- TOPICS
- FEATURE
2022.03.25
FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!優河・She Her Her Hers・Wonderful Orchestra Band ほか全17作品 -2022.03.23-
カルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信するサービス FRIENDSHIP.の新譜を紹介。
キュレーターの金子厚武とラジオDJ MISATOによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
MISATO:3月21日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全17作品の中から、まずはPart 1の6作品をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます!厚武さん、私sangdeiがわりとストライクなんですけど、デモテープで来た方ですか?
金子:そうですね。
MISATO:嬉しい!
金子:しかもsangdeiくんはWez Atlasくんに影響を受けていまのスタイルをやり始めたそうです。
MISATO:なんだろう、胸が熱い...。嬉しいですね、こういう番組でFRIENDSHIP.に関わっている身からすると!
金子:Wezくんも若手な印象がありましたけど、既にもうさらに下の世代に影響を与えつつあるという。実際Wezくんにも通ずる非常に軽やかなポップで、歌い回しも英語と日本語を使い分けていて。たぶんまだ20歳過ぎくらいだと思うんですけど、これからが楽しみなアーティストですね。
MISATO:吸収率がだいぶ高いと思うので注目ですね。そして番組初が5kai!
金子:また一転、今度は軽やかというよりかはめちゃめちゃ複雑なビートでしたけど(笑)。
MISATO:音像としてはだいぶチープな感じにも聴こえますね。
金子:たぶん、あえてそうしてるんでしょうね。
MISATO:それがかっこいいです。
金子:もともと2017年から2人組として活動していて、リリース自体はひさしぶりです。今回『Ideas vol.1』というEPで、曲名も「track_1」だったりと、そのときの"面白い"と思ったアイデアをどんどん曲に落とし込んでいく、みたいなシリーズなのかなと思います。たぶんツインドラムでちょっとドラムンベースっぽい感じのビートになっていて、FRIENDSHIP.には、downyとかskillkillsとか、人力ビートのすごい人たちがたくさんいますけど、5kaiも負けてないですね。
MISATO:そうですね。最後の終わり方も注目なので、1曲フルで聴いてみてください。
MISATO:そして、フー・ドゥ・ユー・ラブがはじめまして。
金子:もともとキイチビール&ザ・ホーリーティッツというバンドをやっていたボーカルの貴一くんが新しく始めたバンドで、音源自体初めてのリリースです。
MISATO:FRIENDSHIP.からなんだ、嬉しいな〜。
金子:貴一くんは"キイチビール"という自分の名前が入っているバンドを一旦お休みして、残ったメンバーで活動していたんですけど、昨年末で解散することになり、貴一くんとしては新たなバンドを始めたというストーリーもあったりします。キイチビール&ザ・ホーリーティッツはもともと5人組だったんですけど、今回は3ピースで、日本語ロックの良さを活かした、ソリッドなときのサニーデイ・サービスみたいな雰囲気があって。このいい意味での荒々しさがとても新鮮に響きますね。
MISATO:それではここで1曲、Part 1からお送りしましょう。
金子:今週Part 1は優河さんを紹介しましょう。ドラマ主題歌としておなじみの「灯火」がずっと聴かれ続けていて、最近のランキングでもずっと1位で、今週も1位だったりするんですけど、そんな注目を浴びる中での待望のリリースになります。いいアルバムです。
MISATO:素晴らしいですね。もちろん「灯火」も収録されてますし、4年ぶり3枚目のフルアルバムですね。
金子:この前優河さんの取材をしてきたんですけど、4年の間に自分に自信が持てない時期がちょっとあったらしくて、でもそんな中でミュージカルのオファーがあり、全然初めてだったんですけど、そこに飛び込んでみたら、自分の歌に対して改めて自信を持てて、そこからやっと制作に向かっていけた、みたいなことを話してくれました。あと、もともと優河さんはハモりがあんまり得意じゃないとご自身では言ってて。
MISATO:そうなんですか?
