2021.09.27
SENSAが注目するアーティストを紹介する「RECOMMEND」。4ピースロックバンドpavilionを取り上げる。
森(Gt/Vo)、佐藤(Ba)、山本(Gt)、小山(Dr)からなる4人組ロックバンド・pavilion。2019年に神奈川県の大学で結成され、現在、東京を中心に精力的に活動している。90年代のロックシーンを彷彿とさせる音楽性が持ち味のバンドで、10月6日には2nd EP「run-up!!」のデジタルリリースが決定。それに伴い、バンド初となるレコ発企画が開催決定されるなど、これからの活躍に期待が高まっている。
pavilion「RACE TO THE BOTTOM」
彼らが一番長く演奏しているというこの楽曲は、2020年11月に自主リリースした初のEP「tailwind」の最後に収録されている。MVでは、昔懐かしい正方形の画角とレトロな色合いが絶妙にマッチし、洒落た雰囲気が印象的だ。そして脱力感のある歌声と思わず体を揺らしたくなるビートが非常に心地よい。しかし、楽曲の後半になると、いきなりエネルギッシュなパフォーマンスを繰り広げ、アウトロまで一気に加速して駆け抜ける。間違いなく聴き手を高揚させる展開だ。そんな「RACE TO THE BOTTOM」について彼らは"覚悟の曲"と述べている。なぜ、"覚悟の曲"なのか。それは明確に語られてはいない。だが、曲中にある〈賽が転がる音が宙に消えるまで/少しだけ待っているから〉という独特なフレーズに、勝手ながらヒントを感じるのだ。これは、古代ローマの歴史家・カエサルが言った「賽は投げられた」という言葉を思い起こさせる。「サイコロはもう振られてしまった。いったん決断して行動を始めた以上、最後までやりぬくしかない」という意味。つまり彼等は"音楽をやり抜く覚悟"をこの歌に込めたのではないだろうか。兎にも角にも、バンドにとって髄となる1曲と言えるだろう。
pavilion 「ドロールドロール」
「RACE TO THE BOTTOM」と同じく、初のEP「tailwind」に収録されたこの楽曲は、等身大な歌詞と明るくキャッチーなメロディーを基調としたスタイルが90年代のブリットポップのニュアンスを感じさせる。そして何と言ってもMVがたまらなくいい。生活感溢れる部屋で上下スウェット姿の森(Gt/Vo)が、なんとなくつけたテレビから流れてくる音楽に心を奪われ、見様見真似でギターを触る。しまいには居ても立っても居られず、スウェットのまま家を飛び出して、スタジオに駆け込むのだ。音楽が好きな人なら誰しもが味わったことがあるのではないだろうか、イントロからビビッときた瞬間や、ステージで輝くアーティストの姿に目を奪われた瞬間。初めて聴いた音楽に心を奪われた瞬間。自分の人生に音楽が食い込んできた初期衝動。そんな愛おしい感覚を思い起こさせるこの曲は、〈牢を飛び出して/出会えればそれでいいわ〉というフレーズや、後半の多幸感に満ちたコーラスワークからも感じられるように、退屈な日常も彩れる音楽の本質的な素晴らしさを伝えてくれる。彼らの音楽を聴いて〈脳みそを揺らして/歌えればそれでいい〉。今、改めて音楽の良さを聴き手に与えてくれる素晴らしい1曲だ。
pavilion「Yumeji Over Drive」
6月にリリースされたシングル「Yumeji Over Drive/conifer」には、対照的な2曲が収録されている。「conifer」はコーラスが美しく、ゆったりとしたメロディーラインが印象的だが、それに対し「Yumeji Over Drive」は、パワフルなサウンドが刺さる堂々のロックチューンだ。間奏のギターフレーズも痛烈で、バンドに更なる勢いをつけるような1曲である。MVでは銃を持った可愛らしいピンクのクマが、森(Gt/Vo)を追いかけるという突飛な展開でかなり狂気じみている。しかし、サウンドは非常に楽し気で、跳ねるビートに踊りたくなってしまうのだ。そんな平和なようで狂気じみた、古いようで新しい独特な味が出た彼等らしいナンバー。リリック面では、1番のサビの〈ナイフを1人探し回る/ただ同じ色の日々に/深く切り込みをいれようぜ〉というフレーズが、2番になると〈ナイフを置いて歌を歌う〉に変わっている。そこにはまるで、音楽という武器で戦うことを決めた彼らの強さや輝きを感じ、聴き手に期待感を与えてくれる。これから更にスケールアップしていく姿が期待できる名曲だ。
