SENSA

2021.12.01

作り変えられていく世界の今を声にする「Small Circle of Friends」-Highlighter Vol.104-

作り変えられていく世界の今を声にする「Small Circle of Friends」-Highlighter Vol.104-

音楽だけでなく、どのカルチャーも共通点やつながりがあるということをコンセプトにしているSENSA。INTERVIEWシリーズ「Highlighter」では、アーティストはもちろん、音楽に関わるクリエイターにどのような音楽・カルチャーに触れて現在までに至ったか、その人の人となりを探っていく。
Vol.104は、1993年にデビューしたムトウサツキとアズマリキによるふたり組ユニットSmall Circle of Friendsを取り上げる。
12月1日にリリースされた『Cell』は、Small Circle of Friends名義としては前作『Silence』から約5年となる通算12枚目のフルアルバム。2019年の夏頃から制作に着手したが、コロナ禍の混乱のなかで白紙に戻し、新たに7曲を制作。今の感情がストレートに表れた全11曲になった。タイトルの「Cell」は様々な事柄が「細胞」から作り変えていく感覚や、ずっとこもっている「小さな場所」を表している。


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活動を始めたきっかけ
福岡にて1992年頃からDJをしながら、イベント/パーティー(タイトル:「Freedom Express」)を主催するうちに、自分たちでも音楽を作ってみたい、と思うようになったのが全てのはじまりでした。

影響を受けたアーティスト
直接的な影響であれば、United Future Organization(U.F.O)です。自分たちのイベントに彼らを東京から福岡にゲストで呼び、そのDJプレイを目の当たりにしたり、U.F.Oの特に初期の曲にはとても衝撃を受けました。
その事に触発されて自分たちも音楽を作るようになり、最初のデモテープを福岡のイベントの時にU.F.Oへ直接渡します。まさにその曲「Sittin' on the Fence 」が1993年U.F.OのレーベルBrownswoodのコンピレーション・アルバム『マルチダイレクション』に1曲収録され、翌年1994年にはデビューシングル『e.p.』をBrownswoodからリリースしました。





注目してほしい、自分の関わった作品
2020年リリース。kojikoijのファーストEP『127』。
アズマリキが全曲アレンジとミックスダウンからマスタリングまで担当したのですが、BASIくんと共に、とにかく丁寧に丁寧に......作業をすすめていった思い入れの深い作品です。



そして2021年12月リリース。Small Circle of Friendsのアルバム『Cell』です。
2020年の春から自分たちのスタジオ「スタジオ75」にこもって、先の不安を抱えながら作った楽曲は、歌詞の面でも、サウンドの面からも、この時期の「自分たちの置かれた環境」から確実に影響を受けています。
そしてその事がSmall Circle of Friendsの新しい音楽が生まれるきっかけになったと思います。



今後挑戦してみたいこと
これからを生きていくことこそ挑戦だったこの2年の間、ライヴをすることさえも止めていたから、まずはライヴ、そしてツアーで各地を巡りたいし、ヒトに会いに行きたいです。「困難な事に挑む」。案外日々暮らすことは、挑戦だったんだなと思い返しています。

カルチャーについて

触れてきたカルチャー
なによりファッションからの影響、ことにその当時考えうる文化の底辺が垣間みえていたイギリス、そしてジャイルス・ピーターソン周辺の人々や動きからの影響は大きく、1990年初頭の福岡では、新しい音楽は常に洋服屋さん(当時サツキはインポートショップのバイヤーを、アズマはスタイリストをしていました)と共にあったし、インターネットのない時代、情報もそこにありました。その頃のイギリスのファッション誌にはインスピレーションを受けていて、レア・グルーヴやアシッドジャズのムーブメント、そしてブリストルのMassive Attackの前身The Wild Bunchの動きにはリアルタイムでのめり込んでいました。


今注目しているカルチャー
カルチャーを文化社会と捉えれば、斎藤幸平さんの本『人新世の「資本論」』と佐久間裕美子さんの本『Weの市民革命』、そして佐久間さん主宰のSakumag Collective『We Act !』もそんな中の大事なイシューとして気づき溢れる未来の文化カルチャーを左右する本でした。哲学者、経済思想史研究者である斎藤幸平さんと文筆家でジャーナリスト、アクティビストでもある佐久間裕美子さんの言葉は、このパンデミックを生きる上で、今までを、そしてこれからを支え考え直し、生活とは音楽とは、すべてが地続きなのだと「考え直す」キッカケになりました。『We Act !』は、そのコロナ禍で生まれ佐久間さんの元に集まる「Sakumag」メンバーが「私たち(We)ができること」を言葉と行動に変え冊子となって生まれたものです。

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RELEASE INFORMATION

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Small Circle of Friends『Cell』
2021年12月1日(水)
試聴はこちら

PROFILE

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Small Circle of Friends
ムトウサツキとアズマリキのふたり組。
1993年、United future organizationのレーベルBrownswoodよりデビュー。以来、様々な名義で17枚のフルアルバムをリリース。2005年にはインストゥルメンタルに特化したサイドプロジェクトSTUDIO75をスタートし、英国の人気DJ、ジャイルス・ピーターソンもラジオプログラムにてプレイするなど、世界的な評価を得た。アーティストのトータルプロデュースからbeat製作も多数。最新は、BASI、maco marets、kojikojiなど。2019年7月にはSmall Circle of Friendsが生み出した物語の主人公、アズマリキの別人格であるタケイフミラによる2ndアルバム『detective TAKEI FUMIRA / Five 5』をリリース。
サツキは「これからを着る」服を仕立て制作する。
音と服で毎日を暮らす。

LINK
オフィシャルサイト
@SCOF75
@scof75
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