SENSA

2022.10.09

カルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信するサービス FRIENDSHIP.の新譜を紹介。
キュレーターの金子厚武とサトーカンナによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!

New Release Digest Part 1


カンナ:10月3日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全13作品の中から、まずはPart 1の7作品をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます!最後にかかったはじめましてのバンド、黄鶯睍睆(uguisu-naku)

金子:バンド名をパッと見たときに日本じゃなくて中国とかのバンドなのかなと思ってしまいますけど、日本のバンドなんですよね。

カンナ:"日本語のロックの極限を一度目指してみよう"という風に紹介文にありましたね。

金子:もともとFRIENDSHIP.でサポートしていた「僕が王様だった頃」というバンドの中心メンバーが新たにバンドを再始動させて、名前が変わって、黄鶯睍睆(uguisu-naku)になったそうです。作品には元キイチビール&ザ・ホーリーティッツのメンバーだったりとか、SLMCTのメンバーだったりとかが参加しています。このバンドは兵庫を拠点に活動しているので、関西系のいいバンドの人たちが集まっていて、その良さを感じさせますね。



カンナ:音楽における日本語の美しさみたいなところは私もよく考えているというか、日本語にしかできない表現をしたいなというのを常々考えているので、この思想はいいなと思って聴いていました。続いても初登場のpod'z

金子:こちらは京都出身のアコースティックトリオということで、Part 1は結構関西勢が強いですね。

カンナ:たしかに!多いですね。

金子:pod'zは3人組のアコースティックトリオということですけど、こんなにストレートに歌が入ってくるバンドって、FRIENDSHIP.の中でも意外と珍しいかもしれない。

カンナ:そうですね。

金子:やっぱりhannaさんの歌がめちゃめちゃ良くて、あとアコースティックトリオでボーカルとギターとピアノが基本的な編成ではあるけど、曲を聴くとカホンが入っていたり、ストリングスも入っていたりして、アレンジメントの部分でも聴きどころの多い曲だなと思います。

カンナ:歌がすぐ入ってくるので、カラオケで歌いたくなります。

金子:それくらい歌が前に出ていますもんね。



カンナ:10月末にはアルバムのリリースも予定されているということなので、そちらも楽しみに待っております。さてPart 1からはなにをかけましょうか?

金子Superfriendsをかけようかなと思います。こちらも京都なので、やはり関西ですね。

カンナ:Superfriends、大好きです!

金子:やはりセンチメンタルな部分に惹かれる?

カンナ:センチメンタルですね(笑)。特に今回の曲はセンチメンタルがビシビシ伝わってきました。

金子:Superfriendsは2005年結成で、初めてアルバムを出したのが2018年という、本当に自分たちのペースで活動してきたバンドですけど、去年出したEPに入っていた「1994」という曲はテレビCMで使われたりもして。インディペンデントでやっているバンドとしては、かなり理想に近い形で活動できているんじゃないかという感じがします。

カンナ:たしかに。

金子:自分たちのペースを守りつつ、ちゃんと外側にも広げている。それを実現する上では、やっぱりサブスクみたいなものがあるというのもすごく大きいと思いますね。新作は6曲収録の作品ですけど、自分たちの好きなサウンドを鳴らしつつ、Superfriendsとしては珍しいスウェーディッシュ・ポップみたいなアレンジの曲もあったり、ちゃんと遊び心や挑戦が詰まっていて、今回も良い作品でしたね。

カンナ:爽やかで疾走感があるんだけど、やっぱり憂いがある。そこが私の大好きなポイントです。

金子:「Bittersweet longing」は特にそうですよね。

カンナ:EPを全曲通して聴いて、その中でこの「Bittersweet longing」がどういう位置にいるのか、私も改めて聴いてみたいと思います。



カンナ:やっぱり切なさがビシビシ来ましたね。

金子:スライドギターが切なさをかき立てますよね。

カンナ:秋にもぴったりだと思います。

金子:ちなみにこのスライドギターは、ベースの谷さんが弾いているそうです。

カンナ:そうなんですね!もう1回聴いてみます。


New Release Digest Part 2


カンナ:新譜ダイジェストPart 2でした。リリースおめでとうございます!さあ初登場のTHE FOWLS!ボーカルの安延さんはヨットヘヴンのメンバーでもあるということで。

金子:ヨットヘヴンには路地というバンドのメンバーも含まれていて、みんなFRIENDSHIP.からリリースしているんですけど、この辺の人たちみんないい曲を作りますよね。

ヨットヘヴンのインタビューも公開しておりますのでぜひチェックしてみてください!