pavilionの音楽は、どこか懐かしいようで、新しくもある。その何ともいえない絶妙なバランス、そしてわずか結成2年とは思えないハイセンスな音作りが、たまらなく聴き手の琴線に触れるのだろう。そして何よりも、「音楽っていいな」と思わせてくれるのだ。あまりにもシンプルな表現かもしれないが、彼らの曲を聴いてちょっと日常が彩られたり、昔の懐かしい空気を思い出したり、音楽に心奪われた瞬間を思い出すと、やはり根底にある「音楽っていいな」という気持ちが湧き上がってくる。彼らが纏う独特のpavilionワールドに包まれ、音楽の良さを改めて感じてほしい。10月6日リリースの2nd EPやレコ発企画も含め、これからのpavilionが非常に楽しみだ。
文:髙橋夏央
pavilon 2nd EP『run-up!!』
2021年10月6日(水)
Format:Digital
新代田FEVER
¥2,500/¥3,000 +1drink
open/start: 14:30/15:05
Sisters In The Velvet
Jam Fuzz Kid
aoni
Lucie,Too
Transit My Youth
pavilion
チケットのご予約はSNSのDMまでご連絡ください。
pavilion
2019年に神奈川県の大学で結成した4人組ロックバンド。下北沢・渋谷を中心に活動中。
90年代から00年代のロックシーンを思わせるサウンドに脱力感のあるメロディーを乗せ、日常の温かさからシリアスさまでを俯瞰しているような日本語詩を意識して制作している。
2020年11月に初の音源となるEP『tail wind』をリリースし、12月にはそのEPから「RACE TO THE BOTTOM」のMVを公開。
2021年6月には、1stシングル「Yumeji Over Drive / conifer」を配信リリースした。
そして、2021年10月6日に2ndEP『run-up!!』をリリース。
@pavilion_1023
Official YouTube Channel
森(Gt/Vo)、佐藤(Ba)、山本(Gt)、小山(Dr)からなる4人組ロックバンド・pavilion。2019年に神奈川県の大学で結成され、現在、東京を中心に精力的に活動している。90年代のロックシーンを彷彿とさせる音楽性が持ち味のバンドで、10月6日には2nd EP「run-up!!」のデジタルリリースが決定。それに伴い、バンド初となるレコ発企画が開催決定されるなど、これからの活躍に期待が高まっている。
彼らが一番長く演奏しているというこの楽曲は、2020年11月に自主リリースした初のEP「tailwind」の最後に収録されている。MVでは、昔懐かしい正方形の画角とレトロな色合いが絶妙にマッチし、洒落た雰囲気が印象的だ。そして脱力感のある歌声と思わず体を揺らしたくなるビートが非常に心地よい。しかし、楽曲の後半になると、いきなりエネルギッシュなパフォーマンスを繰り広げ、アウトロまで一気に加速して駆け抜ける。間違いなく聴き手を高揚させる展開だ。そんな「RACE TO THE BOTTOM」について彼らは"覚悟の曲"と述べている。なぜ、"覚悟の曲"なのか。それは明確に語られてはいない。だが、曲中にある〈賽が転がる音が宙に消えるまで/少しだけ待っているから〉という独特なフレーズに、勝手ながらヒントを感じるのだ。これは、古代ローマの歴史家・カエサルが言った「賽は投げられた」という言葉を思い起こさせる。「サイコロはもう振られてしまった。いったん決断して行動を始めた以上、最後までやりぬくしかない」という意味。つまり彼等は"音楽をやり抜く覚悟"をこの歌に込めたのではないだろうか。兎にも角にも、バンドにとって髄となる1曲と言えるだろう。
