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2022.03.18
FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!downy・odol・The fin. ほか全18作品 -2022.03.16-
カルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信するサービス FRIENDSHIP.の新譜を紹介。
キュレーターの金子厚武とラジオDJ MISATOによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
MISATO:3月14日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全18作品の中から、まずはPart 1の6作品をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます!深夜3時にお送りしています(笑)。
金子:ちょっとね、刺激が強い(笑)。
MISATO:Part 1は結構激しめでしたね。
金子:激しめな人たちが並んでいましたね。
MISATO:そういう人たちが並んでいるからこそ、阿佐ヶ谷ロマンティクスの良さもさらに際立つというか。
金子:いいですよね。今回はライブ作品ということで、1月に3rdアルバム『大人幻想』をリリースして、めっちゃいいアルバムだったんですけど、コロナ禍でレコ発ができなくなってしまった中、下北沢のTHREEというライブハウスを使って、急遽ライブ録音を行い、本作のリリースに至ったという物語があります。
MISATO:阿佐ヶ谷ロマンティクスがライブという場所をとても大切にしていることが見えてくるエピソードですね。
金子:だからこそ、ギターとかはエモーショナルで、想いが曲に乗ってより生々しく伝わってくる感じがすごくしました。やはり現場を大事にしてる人たちなんでしょうね。
MISATO:ですね。もっとライブが増える1年になればいいですよね。そしてHoSoVoSo、おひさしぶりです。
金子:さっきのダイジェストの中で、一服の清涼剤みたいな感じでしたね(笑)。HoSoVoSoさんは一昨年と昨年と続けてこの時期に 『春を待つ僕ら』というアルバムをデジタルで出していて、今回はその第3弾になります。HoSoVoSoさんのシンプルな弾き語りを中心にした音楽性は基本変わらずで、普遍的な良さがありますよね。HoSoVoSoさんの声を聴くと、「あ、春が来たな」と感じるようになってきました。
MISATO:このシリーズはどれくらい続くんでしょうかね?「またこの季節だな」というのが巡ってくる感じが素敵です。そんな中、きっとこの曲をかけるんだろうなと思っておりましたが。
金子:Part 1はdownyをかけようと思います。
MISATO:めちゃくちゃかっこいいですね。
金子:Limited Express (has gone?)もKill The Gossipも激しかったですけど、downyかなり刺激的な音像でしたね。新曲のリリースは1年3ヶ月ぶりで、その間にはロビンさんのzezecoとかも挟みつつ、ひさびさのdownyなんですけど、2020年にサンプラーとかを使っているSUNNOVAさんが正式メンバーに加入していることもあって、やはり今のdownyはそこがかなり強烈な色になっているなと。もともとある強靭なリズム隊のすごさに、SUNNOVAさんのサウンドメイクが加わって、「枯渇」というタイトルの曲だけど、全く枯れてない、むしろよりアグレッシブになっているdowny。すごいなと思いました。
MISATO:バンド自体はよりアグレッシブな感じですよね。SUNNOVAさんの音とリズムセクションで、"枯渇"しているからこそ欲している、貪っている感じが、すごく表現ができている感じがします。
金子:この前NIKO NIKO TAN TANを紹介したときに、「音楽と映像の先駆けってdownyだったね」みたいな話をしたと思うのですが、先日gatoのライブを見に行きまして、彼らも映像を使ってめちゃめちゃいいライブをしていて。そのライブを見たときも、改めてdownyを思い出しました。この音源を聴くと、若手に全然負けてないどころか、むしろよりアグレッシブな感じがして、対バンとか見てみたいですね。
MISATO:ルーツというのはどのバンドにも必ずあると思いますけど、downyはやはり一際輝いて見えますね。
金子:実際に若手がどれだけdownyを聴いているのかはわからないけど、でもやっぱりシーン全体に影響を与えていて、知らず知らずのうちに影響を受けたりとか、そういうこともきっとあるでしょうからね。
MISATO:3月14日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全18作品の中から、 Part 2の6作品をダイジェストでご紹介しました。THE LOCAL PINTSがはじめましてですね。
金子:2020年に結成されたバンドで、「クラフトビールに世界一合うバンド」というコンセプトをもとに、醸造所のハウスバンドとして結成ということで。
MISATO:ビール好きなアーティスト、FRIENDSHIP.に多くないですか(笑)?
