- TOPICS
- FEATURE
2022.09.30
今年も開催された、関西を代表する大型野外音楽イベント「RUSH BALL」。今回SENSAでは「RUSH BALL 2022」のステージに立つアーティストに密着し、アーティストの目線でイベントへの想いや1日の過ごし方を知るため今回はATMCに出演するTHE 2の1日をFM802DJ 田中乃絵がレポート。
2022年8月の最終週、27日土曜日。その日は1日中曇り空の予報だったが、それでも泉大津は熱かった。
コロナ禍でも音楽を止めなかった音楽イベント「RUSH BALL 2022」。全国でも先駆けて夏の野外イベントを再開し大成功させたことでも話題を集めたが、今年もマスクの着用を徹底しての断続的な声出しを許可したりと、感染症対策と"全身で音楽を楽しむ"ということを両立させた2日間だった。"ルールをしっかり守って音楽を受け入れる"そんなオーディエンスと、その誠意に応えるようなパフォーマンスを繰り広げるアーティストとの間の絆を強く感じた。
アーティストはこのRUSH BALLにどんな気概で挑んでいるのか。今回は初日27日土曜日のATMCの16時35分から出演したTHE 2 のバックステージに密着してみた。バンド 2 からメンバーチェンジを経て、再び脈をうち始めたバンド THE 2 。メンバーは皆、いわゆる"セカンドキャリア"の集まりである。
まだ太陽が高い午後2時前、メンバーは会場入り。到着してすぐにバックステージの楽屋エリアで一息つくメンバー。ケータリングで腹ごしらえ、かと思いきやVo./Gt.の古舘佑太郎(ex. The SALOVERS、2)はコーラを片手にゴクゴクと喉を鳴らす。
「今年は夏フェスは2つ目です。THE 2は4月に始めたばかりなので、このメンバーで回るのは初です。毎回フェスやイベントでは"メガ古舘"(古舘の顔を巨大化させた人形)を連れて客席に突撃させてるので、お客さんの反応が楽しみです(笑)」と笑う古舘。そう、THE 2の夏フェスは本番ステージでのパフォーマンス前にすでに始まっているのだ。
メンバーそれぞれ一息ついたかと思いきや、全員でATMCのステージ裏へ移動する。機材車に積み込んだメガ古舘をメンバー全員で協力しながら降ろし、機材車に積まれていたため少し乱れてしまった"メガ古舘"のヘアセットを整える。
Gt.加藤綾太(ex.ポニーテイルスクライム)とBa.森夏彦(ex.Shiggy Jr.)に手をひかれメガ古舘が客席に。人の上半身を飲み込んでしまうほどの巨大な古舘の顔が不気味に客席を闊歩する。「なにあれ〜、怖いねんけど〜...(笑)。」とお客さんからは素直な声が漏れる。その横をマスクにサングラス姿で少し変装した古舘が通る。
「一応メガ古舘って僕の顔なんで、いつも『なにあの顔、気持ちわるい』とか平気で言うみんなの声がダイレクトに心に響くんです」と少し傷心気味だ。それでもメガ古舘はなんだかんだ人気者で、客席を歩き回っている間に一緒に写真を撮りたがるお客さんに囲まれちょっとしたフォトスポットになっていく。加藤と森は無表情でメガ古舘に静かに寄り添い、お客さんに手を振る。なんとも言えないシュールな光景だ。「(メガ古舘と一緒に歩く時は)めちゃくちゃ"無"です。もう慣れました」と話す加藤。しかしこれもバンドのプロモーションの一環である。
ふと古舘が「ステージを見て思い出したんですけど、昔(後ほど調べると2011年のRUSH BALL)ATMCに出たことがありますね。興奮したのかイラついたのか覚えてないけど、ギターを投げたのを思い出しました」とポツリと言葉を落とす。
変わらない光景を見ると記憶の底にあった経験が蘇ってくる。そういう歴史の繰り返しの上に2022年のRUSH BALLがあるのだ。当時は何か悔しい出来事があったのだろうか。
楽屋に戻ると、メンバーで和気藹々とした雰囲気の中時間を過ごす。ビーチチェアに腰掛けながら森は焼きそばを頬張る。メンバー同士で雑談をしており、時折見える笑顔に仲の良さを感じた。久しぶりに会うアーティストとも時折挨拶をかわす。「同窓会みたいな感じでちょっと緊張しちゃいますけどね」と古舘。
