SENSA

2022.07.10

カルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信するサービス FRIENDSHIP.の新譜を紹介。
キュレーターの金子厚武とラジオDJ MISATOによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!

New Release Digest Part 1


MISATO:7月4日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全18作品の中から、まずはPart 1の6作品をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます!今回はじめましてさんが、神田莉緒香さん。

金子:今回はORESKABANDとのコラボレーションでして、同世代ということらしいですけど。

MISATO:とてもピッタリ!

金子:神田さんはシンガー・ソングライターであり、ラジオパーソナリティーでもあるという方。もともとGoose houseに参加していた経緯もあったりして、2017年にメジャーリリース、2019年にはZepp DiverCityでワンマンも行ったりと、かなり活動歴のある方です。ORESKABANDはすでにFRIENDSHIP.からリリースをしていて、世界を股にかけて活躍するバンドですけど、どちらも同世代、30代というところで、さらにこれからどう活動していくか、どう戦っていくか、みたいなところが歌になっています。さらに言うと、この先40代や50代になったときも歌える歌を一緒に作りたい、というところで作った曲だそうです。きっとMISATOさんにも歌詞が響くんじゃないかなと。

MISATO:共感の嵐だし、あと神田さんのコメントでいただいている中に「1人で歩いてきたわけではないけど、歩いてきたのは確かに自分だった」という一言があります。「やっぱり私は1人じゃなかった」と歌う曲がわりと多いのかなって思うんですが、でも頑張ったのは自分だと言い切れるこの人生の歩み方をされているというのは、これから頑張りたい30代以降の方にピッタリ刺さる一言だなと感じています。

金子:その曲をORESKABANDと一緒にやるというのが、それぞれ自立した上で、でも今は一緒にやるみたいな、そういうのもいいですね。



MISATO:いいですね〜。そして黒川侑司先生が大変なことになっております。

金子:"黒ちゃん"から"先生"に(笑)。

MISATO:ちゃん付けなんて恐れ多いと反省しております!素晴らしいですね。

金子:ソロ第2弾のリリースです。前回はオリジナルでしたけど、今回はカバー曲になります。これまでもSNSでカバーをやっていたので、その延長にあると言っていいかなと。ただ今回フィーチャリングで、こーじゅんさんという方が参加されていて、ギタリストでギター講師でもあり、こちらもそれこそSNSで、YouTubeやInstagram、Twitterとかでレッスンや演奏の動画をあげていて、かなり人気になってる方なんですよね。左手でギターやベースの役割をこなしつつ、右手でドラムやパーカッションのリズムアクセントを付けながら演奏するという方で、MIYAVIさんとかを連想させるようなところもあります。そんな2人がコラボレーションすることによって、かっこいいカバーが生まれていると。

MISATO:艶がすごい。やっぱり黒ちゃんなんてもう呼べない。

金子:もう先生だと。こーじゅんさんも先生ですから、黒ちゃんも歌の先生になっていったりして。

MISATO:どんどん成熟されて、円熟味が増していくんでしょうね。

金子:この曲は本当にそうですね。



MISATO:今までのユアネスとか、黒ちゃんのイメージを覆してくれると思うので、ぜひ聴いていただきたいです。そしてこの曲はどうなっているんでしょうか、厚武さん(笑)。

金子Fake Creatorsのことですね?

MISATO:ピンポーン(笑)!どうなっているんですかこれは!

金子LITEDÉ DÉ MOUSEがコラボレーションをして、今回Fake Creatorsという名前で楽曲を制作しました。この2組は前から仲が良くて、昨年コラボレーションで2曲リリースしているので、おそらくその発展でユニットを組むことになったんだと思います。昨年の2曲は、最初にDÉ DÉ MOUSEが作ったのかなとか、最初にLITEが作ったのかな、みたいな感じが見えたけど、今回は本当にどっちでもない感じがして。

MISATO:誰?どこ?みたいな。

金子:ビジュアルも顔が見えないものになっていて、LITEとDÉ DÉ MOUSEって言わなかったら、「誰だろう?」と思うような、全く新しいものになっているなと思いましたね。

