SENSA

2022.11.06

FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!bonobos・Fake Creators・永原真夏ほか全13作品 -2022.11.05-

FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!bonobos・Fake Creators・永原真夏ほか全13作品 -2022.11.05-

カルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信するサービス FRIENDSHIP.の新譜を紹介。
キュレーターの金子厚武とサトーカンナによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!

New Release Digest Part 1


カンナ:10月31日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全13作品の中から、まずはPart 1の5作品をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます!FRIENDSHIP.では初のリリースとなります、zuniさん。

金子:zuniさんは日本のベッドルーム・ドリームポップ・ミュージシャンとのことです。作詞・作曲、トラックメイク、ミックスまでを独学でやってきて、そこにドラムとベースをサポートメンバーに迎えて、デモを再構築して、サポートメンバーも含めて全て宅録で、音源のやり取りもリモートということで、非常に現代的なやり方ですね。

カンナ:本当ですね、

金子:実際の曲もまさにインディー・ポップとドリーム・ポップの気持ちいいところが詰まっていて、あと口笛が印象的ですね。"印象的な口笛ソング"みたいなのって、何年に1回か出てくる印象があるけど、これは耳に残る口笛でしたね。

カンナ:私も部屋の中で作られたという印象があって、なんとなく部屋で無意味に一人で徹夜して、エナジードリンクを飲んで、少しグロッキーになっている、でも興奮しているみたいな(笑)。そういうテンションを感じて、それがかっこいいなと思いました。

金子:声の加工も色々してあって、エフェクトをかけたり、重ねていたり、いろいろ工夫が見られますね。ここから6曲のシングルを連続でリリースする予定とのことなので、他にもどんな曲が出てくるのか楽しみです。



カンナ:続きましてはアルバムがリリースとなります、James Tillmanさん。

金子:FRIENDSHIP.からリリースしている海外のアーティストというと、Mark Diamondさんとかよく出てきますけど、James Tillmanさんも頻繁に楽曲をリリースしていて、今回ついにアルバムということで。

カンナ:私は、はじめましてです。

金子:カンナさん的にはそうですよね。この方もいろいろなトラックを作っていて、作風の幅は広いんですけど、今回聴いて個人的に印象的だったのはボーカリストとしての側面です。非常にソウルフルな歌を歌う人で、プロフィールを改めて見直すと、昔からマーヴィン・ゲイが大好きだったりとか、ホセ・ジェイムズが出ているニューヨークの大学でジャズボーカルのクラスを出ていたりとか、やっぱりそういうボーカリストとしてのバックグラウンドがしっかりある。今回アルバムのプロジェクトとしては「愛と欲望、私たちを結びつける絆をソウルフルに表現した」と書いてあって、まさに彼のボーカルがそれを表している感じがすごくしました。

カンナ:本当に声に色気があって、パッと聴いて「お、これはかっこいい声だ!」と思いました。

金子:いい声ですよね。アルバム全体を聴くとトラックも様々なので、そっちのかっこよさも伝わるんじゃないかと思います。



カンナ:今週はアルバムのリリースがすごく多くて。Part 1で長めに聴いていただく曲もアルバムからなんですよね?

金子:そうなんです。アルバムをリリースするbonobosの曲を聴いてもらおうかなと思います。すごいアルバムだった ...。

カンナ:そうですね。

金子:bonobosは来年の春に解散を発表していて、これがラストアルバムになるんですけど、終わりを迎えて悲しいというよりも、最後にめちゃくちゃ爆発しているなという(笑)。10曲入りなんですけど、半分の5曲は6分以上なんですよ。「YES」という先行で配信された曲はアルバムバージョンで入っていて、それは9分以上あります。

