SENSA

2022.07.06

古川 麦「Xin」── 旅行先から届けられた手紙のようなインティメートな作品

古川 麦「Xin」── 旅行先から届けられた手紙のようなインティメートな作品

ceroのサポートをはじめ様々なプロジェクトで活躍するシンガーソングライター/ギタリスト、古川麦の4年ぶりとなるサードアルバム『Xìn』がリリースされた。

アルバムタイトル『Xìn』は中国語で『手紙』という意味。ジャケットには、写真家の鈴木⻯一朗が台北上空から撮影した写真が使われており、ポストカードのようなデザインが施されている。アルバム制作期間は2020年から約2年間で、コロナ禍での制作ということもあり、彼自身の内面から溢れる切実さのようなものが楽曲に反映されているようだ。

参加ミュージシャンも豪華だ。ceroのサポートで共演した⾓銅真実(ヴォーカル)、CRCK/LCKSの井上銘(ギター)、台湾の4人組バンドDSPSの曾稔⽂(コーラス)を始めとして、自身のグループ(Baku Furukawa e Ondulações)で長らく共演している杉本亮(ピアノ)、千葉広樹(ベース)、⽥中佑司(ドラム)などが参加している。

サウンド⾯では、ジャズ、南米音楽、ヒップホップ、ソウル、フォークなど様々なジャンルが違和感なく溶け合い、壮⼤で優美な楽曲にまとめられている。古川はお気に入りのミュージシャンとして、ブラジルのジョアン・ジルベルト、アルゼンチンのフアン・キンテート(アカ・セカ・トリオ)などを挙げているが、本作からも彼らの音楽の片鱗を伺うことができる。

オープニング曲M1「Angel」は、ギターとピアノの優しい音色に導かれるような美しいナンバー。先行シングルM2「Ritual」は、古川本人がアルバムの中心的な存在だと語っており、井上銘がギターで参加している。M3「Weep」は中盤でラップも登場するが、米国のヒップホップユニットOkumuraとの共演が影響している。M4「Why」は⾓銅真実がリードヴォーカルをとる楽曲で、ヴォーカルが入った瞬間、気分がふわりと高揚する。M6「Vacilando」は躍動感のあるブラジリアンリズムが印象的で、シンリズムがベースとキーボードで参加。M9「Town of Light」は台湾の曾稔⽂(Amy Tseng/エイミー)がコーラスで参加している。

本作は、彼の旅行先から届けられた手紙のようなインティメートな作品だ。彼はアメリカで生まれ、オーストラリアや日本など世界各地で過ごし、自身の音楽を確立させてきた。これからも国内外のミュージシャンと交流しつつ、生活に寄り添えるような音楽を作り続けたいと語っている。彼の音楽の旅は続く。今後も古川麦の活動から目が離せない。

文:渡部 徹(pwm)



RELEASE INFORMATION

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古川麦「Xìn」
2022年7月6日(水)
Format:Digital/CD
Label:A GRAIN OF WHEAT RECORD

Track:
1. Angel
2. Ritual
3. Weep
4. Why feat. Manami Kakudo
5. 雪
6. Vacilando
7. 灯火(Xìn mix)
8. 見つからなかった(Xìn mix)
9. Town of Light feat.曾稔文(Xìn mix)
10. Gomennasai

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