MISATO:もともとはコラボプロジェクトだったけど、完全に単体として独立した1作目になっている感がすごいです。

金子:彼らはフジロックの出演が決まっていて、3日目のレッド・マーキーの深夜なんですよ。

MISATO:完璧じゃないですか。

金子:その日のレッド・マーキーのトリが、ポストロックの重鎮Mogwai。そのレッド・マーキー深夜のFake Creatorsの後が、田中フミヤ、石野卓球なんですよ。

MISATO:あははははは。笑ってしまった。

金子:ポストロックとダンスミュージックを繋ぐ、その役割にピッタリという。

MISATO:これをブッキングした人、「しめしめ。よかった、Fake Creatorsいたぞ」となったでしょうね。

金子:どっちが先なんでしょうね?むしろフジロックに出るために組んだんじゃないのか、みたいな(笑)。そんなことを疑ってしまうくらい、ピッタリですね。

MISATO:みなさん、このど深夜に似合う曲ですので聴いてみてください。

金子:静と動が激しいので、イヤホンで聴いている方は音量に気をつけてください。



MISATO:みなさんお耳は大丈夫でしょうか(笑)?

金子:この曲のタイトル「When You Fake Sleep」って、おそらく元ネタがMy Bloody Valentineの「When You Sleep」で、それに「Fake」をつけたんだと思うんですけど。

MISATO:かっこいいな〜。

金子:そういうシューゲイズな感じもありつつ、エレクトロニックな感じとバンド感が混ざっていてかっこいい曲でした。

MISATO:今回1曲目ですけど、フジロックまでにどういうセットリストを携えていくのか楽しみですね。

金子:他の曲とかはまたたぶん全然違ったりするんでしょうね。


New Release Digest Part 2


MISATO:7月4日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜Part 2の6作品をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます!Small Circle of Friendsが現在絶賛ライブツアー中!いろいろ行かれていますね、久留米の方とかも行かれるみたいです。

金子:そんな最中に新しいプロジェクトを始めたそうです。彼らは昨年の12月に『Cell』というアルバムを出しているんですが、その全曲をセルフリミックスで出すとのこと。セルフなので、リミックスというよりはもう本当に別バージョン/別の世界を作り出すような感じで、『Cell』というタイトルに対して、今度出るアルバムは『Another Cell』というタイトルだそうです。今回は「コノサキノサキ」のリミックスなんですけど、こうやって1つの作品をそれだけで完結させないで、アップデートして行くみたいなこともサブスクならではというか。

MISATO:そうですね。

金子:CDとかフィジカルだとあんまり気軽にできない気がするけど、少しずつアップデートしていけるというのは面白いですよね。


昨年公開した、ルーツや人となりを探っていくINTERVIEWシリーズ「Highlighter」と前作「Cell」のレビューもぜひチェックを!



MISATO:そして3ピースバンド、Pablo Haikuの3ヶ月ぶりのシングルです。

金子:Pablo Haiku、4曲目が出ました。個人的に推しです。

MISATO:そうでした!

金子:やはり良いですよ。

MISATO:Pablo Haikuってドラムレスになるんですか?

金子:そうです。3人組のバンドではあるんだけど、もともとドラムレスだから、自由度の高さを感じます。

MISATO:でもしっかりビートで乗れるから、「あれ?」とちょっと錯覚してしまう。

金子:彼らは90年代のUKが好きで、マンチェスターのダンサブルな感じと、Oasisとかのビックなメロディーの感じがありつつ、でもやっぱり今の音楽も好きで、The 1975的なエレクトロニックな部分も持っていて、その感じが絶妙でちょうどいいんですよ。この辺が好きな人はすごく多いと思うから、それこそフジロックのROOKIE A GO-GOとかに出て、もっと知られたら結構ファンが増えると思うんですよね。

MISATO:「出れんの!?サマソニ!?」とかもあり得そうですね。

金子:推しと言いつつ、まだ実際にライブを見てないからあまりなんとも言えないんですけど(笑)。でも本当に好きな人は多いと思う。そして毎回曲が良い。

MISATO:そうですね。野外フェスとかスタジアムの大きいところで、突き抜けてパーンみたいなのも似合うから、みなさんチェックした方が良いですよ。

金子:早く発見されてほしいですね。



MISATO:それではPart 2からはどうしましょうか?

