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2022.10.02
FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!ODD Foot Works・sayonarablue・The Wisely Brothersほか全14作品 -2022.10.01-
カルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信するサービス FRIENDSHIP.の新譜を紹介。
キュレーターの金子厚武とサトーカンナによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
カンナ:9月26日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全14作品の中から、まずはPart 1の7作品をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます!はじめましての"青い"さん!
金子:もともとドラマーとして、"葵"という名前で活動されていた方が、ブルーの"青い"という名前でドラムボーカリストとしてデビューという。面白いですよね。
カンナ:今回は2曲同時リリースになります。
金子:すでにドラマーとしての経歴がすごくて、TikTokの叩いてみた動画で16万人を超えるフォロワー、YouTubeの動画総再生回数500万回以上という、幅広く活躍している方です。先週紹介した福岡発のスリーピースバンド、NiiiyaのボーカルもTikTokで活動していたり、そういうところからどんどん出てきてますね。
カンナ:そうですね。
金子:このプロジェクトは"フィクション"と"ノンフィクション"と称する二面性の世界観を表現するというのも一つのコンセプトになっているみたいです。最初にかかったノンフィクションサイドの楽曲が「ムーヴ」。あとにかかった曲がフィクションサイドの「推しあわせ」。全然曲調も違って、「ムーヴ」はガレージなポップという感じ、「推しあわせ」はボカロっぽい感じで、フィクションを表しているのがよくわかる。対照的なものを同時に表現するというのは面白いですよね。
カンナ:ボーカルが落ち着いたトーンに対して、バックのサウンドが激しかったり、ポップだったりして、そのバランスがすごく面白いなと思って聴いていました。
金子:これまではドラマーとして活動してきわけですけど、歌もいいですよね。前から歌っていたんですかね?
カンナ:たしかに気になりますね。もしかしたらYouTubeとか見てみると歌っている姿とかあるんですかね?
金子:かもしれない...!
カンナ:ちょっとチェックしてみたいと思います。それではPart 1から1曲聴いていただこうと思いますが、どの曲にしましょうか?
金子:ODD Foot Worksをかけようと思います。アルバムができました!
カンナ:遂に!おめでとうございます。
金子:前作のリリースから間が空いていたんですけど、ひさびさのアルバムがFRIENDSHIP.からのリリースとなります。"SMAP細胞"が話題になった「卒業証書」も含む、全10曲を収録。タイトルが『Master Work』で、すでに本人たちの自信がうかがえますけど、メンバーのコメントを読んでもその意気込みを感じることができます。
カンナ:そうなんですね。
金子:「ODDでやるべき音楽ってこれだったわってマジで思えてる」とか「傑作中の傑作中の傑作」とか「このアルバムは今までのODD Foot Worksの集大成でもあり、これからのODD Foot Worksの1ページ目でもある」とか、メンバーそれぞれがコメントを寄せてくれていて、こんな言葉なかなか言えないですよね。
カンナ:そうですね。たしかに「これからのODD Foot Worksの1ページ目」というのは私もすごくしっくりきました。やっぱり「音楽」という曲を聴いたときに「これODD Foot Works?」って思いましたよね。
金子:ですよね。アルバムの最後に「音楽」という曲が入っていて、めちゃめちゃパンクな曲で。ラッパーがポップ・パンクっぽいサウンドをやるというのは最近のトレンドではあるけど、この曲はかなりストレートなんですよね。
カンナ:そうなんですよ。ちょっとびっくりするくらい!
金子:ちょっと古い言葉で言うと"青春パンク"みたいな。
カンナ:あ!たしかに!
金子:なので、「結構思い切ったな」という印象もあったんですけど、でもアルバムトータルとしての完成度にめちゃめちゃ自信があるからこその、「振り切っちゃえ!」という感覚がすごく伝わってきました。
カンナ:アルバム通して聴いてみてほしいと思います。
金子:そうですね。アルバムを通して聴いて、最後にこの「音楽」が出てくると、また感じ方が変わってくるかもしれないです。
カンナ:やっぱり直球のかっこよさがありますね。
金子:すぐに歌えちゃいますよね。
カンナ:たしかに!もう常に頭の中で歌えちゃう感じがありますね。
金子:ライブでもシンガロングできるようになるといいですね。
カンナ:新譜ダイジェストPart 2でした。リリースおめでとうございます!はじめましての、てらさん!