金子:やっぱりライブの後で飲む一杯は格別ですからね(笑)。ちなみに、このバンドは「CRAFTROCK FESTIVAL」というフェスを主催している人たちが結成しています。なので、メンバーの中に"CRAFTROCK"の創業者の方がいたりして。「クラフトビールに世界一合うバンド」とかっていうと、一瞬「企画ものかな?」みたいな感じもしちゃうけど、めっちゃいい曲でびっくりしました。
MISATO:ですね!
金子:メンバーにHER NAME IN BLOODのベースだったMAKOTOさんがギター・コーラスで参加してたりとかして、決して企画だけじゃない、ちゃんと実力もある、そういうバンドなんですよね。
MISATO:「Fifteen」とか、Taylor Swiftの初期をすごく思い出しました。リファレンスとしてあるのかなと思うくらい。
金子:アメリカンな感じがすごくしますよね。
MISATO:KANAKOさんの声質がまた合いますね。THE LOCAL PINTS注目です。そしてEPリリースとなっているのが、Ponies。
金子:約1年ぶりのリリースなんですけど、個人的にすごく好きですね。ローファイチックで、90年代っぽいバンドというのは、FRIENDSHIP.でもたくさん紹介してると思うんですけど、一番ローファイなのがPoniesだなという感じがします。あえてだと思うんですけど、薄くペラいこの音が、もうたまらんすね。
MISATO:いいな〜。本来だったらネガティブワードなのに、すごく彼らを愛している言葉に変わりますよね。
金子:うしろで薄くシンバルがシャンシャン鳴り続けてる感じとかね、本当にたまらない。
MISATO:かっこいいですね。
金子:曲調が少しメランコリックなのもぴったりはまっていて、聴く度に愛すべきバンドだなぁと思います。
MISATO:もともと宅録プロジェクトなんですね。
金子:その感じも出てますよね。
MISATO:そして、1曲お届けするのは?
金子:Part 2は、odolを紹介しようかなと思います。
MISATO:また素晴らしい曲ですね。
金子:さっきのHoSoVoSoさんもそうですけど、odolも「三月」というタイトルで、出会いと別れの季節がやってきたなという感じがすごくしますよね。ちなみにさっきgatoのライブを見に行ったと言いましたけど、odolのライブもこの番組のディレクターと一緒に見に行きまして、すごくよかったです。odolが時々やっている"individuals"という特別なライブがあって、映像演出とかも入るライブなんですけど、かっこよかったですね。
MISATO:JR東海の「望み」もやってくれました?