金子:でも、ミュージカルで声を重ねることの綺麗さに改めて気づいて、それこそコロナ禍だったから、自宅で自分の声を重ねるということをずっとやっていたらしくて。だから今回のアルバムには、優河さんが自分で作ったコーラスがいろんな曲で使われていて。
MISATO:なるほど、そういうことだったんですね。
金子:「WATER」もそうですし、今回聴いてもらう「ゆらぎ」という曲にも、やっぱりコーラスがすごく印象的に使われているので要注目です。
MISATO:自分のコンプレックスがいま一番の武器になっているのは、相当大変な4年だったとは思うんですけど、その想いと歴史みたいなものも詰まっているアルバムになってるんですね。音の作りは生々しいんだけど、優河さんの歌声・声質というのが、人間っぽさとはちょっと乖離している、讃美歌のような印象を持たせてくれる声質だから、そのあたりも優河さんがどの方向に向かってきたのか、自分に何ができるのかというのが見えてるアルバムになっているんでしょうね。
MISATO:いまのインタビューの話を聞いてからアルバムを聴くと、ちょっと聴こえ方が変わりますね。単純に「わー、コーラス素敵!」と思っていたくらいだから、ここに引っ掛かりがあったとは。ぜひ聴き込んでみてください。
MISATO:3月21日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全17作品の中から、Part 2の5作品をダイジェストでご紹介しました。なにやら後半にちょっと懐かしい音が聴こえて参りました。KINUさん!
金子:KINUさんは今回日本を代表するフォーク・デュオであるブレッド&バターの名曲「Summer Blue」をカバーしています。
MISATO:1979年リリースの楽曲です。
金子:僕が生まれた年ですね。
MISATO:え!そうなんですか!
金子:フォーク・デュオのカバーですけど、レゲエのアレンジになっていて、一足早く夏を先取りした感じのいいカバーですよね。
MISATO:今回の新譜は春を飛び越えた曲がちらほらと(笑)。
金子:Part 3でもそういう曲たちが控えてますからね。みんな気が早いですよね。
MISATO:やっぱり寒いのが辛かったんだろうなという感じもしますよね(笑)。そして、グッド・ライフ・フェロウズ。番組で紹介するのは初ですか?
金子:そうですね。リリースが結構久しぶりで、1年半ぐらい空いているのかな?もともと2019年から活動していて、サトーカンナさんというボーカルの方を中心としたバンドなんですけど、聴いてもらってわかるように、こちらもちょっと懐かしい感じの昭和歌謡だったりとか、オールディーズみたいな感じも含む、とても素敵なバンドですね。
MISATO:フリフリの衣装を着たお姉さんがスタンドマイクで歌っているみたいな印象もあるし、でも小沢健二さんとかそういった印象もあるし、これは結構ファン層が膨らみそうな曲ですね。そして1曲お送りするのは?
金子:Part 2は、She Her Her Hersをお送りしましょう。
MISATO:精力的ですね。
金子:そうですよね。昨年の頭ぐらいにEPを出して、そこから先もコンスタントに新曲を配信し続けてきて、その曲たちも含めた今回のアルバムになっていますね。
MISATO:アルバムとしては2年半ぶりとなっています。
金子:最近のShe Her Her Hersは自分たちの色をしっかり確立している印象があって。コロナ禍でなかなかライブが出来なくなった一方、音源をより精度高く作り続けていて、髙橋さんの作る低体温な、透明感のあるサウンド感とヴォーカルに対して、とまそんさんと松浦さんが書く歌詞というのは時代を見つめた温度感があるもので、その独自のバランス感というのがShe Her Her Hersだなという感じがすごくしています。
MISATO:そうですね。
金子:さらに今回のアルバムにはLUCKY TAPESのベースの田口くんが参加していて、サウンドの中に温度感を加えていることによって、言葉の面も含めた全体的な熱が、前作よりもちょっとだけ上がっている気がします。