そうこうしているうちにあっという間に本番の時間が近づく。15時30分、ATMCのステージ裏に再び移動。自分たちで機材車から楽器を下ろし、準備を始める。リハーサルを始めるとすでに多くのお客さんが駆けつけていた。まだ本番前にも関わらず重なる楽器の音に身を委ねている様子がステージからも見える。
遠くのメインステージではキュウソネコカミが絶賛ライブ中。マスクをしての断続的な声援が可能になったこともあり会場は大盛り上がり。何万人ものオーディエンスが手を上げ、飛び跳ね、踊る。ATMCからもその様子がよく見える。波のように揃って揺れるお客さんの手に光が反射する光景は圧巻だ。その光景を静かにメンバーは見つめる。一体なにを感じているのだろうか。
「音を止めないように、(キュウソの演奏が終わったら)すぐに始めよう」そう耳打ちして、その通りに間髪入れず演奏を始める。「ルシファー」をワンフレーズ弾き語りからはじめ、バンドの音が重なりTHE 2のライブがスタートした。遠くからひとり、またひとりとお客さんが駆け寄ってくる。「Thank you RUSH BALL!」と叫び、勢いそのままに「ケプラー」「ニヒリズム」と続ける。
曲の合間に「まだまだいけますか!今日は休憩なしでこのまま最後まで記憶なくなるくらい駆け抜けます!」とMC。宣言通りにそのまま「SとF」へ。コールアンドレスポンスもバッチリで客席との一体感も確実に感じられる。「DAY BY DAY」では手拍子がステージにもしっかり届いていた。「最後まで踊れるかー!!」という煽りとともにステージに再びメガ古舘が登場し、披露されたのはTHE 2 として初のシングル「恋のジャーナル」。
会場のボルテージはマックス!メガ古舘はステージで楽しそうに揺れ踊り、本物の古舘の顎には汗が滴る。お客さんの手拍子のタイミングがぴったりなのも、楽曲そのものの持つパワーを感じる。ライブのラストは新曲「ミスサンシャイン」。
時刻はちょうど夕方ごろ。予報されていた曇り空は嘘のように晴れ、夕焼けに染まり始めていた。フワッと時折涼しい風が吹いた。
本番前に「フェスっていうのはある種、試される場所。いろんなバンドが出て、THE 2をあんまり知らないお客さんも絶対いると思うので、そういうお客さんに『良かったね』じゃなくて『なにあれ』みたいな衝撃を残さないと意味がないかなと思うんです。だから、0点か100点かにしなきゃいけない。70点で『なんかいい感じだったね』じゃ記憶に残らないと思うんです」と意気込みを話していた古舘。
機材を片付け終わりバックヤードに戻ってきたメンバーの表情は、どこか晴れやかだった。「もっくん、コーラ4つ持ってきて!!」と叫ぶ古舘に呼ばれ両手いっぱいにコーラを抱えた森が駆け寄ってくる。
「めっちゃあっという間でした!25分!」と笑顔で森が話す。「死ぬほど暑かったね!」と古舘。加藤も笑顔でタバコを咥える。
一服もそこそこに、「ありがとうございました!」と関係者と挨拶を交わし会場を後にする。「トイレは?行っとかなくていいの?(車に乗ると)結構止まらないよ?」とまるで親子のように朗らかにメンバーに確認する古舘。森が「うん、大丈夫」と答える。
0点か100点か。本人たちの中にもオーディエンスの中にもきっとそれぞれの答えは出ているだろう。ライブを振り返るメンバーの表情は、まさにその答えとなるような眩しい笑顔だった。
文:田中乃絵(FM802)
写真:宇都宮勝
THE 2「ミスサンシャイン」
2022年9月7日(水)
Format:Digital
Label:NF Records / FRIENDSHIP.
Track:
1.ミスサンシャイン
試聴はこちら
大阪・心斎橋Music Club JANUS
19:00 OPEN/19:30 START予定
2023年2月22日(水)
東京・恵比寿LIQUIDROOM
18:30 OPEN/19:30 START予定
チケット:全自由 前売 \3,900(別途1ドリンク代要/3歳以上チケット必要)
<ファンクラブ最速先行予約>
期間:8月28日(月)12:00~9月11日(日)23:59
受付サイト:ファンクラブ「ツーカー倶楽部」
https://fanicon.net/fancommunities/4388
https://fanicon.net/fancommunities/4388
@the2_band
@the2_band
FRIENDSHIP.