カンナ:すごくボリューミーですね。

金子:今の音楽のトレンド的にはどちらかというと短くサクッと聴かせる傾向があるのに対して、ある意味真逆を行ってるけど、最後に高い音楽性を見せつけてくれたなと感じました。かなりひさびさのアルバムで、楽器の録音はちょっと前に終わっていたらしいんですけど、ポスト・プロダクションにかなり時間をかけたらしく、まずそのサウンドのかっこよさがあります。あと蔡さんが歌詞を書くのにかなり苦労したそうなんですけど、結果的に今回は"アジテーション"がひとつのテーマになっていて。ここ2〜3年でブラック・ライブズ・マターとかアジアンヘイトとか様々な問題が浮かび上がってきた中、蔡さんの取ったアプローチのひとつが、1曲の中で日本語と英語と韓国語を交えて表現するという作詞で。それは現代の問題に対するひとつのアンサーだと思うんですけど、アジテーションと言っても何かひとつの方向に人々を先導するみたいなことではなくて、いろんな言語を使うことが象徴しているように、一人ひとりの人間の尊厳を大切にする、そういう意味でのアジテーションというか。しかもそれを直接的な言葉に乗せるんじゃなくて、SF的な世界観で表現する。そこがbonobosのスペシャルなところだなというのも、改めて感じるアルバムでした。

カンナ:お話を聞いていて思ったんですけど、長く活動してきて最後のアルバムとなると、普通はまとめに入るというか、そういう着地になるのかなと思うんですけど、最後まで攻めているというのは本当にかっこいいですよね。それでは聴いていただきましょう。

金子:アルバムの1曲目に収録されている曲で、象眠舎やCRCK/LCKSもやっている小西遼さんのホーンアレンジも聴きどころの曲です。



bonobosのアルバム『.jp』のレビュー記事もあわせてご覧ください!




New Release Digest Part 2


カンナ:新譜ダイジェストPart 2でした。リリースおめでとうございます!続いてもアルバムのリリースとなりました、Tsudio Studioさん。

金子:アルバム『My Room』がリリースになったということで、この方は兵庫県神戸市出身・在住のミュージシャンです。宅録がベースになっているんですけど、ポップスとして非常にクオリティーが高いし、2人組のヒップホップクルーのNeibissが参加しているラップの曲もあったりと、作風も幅広いです。このNeibissを今プロデュースしていたりするのがtofubeatsで、彼も兵庫県神戸市が出身なので、どこか通じるものがあるなという感じがします。

カンナ:そうなんですね。

金子:アルバムのテーマが「個人がメディアを通じて世界とどのようにつながるか」ということで、コロナ禍でそういう部分がより重要なものになったと感じて、このテーマにしたとあるんですけど、tofubeatsもやはりネットからどう発信していくのかを実践してきた人だから、それをより現代の表現として、もう一度問いかけてくるというか、そういう側面もある作品だなと感じました。

カンナ:なるほど。私も前から好きで聴いていたんですけど、耳あたりがすごく良くて、声もちょっと無機質な感じで、スゥーっと流れていくようですよね。でも聴いていくと、頭を回転させて考えて考えて作られたものというのがどんどん沁みてくる感じもするので、ぜひアルバムをしっかりと聴きこんでほしいです!



カンナ:続いては1年ぶりのリリースとなります、赤い靴

金子:去年の12月にアルバムが出て、それ以来のリリースです。この曲はそのアルバムのレコ発ツアーが延期になってしまったときに、神谷さん指揮のもと、急遽約一週間メンバーで合宿を敢行し、曲作りから録音までその期間中にやって、自宅スタジオで2曲作ったらしいです。

カンナ:すごい...。

金子:すごいですよね。ツアー中だし、一週間だし、自宅スタジオで全部作っているという。

カンナ:これができるって、まずバンドの状態がめちゃくちゃいいんだなと感じましたし、サポートメンバー含めて、すごく信頼していないと、これだけ「集中して作る!」みたいなのはたぶん難しいんじゃないかなと思いました。

金子:楽曲はさすがの仕上がりで、アメリカのThe Nationalというバンドが個人的にすごく大好きなんですけど、赤い靴はそういうバンドにも通じるものを感じさせる、日本で数少ない人たちだなという感じがします。オーセンティックな楽器演奏の良さと、歌の良さと、現代的な音響感覚とを両方併せ持っている、稀有な人たちだなと改めて思いました。



カンナ:それでは Part 2からも1曲お送りしていきたいのですが、こちらもアルバムからですね。

金子Fake Creatorsを聴いてもらおうかと思います。LITEDÉ DÉ MOUSEのコラボレーションという、「そんなことが始まるのか!」というところから、フジロックでの深夜のライブを経て、ついにアルバムが完成しました。