カンナ:そうですよね。

金子:「WALK,WALK,WALK!」もめっちゃいい曲で、やっぱり安延さんの声がすごくいい。3ヶ月連続配信リリースの2作目で、"くたばる前に旅に出る"がテーマのロックナンバーだそうです。こういう言葉が安延さんの歌い方や声質にも似合いますよね。



カンナ:私もそう思いました。真っ直ぐにパワーを与えられるような曲でしたね。続いては私の大好きなWuinguinさんが参加しているFunny Facturesとのコラボレーション楽曲「Voiceless」!

金子:この番組でよく言ってるんですけど、FRIENDSHIP.はディストリビューションでもありつつ、レーベル的な色合いがあり、もうちょっと言うとコミュニティー的な側面もあって、FRIENDSHIP.からリリースしているアーティスト同士のコラボレーションがいろんなところで行われています。今回もそうで、Funny Facturesは前からFRIENDSHIP.からリリースしていたんですけど、「なるほど、Wuinguinと一緒にやるか!」というのは嬉しい驚きというか。でもすごくしっくり来ていますよね。

カンナ:本当に!こういうのもやっぱり合うんだなという感じでした。

金子:こんな良いボーカルなのに、「Voiceless」というタイトルなのもちょっと面白いですね。ちなみにuiちゃんをFunny Facturesに紹介したのは、The fin.のYutoくんらしいです。



カンナ:そうなんですね!繋がっていきますね。さてPart 2からはなにをお送りしましょうか?

金子DIRTY FOUR EYESをかけようかなと思います。彼らもかっこいいんですよねえ。

カンナ:かっこよかったですね!

金子:リリースが2年以上ぶりで、お待たせしましたという感じです。インストと言ってもいいし、でもボコーダーでボーカルが乗っていて、ジャズをバックグラウンドに持ちつつも、いろんなジャンルの音楽的な要素が入っていて、あまり他では聴いたことがないような非常にかっこいい演奏になっていて、とても好きです。

カンナ:タイトルが「Screw This Shhh」ということで、"こんなものやめちまえ"とか"逃げちゃえ"というような意味のスラングみたいなんですけど、メンバーさんみんな逃げずに楽器に向き合ってきた人ばかりなので、逆に説得力あるなと思いました(笑)。

金子:なるほど(笑)。でもホントにそうなんですよね。DIRTY FOUR EYESと言いつつ、5人組だったりするんですけど、メンバーみんなそれぞれが自分自身のキャリアを歩いてきている人たちで、Gentle Forest Jazz Bandに所属している人もいたりして。この前同じくGentle Forest Jazz Bandに所属している、こつぶさんのソロも紹介したりしましたね。

カンナ:そうですね。

金子:更に言うと、Gentle Forest Jazz BandにはYasei Collectiveの松下マサナオさんがドラマーとして所属していて、DIRTY FOUR EYESにはYasei Collectiveとリンクする部分もあり、特にこのボコーダーの歌がある感じというのはすごく似ているところ。あとジャズがバックグラウンドにはあるんだけど、それこそこのタイトルの「Screw This Shhh」みたいな感じで、ちょっとパンクな要素もあったりとか、端正な方に行かないで、荒々しいロック感もあったりする、その感じがやっぱりかっこいいですよね。



カンナ:やっぱりかっこよかったですね。

金子:かっこいい。次は2年も空けないで、新曲をどんどん出してほしいですね。

カンナ:次作も楽しみにしております!


FRIENDSHIP.関連のライブ情報を紹介!「FRIENDSHIP. LIVE」

カンナ:続いてはこちらのコーナー「FRIENDSHIP. LIVE」!厚武さんが最近体験したライブのレポートや注目のイベントについてお話していただくお時間です。

金子:このコーナーひさびさかもしれない。フジロックぶりかな?

