるぞという楽しみがあります。
カンナ:それではPart 3から聴いていただく曲はどちらでしょうか?
金子:Ghost like girlfriendをかけようかなと思います。
カンナ:「事件」という衝撃的な曲名になっていますね。
金子:Ghost like girlfriendはFRIENDSHIP.からのリリースは初めてです。Spotifyが毎年の年明けにその年活躍するであろう10組を選ぶ「Early Noise」というのがあるんですけど、それの2019年に選ばれていて、「fallin'」という代表曲はSpotifyで200万回ぐらい再生されています。曲を聴いてもその実績通りのカッコよさがあって、日本語のポップスではあるんだけど、トラックメイクまで一人でやっていて......詞曲からトラックメイクまで完全に一人でやりきったのは今回が初めてということらしいんですけど、トラックめちゃめちゃかっこいいですよね。
カンナ:初めてとは思えないですよね。
金子:トラックはすごくモダンでロマンチックな雰囲気もあるけど、歌詞が日常的だったりして、そのギャップも個性だなと感じています。今回は「事件」という気になるタイトルで、あくまで耳で聴きとっただけではあるんですけど、何か特別大きな事件が起こったという歌詞ではないんですよね。どんなにささやかなことでも、自分以外の人にとってはなんてことない、誰でも出来るようなことでも、自分にとってはそうじゃないことってあって、どんなささやかなことでも自分にとっては"事件"だから、それを大事に積み重ねていきたいという、そんな内容かなと。だから、タイトル自体のインパクトに反して、実はすごく日常的な歌なんですよね。
カンナ:そうなんですね。早口言葉みたいだったので、私はしっかり聴き取れなかったです(笑)。
金子:僕も全部聴き取れているわけじゃないんですけど、たぶんこれまでの作品から考えても、すごく日常的な歌なんじゃないかな。それをこの洗練されたトラックに乗っけて歌うという、そこが彼のスペシャルなところだなと改めて思いました。
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、MISATOと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。
放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
サトーカンナ
ボーカル、コーラス、作詞、ナレーション、執筆など、声と言葉にかかわる幅広い活動を続ける。
バンド(Kurhaus、グッド・ライフ・フェロウズ)ではシンセサイザーやパッドの演奏も担当。
ウェブサイト / @milkcupcakes / @kannasat
Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin
FRIENDSHIP.
キュレーターの金子厚武とサトーカンナによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
New Release Digest Part 1
カンナ:12月5日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全21作品の中から、まずはPart 1の7作品をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます!Part 1は特徴的な女性ボーカルがたくさんいました。
金子:みんなそれぞれ個性的で、まさに「みんな違ってみんないい」と思いましたけど、個人的な趣味で言うとCape of good hopeが好きでした。
カンナ:すごい曲でしたよね。
金子:歌はとてもポップでキャッチーなんだけど、アレンジがストレンジ。このいい意味でガチャガチャしてる感じが好きなんです。ペペッターズとかとも近い系統な気がして、好きですね。
カンナ:どうやって作っているのか気になりました。続いては初登場となります、田中ヤコブさん。
金子:Part 1は"タナカさん"が2人いるわけですけど、最初の田中さんです。FRIENDSHIP.からは初めてのリリースなんですけど、大好きなんですよ。
カンナ:最高ですよね。私も大好きです。
金子:FRIENDSHIP.から出してくれてありがとうございます。ギターをはじめ、ベースやドラムなど、多くの楽器を自ら演奏し、録音〜ミックスまでこなす宅録音楽家であり、家主というバンドのメンバーでもある、才能あふれる方です。ひさびさのアルバムが出るのですが、そこからの先行シングルで、良い曲でしたねえ。
カンナ:よかったです...。なんでこの人が歌うと本当のことを言っている感じがするんだろうというか。突き刺さざるを得ない、そんなアーティストですね。
金子:ちょっと前に台風クラブも初めてFRIENDSHIP.から出してましたけど、NEWFOLKというレーベル兼プロダクションがありまして、そこのアーティストのデジタル配信をFRIENDSHIP.が担当していて。田中さんも台風クラブもNEWFOLKの所属で、そこのアーティストみんないいんですよね。
カンナ:たしかに。
金子:この後にアルバムが控えているので、改めてそこでじっくり語りたいなと思います。
カンナ:それではPart 1から何をかけましょうか?
金子:2人目の"タナカさん"、Keishi Tanakaさんをご紹介しようかなと思います。今年ソロデビュー10周年ということで、おめでとうございます。
カンナ:おめでとうございます!