THE 2 のバックステージに密着
2022年8月の最終週、27日土曜日。その日は1日中曇り空の予報だったが、それでも泉大津は熱かった。
コロナ禍でも音楽を止めなかった音楽イベント「RUSH BALL 2022」。全国でも先駆けて夏の野外イベントを再開し大成功させたことでも話題を集めたが、今年もマスクの着用を徹底しての断続的な声出しを許可したりと、感染症対策と"全身で音楽を楽しむ"ということを両立させた2日間だった。"ルールをしっかり守って音楽を受け入れる"そんなオーディエンスと、その誠意に応えるようなパフォーマンスを繰り広げるアーティストとの間の絆を強く感じた。
アーティストはこのRUSH BALLにどんな気概で挑んでいるのか。今回は初日27日土曜日のATMCの16時35分から出演したTHE 2 のバックステージに密着してみた。バンド 2 からメンバーチェンジを経て、再び脈をうち始めたバンド THE 2 。メンバーは皆、いわゆる"セカンドキャリア"の集まりである。
まだ太陽が高い午後2時前、メンバーは会場入り。到着してすぐにバックステージの楽屋エリアで一息つくメンバー。ケータリングで腹ごしらえ、かと思いきやVo./Gt.の古舘佑太郎(ex. The SALOVERS、2)はコーラを片手にゴクゴクと喉を鳴らす。
「今年は夏フェスは2つ目です。THE 2は4月に始めたばかりなので、このメンバーで回るのは初です。毎回フェスやイベントでは"メガ古舘"(古舘の顔を巨大化させた人形)を連れて客席に突撃させてるので、お客さんの反応が楽しみです(笑)」と笑う古舘。そう、THE 2の夏フェスは本番ステージでのパフォーマンス前にすでに始まっているのだ。
メンバーそれぞれ一息ついたかと思いきや、全員でATMCのステージ裏へ移動する。機材車に積み込んだメガ古舘をメンバー全員で協力しながら降ろし、機材車に積まれていたため少し乱れてしまった"メガ古舘"のヘアセットを整える。
Gt.加藤綾太(ex.ポニーテイルスクライム)とBa.森夏彦(ex.Shiggy Jr.)に手をひかれメガ古舘が客席に。人の上半身を飲み込んでしまうほどの巨大な古舘の顔が不気味に客席を闊歩する。「なにあれ〜、怖いねんけど〜...(笑)。」とお客さんからは素直な声が漏れる。その横をマスクにサングラス姿で少し変装した古舘が通る。
「一応メガ古舘って僕の顔なんで、いつも『なにあの顔、気持ちわるい』とか平気で言うみんなの声がダイレクトに心に響くんです」と少し傷心気味だ。それでもメガ古舘はなんだかんだ人気者で、客席を歩き回っている間に一緒に写真を撮りたがるお客さんに囲まれちょっとしたフォトスポットになっていく。加藤と森は無表情でメガ古舘に静かに寄り添い、お客さんに手を振る。なんとも言えないシュールな光景だ。「(メガ古舘と一緒に歩く時は)めちゃくちゃ"無"です。もう慣れました」と話す加藤。しかしこれもバンドのプロモーションの一環である。
ふと古舘が「ステージを見て思い出したんですけど、昔(後ほど調べると2011年のRUSH BALL)ATMCに出たことがありますね。興奮したのかイラついたのか覚えてないけど、ギターを投げたのを思い出しました」とポツリと言葉を落とす。
変わらない光景を見ると記憶の底にあった経験が蘇ってくる。そういう歴史の繰り返しの上に2022年のRUSH BALLがあるのだ。当時は何か悔しい出来事があったのだろうか。
楽屋からステージへ
楽屋に戻ると、メンバーで和気藹々とした雰囲気の中時間を過ごす。ビーチチェアに腰掛けながら森は焼きそばを頬張る。メンバー同士で雑談をしており、時折見える笑顔に仲の良さを感じた。久しぶりに会うアーティストとも時折挨拶をかわす。「同窓会みたいな感じでちょっと緊張しちゃいますけどね」と古舘。
cinema staffの辻友貴(Gt)と飯田瑞規(Vo/Gt)と話す古舘佑太郎
Saucy Dogの石原慎也(Vo/Gt)と秋澤和貴(Ba)と話す古舘佑太郎と加藤綾太
そうこうしているうちにあっという間に本番の時間が近づく。15時30分、ATMCのステージ裏に再び移動。自分たちで機材車から楽器を下ろし、準備を始める。リハーサルを始めるとすでに多くのお客さんが駆けつけていた。まだ本番前にも関わらず重なる楽器の音に身を委ねている様子がステージからも見える。