カンナ:そうですね。8月以来となります。

金子:ですよね。9月に行ったFRIENDSHIP.関連のライブで言うと、パジャマで海なんかいかないのワンマンと、ゆうらん船のワンマンを見に行って......パジャマで海なんかいかないと、ゆうらん船と言うと...。

カンナ:海繋がりですね(笑)!

金子:そんな感じなんですけど(笑)。どちらもよかったので、どっちの話をしようかなと思ったんですけど、直近に見たゆうらん船の話をしようかなと思います。ゆうらん船は今年の5月に『MY REVOLUTION』というアルバムを出していて、めっちゃよかったんですよね。音源で聴くともちろんバンド演奏がベーシックにはありつつ、結構ポストプロダクションとか音響的な実験もすごくあるんですけど、やっぱりライブだとそれぞれのプレーヤーの演奏がよく見えて。もちろん、ボーカルの内村くんの歌というのもすごく良いんですけど。

カンナ:とても良いですよね。

ゆうらん船のインタビューも公開しておりますのでぜひチェックしてみてください!



金子:ライブで見ると両サイドに鍵盤の二人がいて、ピアノの永井くんとキーボードの伊藤くんの対比がすごく面白いんですよね。永井くんはクラシック畑の作曲家でもあって、ピアニストとしても素晴らしい。でも伊藤くんの周りにはたくさん機材があって、曲ごとに使う機材を変えながら、エクスペリメンタルな音を出していく。この二人がひとつの同じバンドの中にいるというのが、改めて面白いなと思いました。

カンナ:たしかに!

金子:やっぱりバックグラウンドの違う人たちが同じバンドをやっているからこそ、これだけ幅広いが音楽性が生まれているんだなと改めて思いました。特に『MY REVOLUTION』だと、これまでになかったダンスミュージックっぽいアプローチもしていて、それも実際にライブで見るとすごく新鮮でした。そこに至る元になっている曲が、ひとつ前のアルバム『MY GENERATION』に入っていた「PIANO」という曲かなと思っていて、「PIANO」をやったときがかなりアブストラクトで、実験的なアブローチをしていて。基本的には歌が軸にあるバンドではあるんだけど、急にドープな、アンダーグラウンド寄りのクラブみたいな感じになっていました(笑)。

カンナ:そうなんですね。

金子:歌もあるんだけど、その歌も音のひとつとして遊んでるような感じがあったり、やっぱり「PIANO」があっての『MY REVOLUTION』でのよりダンスミュージック的なアプローチなんだなというのを改めて思ったりしました。とにかく、本当に見どころ盛りだくさんでしたね。

カンナ:ライブ見に行きたい!

金子:もうちょっと言うと、ベースがカネコアヤノさんのバンドもやっている本村くんで、ライブの最後の方で感極まりながらすごくいいMCをしていて。ゆうらん船は分かりやすい感情を表している曲があんまりなくて、ある意味分かりづらいのかもしれないけど、でも自分たちは音楽で誰かをアジテートするみたいなことはやりたくないと。わかりづらかったとしても、それをそのまま表現すること、それでいいんだなって、ライブをやって改めて思えたというような話をしていて。その感じもすごく素敵だなと思って、ますますゆうらん船が好きになりました。

カンナ:いいですね。やっぱりバンドっていろんな人が集まっているから難しい部分もあると思うんですけど、その難しさをそのまま受け入れてやっていくというのは ひとつの理想的な姿だなって思いますよね。



カンナ:とてもかっこいいですね。これが空間で鳴っているライブに行きたいなと思いました。

金子:ぜひ観に行ってみてください!


RADIO INFORMATION

FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
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FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、MISATOと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。

放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)

番組MC
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金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3

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サトーカンナ
ボーカル、コーラス、作詞、ナレーション、執筆など、声と言葉にかかわる幅広い活動を続ける。
バンド(Kurhaus、グッド・ライフ・フェロウズ)ではシンセサイザーやパッドの演奏も担当。
ウェブサイト / @milkcupcakes / @kannasat

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Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin


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