金子:そんな中でアルバムが完成して、とても良い作品でした。Keishiさんはコロナ禍の中でもずっと動きを止めずに、弾き語りだったり、スリーピースやフルバンドだったり、いろいろライブをやり続け、曲も作り続けて来ました。その歩みの集大成であり、この10年も含めたひとつの集大成と言えるような作品になっていると思います。楽曲の幅は非常に広くて、ファンクがあれば、ラテンっぽいものやゴスペルの要素もありますし、使われている楽器もストリングスからホーンまで幅広いです。メンバーもお馴染みのパジャ海の別所さんやLUCKY TAPESのベースの田口くんとか、これまでも関わってきた様々な人たちが参加していて。
カンナ:10周年で5枚目って、ずっとしっかりと活動を続けている感じがしました。着々と、歩みを止めずに来たんだなというのを、今回のアルバムを聴いていて思いました。
金子:アルバムタイトルが『Chase After』で「追いかける」というような意味合いで。ひとつのことで満足せずに、常に次を見て、追いかけ続けていくこと。それが自身のクリエイティブにも繋がるし、人生の幸福度を上げていくと言いますか。まさにKeishiさんの生き方をそのまま表しているタイトルだなとも思いました。
カンナ:ポップな曲だからこそ、いろんな要素を取り入れられるというか。ひとつのジャンルだけじゃなくて、「Keishiさんは本当に音楽好きなんだな」というのが伝わってくる気がしました。それでは聴いていただきましょう。
金子:この曲はOvallの関口シンゴさんがギターで参加していて、めちゃめちゃかっこいいカッティングが聴きどころです。
Keishi Tanakaと関口シンゴ(Ovall)との対談インタビュー記事が公開されておりますので、あわせてぜひチェックしてみてください!
New Release Digest Part 2
カンナ:新譜ダイジェストPart 2でした。リリースおめでとうございます。最後にかかりましたKEISUKE SAITOさんは一応はじめましてということですね。
金子:FRIENDSHIP.ではOsteoleucoとして、Shimon Hoshinoさんとのユニットとして作品を発表していて、ラッパーなんですけど、ソロではインストのトラックになります。今年から本格的に始めたパステル画を主軸に、絵から受けたインスピレーションをもとにトラックを制作しているということです。Shimon Hoshinoさんもお父さんのイラストをアートワークとして使用していたり、やっぱり同じOsteoleucoで活動しているだけに、インスピレーションを与え合っているんだろうなという感じがしました。普段は言葉で勝負している人が、言葉のない音楽を作るというのも面白いと思います。
カンナ:ジャケットがパステル画なんだと思いますが、すごくかっこいいなと思ったので、みなさんもぜひ見ていただきたいと思います。続いてもはじめまして、Nezumi Coo(ネズミクー)。
金子:読み方を間違えるとちょっと怪しい感じになってしまいそうですけど(笑)。Nezumi Cooは2020年に結成された音楽集団。3人主軸のメンバーがいて、歌っていて曲を作っている渡邊さんと、主にアレンジを担当する中村さん、主にミックスを担当するAlexさん。この3人が軸になって、曲によっていろんな人を巻き込みながら楽曲を制作しています。過去にはパジャ海のFiJAさんと一緒に作っていたり、あとMichael Kanekoさんとかとも一緒にやっていたり、すでにいろいろと活動をしてきている人たちです。すごくいい曲で、そしてクリスマスっぽい。
カンナ:「grace」というと「Amazing Grace」を思い出してしまうのですが、まさに内容的にもクリスチャンとしての歌詞ということで。
金子:そうみたいですね。しかもマライア・キャリーが好きで、彼女の曲もイメージしながら書いているそうです。でも「All I Want for Christmas Is You」じゃなくて、「I Wish You Well」をモチーフに書いているとのこと。日本にもゴスペルっぽい曲をやる人は増えてますけど、ここまでしっかりとしたゴスペルの曲は意外とないような気もして、すごくよかったですね。
カンナ:クリスマスにぜひお聴きください。ではPart 2からは何をかけましょうか?
金子:Charlotte is Mineをかけようかなと思います。
カンナ:半年ぶりのシングルです。
金子:Part 2もPart 1に引き続き、いい女性ボーカルの曲があって、カネコアヤノさんの新曲もまたさらに歌い方が新境地な感じがして良かったですよね。そして、Charlotte is Mineは今年6月に出した曲がCharlotte is Mineとしての活動を開始して5年目というタイミングの曲で、自分がその時に歌いたいことを素直に歌おう、みたいな感じで、アコースティックな曲だったんですね。
カンナ:そうなんですね。
金子:でももともとCharlotte is MineってUSインディーとかオルタナ、シューゲイザーとかがバックボーンにある人で、今回に関してはそのアコースティックな曲を経て、もう一度Charlotte is Mineらしいところに戻っています。曲の作り方も「ここ数年はその時見た映画からインスピレーションを受けてアウトプットするというスタイルが多かったけど、今回は楽曲制作を始めた10代の頃にやっていた、自分の思っていることを曲にするという制作スタイルに戻した」ということで。「Bearfaced」というアコースティックかつシンプルな曲を経て、もう一度ここから始まっていく、自分の想いを伝えていくという。そのストーリーも含めていい曲だなと思いました。
カンナ:この曲に関していうと、もともとCharlotte is Mineって毎年冬に合うなと思っていたんですけど、余計に冬の朝の厳しい寒さのときに聴くと心に染みてくる感じがありましたね。
金子:ロックな曲ではあるけど、音像は良い感じにリヴァービーだったりして、その感じも冬の空気に合いますよね。
New Release Digest Part 3
カンナ:新譜ダイジェストPart 3でした。リリースおめでとうございます。EPがリリースとなりましたシヴァネコはいかがですか?