金子:やっていましたよ〜。それもよかったです。
MISATO:うわ〜いいな〜。
金子:それに続く早速の新曲なんですけど、今回もまたいいですね。とても好きです。ちょっとエレクトロニカとかフォークトロニカっぽい雰囲気があって、森山くんのYMO好きというバックグラウンドからすると、もっとそっち方向に行ってもよさそうなのに、案外なかったなと思って。
MISATO:そっか、たしかに。
金子:とはいえ、もちろんがっつりエレクトロニカとかではなくて、音像としてその感じがありつつも、ドラムとかは生感があって、バンド感もしっかりあって、このバランスってあんまりないなと思いました。さらに言うと、そこに乗るミゾベくんの声が、これまた絶妙なさじ加減でミックスされています。いまって思いっきりピッチを変えちゃうボーカルの加工が流行ってますけど、それをやっているわけじゃなくて、ちゃんとミゾベくんの声のいい部分を残しつつ、でもちょっと加工してミックスしてる感じ。そのサウンドデザインの作り方というのもさすがだなと思いました。
MISATO:森山くんに2人でインタビューしたじゃないですか?あのときに「ミゾベくんの1番いい声の使い方が分かった」ってことをおっしゃっていたと思うんですけど、やっぱりあれが全てだなというか。ミゾベくんの声を1つの楽器としてどういう風に調理したらより良くなるかというのは、精度がどんどん増してますよね。
金子:本当にそうですね。
MISATO:これはたしかにodolじゃないとできないでしょうね。ボーカリストの方が変わったら全然違うものになるはず。本当にすごい。
金子:歌詞も「三月」を体現するすごくいい歌詞なので、じっくり聴いてほしいと思います。
MISATO:淡さとか、出会いと別れとか、フェードインフェードアウトな感じにミゾベくんの声質がすごく合いますよね。はっきり「夏」とかそういう感じよりも、淡い感じがミゾベくんに合うというか。余韻と余白が表現力としてあるボーカリストでもありますね。
MISATO:3月14日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全18作品の中から、ラスト6作品をダイジェストでご紹介しました。毎回聴いているけど、The fin.はアコースティック・バージョンがとても良いですね。
金子:いいですよね。アコースティックと言っても、リアレンジに近いような感じで、「Over The Hill」の原曲は80年代ポスト・パンクみたいな、アップテンポなノリのいい曲なんですけど、 ガラッとテンポから変わっていて、メロディーそのものの良さ、歌の良さが際立つ仕上がりになっていますね。
MISATO:音数が少なくなった感じに聴こえるけど、それでまた1つの曲として成り立ってしまうのがすごいですね。原曲と全然違うのに演技力もこんなにあるとは。
金子:ちなみに最近ライブ見に行ったシリーズで、The fin.もちょっと前に見に行って。その日は5人編成で、She Her Her Hers/saccharinの松浦さんがドラムだったりして、そのときも音源とは全然違う、ライブならではのアレンジになっていて、めちゃめちゃよかったです。
MISATO:うわ〜いいですね。
金子:最近FRIENDSHIP.絡みのライブをちょこちょこ見に行ってるんですけど、みんな良いですよ。
MISATO:ライブが少し戻ってきた感じもして嬉しいですね。誰かから「ライブ行ったよ」という話を聞くだけで、やっぱり私たちも嬉しいものがあります。そしてはじめましてが、沼澤成毅さん。
金子:ODOLAというトラックメイカーとのユニットで活動していたりとか、あとは鍵盤奏者としてmei ehara、さとうもか、鈴木真海子、chelmico、思い出野郎Aチーム、トリプルファイヤーなどなど、たくさんのアーティストのライブやレコーディングに参加している方が、今回初めてソロワークスをスタートさせたという。
MISATO:はじめましてのわりに、なんてクオリティーが高い方なんだと思っていたんだけど、バックグラウンドがしっかりされてらっしゃる方なんですね。納得です!
金子:アレンジ的にも非常に洗練されていて、AOR味があったりとか、ちょっとブラジルっぽさもあって、ラウンジーな感じが気持ち良いですね。ボーカリストとしてはこれまで本格的な活動はしてなかったわけですけど、ちょっと線が細いのが逆に良いみたいな、味わいのある感じがとても良いです。
MISATO:後ろで鳴ってる音ありきで声質のバランスも考えてるのかなという印象もあるぐらい、作品として素晴らしいですね。そしてまたはじめましての方がいらっしゃいますよ、Lo-fi Club。
金子:Lo-fi Club、とてもいいので長めに聴いてもらおうかなと思っております。"Club"と言いつつ、お1人さまでして。
MISATO:大橋トリオみたいな感じですね。
金子:それだ(笑)。作曲・アレンジ・演奏・ミックスまで全て1人で行っています。FRIENDSHIP.関連でいうとヨットヘヴンのサポートもしたり、いろんなところで活躍されている方ですね。さっき紹介したPoniesもローファイだったり、Shimon Hoshinoさんも"lo-fi surf"だったり、最近"ローファイ"という言葉をいろんなところで聞きますけど、それをそのまま名前にしちゃっている人で、実際その通りの宅録感あるサイケデリックなポップ・ソングになっていて、とても良いです。
MISATO:ジャンル名をバンド名にされている方って珍しいですよね。
金子:なかなか思い切ってるけど、シンプルで強い名前ですよね。あとさっき紹介したTHE LOCAL PINTSは「ビールに似合うバンド」というコンセプトでしたけど、Lo-fi Clubさんは「体質的にお酒が飲めない代わりにどうにか音楽で酩酊できないか試行錯誤した結果、浮遊感のある宅録ポップスが生まれました」とコメントに書いております。
MISATO:素晴らしい。今日は飲めないという日もあるしね。そういうときに助かる!