MISATO:田口さん以外にも、ライブで一緒に演奏しているメンバーが入ることで、そのライブ感、熱というのがやっぱり違いますね。
金子:サックスやバイオリン、パーカッションが入ったりしています。とまそんさんと松浦さんが書く歌詞は時代を見つめて、 SNSとかがテーマになっていたりとかして、自分たちの言いたいことや伝えたいことの熱量が高まり、サウンドと言葉が相乗効果でどんどん高まってきているんじゃないかなという感じがすごくしましたね。
MISATO:ぜひそのバランス感を聴いてみてください。
MISATO:やっぱり髙橋さんの声質と歌い方だけだと、その熱量のまま具現化しそうじゃないですか?それはそれですごくいい楽曲にもなるとは思うんですけど、でもShe Her Her Hersの魅力って、最初に厚武さんがおっしゃったように、低体温なんだけど沸々と通奏低音の如く鳴り続けている、熱い青い炎系の想いが集まっているという感じで。髙橋さんのボーカル・声質と歌い方あってこそのShe Her Her Hersなんだなというのも感じますね。
金子:まさにそうですね。
MISATO:3月21日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全17作品の中から、ラストの6作品をダイジェストでご紹介しました。Part 3とても気持ちが良いです。最後のシャープ兄弟はアルバムですね。
金子:20年ぶりのアルバムが、遂にリリースということで。
MISATO:遂に成人しました(笑)。
金子:いやー、20年ぶりはすごいですね。
MISATO:すごいことだな〜。そしてとってもかっこいいですね。
金子:いいですね。もともと4人組だったんですけど、今回のタイミングから2人メンバーが、パーカッションのtobbyさんと、ボーカルのハットリユートピアさんが加わり、インストが基調ではあるんだけど、ボーカルもちょっと入っていたり、また新しい感じになっています。あとこのアルバムは、福岡と伊豆のスタジオ2つを行き来しながら録っていて、対面で録音することにかなりこだわったらしく、クリックも聴かないで全部録っているらしくて。
MISATO:え!?ベテランの域、神々のなせる業みたいなものが集結されていますね(笑)。
金子:リモートの時代だからこそ、実際に会って録音するということの贅沢さを存分に詰め込んだ作品ですね。「One Two Three」という曲名とかも、合わせるときのカウントの「ワンツースリー」から来てるのかも。
MISATO:そうかもしれない!レコーディング風景を見てみたいですね。
金子:たしかに、気になる。
MISATO:そしてひさしぶりの新曲だけど、新曲ではないfutures。
金子:さっきKINUさんの「Summer Blue」がありましたけど、こちらは「maybe blue」ですね。2020年に一度リリースしているんですけど、今回はシンガー・ソングライターのkiarayuiさんを迎えて、新たなバージョンとしてリリースになります。
MISATO:やっぱり変わりますね。
金子:futures、最近いいですね。よりポップさを増していてとても良いです。
MISATO:聴き馴染みがすごく良くなったというのと、そのポップさがやっぱりJ-Popのポップさとはまた全然違うというか、futuresの世界観を崩さないというか。もちろん、kiarayuiさんが入っているというのはあるんですけど。
金子:この前ユアネスのワンマンを観てきたんですけど、「49/51 (feat.nemoi)」をnemoiさん本人も参加してやっていて、男性の声に女性の声が加わるだけで、パッと開けるものがやっぱりあって。この「maybe blue」に関してもまさにそうだなという感じがしましたね。
MISATO:より透明感が増したりだとか、横の幅が広がるみたいな雰囲気が出てきますよね。
MISATO:さあ1曲お送りするのはどの曲でしょう?
金子:今週Part 3はWonderful Orchestra Bandを紹介しようかなと思います。
MISATO:またまた季節を飛び越えております!