カンナ:このラジオでは何回も話題になっていましたが、「ついにアルバムか!」という感じですね。

金子:こちらも強烈でしたね。bonobosのアルバムも生演奏プラスポストプロダクションという話をしましたけど、Fake CreatorsもLITEの生演奏が基盤にありつつ、DÉ DÉ MOUSEさんのプログラミングだったり、エディットだったりが加わることによって、非常に現代的な音になっていて。生演奏とポストプロダクションの組み合わせでどう斬新なサウンドデザインを作っていくかみたいなところは、やっぱり今の表現だなと感じました。

カンナ:なるほど。

金子:特にDÉ DÉ MOUSEの印象的な声ネタ使いとLITEの演奏とが交わることによる唯一無二の個性。これがやっぱりFake Creatorsならではでしたね。

カンナ:さっきのbonobosも思いましたけど、キャリアが長い人たちがどんどん攻めの作品を作り続けてくれるというのは、若手としても心強いなと思いますね。

金子:とてもいいフリをしてくれたんですけど、今この番組が放送されているまさにこの時間に、FRIENDSHIP.のNFT関連のオールナイトイベントをやっているんですね。

カンナ:おー!そうなんですね。

金子:そこにFake Creatorsも出ていて、さらに若手代表としてbedも出てるんですよ。bedは90年代っぽいレイヴとかトランスの感覚を今に蘇らせているバンドのイメージがあるんですけど、LITEとDÉ DÉ MOUSEはそういう90年代の感性をリアルタイムで経験してきた人たちで、今回のアルバムに入っている曲を聴いても、その頃の雰囲気を感じさせるようなトランシーな曲があって、「Here Comes The Fake Jets」とかは特にキラーチューンだと思う。その感じはbedがやろうとしていることにもリンクする部分がある気がして、まさに今の若い世代にも影響を与えるんじゃないかなと感じています。

カンナ:いいフリしちゃいました(笑)。




New Release Digest Part 3


カンナ:新譜ダイジェストPart 3でした。リリースおめでとうございます!はじめましてのZuma.さん!

金子:Part 1にはzuniさんがいて、Part 3にはZuma.さんがいて、間違えそうになっちゃいますね(笑)。でもアーティストとしてのタイプは全然違って、Zuma.さんはサンディエゴ出身で現在は東京をベースに活動されているプロデューサーでありDJ。ドリーム・ポップな感じのzuniさんとは違って、Zuma.さんはよりR&Bやヒップホップの世界観でしたね。そして、今回はUKのALÍSIさんとのコラボレーションによる楽曲になっていると。

カンナ:なるほど。

金子:UKのドリルというヒップホップのサブジャンル的なもので、ここ数年かなり話題になっているというか、広まっているスタイルですけど、そのスタイルで楽曲を作り上げたということで。こういう最初からグローバルで活動している人がFRIENDSHIP.からリリースしてくれるのは非常にありがたいことで、ここからまたいろんな日本人アーティストとのコラボとかも生まれてきそうな、そういう意味でも楽しみですね。

カンナ:たしかに!私は最初に何も情報ないまま、誰の曲とか知らないで聴いたのですが、声の質感が少しAAAMYYYに似ていると思ったんですよね。なので、AAAMYYYファンはこの楽曲が結構刺さるんじゃないかと思いました。

金子:わからなくはないですね。

カンナ:その点でも聴いてみていただきたいところです。

金子:Zuma.さんとAAAMYYYさんがコラボレーションしてもいいかもしれませんね。勝手なこと言ってますけど(笑)。



カンナ:それもあって欲しいです(笑)。続いてミニアルバムがリリースになりました、Niiiya!おめでとうございます!

