SENSA

2022.10.16

カルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信するサービス FRIENDSHIP.の新譜を紹介。
キュレーターの金子厚武とサトーカンナによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!

New Release Digest Part 1



ゆうらん船のインタビューも公開しておりますのでぜひチェックしてみてください!



カンナ:10月10日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全17作品の中から、まずはPart 1の6作品をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます!最後にかかりました、Ryo Murataさん!はじめましてですね。

金子:そうですね。この方はHypemaster Soundというレーベルの主催もされている方だそうです。やっぱこういうローファイビート的な感じは、それこそShimon Hoshinoさんであったり、Wataru Fujiwaraさんであったり、そういう方たちとも通ずる良質なトラックを作る方だなと感じました。今回「Melody of the rain」というタイトルで、実際の雨音が奏でた偶然のメロディーから着想を得たというセルフライナーも書いてあって、そういうのもいいですよね。

カンナ:琴とか尺八とか和物楽器の音が入っているんですけど、いわゆる日本の音楽みたいなのとは全然違って、世界観が壊れないままに日本の音も入ってるという面白い曲だと思いました。

金子:そうですね!



カンナ:続いては名前が変わってはじめましてという、All Nilly(オールニリー)!名前が変わってというのはどういうことなんでしょうか?

金子:もともとは2016年から活動しているそうなんですけれども、2021年コロナ禍に入って少し活動が停滞したところから心機一転するために、All Nillyという名義に変えて再始動ということみたいです。

カンナ:なるほど。今回は2年ぶりの新曲ということで、「reset / パズル」という2曲で配信リリースされています。

金子:「reset」というタイトルからして、やっぱりもう一度活動をリセットして、もう1回ここから始めていくというところだと思います。結構Part 1は先ほどのRyo Murataさんもそうですけど、割と秋っぽいというか、落ち着いた感じの曲が並んでいる中で、こういう男臭いロックバンドというのはより引き立つというか。ストレートな所のかっこよさもありつつ、展開はたくさんあって、後半スクリーモが出てきたりとか、ストレートなロックバンドのカッコよさとちゃんと技巧的な部分とどっちも持ってるバンドだなと思いましたね。



カンナ:ボーカルも誰かの真似をしてしまうと少し台無しになるような感じだと思うのですが、この人にしかできない表現をしているんじゃないかなと私も感じました。さあPart 1からはなにをかけましょうか?

金子DENIMSをかけようかなと思います。

カンナ:今回も良い曲でした。

金子:そうですね。新曲ではBiSHのアユニ・Dさんを客演に招いております。DENIMSはちょっと前にはさとうもかさんをフィーチャリンクしていて、彼女はいまTikTokでめちゃめちゃ人気だったりしますけど、今回も女性ボーカルを新たに迎えたという形になります。

カンナ:なるほど。

金子:もともとこの曲ができて、「誰か女性ボーカルとやりたい」という中で、「でも歌い上げるようなシンガーよりかはちょっとあどけなさがあるような」という中から、メンバーの岡本さんがアユニ・Dさんを提案して、直接面識はなかったけどダメ元でオファーしたら受けてくれたという。

カンナ:そういうのは嬉しいですね!

金子:そうですよね。でも実はアユニ・DさんもDENIMSのことを知っていて好きだったみたいです。僕はBiSHにそこまで詳しいわけじゃないんですけど、アユニ・Dさんは、、田渕ひさ子さんとかがメンバーにいるPEDROというバンドもやっていて、やっぱりバンド好きなんでしょうね。だからDENIMSもそのアンテナにきっと引っかかっていて、オファーがきたら「おー!」となったんでしょうね。

カンナ:前回の「way back」からまたちょっと一転して、直球な感じの爽やかな楽曲に仕上がっていましたね。

金子:カントリータッチの曲でよかったですね。この路線というのもDENIMSの得意技の一つというか。少し土臭くて、でも抜けのいいポップさもあるというこの感じはいいですね。それでなおかつこの二人のボーカルの相性というのもすごくいいなと思いますし、さすがの1曲です。



カンナ:やっぱり二人の声の重なりが「ふたり」というタイトルを力強く表現しているという感じがしました。

金子:そうですね。男女ボーカルだからこそのこの恋愛の歌詞も引き立つという良い曲ですね。

今作のアユニ・Dさんとのコラボに迫ったDENIMSのメンバーへのインタビューもぜひ!




