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2022.03.25
Wonderful Orchestra Band「The answer to the trip」──街のいちばんワルな先輩だけが知っている、最高にお洒落な音楽
ワンダフルボーイズ、そして本バンドにあたるWonderful Orchestra Bandの首謀者であるSundayカミデは中学生の頃、かなりやんちゃしていて、住んでいた地域ではふだつきのワルだったという。その〈正直引くわ!〉というエピソードはこれまでも彼のインタビューなどで愉快に語られてきたが、それらと同時によく言及されているのが、その頃からクラブ遊びをしていたということ。カミデが最初に通っていたのはレゲエのクラブだったそうだが、そこを起点としたナイトクラビングを通じての音楽体験、パーティーへの想いがいまなお続く自身のイベント〈Love Sofa〉の開催につながり、さらにのちの名曲「firefly」を生み出すことになる。
「firefly」──〈とりあえず、君の好きな音楽が響くよ今夜は〉という歌詞からはじまるこの曲は、ガラージ・ディスコ的なリズムのもとで、かつて大阪・長堀橋にあったクラブ、fireflyで見てきた風景が綴られていく。ターンテーブルの上で回るレコード、カラフルな服装の人でごった返すフロア、煙たい空気にうずまく何か新しいストーリーがはじまりそうな予感......。DJ／クラブ・カルチャーに少しでも足を踏み入れたものなら、この曲の捉えているフィーリングをどこまでもリアルに思えることだろう。
ワンダフルボーイズのメンバーを母体に新たに結成されたWonderful Orchestra Bandのファースト・アルバム『The answer to the trip』を聴いて、あらためてカミデのそんな一面──クラブで遊んでいるかっこいい音楽好きのお兄ちゃんという側面を思い出した。といっても、本作はフロア・バンガーやパーティー賛歌を揃えたダンス・ミュージックのアルバムではない、全編をインストで貫いた10曲で、8人はレゲエやダウンテンポ、ジャジーなラウンジといった、どちらかといえばスロウでウォームなサウンドを披露している。
アルバムの冒頭を飾る「Good morning beach」は、滑らかなタッチのピアノとおだやかなバックビートが特徴で、途中のパートではアーシーなオルガンやキッズコーラスが顔を出す。続く「ラバリッツホテル」も基調となっている温度感は前曲に近いが、軽やかなパーカッションやスクラッチに宿るソウル味がたまらない。楽曲の終盤に出てくるマッドチェスター風のギターも実に効いている。その後もルードボーイなハウス「globe」、ジャジーなアーバン・ブレイクビーツ「Wonder People」など、いずれも極上（かつヒップ）なトラックが続くが、僕のお気に入りは8曲目の「Boys town」。BPM97のファットなビートとゴキゲンなホーンに、タイトルの通り男の子たちがストリートを闊歩しているさまが目に浮かぶ、最高にかっこいい楽曲に仕上がっているのだ。
思い出せば、街のいちばんワルな先輩は、なぜかいちばんの洒落者でもあった。このアルバム『The answer to the trip』は、そんな先輩の部屋に遊びに行ったときに聴かせてもらったレコードたちと同じ匂いがしている。タバコくさくて、やたら日当たりだけはいいその部屋で、かつてのカミデは僕のような後輩に音楽を聴かせては、ニヤリと笑ってこう言っていたのだろう。「な、かっこいいやろ?」と。
文：田中亮太
Wonderful Orchestra Band「The answer to the trip」
2022年3月23日(水)
Format: Digital
Label:FRIENDSHIP.
Track:
1.Good morning beach
2.ラバリッツホテル
3.globe
4.NIGHT MOON
5.Wonder People
6.JAGUAR
7.bell
8.Boys town
9.summer vacation
10.Last place
試聴はこちら
Wonderful Orchestra Band
Sundayカミデ （Piano）
番長（Drum）
林未来彦（Sax,Flute）
アツムワンダフル（Guiter）
ニーハオ (Bass)
岩井ロングセラー（Organ,Synthesizer)
増谷紗絵香 (Keyboard）
永野雄己（Trumpet)
3/26(土)大阪/梅田シャングリラ
4/28(木)東京/渋谷La.mama
にて、リリースパーティーを行う。
リリース会場のみでアルバム「The answer to the trip」が限定発売される。
@wonderfulboyzz
@_wonderfulboys_
FRIENDSHIP.