金子:Sundayカミデさん率いるワンダフルボーイズのメンバーも参加しつつ、オーケストラバンドということで、こちらはインストになっています。アルバムのタイトルが 『The answer to the trip』で、「このご時世どこか遠くに行けなくても、都会の喧騒から離れて、波寄せる音が聞こえたり、雨が降ったりとまるで、ひとりで、もしくは誰かと旅を楽しんでいるような気分になれるように、この音楽を作った」とのことです。実際レゲエだったりディスコだったり、トロピカルな感じも存分にあって、非常に気持ちいい、まさにトリップできるような作品になっていますね。
MISATO:脳内トリップできるけど、押し付けがましくないというか、「ほら!夏だぞ!」とか「旅行行くぞ!」というよりは、「行きたいなら、ちょっと近場でも行ってみる?」くらいの軽やかさというか。
金子:リラックス感がありますよね。
MISATO:こっちに委ねてくれるというのが、もちろんインスト自体の良さでもあるけど、それがとても感じられる作品ですね。あとオルガンの印象って結構大きいんですね。
金子:まさに。僕もオルガンが印象的だと思って、弾いてるのは岩井ロングセラーさんというワンダフルボーイズのサポートをしたり、奇妙礼太郎さんのバンドにも参加していたりする方なんですけど、気になって「この人どういう人なんだろう?」と思って調べたら、もちろんレゲエとかのオルガンも好きだと思いますけど、もともと大のプログレ・マニアらしくて(笑)。
MISATO:え!?嘘だ!
金子:そっちからもオルガンが来ている人みたいで。
MISATO:面白い〜!このバンドはバックグラウンドが面白い人しか入れないですね。
金子:"岩井ロングセラー"という名前からして気になりますしね(笑)。
MISATO:またお仕事頼みたくなる(笑)。
金子:"ロングセラー"になりそうですもんね。
MISATO:なりそう!そんなロングセラーを約束された楽曲を聴いてみましょう。
金子:春からさらに飛び越えて、夏の気分になっていただこうかと思います。 Wonderful Orchestra Bandで「summer vacation」。
MISATO:みなさん、「このオルガンのルーツがプログレだとは...」と思いながら聴いてくださっていたのではないでしょうか(笑)。
FM福岡で毎週月曜日から金曜日まで深夜にオンエアされる、福岡市・警固六角にある架空のマンションの一室を舞台に行われ、次世代クリエイターが様々な情報を発信するプログラム「ミッドナイト・マンション警固六角(けごむつかど)」。"303号室"(毎週水曜日の27:00~27:55)では、FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」をオンエア。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、MISATOと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。
放送時間:毎週水曜日 27:00~27:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
MISATO
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。
TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。
安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10
Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin
FRIENDSHIP.
キュレーターの金子厚武とラジオDJ MISATOによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
New Release Digest Part 1
MISATO:3月21日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全17作品の中から、まずはPart 1の6作品をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます!厚武さん、私sangdeiがわりとストライクなんですけど、デモテープで来た方ですか?
金子:そうですね。
MISATO:嬉しい!
金子:しかもsangdeiくんはWez Atlasくんに影響を受けていまのスタイルをやり始めたそうです。
MISATO:なんだろう、胸が熱い...。嬉しいですね、こういう番組でFRIENDSHIP.に関わっている身からすると!
金子:Wezくんも若手な印象がありましたけど、既にもうさらに下の世代に影響を与えつつあるという。実際Wezくんにも通ずる非常に軽やかなポップで、歌い回しも英語と日本語を使い分けていて。たぶんまだ20歳過ぎくらいだと思うんですけど、これからが楽しみなアーティストですね。
MISATO:吸収率がだいぶ高いと思うので注目ですね。そして番組初が5kai!