金子古川麦さんのアルバムがリリースということで、ご紹介しようかなと思います。

MISATO:お待ちしておりました。

金子:良いアルバムでした。

MISATO:よかったですね。

金子:改めてご紹介しますと、カリフォルニア生まれ日本とオーストラリアで育ってきたシンガー、ギタリスト、トランペット、ホルン、作編曲など多岐にわたって活動されている方で、ceroのサポートで知っている方も多いと思います。今回が3rdアルバムで、タイトルが『Xìn(シン)』なんですけど。

MISATO:中国語なんですね。

金子:中国語で「信じる」という意味もある『Xìn』で、あと「手紙」という意味もあるらしく、今回のアルバム自体「手紙」というのがテーマになっているとのことです。コロナ禍で1人で過ごす中、どこかに想いを馳せたり、誰かに想いを馳せたり、というところがアルバムの根幹になっています。古川さんの音楽性の中には1つの大きな要素としてブラジル音楽、ボサノヴァの要素があるから、その側面が前に出ることによって、どこか別の場所に思いを馳せるという、手紙的なテーマとリンクして、作品に広がりが生まれていて、それがとても印象的でした。

MISATO:「手紙」ってすごく手作り感というか、温もりも感じるんだけど、でもどこまでも届くじゃないですか?今の技術を使ったら地球の裏側、それこそブラジルにだって簡単に届くことができるという、そのネットワークというか、デジタル要素もしっかり感じられるんだけど、でも根底には愛だったり温もりであったり、人が作っているんだよね、というところが形になっている気がします。

金子:やっぱり生楽器の良さが全編で感じられるから、そういう温もりというのもあるし、あとブラジル要素の一方で、アルバム後半には去年出した台湾のDSPSというバンドのボーカルとコラボした曲も入ってたりして、そういう異国感みたいなところはアルバム全体のキーになっていると感じました。

MISATO:どこまでも広がるアルバムになるかと思います。ではお聴きいただきましょう。

金子:アルバムの1曲目、これは名曲です。古川麦で「Angel」。



MISATO:アルバム全部聴いてほしいですね。

金子:そうですね。


New Release Digest Part 3


MISATO:7月4日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜Part 3の6作品でした。リリースおめでとうございます!最後に紹介したアロワナレコード!こちら初登場ですね。

金子:はじめましてですね。2019年に大学時代の友人たちによって結成され、関東でライブを中心に活動。2020年12月に1st EP『大都会』をリリース。ノンプロモーションながらもApple Musicのプレイリストに取り上げられたりと、注目を浴びてきているということです。非常にフォーキーな、美しいメロディーのバンドでしたね。

MISATO:とても気持ちが良かったですし、でも歌詞はわりとグサッと刺さるというか。この先どうなっていくのかというのは、たしかに分からないことがありますもんね。

金子:彼らのリリースのイベントが、ちょうど夜が明けた今日7月10日に下北沢のBASEMENTBARであるみたいで、FRIENDSHIP.のキュレーターでもあるかたしょくんが働いているわけですけど、やっぱりBASEMENTBARって良いバンドいっぱい出てるんだなあと思って。

MISATO:さすがですよね。毎回そう感じます。

金子:僕はアロワナレコードを今回初めて知ったんですけど、こういう良いバンドがいっぱいいるんだろうなというのを感じて、あらためてライブハウスに通いたくなりました。



MISATO:ぜひBASEMENTBARの月間のスケジュールもご覧になって下さい。そして PENPALS。かっこいいんですけど、歌詞が辛辣だなと思って(笑)。

金子:まずは18年ぶりのアルバムなので、そこを言わせてもらってもいいですか(笑)?