金子:やっぱり人それぞれですから、そこはね。
MISATO:お酒がお好きな方たちだと、どうしても「みんなで飲みに行こうよ」って誘ってしまいがちだけど、「お酒実は飲めないんだよね...」という方も、この曲さえあれば楽しめるという。
金子:酔った気分になれますからね。
MISATO:ノンアルコールビールみたいな感じですね。
金子:あはははは。
MISATO:なんか酔っ払ってきましたね。
金子:飲んでるんじゃないですか(笑)?
MISATO:いえ、ノンアルビールです(笑)。いやー、ギターソロも素晴らしいです。若い方にも刺さりそうだけど、50代ぐらいの音楽好きのおじさまもいい気持ちになれそうなサウンドですよね。
FM福岡で毎週月曜日から金曜日まで深夜にオンエアされる、福岡市・警固六角にある架空のマンションの一室を舞台に行われ、次世代クリエイターが様々な情報を発信するプログラム「ミッドナイト・マンション警固六角(けごむつかど)」。"303号室"(毎週水曜日の27:00~27:55)では、FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」をオンエア。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、MISATOと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。
放送時間:毎週水曜日 27:00~27:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
MISATO
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。
TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。
安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10
Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin
FRIENDSHIP.
キュレーターの金子厚武とラジオDJ MISATOによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
New Release Digest Part 1
MISATO:3月14日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全18作品の中から、まずはPart 1の6作品をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます!深夜3時にお送りしています(笑)。
金子:ちょっとね、刺激が強い(笑)。
MISATO:Part 1は結構激しめでしたね。
金子:激しめな人たちが並んでいましたね。
MISATO:そういう人たちが並んでいるからこそ、阿佐ヶ谷ロマンティクスの良さもさらに際立つというか。
金子:いいですよね。今回はライブ作品ということで、1月に3rdアルバム『大人幻想』をリリースして、めっちゃいいアルバムだったんですけど、コロナ禍でレコ発ができなくなってしまった中、下北沢のTHREEというライブハウスを使って、急遽ライブ録音を行い、本作のリリースに至ったという物語があります。
MISATO:阿佐ヶ谷ロマンティクスがライブという場所をとても大切にしていることが見えてくるエピソードですね。
金子:だからこそ、ギターとかはエモーショナルで、想いが曲に乗ってより生々しく伝わってくる感じがすごくしました。やはり現場を大事にしてる人たちなんでしょうね。
MISATO:ですね。もっとライブが増える1年になればいいですよね。そしてHoSoVoSo、おひさしぶりです。
金子:さっきのダイジェストの中で、一服の清涼剤みたいな感じでしたね(笑)。HoSoVoSoさんは一昨年と昨年と続けてこの時期に 『春を待つ僕ら』というアルバムをデジタルで出していて、今回はその第3弾になります。HoSoVoSoさんのシンプルな弾き語りを中心にした音楽性は基本変わらずで、普遍的な良さがありますよね。HoSoVoSoさんの声を聴くと、「あ、春が来たな」と感じるようになってきました。
MISATO:このシリーズはどれくらい続くんでしょうかね?「またこの季節だな」というのが巡ってくる感じが素敵です。そんな中、きっとこの曲をかけるんだろうなと思っておりましたが。
金子:Part 1はdownyをかけようと思います。