「firefly」──〈とりあえず、君の好きな音楽が響くよ今夜は〉という歌詞からはじまるこの曲は、ガラージ・ディスコ的なリズムのもとで、かつて大阪・長堀橋にあったクラブ、fireflyで見てきた風景が綴られていく。ターンテーブルの上で回るレコード、カラフルな服装の人でごった返すフロア、煙たい空気にうずまく何か新しいストーリーがはじまりそうな予感......。DJ／クラブ・カルチャーに少しでも足を踏み入れたものなら、この曲の捉えているフィーリングをどこまでもリアルに思えることだろう。
ワンダフルボーイズのメンバーを母体に新たに結成されたWonderful Orchestra Bandのファースト・アルバム『The answer to the trip』を聴いて、あらためてカミデのそんな一面──クラブで遊んでいるかっこいい音楽好きのお兄ちゃんという側面を思い出した。といっても、本作はフロア・バンガーやパーティー賛歌を揃えたダンス・ミュージックのアルバムではない、全編をインストで貫いた10曲で、8人はレゲエやダウンテンポ、ジャジーなラウンジといった、どちらかといえばスロウでウォームなサウンドを披露している。
アルバムの冒頭を飾る「Good morning beach」は、滑らかなタッチのピアノとおだやかなバックビートが特徴で、途中のパートではアーシーなオルガンやキッズコーラスが顔を出す。続く「ラバリッツホテル」も基調となっている温度感は前曲に近いが、軽やかなパーカッションやスクラッチに宿るソウル味がたまらない。楽曲の終盤に出てくるマッドチェスター風のギターも実に効いている。その後もルードボーイなハウス「globe」、ジャジーなアーバン・ブレイクビーツ「Wonder People」など、いずれも極上（かつヒップ）なトラックが続くが、僕のお気に入りは8曲目の「Boys town」。BPM97のファットなビートとゴキゲンなホーンに、タイトルの通り男の子たちがストリートを闊歩しているさまが目に浮かぶ、最高にかっこいい楽曲に仕上がっているのだ。
思い出せば、街のいちばんワルな先輩は、なぜかいちばんの洒落者でもあった。このアルバム『The answer to the trip』は、そんな先輩の部屋に遊びに行ったときに聴かせてもらったレコードたちと同じ匂いがしている。タバコくさくて、やたら日当たりだけはいいその部屋で、かつてのカミデは僕のような後輩に音楽を聴かせては、ニヤリと笑ってこう言っていたのだろう。「な、かっこいいやろ?」と。
文：田中亮太
RELEASE INFORMATION
Wonderful Orchestra Band「The answer to the trip」
2022年3月23日(水)
Format: Digital
Label:FRIENDSHIP.
Track:
1.Good morning beach
2.ラバリッツホテル
3.globe
4.NIGHT MOON
5.Wonder People
6.JAGUAR
7.bell
8.Boys town
9.summer vacation
10.Last place
試聴はこちら
PROFILE
Wonderful Orchestra Band
Sundayカミデ （Piano）
番長（Drum）
林未来彦（Sax,Flute）
アツムワンダフル（Guiter）
ニーハオ (Bass)
岩井ロングセラー（Organ,Synthesizer)
増谷紗絵香 (Keyboard）
永野雄己（Trumpet)
3/26(土)大阪/梅田シャングリラ
4/28(木)東京/渋谷La.mama
にて、リリースパーティーを行う。
リリース会場のみでアルバム「The answer to the trip」が限定発売される。
LINK
オフィシャルサイト@wonderfulboyzz
@_wonderfulboys_
FRIENDSHIP.