MISATO:すみません!まずは18年ぶりおめでとうございます!

金子:歌詞気になりました(笑)?

MISATO:気になりますよ。「君はきっと戻ってくる だって僕以外は 君のことスカンク(不細工)だと知っているから」と。でもこれ大人じゃないと歌えない。大人だし、PENPALSだからそれに対して、グッとくる情景が思い浮かぶ。これを昨年バンド結成しました、みたいな20代の子たちがやると「おいおいおい、怒っちゃうぞ」となるけど、これがやはり18年の重みですよ。

金子:もともとは90年代から活動しているバンドですからね。音楽性的にも90年代のオルタナティブロックやローファイとかの感じがすごくして、この曲についてキュレーターのタイラさんは、"Holeの「Celebrity Skin」を思わせるギター"と書いてて、これ世代の人たちは"ですよね〜"と絶対なっていて。もう少し言うと、「Getmeee!」というタイトルは、The Vinesというバンドに「Get Free」という曲があるんですけど、それもオルタナなすごくかっこいい曲で、近い世代の人たちはそっちも思い浮かべてると思います(笑)。

MISATO:新曲だけど名曲たちを思い浮かべて、「懐かしい!」となる曲なんですね。

金子:でもよく言っているように、いまの若い子たちにもこのサウンド感って絶対響くと思います。ミックスの感じとかもあえて音圧を高くしないで低めにしている感じ。サブスクでいろいろ聴き比べるようなって、ちょっと前だとロックバンドは他のジャンルと比べてサウンドが弱いみたいな言われ方をされていたけど、逆にこの音圧の低さがこの曲を際立たせるというか、このサウンド感には合っているなと改めて感じたりもしました。このあたりも長くやっているからこそ、意図的な部分なんだろうなと。



MISATO:ではPart 3からどの曲いきましょうか?

金子:こちらもアルバムが完成ということで、Pictured Resortをかけたいと思います。

MISATO:やったー!拍手喝采だ!

金子:僕らも喜んでますけど、たぶん番組のディレクターさんが一番喜んでいらっしゃると思います。新曲がかかる度に、「推しだ!」とおっしゃっていましたからね。

MISATO:毎回おっしゃっていましたね(笑)。

金子:まあでも7月に入って、まさにPictured Resortの季節ですよね。

MISATO:稼ぎどき!

金子:言い方(笑)。

MISATO:あはは。一番煌めく季節!

金子:そっちがいいと思います(笑)。Pictured Resortは2014年に結成なんですけど、2020年の12月からソロプロジェクトに変わり、それ以降では初めてのアルバムです。やっぱり2014年結成だから、時代的にもチルウェイブとかその辺りの影響からスタートしつつ、ソロプロジェクトになってDTM感が強くなったことによって、よりグルヴィーなダンストラックっぽさが増して、その背景には70年代や80年代のファンクやソウルの感じがあるから、当然いまだったらシティ・ポップの流れとも結び付けられるし、ドライブ・ミュージックとしても素晴らしいなと思います。良さがパンパンに詰まっているアルバムだなという感じがしました。

MISATO:しかも今回はイラストレーターの江口寿史さんが書き下ろしでイラストを準備してくださったということで。

金子:江口さんとのコラボ2作目ですね。それこそ"シティ・ポップといえば永井博"というのがあると思いますが。

MISATO:山下達郎さんとかね!

金子:江口寿史さんのイラストもめっちゃよくて。

MISATO:女性の憂いみたいなものとかがやっぱりいいですね。

金子:"新時代のシティ・ポップといえば江口寿史"みたいになってもおかしくはないぐらい、音楽ともハマっているしすごくいいなって。

MISATO:ジャケットだけですごく懐かしさを感じますもんね 。なんでですかね...色合いですかね。サブスクでもジャケット見られるので、ぜひご覧になってください。



RADIO INFORMATION

FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
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FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、MISATOと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。

放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)

番組MC
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金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3

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MISATO
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。
TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。
安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10

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Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin


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