MISATO:めちゃくちゃかっこいいですね。
金子:Limited Express (has gone?)もKill The Gossipも激しかったですけど、downyかなり刺激的な音像でしたね。新曲のリリースは1年3ヶ月ぶりで、その間にはロビンさんのzezecoとかも挟みつつ、ひさびさのdownyなんですけど、2020年にサンプラーとかを使っているSUNNOVAさんが正式メンバーに加入していることもあって、やはり今のdownyはそこがかなり強烈な色になっているなと。もともとある強靭なリズム隊のすごさに、SUNNOVAさんのサウンドメイクが加わって、「枯渇」というタイトルの曲だけど、全く枯れてない、むしろよりアグレッシブになっているdowny。すごいなと思いました。
MISATO:バンド自体はよりアグレッシブな感じですよね。SUNNOVAさんの音とリズムセクションで、"枯渇"しているからこそ欲している、貪っている感じが、すごく表現ができている感じがします。
金子:この前NIKO NIKO TAN TANを紹介したときに、「音楽と映像の先駆けってdownyだったね」みたいな話をしたと思うのですが、先日gatoのライブを見に行きまして、彼らも映像を使ってめちゃめちゃいいライブをしていて。そのライブを見たときも、改めてdownyを思い出しました。この音源を聴くと、若手に全然負けてないどころか、むしろよりアグレッシブな感じがして、対バンとか見てみたいですね。
MISATO:ルーツというのはどのバンドにも必ずあると思いますけど、downyはやはり一際輝いて見えますね。
金子:実際に若手がどれだけdownyを聴いているのかはわからないけど、でもやっぱりシーン全体に影響を与えていて、知らず知らずのうちに影響を受けたりとか、そういうこともきっとあるでしょうからね。
New Release Digest Part 2
MISATO:3月14日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全18作品の中から、 Part 2の6作品をダイジェストでご紹介しました。THE LOCAL PINTSがはじめましてですね。
金子:2020年に結成されたバンドで、「クラフトビールに世界一合うバンド」というコンセプトをもとに、醸造所のハウスバンドとして結成ということで。
MISATO:ビール好きなアーティスト、FRIENDSHIP.に多くないですか(笑)?
金子:やっぱりライブの後で飲む一杯は格別ですからね(笑)。ちなみに、このバンドは「CRAFTROCK FESTIVAL」というフェスを主催している人たちが結成しています。なので、メンバーの中に"CRAFTROCK"の創業者の方がいたりして。「クラフトビールに世界一合うバンド」とかっていうと、一瞬「企画ものかな?」みたいな感じもしちゃうけど、めっちゃいい曲でびっくりしました。
MISATO:ですね!
▼CRAFTROCK BREWINGとのコラボで、The fin.がクラフトビール作りを体験したレポート記事もあわせてご覧ください!▼
金子:メンバーにHER NAME IN BLOODのベースだったMAKOTOさんがギター・コーラスで参加してたりとかして、決して企画だけじゃない、ちゃんと実力もある、そういうバンドなんですよね。
MISATO:「Fifteen」とか、Taylor Swiftの初期をすごく思い出しました。リファレンスとしてあるのかなと思うくらい。
金子:アメリカンな感じがすごくしますよね。
MISATO:KANAKOさんの声質がまた合いますね。THE LOCAL PINTS注目です。そしてEPリリースとなっているのが、Ponies。
金子:約1年ぶりのリリースなんですけど、個人的にすごく好きですね。ローファイチックで、90年代っぽいバンドというのは、FRIENDSHIP.でもたくさん紹介してると思うんですけど、一番ローファイなのがPoniesだなという感じがします。あえてだと思うんですけど、薄くペラいこの音が、もうたまらんすね。
MISATO:いいな〜。本来だったらネガティブワードなのに、すごく彼らを愛している言葉に変わりますよね。
金子:うしろで薄くシンバルがシャンシャン鳴り続けてる感じとかね、本当にたまらない。
MISATO:かっこいいですね。
金子:曲調が少しメランコリックなのもぴったりはまっていて、聴く度に愛すべきバンドだなぁと思います。
MISATO:もともと宅録プロジェクトなんですね。
金子:その感じも出てますよね。
MISATO:そして、1曲お届けするのは?