金子:また一転、今度は軽やかというよりかはめちゃめちゃ複雑なビートでしたけど(笑)。
MISATO:音像としてはだいぶチープな感じにも聴こえますね。
金子:たぶん、あえてそうしてるんでしょうね。
MISATO:それがかっこいいです。
金子:もともと2017年から2人組として活動していて、リリース自体はひさしぶりです。今回『Ideas vol.1』というEPで、曲名も「track_1」だったりと、そのときの"面白い"と思ったアイデアをどんどん曲に落とし込んでいく、みたいなシリーズなのかなと思います。たぶんツインドラムでちょっとドラムンベースっぽい感じのビートになっていて、FRIENDSHIP.には、downyとかskillkillsとか、人力ビートのすごい人たちがたくさんいますけど、5kaiも負けてないですね。
MISATO:そうですね。最後の終わり方も注目なので、1曲フルで聴いてみてください。
MISATO:そして、フー・ドゥ・ユー・ラブがはじめまして。
金子:もともとキイチビール&ザ・ホーリーティッツというバンドをやっていたボーカルの貴一くんが新しく始めたバンドで、音源自体初めてのリリースです。
MISATO:FRIENDSHIP.からなんだ、嬉しいな〜。
金子:貴一くんは"キイチビール"という自分の名前が入っているバンドを一旦お休みして、残ったメンバーで活動していたんですけど、昨年末で解散することになり、貴一くんとしては新たなバンドを始めたというストーリーもあったりします。キイチビール&ザ・ホーリーティッツはもともと5人組だったんですけど、今回は3ピースで、日本語ロックの良さを活かした、ソリッドなときのサニーデイ・サービスみたいな雰囲気があって。このいい意味での荒々しさがとても新鮮に響きますね。
MISATO:それではここで1曲、Part 1からお送りしましょう。
金子:今週Part 1は優河さんを紹介しましょう。ドラマ主題歌としておなじみの「灯火」がずっと聴かれ続けていて、最近のランキングでもずっと1位で、今週も1位だったりするんですけど、そんな注目を浴びる中での待望のリリースになります。いいアルバムです。
MISATO:素晴らしいですね。もちろん「灯火」も収録されてますし、4年ぶり3枚目のフルアルバムですね。
金子:この前優河さんの取材をしてきたんですけど、4年の間に自分に自信が持てない時期がちょっとあったらしくて、でもそんな中でミュージカルのオファーがあり、全然初めてだったんですけど、そこに飛び込んでみたら、自分の歌に対して改めて自信を持てて、そこからやっと制作に向かっていけた、みたいなことを話してくれました。あと、もともと優河さんはハモりがあんまり得意じゃないとご自身では言ってて。
MISATO:そうなんですか?
金子:でも、ミュージカルで声を重ねることの綺麗さに改めて気づいて、それこそコロナ禍だったから、自宅で自分の声を重ねるということをずっとやっていたらしくて。だから今回のアルバムには、優河さんが自分で作ったコーラスがいろんな曲で使われていて。
MISATO:なるほど、そういうことだったんですね。
金子:「WATER」もそうですし、今回聴いてもらう「ゆらぎ」という曲にも、やっぱりコーラスがすごく印象的に使われているので要注目です。
MISATO:自分のコンプレックスがいま一番の武器になっているのは、相当大変な4年だったとは思うんですけど、その想いと歴史みたいなものも詰まっているアルバムになってるんですね。音の作りは生々しいんだけど、優河さんの歌声・声質というのが、人間っぽさとはちょっと乖離している、讃美歌のような印象を持たせてくれる声質だから、そのあたりも優河さんがどの方向に向かってきたのか、自分に何ができるのかというのが見えてるアルバムになっているんでしょうね。
MISATO:いまのインタビューの話を聞いてからアルバムを聴くと、ちょっと聴こえ方が変わりますね。単純に「わー、コーラス素敵!」と思っていたくらいだから、ここに引っ掛かりがあったとは。ぜひ聴き込んでみてください。
New Release Digest Part 2
MISATO:3月21日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全17作品の中から、Part 2の5作品をダイジェストでご紹介しました。なにやら後半にちょっと懐かしい音が聴こえて参りました。KINUさん!
金子:KINUさんは今回日本を代表するフォーク・デュオであるブレッド&バターの名曲「Summer Blue」をカバーしています。
MISATO:1979年リリースの楽曲です。
金子:僕が生まれた年ですね。
MISATO:え!そうなんですか!
金子:フォーク・デュオのカバーですけど、レゲエのアレンジになっていて、一足早く夏を先取りした感じのいいカバーですよね。
MISATO:今回の新譜は春を飛び越えた曲がちらほらと(笑)。
金子:Part 3でもそういう曲たちが控えてますからね。みんな気が早いですよね。
MISATO:やっぱり寒いのが辛かったんだろうなという感じもしますよね(笑)。そして、グッド・ライフ・フェロウズ。番組で紹介するのは初ですか?