New Release Digest Part 2


カンナ:新譜ダイジェストPart 2でした。リリースおめでとうございます!The Wisely BrothersのEPが出ましたね。

金子:いいですね 。特に「Purple」がとても良い曲だったな〜。

カンナ: EPを全部通してぜひ聴いてほしいですね。



金子:Part 2は良い曲が多いですよね。suLの新曲もよかったですし。

カンナ:そうなんです!今回も良かったですね〜。

金子:カンナさんが「推しゴト」の時にエリオット・スミスに通ずると話をしたと思うんですけど、今回よりアコースティックな感じだから、実際にかなり近いなと感じもしました。



カンナ:そうですよね!そんな中でもおよそ10年ぶりとなる新曲ということで"NOKIES!"。

金子:10年ぶりってすごいですよね。NOKIES!はSpecial Favorite Musicもやっている久米さんがもともと2009年に結成してやっていたバンドで再始動して10年ぶりの新曲とのことです。でもNOKIES!はリアルタイムで聴いていて、海外インディー的なサウンドで好きだったんですけど、それがSpecial Favorite Musicの久米さんというのが、僕の中で結びついてなくて、「あーそうなんだ」となりましたね。

カンナ:なるほど。やっぱり幅広い方ですもんね。実は私も初めて聴いたので、「これ書いたの久米くんなんだ」というので驚きました。そのいろんなサウンドプロデュースとかも含めて本当に幅広い人なんだなって感じました。

金子:それこそ最近はみらんさんとかKurhausも含めて幅広くプロデュースをやっている経験もあって、もともとNOKIES!自体は洋楽的な感じだったところから、今回は日本語詞とかも入れてちょっと変化もしつつ、彼らの持っているThe Flaming LipsやMGMT、Animal Collectiveとかの2000年代や2010年代のサイケデリックな部分もちゃんと今に更新して受け継がれていて、最近のこの辺のサイケの流れだとTame Impalaとかそっちの方に行きそうな感じもするけど、少しSuperorganismとかの良い意味でライトで明るくポップな良さがあっていいなと思いましたね。



カンナ:たしかに!ここからコンスタントに新曲をリリース予定ということなので今後も楽しみにしたいと思います。続いては初のリリースとなりますFionn Mily(フィオン・ミリー)さん!

金子:この方も初になりますね。2000年生まれで神奈川出身のシンガー・ソングライター。まだ若い方ですよね。

カンナ:そうですね。

金子:でもやっぱりシンガー・ソングライターとしてまず歌が素晴らしいですね。影響源としてはR&Bやソウル、ヒップホップとかそっちの方もルーツとして大きいみたいなんですけど、でも今回の曲はそのテイストというのも感じさせつつ、より歌にフォーカスした感じの曲で、例に挙げるとしたらエド・シーランとかそういう人にも通ずるようなスケール感もあって、いい歌を歌うシンガーだなというのすごく感じましたね。

カンナ:私は特に資料を読まずに最初聴いたんですけど、男性か女性か最初わからなくて、結構中性的な声が魅力だなと思いました。そこでインターネットで調べたりしたら過去のインタビューで宇多田ヒカルさんに影響を受けていることを挙げていて、「あ〜納得だな」というのも感じました。

金子:Fionn Milyという名前も性別とか少しわからないような感じだし、その辺も表現の核にあるのかもしれません。



カンナ:そうですね。これからもちょっとチェックしていきたいと思います。Part 2からはなにをかけましょうか?

金子EXPCTR(エクスペクター)をかけようと思います。福岡出身のアーティストですね。

カンナ:今回福岡出身の方がちょこちょこいますね。

金子:suLもそうですもんね。FRIENDSHIP.からは初リリースなんですけど、ちょっと前に紹介したsayonarablueとコラボレーションしていた時にも名前が挙がっていたので、もしかしたら覚えている方もいらっしゃるかもと思います。シンガー・ソングライターでありプロデューサーでもあって、これまですでにキャリアはいろいろあって前身のバンドだったりとか、グループ時代とかも経て現在はソロで活動しているということです。sayonarablueの時も感じましたけど、トラックかっこいいんですよね。

カンナ:そうですよね。

金子:やっぱりエレクトロニックミュージックのかっこよさもありつつ、今回の曲は後半になるとアコースティックなギターの音色も混ざって出てきたり、さらにその後になるとよりアンビエントっぽい音像になったりとか、1曲の中での変化もすごいかっこいいですね。コメントによるとThe 1975とかも好きらしくて、たしかにその感じもわかるなという気もしたし、すごくいろんな魅力を持っている方だなと思いましたね。

カンナ:そうですね。季節的にも丁度良く聴ける感じの楽曲ですね。

金子:それもありますね。




New Release Digest Part 3


カンナ:最後に新譜ダイジェストPart 3でした。リリースおめでとうございます!福岡出身のバンドということで、Niiiyaがまた新曲を出してくれました!