金子:Part 2は、odolを紹介しようかなと思います。
MISATO:また素晴らしい曲ですね。
金子:さっきのHoSoVoSoさんもそうですけど、odolも「三月」というタイトルで、出会いと別れの季節がやってきたなという感じがすごくしますよね。ちなみにさっきgatoのライブを見に行ったと言いましたけど、odolのライブもこの番組のディレクターと一緒に見に行きまして、すごくよかったです。odolが時々やっている"individuals"という特別なライブがあって、映像演出とかも入るライブなんですけど、かっこよかったですね。
MISATO:JR東海の「望み」もやってくれました?
金子:やっていましたよ〜。それもよかったです。
MISATO:うわ〜いいな〜。
金子:それに続く早速の新曲なんですけど、今回もまたいいですね。とても好きです。ちょっとエレクトロニカとかフォークトロニカっぽい雰囲気があって、森山くんのYMO好きというバックグラウンドからすると、もっとそっち方向に行ってもよさそうなのに、案外なかったなと思って。
MISATO:そっか、たしかに。
金子:とはいえ、もちろんがっつりエレクトロニカとかではなくて、音像としてその感じがありつつも、ドラムとかは生感があって、バンド感もしっかりあって、このバランスってあんまりないなと思いました。さらに言うと、そこに乗るミゾベくんの声が、これまた絶妙なさじ加減でミックスされています。いまって思いっきりピッチを変えちゃうボーカルの加工が流行ってますけど、それをやっているわけじゃなくて、ちゃんとミゾベくんの声のいい部分を残しつつ、でもちょっと加工してミックスしてる感じ。そのサウンドデザインの作り方というのもさすがだなと思いました。
MISATO:森山くんに2人でインタビューしたじゃないですか?あのときに「ミゾベくんの1番いい声の使い方が分かった」ってことをおっしゃっていたと思うんですけど、やっぱりあれが全てだなというか。ミゾベくんの声を1つの楽器としてどういう風に調理したらより良くなるかというのは、精度がどんどん増してますよね。
金子:本当にそうですね。
MISATO:これはたしかにodolじゃないとできないでしょうね。ボーカリストの方が変わったら全然違うものになるはず。本当にすごい。
金子:歌詞も「三月」を体現するすごくいい歌詞なので、じっくり聴いてほしいと思います。
MISATO:淡さとか、出会いと別れとか、フェードインフェードアウトな感じにミゾベくんの声質がすごく合いますよね。はっきり「夏」とかそういう感じよりも、淡い感じがミゾベくんに合うというか。余韻と余白が表現力としてあるボーカリストでもありますね。
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New Release Digest Part 3
MISATO:3月14日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全18作品の中から、ラスト6作品をダイジェストでご紹介しました。毎回聴いているけど、The fin.はアコースティック・バージョンがとても良いですね。
金子:いいですよね。アコースティックと言っても、リアレンジに近いような感じで、「Over The Hill」の原曲は80年代ポスト・パンクみたいな、アップテンポなノリのいい曲なんですけど、 ガラッとテンポから変わっていて、メロディーそのものの良さ、歌の良さが際立つ仕上がりになっていますね。
MISATO:音数が少なくなった感じに聴こえるけど、それでまた1つの曲として成り立ってしまうのがすごいですね。原曲と全然違うのに演技力もこんなにあるとは。
金子:ちなみに最近ライブ見に行ったシリーズで、The fin.もちょっと前に見に行って。その日は5人編成で、She Her Her Hers/saccharinの松浦さんがドラムだったりして、そのときも音源とは全然違う、ライブならではのアレンジになっていて、めちゃめちゃよかったです。
MISATO:うわ〜いいですね。
▼The fin. "Outer Ego" Release Tour 恵比寿LIQUIDROOM公演 ライブレポート▼
金子:最近FRIENDSHIP.絡みのライブをちょこちょこ見に行ってるんですけど、みんな良いですよ。
MISATO:ライブが少し戻ってきた感じもして嬉しいですね。誰かから「ライブ行ったよ」という話を聞くだけで、やっぱり私たちも嬉しいものがあります。そしてはじめましてが、沼澤成毅さん。
金子:ODOLAというトラックメイカーとのユニットで活動していたりとか、あとは鍵盤奏者としてmei ehara、さとうもか、鈴木真海子、chelmico、思い出野郎Aチーム、トリプルファイヤーなどなど、たくさんのアーティストのライブやレコーディングに参加している方が、今回初めてソロワークスをスタートさせたという。
MISATO:はじめましてのわりに、なんてクオリティーが高い方なんだと思っていたんだけど、バックグラウンドがしっかりされてらっしゃる方なんですね。納得です!