金子:彼女たちもこの番組ではたびたび取り上げていますけど、福岡発・平均年齢19歳の3ピースによる、初めてのミニアルバム。本当にまだ始まったばかりのバンドですが、すでにボーカルをはじめとして、記名性がちゃんとありますね。5曲入っているんですけど、いろんなジャンル感を感じさせる楽曲が入っています。セルフライナーノーツがあって、「大人になる直前、10代から20代になる独特な感情の変化や環境の変化にうまく対応できず、迷いや不安を抱えながらも何かを始めてみようと始めたバンド活動。今しか描けないものが描けたと思っています」ということで、まさにそんな作品になっているんじゃないかと思います。

カンナ:私も"まさに"と感じていました。スキルフルな感じとフレッシュさがちょうど一緒に共存しているといいますか。まさにファーストって感じの、今しか聴けないアルバムという感じですね。

金子:今回の曲はパンキッシュな感じで、今までになかったですけど、10代から20代への変化の中で感じる焦燥感みたいなものをすごく感じました。

カンナ:これからも追っかけて聴いてほしいなというNiiiyaでした。



Niiiyaのインタビュー記事が公開されておりますので、あわせてぜひチェックしてみてください!



カンナ:さてPart 3で長めに聴いていただく曲も、アルバムからの1曲となります!

金子永原真夏さんをかけようかなと思います。

カンナ:おめでとうございます!

金子:今週は全体の曲数は多くはないですけど、濃厚ですよね。永原真夏さんはSEBASTIAN Xもやっていて、僕はその時代から取材をしていてずっと好きなアーティストの一人だったりします。今回のアルバムに関しては、音楽的に開花したアルバムという印象を受けました。

カンナ:そうなんですね。

金子:真夏さんはもともと鼻歌から曲を作る人で、バンド時代からの盟友のキーボディストの工藤ありりさんが鼻歌で歌ったメロディーにコードをつけて、曲にしていくというやり方をずっとやってきていて。それにはいろんな理由があるとは思うんだけど、音楽理論みたいなことを知りすぎてしまうと、できなくなってしまう側面というのはやっぱりある気がして、だからこそ真夏さんは楽器とかもこれまではあんまり自分で弾いたりしないで、基本ボーカリストで、そういうスタンスで来ていた印象で。ただ今回クレジットを見ると、"作詞・作曲・編曲:永原真夏"となっていて、真夏さんが作ったトラックにリズム隊を入れて曲にしていたりとかもしていて。やっぱりコロナ禍というのもあって、これまでになく音楽そのものに取り組んだ期間だったんじゃないかという雰囲気をアルバム全体から感じました。

カンナ:なるほど。

金子:曲調の幅広さみたいなのはこれまでもあったんですけど、より真夏さん自身がアレンジメントの面で深く関わって、ひとつの達成をした音楽作品という、そんな感じがしたんですよね。

カンナ:私も結構鼻歌で作って、メンバーに送ってコードをつけてもらうみたいなのがよくあるので、今のストーリーを聞いて勇気づけられたというか(笑)。私も頑張ろうと思えました。というのと、私は曲を聴いて、すごい説得力やパワーを感じました。このあと流れる「きれいなわたし」の歌詞で、「きれいはきたない きたないはきれい いい子にも 悪い子にも おやすみのキスを」というのが最後に出てくるんですけど、本当に説明が要らない説得力というか、そういうことをすごく感じて、心が温かくなったので、永原真夏さんをこれからちゃんと聴いていこうと思いました。

金子:音楽作品としてすごく強い作品にもなっているんだけど、アルバムタイトルは『imagination』で、やっぱり楽理的なものを超えた、"想像力"というものもとても大切にしている。なおかつ、お花畑的なイマジネーションじゃなくて、その裏側には日常や生活がちゃんとあって、その両方があるというのも真夏さんの魅力であり、それが"説得力"にもつながっているんじゃないかなって。あとはまあ、何と言ってもボーカル自体の説得力がすごいし。

カンナ:そうなんですよ。表現力が素晴らしかったです。



永原真夏のインタビュー記事が公開されておりますので、あわせてぜひチェックしてみてください!



RADIO INFORMATION

FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
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FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、MISATOと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。

放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)

番組MC
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金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3

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サトーカンナ
ボーカル、コーラス、作詞、ナレーション、執筆など、声と言葉にかかわる幅広い活動を続ける。
バンド(Kurhaus、グッド・ライフ・フェロウズ)ではシンセサイザーやパッドの演奏も担当。
ウェブサイト / @milkcupcakes / @kannasat

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Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin


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