金子:てらさんは2008年から弾き語りを開始している方で、プロフィールによると"酩酊シンガーソングライター"と書いてありますね。お酒飲みながら歌ってらっしゃるんでしょうね。
カンナ:あはは。
金子:去年初めてバンドセットの音源を出していて、いまは名義も"てら(band set)"という名義になっていると。そして、過去のレコ発に呼んでいる人たちの名前を見ると、Tempalay、踊ってばかりの国の下津くん、奇妙礼太郎さんという、この並びからして浮かんでくる音楽性であり、歌声が分かるというか。
カンナ:納得ですね。
金子:いい歌声でちょっとサイケ感のあるバックの演奏があって、これは好きな人絶対好きでしょという感じですね。
カンナ:そうですね。サビの感じもちょっと泣きそうになっちゃう雰囲気があって、音像ともすごく合ってるなと思いました。続いて1年ぶりのリリースとなります、The Wisely Brothers!
金子:女性の3ピースバンドというのはたくさんいますけど、やっぱりThe Wisely BrothersはThe Wisely Brothersでしかないなという。
カンナ:かっこいいですよね。
金子:他に比べられる人たちがいないバンドですよね。今回の曲もすごく面白くて、ド頭に唇を震わせた音がエディットして入っていて、これはベースの泉さんが衝動的に入れたらしいです。
カンナ:そうなんですね。
金子:もともと2曲分だったセッションを組み合わせて1曲にしていたりとか、あと歌詞のテーマは"朝の蜘蛛は縁起が良い"というところから、蜘蛛と人の会話みたいな、少し寓話的なテイストになっていたりとか、面白いポイントがたくさんあります。すごくウェルメイドというか、手触りのある音楽で、そこがやっぱりThe Wisely Brothersらしいなと思いました。
カンナ:展開は結構ミニマルだと思うんですけど、聴きどころがたくさんあると感じました。
金子:録音はわりとラフっちゃラフなんだけど、ミックスで遊びがあったりとかして、いろいろポイント盛り沢山な感じがしますよね。
カンナ:それではPart 2からは何をかけましょうか?
金子:FRIENDSHIP.では初登場のsayonarablueをかけようかなと思います。この人たちはわりとキャリアがあって、2016年の1月にトラックメーカーのヤマダさんとピアノボーカルのウツモトさん、ドラマーの川畑さんを中心に結成して、同年10月にベースのFatamiさんが加入して、現在の体制になっていると。過去の楽曲もちょっと調べたんですけど、2019年に出ている「chill」という曲はもうSpotifyで再生回数10万回以上で。
カンナ:え!すごい!
金子:きっと海外とかでも聴かれているんじゃないかと思います。今回の曲にはプロデューサーとしてEXPCTRが関わっていて、より音源としてブラッシュアップされていて。もともとのガラージとかR&Bを基調とした雰囲気は残しつつ、音像とかはより立体的になっていて、すごくポップでもあるんだけど、Warpみたいなレーベルから出ていてもおかしくないような、非常にかっこいいサウンドになっていると思いました。
カンナ:なるほど。私はsayonarablueの生演奏を見たことがありまして。
金子:対バンしたことがあるんですか?
カンナ:そうですね。結構前なんですけど、そのときは"バンド"として捉えていたのですが、今回音源で聴くと音源ならではの気持ち良さが出ていて、すごく楽しめました。
金子:逆に言うと、僕は音源から入ったから、ライブを見たらまた印象が変わるかもしれない。
カンナ:そうかもしれないですね。ライブの機会があったらぜひ見ていただきたいと思います。
金子:今は音源は音源で作り込んだ表現をして、それをそのまま再現するのではなく、ライブではライブセットとしてアレンジするのも珍しいことじゃないから、ちゃんとそれぞれの魅力を持っている人たちなんでしょうね。
カンナ:続いてはこちらのコーナー「カンナの推しゴト」!サトーカンナの推しを熱く推させていただくお時間です。お休み中のMISATOさんから引き継いで担当させていただくことになりました。
金子:おー、引き継ぎましたね!