遠くのメインステージではキュウソネコカミが絶賛ライブ中。マスクをしての断続的な声援が可能になったこともあり会場は大盛り上がり。何万人ものオーディエンスが手を上げ、飛び跳ね、踊る。ATMCからもその様子がよく見える。波のように揃って揺れるお客さんの手に光が反射する光景は圧巻だ。その光景を静かにメンバーは見つめる。一体なにを感じているのだろうか。
「音を止めないように、(キュウソの演奏が終わったら)すぐに始めよう」そう耳打ちして、その通りに間髪入れず演奏を始める。「ルシファー」をワンフレーズ弾き語りからはじめ、バンドの音が重なりTHE 2のライブがスタートした。遠くからひとり、またひとりとお客さんが駆け寄ってくる。「Thank you RUSH BALL!」と叫び、勢いそのままに「ケプラー」「ニヒリズム」と続ける。
曲の合間に「まだまだいけますか!今日は休憩なしでこのまま最後まで記憶なくなるくらい駆け抜けます!」とMC。宣言通りにそのまま「SとF」へ。コールアンドレスポンスもバッチリで客席との一体感も確実に感じられる。「DAY BY DAY」では手拍子がステージにもしっかり届いていた。「最後まで踊れるかー!!」という煽りとともにステージに再びメガ古舘が登場し、披露されたのはTHE 2 として初のシングル「恋のジャーナル」。
会場のボルテージはマックス!メガ古舘はステージで楽しそうに揺れ踊り、本物の古舘の顎には汗が滴る。お客さんの手拍子のタイミングがぴったりなのも、楽曲そのものの持つパワーを感じる。ライブのラストは新曲「ミスサンシャイン」。
時刻はちょうど夕方ごろ。予報されていた曇り空は嘘のように晴れ、夕焼けに染まり始めていた。フワッと時折涼しい風が吹いた。
本番前に「フェスっていうのはある種、試される場所。いろんなバンドが出て、THE 2をあんまり知らないお客さんも絶対いると思うので、そういうお客さんに『良かったね』じゃなくて『なにあれ』みたいな衝撃を残さないと意味がないかなと思うんです。だから、0点か100点かにしなきゃいけない。70点で『なんかいい感じだったね』じゃ記憶に残らないと思うんです」と意気込みを話していた古舘。
機材を片付け終わりバックヤードに戻ってきたメンバーの表情は、どこか晴れやかだった。「もっくん、コーラ4つ持ってきて!!」と叫ぶ古舘に呼ばれ両手いっぱいにコーラを抱えた森が駆け寄ってくる。
「めっちゃあっという間でした!25分!」と笑顔で森が話す。「死ぬほど暑かったね!」と古舘。加藤も笑顔でタバコを咥える。
一服もそこそこに、「ありがとうございました!」と関係者と挨拶を交わし会場を後にする。「トイレは?行っとかなくていいの?(車に乗ると)結構止まらないよ?」とまるで親子のように朗らかにメンバーに確認する古舘。森が「うん、大丈夫」と答える。
0点か100点か。本人たちの中にもオーディエンスの中にもきっとそれぞれの答えは出ているだろう。ライブを振り返るメンバーの表情は、まさにその答えとなるような眩しい笑顔だった。
文:田中乃絵(FM802)
写真:宇都宮勝
RELEASE INFORMATION
THE 2「ミスサンシャイン」
2022年9月7日(水)
Format:Digital
Label:NF Records / FRIENDSHIP.
Track:
1.ミスサンシャイン
試聴はこちら
LIVE INFORMATION
THE 2 ワンマンライブ 2023
2023年2月2日(木)大阪・心斎橋Music Club JANUS
19:00 OPEN/19:30 START予定
2023年2月22日(水)
東京・恵比寿LIQUIDROOM
18:30 OPEN/19:30 START予定
チケット:全自由 前売 \3,900(別途1ドリンク代要/3歳以上チケット必要)
<ファンクラブ最速先行予約>
期間:8月28日(月)12:00~9月11日(日)23:59
受付サイト:ファンクラブ「ツーカー倶楽部」
https://fanicon.net/fancommunities/4388
FanClub「ツーカー倶楽部」
月額:500円(税別)/年間割引ありhttps://fanicon.net/fancommunities/4388
LINK
オフィシャルサイト@the2_band
@the2_band
FRIENDSHIP.