金子:そうですね。リリースが結構久しぶりで、1年半ぐらい空いているのかな?もともと2019年から活動していて、サトーカンナさんというボーカルの方を中心としたバンドなんですけど、聴いてもらってわかるように、こちらもちょっと懐かしい感じの昭和歌謡だったりとか、オールディーズみたいな感じも含む、とても素敵なバンドですね。
前作リリース時に公開した、ルーツや人となりを探っていくINTERVIEWシリーズ「Highlighter」もぜひチェックを!
MISATO:フリフリの衣装を着たお姉さんがスタンドマイクで歌っているみたいな印象もあるし、でも小沢健二さんとかそういった印象もあるし、これは結構ファン層が膨らみそうな曲ですね。そして1曲お送りするのは?
金子:Part 2は、She Her Her Hersをお送りしましょう。
MISATO:精力的ですね。
金子:そうですよね。昨年の頭ぐらいにEPを出して、そこから先もコンスタントに新曲を配信し続けてきて、その曲たちも含めた今回のアルバムになっていますね。
MISATO:アルバムとしては2年半ぶりとなっています。
金子:最近のShe Her Her Hersは自分たちの色をしっかり確立している印象があって。コロナ禍でなかなかライブが出来なくなった一方、音源をより精度高く作り続けていて、髙橋さんの作る低体温な、透明感のあるサウンド感とヴォーカルに対して、とまそんさんと松浦さんが書く歌詞というのは時代を見つめた温度感があるもので、その独自のバランス感というのがShe Her Her Hersだなという感じがすごくしています。
MISATO:そうですね。
金子:さらに今回のアルバムにはLUCKY TAPESのベースの田口くんが参加していて、サウンドの中に温度感を加えていることによって、言葉の面も含めた全体的な熱が、前作よりもちょっとだけ上がっている気がします。
MISATO:田口さん以外にも、ライブで一緒に演奏しているメンバーが入ることで、そのライブ感、熱というのがやっぱり違いますね。
金子:サックスやバイオリン、パーカッションが入ったりしています。とまそんさんと松浦さんが書く歌詞は時代を見つめて、 SNSとかがテーマになっていたりとかして、自分たちの言いたいことや伝えたいことの熱量が高まり、サウンドと言葉が相乗効果でどんどん高まってきているんじゃないかなという感じがすごくしましたね。
MISATO:ぜひそのバランス感を聴いてみてください。
MISATO:やっぱり髙橋さんの声質と歌い方だけだと、その熱量のまま具現化しそうじゃないですか?それはそれですごくいい楽曲にもなるとは思うんですけど、でもShe Her Her Hersの魅力って、最初に厚武さんがおっしゃったように、低体温なんだけど沸々と通奏低音の如く鳴り続けている、熱い青い炎系の想いが集まっているという感じで。髙橋さんのボーカル・声質と歌い方あってこそのShe Her Her Hersなんだなというのも感じますね。
金子:まさにそうですね。
New Release Digest Part 3
MISATO:3月21日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全17作品の中から、ラストの6作品をダイジェストでご紹介しました。Part 3とても気持ちが良いです。最後のシャープ兄弟はアルバムですね。
金子:20年ぶりのアルバムが、遂にリリースということで。
MISATO:遂に成人しました(笑)。
金子:いやー、20年ぶりはすごいですね。
MISATO:すごいことだな〜。そしてとってもかっこいいですね。
金子:いいですね。もともと4人組だったんですけど、今回のタイミングから2人メンバーが、パーカッションのtobbyさんと、ボーカルのハットリユートピアさんが加わり、インストが基調ではあるんだけど、ボーカルもちょっと入っていたり、また新しい感じになっています。あとこのアルバムは、福岡と伊豆のスタジオ2つを行き来しながら録っていて、対面で録音することにかなりこだわったらしく、クリックも聴かないで全部録っているらしくて。
MISATO:え!?ベテランの域、神々のなせる業みたいなものが集結されていますね(笑)。
金子:リモートの時代だからこそ、実際に会って録音するということの贅沢さを存分に詰め込んだ作品ですね。「One Two Three」という曲名とかも、合わせるときのカウントの「ワンツースリー」から来てるのかも。
MISATO:そうかもしれない!レコーディング風景を見てみたいですね。
金子:たしかに、気になる。
MISATO:そしてひさしぶりの新曲だけど、新曲ではないfutures。
金子:さっきKINUさんの「Summer Blue」がありましたけど、こちらは「maybe blue」ですね。2020年に一度リリースしているんですけど、今回はシンガー・ソングライターのkiarayuiさんを迎えて、新たなバージョンとしてリリースになります。
MISATO:やっぱり変わりますね。
金子:futures、最近いいですね。よりポップさを増していてとても良いです。
MISATO:聴き馴染みがすごく良くなったというのと、そのポップさがやっぱりJ-Popのポップさとはまた全然違うというか、futuresの世界観を崩さないというか。もちろん、kiarayuiさんが入っているというのはあるんですけど。
金子:この前ユアネスのワンマンを観てきたんですけど、「49/51 (feat.nemoi)」をnemoiさん本人も参加してやっていて、男性の声に女性の声が加わるだけで、パッと開けるものがやっぱりあって。この「maybe blue」に関してもまさにそうだなという感じがしましたね。
MISATO:より透明感が増したりだとか、横の幅が広がるみたいな雰囲気が出てきますよね。
MISATO:さあ1曲お送りするのはどの曲でしょう?