カンナ:推しゴトまで引き継げるとは光栄です。
金子:先ほど「推しあわせ」という曲もかかっていましたし。
カンナ:たしかに!
金子:推しは大事ですね。
カンナ:パワーをくれるので推しは大事ですよ!
金子:カンナさんは誰を推していただけるのでしょうか?
カンナ:秋になって気温が下がってきて、ちょっと感傷的なムードになる。そんなときに聴きたくなる、suL(スゥ)をご紹介しようと思います。私は若者のセンチメンタルみたいな感じがすごく好きでして。
金子:カンナさんは本日誕生日(オンエア日の10月1日)で、秋生まれなだけに、そういう感覚がお好きなんですかね?
カンナ:そうかもしれないです(笑)。映画とか音楽とか、普段人と話すときには出せないようなセンチメンタルな気分というのがすごく好きなのですが、suLさんからはそれを存分に感じ取れるといいますか。若いからこその不安とか生きづらさとか、愛されたいという気持ちとか、消えたいと思っちゃうような、そういう120%人間をやっているなという、愛せるところが推しポイントですね。
金子:120%人間をやっているsuL(笑)。
カンナ:そうです(笑)。日本語と英語が混ざっていたりして、歌詞の内容が一発でわかるという感じではないんですけど、でもジャケットのインスタント感とか、サウンド、あと声の乗せ方とか、とにかく全部からセンチメンタルが溢れ出ている、みたいな。
金子:基本的には音とリズム重視なのかなという印象はあるけど、その中に日本語と英語を上手く混ぜていて、ちゃんと節々からそのセンチメンタル感や叙情感みたいなものが伝わってくるというのはよくわかります。
カンナ:そこがたまらないです。私は今日誕生日を迎えてさらに大人になってしまったんですけど、大人になるにつれて自分が傷つかないように生きていける術を身につけてしまうというか、それもいいんですけど、でもみんなの中にある不器用な部分とか、極端なところとか、繊細なところとか、そういうのをsuLを聴いていると引っ張り出されてしまうといいますか。そういう120%の人間にさせてくれるところがいいなと思っております。
金子:なるほど。
カンナ:suLさんはFRIENDSHIP.から2曲リリースしていまして、最初に出したのが「shoegaze」、次に「friend zone」という曲を9月14日にリリースしているんですけど。
金子:FRIENDSHIP.から「friend zone」という曲をリリースしていると。
カンナ:そうですね(笑)。この「friend zone」という曲もあっという間に終わっちゃって。
金子:基本的に曲が短いですよね。
カンナ:そうなんです!本当に毎回3回ぐらい聴いて、それでやっと完結するという、その短さも魅力的です。私はエリオット・スミスが大好きなんですけど、彼を聴いているときとちょっと似た気持ちになるというか。切なくて、もう嫌になっちゃうんだけど、でも生きていくみたいな、そういうところがやっぱりsuLさんのいいところだなと思います。
金子:いいですね。僕もエリオット・スミス、大好きです。
カンナ:やっぱりぎゅっと心が締め付けられる感じが好きです。
金子:秋の夜長にsuLを......夜長に、suLの短い曲を(笑)。何度も何度もリピートして聴いてほしいですね。
カンナ:これまでの曲も含めて、ぜひみなさん聴いてください!
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、MISATOと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。
放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
サトーカンナ
ボーカル、コーラス、作詞、ナレーション、執筆など、声と言葉にかかわる幅広い活動を続ける。
バンド(Kurhaus、グッド・ライフ・フェロウズ)ではシンセサイザーやパッドの演奏も担当。
ウェブサイト / @milkcupcakes / @kannasat
Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin
FRIENDSHIP.