金子:アレンジ的にも非常に洗練されていて、AOR味があったりとか、ちょっとブラジルっぽさもあって、ラウンジーな感じが気持ち良いですね。ボーカリストとしてはこれまで本格的な活動はしてなかったわけですけど、ちょっと線が細いのが逆に良いみたいな、味わいのある感じがとても良いです。
MISATO:後ろで鳴ってる音ありきで声質のバランスも考えてるのかなという印象もあるぐらい、作品として素晴らしいですね。そしてまたはじめましての方がいらっしゃいますよ、Lo-fi Club。
金子:Lo-fi Club、とてもいいので長めに聴いてもらおうかなと思っております。"Club"と言いつつ、お1人さまでして。
MISATO:大橋トリオみたいな感じですね。
金子:それだ(笑)。作曲・アレンジ・演奏・ミックスまで全て1人で行っています。FRIENDSHIP.関連でいうとヨットヘヴンのサポートもしたり、いろんなところで活躍されている方ですね。さっき紹介したPoniesもローファイだったり、Shimon Hoshinoさんも"lo-fi surf"だったり、最近"ローファイ"という言葉をいろんなところで聞きますけど、それをそのまま名前にしちゃっている人で、実際その通りの宅録感あるサイケデリックなポップ・ソングになっていて、とても良いです。
MISATO:ジャンル名をバンド名にされている方って珍しいですよね。
金子:なかなか思い切ってるけど、シンプルで強い名前ですよね。あとさっき紹介したTHE LOCAL PINTSは「ビールに似合うバンド」というコンセプトでしたけど、Lo-fi Clubさんは「体質的にお酒が飲めない代わりにどうにか音楽で酩酊できないか試行錯誤した結果、浮遊感のある宅録ポップスが生まれました」とコメントに書いております。
MISATO:素晴らしい。今日は飲めないという日もあるしね。そういうときに助かる!
金子:やっぱり人それぞれですから、そこはね。
MISATO:お酒がお好きな方たちだと、どうしても「みんなで飲みに行こうよ」って誘ってしまいがちだけど、「お酒実は飲めないんだよね...」という方も、この曲さえあれば楽しめるという。
金子:酔った気分になれますからね。
MISATO:ノンアルコールビールみたいな感じですね。
金子:あはははは。
MISATO:なんか酔っ払ってきましたね。
金子:飲んでるんじゃないですか(笑)?
MISATO:いえ、ノンアルビールです(笑)。いやー、ギターソロも素晴らしいです。若い方にも刺さりそうだけど、50代ぐらいの音楽好きのおじさまもいい気持ちになれそうなサウンドですよね。
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
FM福岡で毎週月曜日から金曜日まで深夜にオンエアされる、福岡市・警固六角にある架空のマンションの一室を舞台に行われ、次世代クリエイターが様々な情報を発信するプログラム「ミッドナイト・マンション警固六角(けごむつかど)」。"303号室"(毎週水曜日の27:00~27:55)では、FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」をオンエア。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、MISATOと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。
放送時間:毎週水曜日 27:00~27:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
番組MC
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
MISATO
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。
TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。
安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10
Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin
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FM福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」FRIENDSHIP.