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2021.10.06
何かを「やりたい」と思ったり、「好きだ」と思ったときの根源的な想いを、インナージャーニーはとても大切に歌っているバンドだと思う。音楽に救われた感動、誰かに会いたいという気持ち、明日に託したい希望。せわしない日常のなかで、ないがしろになってしまいそうな感情を丁寧に綴った歌たちが、この日の渋谷WWW Xには響きわたっていた。インナージャーニーが結成2周年を記念して開催した2度目のワンマンライブ「インナージャーニーといっしょ vol.2 -風の匂い編-」だ。
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ライブは「夕暮れのシンガー」からはじまった。9月1日にリリースされた最新EP『風の匂い』でも1曲目に収録されている疾走感あふれるナンバー。バンド名の由来にもなっているandymoriへのリスペクトがストレートに感じられる楽曲だ。続けて、『風の匂い』のなかでも、特にロック色の強い「Fang」へ。歌メロを一緒に口ずさみ、剥き出しの感情をぶつけるようなKaito(Dr)のドラム、ときに優しく、ときに荒々しく多彩に躍動するとものしん(Ba)のベースに、クールな佇まいとは裏腹に情熱的にメロディに寄り添う本多秀(Gt)のギターフレーズ。音源で聴く以上に骨太なバンドサウンドのうえを、カモシタサラ(Vo/Gt)のどこか中性的なボーカルが優しいメロディを紡いでいく。
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インナージャーニーは、もともとソロ活動をしていたカモシタのサポートメンバーで構成されたバンドだ。結成当時は「カモシタサラバンド」を名乗り、その延長線上で作られたのが1st EP『片手に花束を』だったが、続く2nd EP『風の匂い』で「ようやくバンドになれた」と、メンバーはインタビューで語っている。この日のライブでも、カモシタの歌を真ん中に置きながら、ロックバンドとして一丸となるインナージャーニーを感じる場面が何度もあった。長めの間奏でとものしんのベースソロをたっぷり聴かせた「深海列車」や、ワンツー!という性急なかけ声を合図に軽快に加速した「クリームソーダ」では、「ギター、本多秀!」というカモシタの言葉に、本多が歌うようなソロを聴かせる。人気曲「グッバイ来世でまた会おう」は、まさにメンバー全員が主役となるアンサンブルが絶妙だった。
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これまでにリリースされた2枚のEPの楽曲だけでなく、未発表の楽曲も多数披露された。ステージがむらさき色に染まり、ダークな音像がやがてヒリヒリとした高揚感を高めていった「少女」では、〈自分のために進めばいい〉という力強いメッセージが耳に飛び込んできた。全員で合唱するメロディに、止まらない前進の意思を刻んだ青春パンク的ナンバー「Walking Song」、朝焼けをイメージした赤い照明を浴びて終わりの予感を歌った「予感がしている」。いずれも、今後、多彩な振り幅に挑戦していくであろうインナージャーニーの進化を予感させるものばかりだ。
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そんななか、新曲として披露された「わかりあえたなら」がとてもよかった。「人はそれぞれ考えてることが違うから。いろいろな意見の対立とか争いごとがあるけど、みんな同じになる必要はなくて。一生交われなくても、相手を知ろうとすることが大事だなって。そういう曲を作りました」と、カモシタ。さらに少し笑いながら、「インナージャーニーもよく対立するんだけど(笑)、一緒にいて、わかろうとすることが大事かなって思います」と、曲に込めた想いを丁寧に伝えたバラードナンバー「わかりあえたなら」は、あらゆる局面で分断が加速するコロナ禍に生まれた必然のような楽曲でもあり、バンドの新しいアンセムになっていきそうなポジティブなパワーが溢れていた。
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「これからもみんなと一緒に旅を続けられたらと思います」という言葉を添え、やがてインナージャーニーが立つであろう広いステージにとてもよく似合いそうな壮大なナンバー「旅の途中」に続けて、〈さよなら〉を希望に変えるようなエモーショナルなポップソング「ペトリコール」へ。全13曲の本編を終えたあと、アンコールの最後を締めくくったのは、「会いにいけ!」だった。ロックバンド感を全開にして、大切な感情を抱きしめたまま明日へと駆け抜けてゆくようなその歌は、集まったお客さんが晴れやかな気持ちでライブハウスを後にするための、優しい"別れの歌"だった。
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この日、10月1日はインナージャーニーの結成記念日ということもあり、カモシタは、「2年、3年後、これからもデカい場所......いや、デカくなくても、楽しい場所に一緒にいけたらと思います」と、言葉を選びながらバンドの未来についての想いを伝えた。まだまだ彼らは"旅の途中"だ。きっとその行き先には無限の可能性がある。
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写真:笑子
@innerjourney_
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写真:笑子
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