キュレーターの金子厚武とサトーカンナによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
New Release Digest Part 1
カンナ:9月26日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全14作品の中から、まずはPart 1の7作品をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます!はじめましての"青い"さん!
金子:もともとドラマーとして、"葵"という名前で活動されていた方が、ブルーの"青い"という名前でドラムボーカリストとしてデビューという。面白いですよね。
カンナ:今回は2曲同時リリースになります。
金子:すでにドラマーとしての経歴がすごくて、TikTokの叩いてみた動画で16万人を超えるフォロワー、YouTubeの動画総再生回数500万回以上という、幅広く活躍している方です。先週紹介した福岡発のスリーピースバンド、NiiiyaのボーカルもTikTokで活動していたり、そういうところからどんどん出てきてますね。
カンナ:そうですね。
金子:このプロジェクトは"フィクション"と"ノンフィクション"と称する二面性の世界観を表現するというのも一つのコンセプトになっているみたいです。最初にかかったノンフィクションサイドの楽曲が「ムーヴ」。あとにかかった曲がフィクションサイドの「推しあわせ」。全然曲調も違って、「ムーヴ」はガレージなポップという感じ、「推しあわせ」はボカロっぽい感じで、フィクションを表しているのがよくわかる。対照的なものを同時に表現するというのは面白いですよね。
カンナ:ボーカルが落ち着いたトーンに対して、バックのサウンドが激しかったり、ポップだったりして、そのバランスがすごく面白いなと思って聴いていました。
金子:これまではドラマーとして活動してきわけですけど、歌もいいですよね。前から歌っていたんですかね?
カンナ:たしかに気になりますね。もしかしたらYouTubeとか見てみると歌っている姿とかあるんですかね?
金子:かもしれない...!
カンナ:ちょっとチェックしてみたいと思います。それではPart 1から1曲聴いていただこうと思いますが、どの曲にしましょうか?
金子:ODD Foot Worksをかけようと思います。アルバムができました!
カンナ:遂に!おめでとうございます。
ODD Foot Worksのインタビュー記事も公開されていますのでぜひチェックしてみてください!
金子:前作のリリースから間が空いていたんですけど、ひさびさのアルバムがFRIENDSHIP.からのリリースとなります。"SMAP細胞"が話題になった「卒業証書」も含む、全10曲を収録。タイトルが『Master Work』で、すでに本人たちの自信がうかがえますけど、メンバーのコメントを読んでもその意気込みを感じることができます。
カンナ:そうなんですね。
金子:「ODDでやるべき音楽ってこれだったわってマジで思えてる」とか「傑作中の傑作中の傑作」とか「このアルバムは今までのODD Foot Worksの集大成でもあり、これからのODD Foot Worksの1ページ目でもある」とか、メンバーそれぞれがコメントを寄せてくれていて、こんな言葉なかなか言えないですよね。
カンナ:そうですね。たしかに「これからのODD Foot Worksの1ページ目」というのは私もすごくしっくりきました。やっぱり「音楽」という曲を聴いたときに「これODD Foot Works?」って思いましたよね。
金子:ですよね。アルバムの最後に「音楽」という曲が入っていて、めちゃめちゃパンクな曲で。ラッパーがポップ・パンクっぽいサウンドをやるというのは最近のトレンドではあるけど、この曲はかなりストレートなんですよね。
カンナ:そうなんですよ。ちょっとびっくりするくらい!
金子:ちょっと古い言葉で言うと"青春パンク"みたいな。
カンナ:あ!たしかに!
金子:なので、「結構思い切ったな」という印象もあったんですけど、でもアルバムトータルとしての完成度にめちゃめちゃ自信があるからこその、「振り切っちゃえ!」という感覚がすごく伝わってきました。
カンナ:アルバム通して聴いてみてほしいと思います。
金子:そうですね。アルバムを通して聴いて、最後にこの「音楽」が出てくると、また感じ方が変わってくるかもしれないです。
カンナ:やっぱり直球のかっこよさがありますね。
金子:すぐに歌えちゃいますよね。
カンナ:たしかに!もう常に頭の中で歌えちゃう感じがありますね。
金子:ライブでもシンガロングできるようになるといいですね。
ODD Foot Worksのアルバムのレビューも公開しておりますのでぜひチェックしてみてください!