金子:今週Part 3はWonderful Orchestra Bandを紹介しようかなと思います。
MISATO:またまた季節を飛び越えております!
金子:Sundayカミデさん率いるワンダフルボーイズのメンバーも参加しつつ、オーケストラバンドということで、こちらはインストになっています。アルバムのタイトルが 『The answer to the trip』で、「このご時世どこか遠くに行けなくても、都会の喧騒から離れて、波寄せる音が聞こえたり、雨が降ったりとまるで、ひとりで、もしくは誰かと旅を楽しんでいるような気分になれるように、この音楽を作った」とのことです。実際レゲエだったりディスコだったり、トロピカルな感じも存分にあって、非常に気持ちいい、まさにトリップできるような作品になっていますね。
MISATO:脳内トリップできるけど、押し付けがましくないというか、「ほら!夏だぞ!」とか「旅行行くぞ!」というよりは、「行きたいなら、ちょっと近場でも行ってみる?」くらいの軽やかさというか。
金子:リラックス感がありますよね。
MISATO:こっちに委ねてくれるというのが、もちろんインスト自体の良さでもあるけど、それがとても感じられる作品ですね。あとオルガンの印象って結構大きいんですね。
金子:まさに。僕もオルガンが印象的だと思って、弾いてるのは岩井ロングセラーさんというワンダフルボーイズのサポートをしたり、奇妙礼太郎さんのバンドにも参加していたりする方なんですけど、気になって「この人どういう人なんだろう?」と思って調べたら、もちろんレゲエとかのオルガンも好きだと思いますけど、もともと大のプログレ・マニアらしくて(笑)。
MISATO:え!?嘘だ!
金子:そっちからもオルガンが来ている人みたいで。
MISATO:面白い〜!このバンドはバックグラウンドが面白い人しか入れないですね。
金子:"岩井ロングセラー"という名前からして気になりますしね(笑)。
MISATO:またお仕事頼みたくなる(笑)。
金子:"ロングセラー"になりそうですもんね。
MISATO:なりそう!そんなロングセラーを約束された楽曲を聴いてみましょう。
金子:春からさらに飛び越えて、夏の気分になっていただこうかと思います。 Wonderful Orchestra Bandで「summer vacation」。
MISATO:みなさん、「このオルガンのルーツがプログレだとは...」と思いながら聴いてくださっていたのではないでしょうか(笑)。
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
FM福岡で毎週月曜日から金曜日まで深夜にオンエアされる、福岡市・警固六角にある架空のマンションの一室を舞台に行われ、次世代クリエイターが様々な情報を発信するプログラム「ミッドナイト・マンション警固六角(けごむつかど)」。"303号室"(毎週水曜日の27:00~27:55)では、FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」をオンエア。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、MISATOと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。
放送時間:毎週水曜日 27:00~27:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
番組MC
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
MISATO
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。
TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。
安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10
Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin
LINK
FM福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」FRIENDSHIP.