金子:よかったですね。
カンナ:私もめちゃくちゃ好きです。
金子:2020年に結成された静岡県出身の4人組のポップバンドで、シティ・ポップ、ジャズ、ロック、R&Bなどメンバーそれぞれが持つルーツをポップに昇華、とプロフィールに書いてあります。今回のEPが『ひねもす』というタイトルで、これはセルフライナーノーツによると、ceroの「Orphans」の歌詞をきっかけにこのタイトルにしているそうで、このエピソードがすごく言い表しているというか。やっぱりceroみたいなR&Bやソウル、ヒップホップとかを上手くバンドサウンドに吸収した人たちがいて、下の世代がそれをよりポップな形に昇華してやっているという印象を受けます。リズムの感覚や日本語のフロウはすごくモダンで、ちゃんと更新もされている感じがするし、良かったですね。
カンナ:本人たちのコメントで「単に洒落ていて都会的なだけでなく、情緒的で田舎的ニュアンスを投じた矛盾するシティ・ポップをやりたい」と書いてあって、そこがこのエッセンスというか、曲の面白さになっているなと感じています。シティ・ポップのジャケットって、すごく洗練されたイメージがあるんですけど、今作のジャケットは手書きのイラストで、この手書き感も田舎感というか、ちょっとほっこりするところがあっていいなと思いました。
金子:シティ・ポップという言葉はもう一般に広まった中で、そこからどんどん拡散していって、いろんなものが生まれている面白さがありますよね。
シヴァネコのインタビュー記事が公開されておりますので、あわせてぜひチェックしてみてください!
カンナ:続いてひさびさとなります、butohes。
金子:1年半ぶりのリリースで、おひさしぶりですね。シティ・ポップ以降の流れみたいなものもFRIENDSHIP.では結構リリースしていますけど、その一方でオルタナな流れのバンドもたくさんいて、butohesはそっちの流れの新しいバンドかなと。前の作品のリリース時も注目されたんですけど、今回もこの少し物悲しいアルペジオの感じやミニマルな感じはポスト・ロックとかの流れを組む感じがすごくして。もともとこの曲はかなり古い曲で、1stシングルよりもさらに前に書いていたけど、リリースのタイミングを窺っていた曲らしいので、butohesの原点みたいな曲というか。ここからまたどう変化・進化していくのか、楽しみですね。
カンナ:先ほどのCharlotte is Mineもですけど、こちらもまた冬の朝にぴったりな感じですね(笑)。道を歩きながら音楽をよく聴くので、ここから1〜2ヶ月でどんどんハマってくるぞという楽しみがあります。
カンナ:それではPart 3から聴いていただく曲はどちらでしょうか?
金子:Ghost like girlfriendをかけようかなと思います。
カンナ:「事件」という衝撃的な曲名になっていますね。
金子:Ghost like girlfriendはFRIENDSHIP.からのリリースは初めてです。Spotifyが毎年の年明けにその年活躍するであろう10組を選ぶ「Early Noise」というのがあるんですけど、それの2019年に選ばれていて、「fallin'」という代表曲はSpotifyで200万回ぐらい再生されています。曲を聴いてもその実績通りのカッコよさがあって、日本語のポップスではあるんだけど、トラックメイクまで一人でやっていて......詞曲からトラックメイクまで完全に一人でやりきったのは今回が初めてということらしいんですけど、トラックめちゃめちゃかっこいいですよね。
カンナ:初めてとは思えないですよね。
金子:トラックはすごくモダンでロマンチックな雰囲気もあるけど、歌詞が日常的だったりして、そのギャップも個性だなと感じています。今回は「事件」という気になるタイトルで、あくまで耳で聴きとっただけではあるんですけど、何か特別大きな事件が起こったという歌詞ではないんですよね。どんなにささやかなことでも、自分以外の人にとってはなんてことない、誰でも出来るようなことでも、自分にとってはそうじゃないことってあって、どんなささやかなことでも自分にとっては"事件"だから、それを大事に積み重ねていきたいという、そんな内容かなと。だから、タイトル自体のインパクトに反して、実はすごく日常的な歌なんですよね。
カンナ:そうなんですね。早口言葉みたいだったので、私はしっかり聴き取れなかったです(笑)。
金子:僕も全部聴き取れているわけじゃないんですけど、たぶんこれまでの作品から考えても、すごく日常的な歌なんじゃないかな。それをこの洗練されたトラックに乗っけて歌うという、そこが彼のスペシャルなところだなと改めて思いました。
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、MISATOと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。
放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
番組MC
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
サトーカンナ
ボーカル、コーラス、作詞、ナレーション、執筆など、声と言葉にかかわる幅広い活動を続ける。
バンド(Kurhaus、グッド・ライフ・フェロウズ)ではシンセサイザーやパッドの演奏も担当。
ウェブサイト / @milkcupcakes / @kannasat
Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin
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