New Release Digest Part 2
カンナ:新譜ダイジェストPart 2でした。リリースおめでとうございます!はじめましての、てらさん!
金子:てらさんは2008年から弾き語りを開始している方で、プロフィールによると"酩酊シンガーソングライター"と書いてありますね。お酒飲みながら歌ってらっしゃるんでしょうね。
カンナ:あはは。
金子:去年初めてバンドセットの音源を出していて、いまは名義も"てら(band set)"という名義になっていると。そして、過去のレコ発に呼んでいる人たちの名前を見ると、Tempalay、踊ってばかりの国の下津くん、奇妙礼太郎さんという、この並びからして浮かんでくる音楽性であり、歌声が分かるというか。
カンナ:納得ですね。
金子:いい歌声でちょっとサイケ感のあるバックの演奏があって、これは好きな人絶対好きでしょという感じですね。
カンナ:そうですね。サビの感じもちょっと泣きそうになっちゃう雰囲気があって、音像ともすごく合ってるなと思いました。続いて1年ぶりのリリースとなります、The Wisely Brothers!
金子:女性の3ピースバンドというのはたくさんいますけど、やっぱりThe Wisely BrothersはThe Wisely Brothersでしかないなという。
カンナ:かっこいいですよね。
金子:他に比べられる人たちがいないバンドですよね。今回の曲もすごく面白くて、ド頭に唇を震わせた音がエディットして入っていて、これはベースの泉さんが衝動的に入れたらしいです。
カンナ:そうなんですね。
金子:もともと2曲分だったセッションを組み合わせて1曲にしていたりとか、あと歌詞のテーマは"朝の蜘蛛は縁起が良い"というところから、蜘蛛と人の会話みたいな、少し寓話的なテイストになっていたりとか、面白いポイントがたくさんあります。すごくウェルメイドというか、手触りのある音楽で、そこがやっぱりThe Wisely Brothersらしいなと思いました。
カンナ:展開は結構ミニマルだと思うんですけど、聴きどころがたくさんあると感じました。
金子:録音はわりとラフっちゃラフなんだけど、ミックスで遊びがあったりとかして、いろいろポイント盛り沢山な感じがしますよね。
カンナ:それではPart 2からは何をかけましょうか?
金子:FRIENDSHIP.では初登場のsayonarablueをかけようかなと思います。この人たちはわりとキャリアがあって、2016年の1月にトラックメーカーのヤマダさんとピアノボーカルのウツモトさん、ドラマーの川畑さんを中心に結成して、同年10月にベースのFatamiさんが加入して、現在の体制になっていると。過去の楽曲もちょっと調べたんですけど、2019年に出ている「chill」という曲はもうSpotifyで再生回数10万回以上で。
カンナ:え!すごい!
金子:きっと海外とかでも聴かれているんじゃないかと思います。今回の曲にはプロデューサーとしてEXPCTRが関わっていて、より音源としてブラッシュアップされていて。もともとのガラージとかR&Bを基調とした雰囲気は残しつつ、音像とかはより立体的になっていて、すごくポップでもあるんだけど、Warpみたいなレーベルから出ていてもおかしくないような、非常にかっこいいサウンドになっていると思いました。
カンナ:なるほど。私はsayonarablueの生演奏を見たことがありまして。
金子:対バンしたことがあるんですか?
カンナ:そうですね。結構前なんですけど、そのときは"バンド"として捉えていたのですが、今回音源で聴くと音源ならではの気持ち良さが出ていて、すごく楽しめました。
金子:逆に言うと、僕は音源から入ったから、ライブを見たらまた印象が変わるかもしれない。
カンナ:そうかもしれないですね。ライブの機会があったらぜひ見ていただきたいと思います。
金子:今は音源は音源で作り込んだ表現をして、それをそのまま再現するのではなく、ライブではライブセットとしてアレンジするのも珍しいことじゃないから、ちゃんとそれぞれの魅力を持っている人たちなんでしょうね。
今推したいFRIENDSHIP.アーティストを紹介するコーナー「カンナの推しゴト」
カンナ:続いてはこちらのコーナー「カンナの推しゴト」!サトーカンナの推しを熱く推させていただくお時間です。お休み中のMISATOさんから引き継いで担当させていただくことになりました。
金子:おー、引き継ぎましたね!