「RACE TO THE BOTTOM」と同じく、初のEP「tailwind」に収録されたこの楽曲は、等身大な歌詞と明るくキャッチーなメロディーを基調としたスタイルが90年代のブリットポップのニュアンスを感じさせる。そして何と言ってもMVがたまらなくいい。生活感溢れる部屋で上下スウェット姿の森(Gt/Vo)が、なんとなくつけたテレビから流れてくる音楽に心を奪われ、見様見真似でギターを触る。しまいには居ても立っても居られず、スウェットのまま家を飛び出して、スタジオに駆け込むのだ。音楽が好きな人なら誰しもが味わったことがあるのではないだろうか、イントロからビビッときた瞬間や、ステージで輝くアーティストの姿に目を奪われた瞬間。初めて聴いた音楽に心を奪われた瞬間。自分の人生に音楽が食い込んできた初期衝動。そんな愛おしい感覚を思い起こさせるこの曲は、〈牢を飛び出して/出会えればそれでいいわ〉というフレーズや、後半の多幸感に満ちたコーラスワークからも感じられるように、退屈な日常も彩れる音楽の本質的な素晴らしさを伝えてくれる。彼らの音楽を聴いて〈脳みそを揺らして/歌えればそれでいい〉。今、改めて音楽の良さを聴き手に与えてくれる素晴らしい1曲だ。
6月にリリースされたシングル「Yumeji Over Drive/conifer」には、対照的な2曲が収録されている。「conifer」はコーラスが美しく、ゆったりとしたメロディーラインが印象的だが、それに対し「Yumeji Over Drive」は、パワフルなサウンドが刺さる堂々のロックチューンだ。間奏のギターフレーズも痛烈で、バンドに更なる勢いをつけるような1曲である。MVでは銃を持った可愛らしいピンクのクマが、森(Gt/Vo)を追いかけるという突飛な展開でかなり狂気じみている。しかし、サウンドは非常に楽し気で、跳ねるビートに踊りたくなってしまうのだ。そんな平和なようで狂気じみた、古いようで新しい独特な味が出た彼等らしいナンバー。リリック面では、1番のサビの〈ナイフを1人探し回る/ただ同じ色の日々に/深く切り込みをいれようぜ〉というフレーズが、2番になると〈ナイフを置いて歌を歌う〉に変わっている。そこにはまるで、音楽という武器で戦うことを決めた彼らの強さや輝きを感じ、聴き手に期待感を与えてくれる。これから更にスケールアップしていく姿が期待できる名曲だ。
pavilionの音楽は、どこか懐かしいようで、新しくもある。その何ともいえない絶妙なバランス、そしてわずか結成2年とは思えないハイセンスな音作りが、たまらなく聴き手の琴線に触れるのだろう。そして何よりも、「音楽っていいな」と思わせてくれるのだ。あまりにもシンプルな表現かもしれないが、彼らの曲を聴いてちょっと日常が彩られたり、昔の懐かしい空気を思い出したり、音楽に心奪われた瞬間を思い出すと、やはり根底にある「音楽っていいな」という気持ちが湧き上がってくる。彼らが纏う独特のpavilionワールドに包まれ、音楽の良さを改めて感じてほしい。10月6日リリースの2nd EPやレコ発企画も含め、これからのpavilionが非常に楽しみだ。
文:髙橋夏央
RELEASE INFORMATION
pavilon 2nd EP『run-up!!』
2021年10月6日(水)
Format:Digital
LIVE INFORMATION
pavilion 2nd EP『run-up!!』release party
2021年10月24日(日)新代田FEVER
¥2,500/¥3,000 +1drink
open/start: 14:30/15:05
Sisters In The Velvet
Jam Fuzz Kid
aoni
Lucie,Too
Transit My Youth
pavilion
チケットのご予約はSNSのDMまでご連絡ください。
PROFILE
pavilion
2019年に神奈川県の大学で結成した4人組ロックバンド。下北沢・渋谷を中心に活動中。
90年代から00年代のロックシーンを思わせるサウンドに脱力感のあるメロディーを乗せ、日常の温かさからシリアスさまでを俯瞰しているような日本語詩を意識して制作している。
2020年11月に初の音源となるEP『tail wind』をリリースし、12月にはそのEPから「RACE TO THE BOTTOM」のMVを公開。
2021年6月には、1stシングル「Yumeji Over Drive / conifer」を配信リリースした。
そして、2021年10月6日に2ndEP『run-up!!』をリリース。
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@pavilion_1023@pavilion_1023
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