SENSA

2021.06.12

純朴で堂々たる4人組ロックバンド「インナージャーニー」

純朴で堂々たる4人組ロックバンド「インナージャーニー」

SENSAが注目するアーティストを紹介する「RECOMMEND」。今回は、4人組ロックバンドのインナージャーニー

innerjourney_a_1500.jpg
インナージャーニー
カモシタサラ(Gt.Vo)、本多秀(Gt.)、とものしん(Ba.)、Kaito(Dr.)からなる4ピースバンド。当初、シンガーソングライターとしてソロ活動をしていたカモシタサラが、2019年「未確認フェスティバル」に出場するために同じ高校の軽音部だった3人をサポートとして迎え、「カモシタサラバンド」として始動した。同年10月に、バンド名を「インナージャーニー」に変え、正式なバンド体制をスタート。結成1年半で既に、サーキットイベントや大型フェスに出場するなど、勢力的に活動をし注目を集めている。

インナージャーニー「エンドロール」



楽しかったフェスやライブの帰り道、感動した映画のエンディング、閉店間際の店内など、終わりを感じる時に流れる音楽はどこか寂しくて優しい、心温まる雰囲気がある。カモシタサラ(Vo.)がぽつり、ぽつりと言葉を紡ぐように歌うこの楽曲も、柔らかい歌声を包み込むサウンドと切なさを感じるメロディーラインが、どこか寂しくて優しくて心温まる、まさしく「エンドロール」そのものだ。Music Videoはレトロな質感が楽曲の世界観にマッチしていて、メンバーが順番に映写機を回すのに合わせて、彼らの青春のページがゆっくりと流れていく。温かい日差し、眩しい笑顔、寄り添う音楽、仲の良さが伝わる朗らかな様子。これまでのインナージャーニーの軌跡を刻んだ映像で、時間が経てば経つほど深みが増すような作品になっている。一つの映画を見終わったような気持ちにもなるが、これからも青春の景色を更新し続けてほしい。

インナージャーニー「会いにいけ!」



爽やかで疾走感のあるこの楽曲は、軽く笑いながら肩をポンと叩くようなノリで〈なんとかなるのさ/どうにもならんな〉と歌ってくれる。だが、そんな軽快さで歌う〈きっといつの日か/なんて言ってる場合じゃないから〉〈会いたくなったら会いにいきなよ〉という歌詞にはハッとしてしまう。こんなご時世だからこそ、人生はいつ何が起こるかわからない、いつ会えなくなるかわからないと、痛感した人も多いのではないだろうか。Music Videoでは、主人公が会いたい人が乗っているバスを必死に追いかけるのだが、途中で走るのを諦めかけてしまう。そのタイミングで映し出されるタイトルコールの「会いにいけ!」が絶妙で、観ているこちらも背中を押される。会いたい人に会いに行く。至ってシンプルなはずなのに難しい。そんな時にこの曲を聴くと、今すぐにでも"思い出せなくなる前にバスに飛び乗り"たくなるのだ。言い訳も誤魔化しも一切ないインナージャーニーの純朴な音楽が、昨今の情勢に曇った心を晴らしてくれる。幅広い世代に聴いてもらいたい一曲だ。

インナージャーニー「グッバイ来世でまた会おう」



カモシタサラがソロでライブをしていた頃から歌っていた、バンド結成のきっかけにもなった原点の一曲。これまで大切に温めて、3月24日に配信リリースされた。素朴で優しいサウンドの雰囲気とは裏腹に〈もしもね、僕が死んだら〉というインパクトあるフレーズで始まるこの曲は、死生観が一つのテーマとしてあげられている。作曲当時、高校2年生だったカモシタサラは"人は死んだらどこへ行くのか"ということを考えていく中で、"忘れないでいたら、今までとは違うかたちで再会できるんじゃないか"という答えを自分の中に見つけたらしい。たとえお別れをしてもまた来世で会える。そんな想いから歌われる〈グッバイ来世でまた会おう/君に会いに戻って来るよ/ああだからなんにも悲しいなんてことはないのさ〉というフレーズが、重く暗く捉えてしまいそうな死生観というテーマを、見事ポップに歌い上げている。高校生の時に書いたとは思えないほど達観した世界観や陽気なワードセンス、そして4人のグルーヴが心地よい一曲。

インナージャーニーの楽曲を初めて聴いた時は、繊細で穏和な音楽性が第一印象としてあった。しかし、ライブを観ると堂々とした佇まいがカッコよく、凛とした表情で奏でる姿が美しい。音源に香る温かさとライブで魅せる堂々たる4人のパフォーマンス、そのバランスに大きな可能性を感じる。メンバー全員20代前半で、まだまだ青春真っ只中な彼らの更なる躍進が楽しみだ。

文:髙橋夏央


LINK
オフィシャルサイト
@innerjourney_
@innerjourney.band

気になるタグをCHECK!