カンナ:推しゴトまで引き継げるとは光栄です。
金子:先ほど「推しあわせ」という曲もかかっていましたし。
カンナ:たしかに!
金子:推しは大事ですね。
カンナ:パワーをくれるので推しは大事ですよ!
金子:カンナさんは誰を推していただけるのでしょうか?
カンナ:秋になって気温が下がってきて、ちょっと感傷的なムードになる。そんなときに聴きたくなる、suL(スゥ)をご紹介しようと思います。私は若者のセンチメンタルみたいな感じがすごく好きでして。
金子:カンナさんは本日誕生日(オンエア日の10月1日)で、秋生まれなだけに、そういう感覚がお好きなんですかね?
カンナ:そうかもしれないです(笑)。映画とか音楽とか、普段人と話すときには出せないようなセンチメンタルな気分というのがすごく好きなのですが、suLさんからはそれを存分に感じ取れるといいますか。若いからこその不安とか生きづらさとか、愛されたいという気持ちとか、消えたいと思っちゃうような、そういう120%人間をやっているなという、愛せるところが推しポイントですね。
金子:120%人間をやっているsuL(笑)。
カンナ:そうです(笑)。日本語と英語が混ざっていたりして、歌詞の内容が一発でわかるという感じではないんですけど、でもジャケットのインスタント感とか、サウンド、あと声の乗せ方とか、とにかく全部からセンチメンタルが溢れ出ている、みたいな。
金子:基本的には音とリズム重視なのかなという印象はあるけど、その中に日本語と英語を上手く混ぜていて、ちゃんと節々からそのセンチメンタル感や叙情感みたいなものが伝わってくるというのはよくわかります。
カンナ:そこがたまらないです。私は今日誕生日を迎えてさらに大人になってしまったんですけど、大人になるにつれて自分が傷つかないように生きていける術を身につけてしまうというか、それもいいんですけど、でもみんなの中にある不器用な部分とか、極端なところとか、繊細なところとか、そういうのをsuLを聴いていると引っ張り出されてしまうといいますか。そういう120%の人間にさせてくれるところがいいなと思っております。
金子:なるほど。
カンナ:suLさんはFRIENDSHIP.から2曲リリースしていまして、最初に出したのが「shoegaze」、次に「friend zone」という曲を9月14日にリリースしているんですけど。
金子:FRIENDSHIP.から「friend zone」という曲をリリースしていると。
カンナ:そうですね(笑)。この「friend zone」という曲もあっという間に終わっちゃって。
金子:基本的に曲が短いですよね。
カンナ:そうなんです!本当に毎回3回ぐらい聴いて、それでやっと完結するという、その短さも魅力的です。私はエリオット・スミスが大好きなんですけど、彼を聴いているときとちょっと似た気持ちになるというか。切なくて、もう嫌になっちゃうんだけど、でも生きていくみたいな、そういうところがやっぱりsuLさんのいいところだなと思います。
金子:いいですね。僕もエリオット・スミス、大好きです。
カンナ:やっぱりぎゅっと心が締め付けられる感じが好きです。
金子:秋の夜長にsuLを......夜長に、suLの短い曲を(笑)。何度も何度もリピートして聴いてほしいですね。
カンナ:これまでの曲も含めて、ぜひみなさん聴いてください!
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、MISATOと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。
放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
番組MC
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
サトーカンナ
ボーカル、コーラス、作詞、ナレーション、執筆など、声と言葉にかかわる幅広い活動を続ける。
バンド(Kurhaus、グッド・ライフ・フェロウズ)ではシンセサイザーやパッドの演奏も担当。
ウェブサイト / @milkcupcakes / @kannasat
Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin
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