金子:Niiiyaは2曲目ですけど、おそらく1曲目のドラムは打ち込みだったと思うけど、今回生っぽくて着実な進化が感じられるなと思いました。



カンナ:ボーカルの表現力がやっぱりバンドを引っ張っているなという感じはありますね。続いてはじめましてのBest gigiを紹介したいと思います。

金子:役者の手島実優さんと、音楽家・川上ヒロムさんの2人組ということで、この組み合わせからして面白いですよね。

カンナ:ちょっと私の大好物が来ちゃったな〜という感じがしました。

金子:大好物ですか!ちなみにどの辺がよかったですか?

カンナ:なんと言うんですかね。聴いてすぐにちょっとおしゃれな感じが伝わってきて(笑)。意味を考えるとかよりも、パッと聴いて「これかっこいい/可愛い!」というのが入ってきました。あと私はもともと細野晴臣さんとコシミハルさんのユニットSwing Slowというのがすごく好きなんですけれども、似てるというか聴いていて似た気持ちになるというか、そういうコケティッシュな雰囲気が通じるものがあるなと思いました。

金子:なるほど!日本はそこからピチカート・ファイヴがいて、CAPSULEがいて、そのラインのコンビというのは今までいろんな方がいますから、Best gigiも言ってみたらそういう系譜にもちょっと入るような感じはしますよね。おしゃれなんだけど、ちゃんと音楽的というその両方を併せ持っているユニットですね。楽しみですね。



カンナ:続いてアルバムがリリースとなりました、こつぶさん!

金子:アルバム『Patchwork』ができましたね。

カンナ:おめでとうございます!

金子:ちょっと前にも軽く紹介したんですけど、もともとGentle Forest Jazz Bandとかで幅広く活躍している中で、今回はこつぶ名義でのソロということになります。今作は2020年の春から制作をスタートしてて、でもやっぱりコロナになっちゃったということで気軽に会えなくなった分、いろんなたくさんの人と作品作りをしようとなって、気付けば総勢33名のミュージシャンが参加という(笑)。

カンナ:それはすごいですね!やっぱり人徳があるというか、集まってくるんでしょうね。

金子:それこそGentle Forest Jazz Bandでも一緒の"パジャ海"こと別所さんも「愛しのヨッパライ」という曲でクラリネットとオルガンを弾いていたりとか、本当に多種多様なミュージシャンが参加しています。こつぶさんのキャリアでもそれだけいろんなミュージシャンと関わってきたんだなということを感じさせるし、それを証明するかのようなボーカルの素晴らしさ。というのは、ミュージシャンがどれだけ参加していても、ちゃんと核にはこの歌があるという、それも逆説的に表しているような感じもしますね。



こつぶへのインタビューもあわせてチェックしてください!



カンナ:素晴らしいです。Part 3からはどちらにしましょうか?

金子:こちらもFRIENDSHIP.からは初の東京少年倶楽部をかけようかなと思います。

カンナ:はじめましてですね。

金子:結成は2017年で東京少年倶楽部と言いつつ、結成は関西。

カンナ:あ!本当だ(笑)!

金子:キャリアもすでにあって、2019年にはRO JACKで優勝していて、ROCK IN JAPANにも出たことがあるというバンドですね。やっぱりオルタナティブなかっこよさを持っているバンドで、グランジとかパワーポップとかのテイストもありつつ、やっぱりボーカルが素晴らしい。男性ボーカルが軸だけど、途中で女性ボーカルが入ってきたりする、そのドラマチックさというのもあるし、かっこいいバンドでシンプルにいい曲でしたね。

カンナ:そうですね。歌詞をちゃんと読んでいくと、私の大好きなセンチメンタルが炸裂しておりました(笑)。

金子:あはは。分かります。ヒリヒリとした焦燥感と、その一方でナイーブさみたいなのがどっちもある感じがいいですよね。

カンナ:ギターの歪みがそれをより加速させるというか、そこもちょっと聴いてみてほしいですね。

金子:FRIENDSHIP.では少し前からTHE 2をリリースしていますけど、THE 2の前身のThe SALOVERSとか、UK.PROJECTから出している今はthe dadadadysとなりましたけどtetoとか、あの辺のバンドにも通じるヒリヒリさとナイーブさ、センチメンタルみたいなところを兼ね備えているバンドで、もっと人気出るんじゃないですかね。



カンナ:やっぱりヒリヒリと来ましたね。

金子:来ましたね〜。かっこいいです。


RADIO INFORMATION

FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
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FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、MISATOと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。

放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)

番組MC
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金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3

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サトーカンナ
ボーカル、コーラス、作詞、ナレーション、執筆など、声と言葉にかかわる幅広い活動を続ける。
バンド(Kurhaus、グッド・ライフ・フェロウズ)ではシンセサイザーやパッドの演奏も担当。
ウェブサイト / @milkcupcakes / @kannasat

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Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin


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