SENSA

2023.10.10

ライブハウスツアーのグッズ制作のこだわりとは?「WANDER ABOUT 放浪 TOUR 2023」開催中のTHE ORAL CIGARETTES・あきらかにあきらが語る【後編】

ライブハウスツアーのグッズ制作のこだわりとは?「WANDER ABOUT 放浪 TOUR 2023」開催中のTHE ORAL CIGARETTES・あきらかにあきらが語る【後編】

北海道と九州・沖縄、両地域のライブハウスを周るTHE ORAL CIGARETTESのツアー「WANDER ABOUT 放浪 TOUR 2023」。なかなかツアーで行けていなかった場所を巡るというツアーのコンセプトに合わせて、各ライブ会場で販売されるグッズにも北海道と九州・沖縄、それぞれの場所限定のアイテムが登場している。Tシャツにタオル、ラバーバンドとライブグッズの定番といえるアイテムにライブハウスならではのグッズといえるパスステッカーなど、印象的なラインナップ。これらのグッズにどんな思いを込めたのか、そして実際の制作はどのように進んでいったのか。今回のツアーのテーマにも重なるコンセプトを、グッズ全般をプロデュースするあきらかにあきら(B/Cho)に語ってもらった。

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パスステッカーは思い出というか、アイデンティティにもなるかなって

─前回のインタビューに続いて「WANDER ABOUT 放浪 TOUR 2023」のツアーグッズについてお話を伺えればと思います。今回のツアーは「北海道編」と「九州・沖縄編」に分かれていて、それぞれに北海道だけ、九州・沖縄だけで販売されるグッズもあります。デザインは同じだけど、色が違うという。


あきらかにあきら:はい。Tシャツ、フェイスタオル、ラバーバンド、あとステッカーをそれぞれで作りました。地域によって差をつけたくはないけど、違いは出したいなというところで、そういうグッズを作りました。まったく違うものにはしたくなかったけど、同じだと限定感がなくなってしまうので、ちょっとした違いを少しずつ出していくっていう。そういう基本のフォーマットが作れたので、これを組み替えれば他の地域でも作れるのかなって思います。

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─アーティストがライブハウスに出演するときに貼るパスを模した「WANDER ABOUT 放浪 TOURイミテーションパスステッカー」もファンにとっては嬉しいですよね。


あきら:そうですよね。ライブハウスっぽいというか。最近はスマホの裏に挟むような小さいステッカーセットとかの需要が高くなっていて、こういうサテンパスのステッカーは作っていなかったんですけど、インディーズ時代にライブハウスを回っていたときには毎回貼ってたなって思って。

─ギターケースとかもパスだらけになりますよね。


あきら:あと楽屋に貼って帰ることもありました。そういうマーキングアイテムなんですよね。このステッカーも会場の欄にお客さんがチェックを入れることができるようにしていて。何か所も行った人はそこをチェックしても面白いと思うし、そういう思い出というか、アイデンティティにもなるかなって。本当はライブハウスごとのご当地キーホルダーみたいなものを作りたかったんですけど、それはロットの都合で180人のキャパシティに対して何個作るのかという問題があって。だからそれに代わるものとして、かさばらずに同じような喜びを得られるものを作りたいよねということで、このステッカーとかラバーバンドを作りました。

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─この白ボディの「WANDER ABOUT 放浪 TOUR Tシャツ」もいいですよね。バンド名とツアーのロゴも入ってはいるけど、フロントはすごく控えめなデザインになっていて。


あきら:これは(山中)拓也(Vo/G)がフロントのデザインをシンプルにしたいって言っていたところに、僕が無理やりバンド名を入れたんですよね。「細い文字でもいいからバンド名は入れたい」って。バンド名があることで買った人の満足度は変わると思って。拓也としてはツアーのロゴを推したいということだと思うんですけど、見慣れない人からしたら何のTシャツかわからないっていうものになってしまいそうだなと思って。それは僕のエゴですけどね。

─拓也くんの考えもわかる気がするし、グッズ担当としてのあきらくんの視点もよくわかります。


あきら:そうですね。拓也はやっぱり普段使いができるものを目指しているんですけど、そこに寄りすぎるとやっぱりバンド名は入れないほうがいいっていうことになっていっちゃうので。それだけじゃなくしっかりグッズとして作るというのを考えるようにはしています。やっぱりアパレルブランドではないので。

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─そこの匙加減を、あきらくんはバンドのメンバーとしての視点と、グッズを作る責任者としての視点と、両方から見てやっているんでしょうね。それでいうと、このTシャツの背中にはちゃんとツアーのスケジュールが入っていて。いわゆるツアーTシャツとしてメモリアルなものになっていますね。


あきら:はい。でも昔のいわゆるツアーTって、もっと日程と会場がデカく載っているんですよね。そういう中でやっぱり普段着にできるようなものにもしたかったので、デザインとしては空白を意識して作りました。これ、チーフマネージャーの柳井さんが手を動かして作ってくれたんです。

─そうなんですか? すごい。


あきら:拓也もすごくアイディアをくれましたし、いい塩梅を目指して作りました。じつは僕自身もバンド名がバーンって入っているTシャツとかは着れなくなってきているんですけど、そういうものがほしいという人もいるんです。新しいファンの人ほど大きいバンド名を背負いたいっていう気持ちがあると思うので、そういうものも作りたいとは思っているんですけど。

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「やっと地元で観られる」というのを叶えられるツアーになると思います

─「WANDER ABOUT 放浪 TOUR フェイスタオル」もTシャツと同じように色違いで北海道バージョンと九州・沖縄バージョンがあって。


あきら:そうですね。色も変えて、タオルはデザインも同じ要素を使いつつ少し変えたりしています。プリントにはこだわって、いい色が出たと思います。文字も、小さくてもギリギリ読めるところを目指して、うまく表現できました。ツアーグッズって難しいんですけど、押さえるところを押さえられたら、お客さんにとってはかけがえのないものになるんです。で、押さえるところを押さえればダサくはならないっていうこともわかってきたので。「北海道」って入ってるとやっぱり北海道の人は嬉しいんですよね。

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─そうですよね。これは北海道でしか買えないものなわけですけど、来年の他の地域のフェスとかでこれを持っている人がいたら、ステージから見ても「オッ」となりそうですよね。


あきら:そうそう、「来てくれたんや」って。そういうのもおもしろいですよね。北海道のタオルを持っている人が九州にいたり、全部のステッカーを持っている猛者が現れたりとか、そういうのは限定やからこそできる感動だと思うんですよね。

─この色はツアーのコンセプトとしてあった色なんですよね。


あきら:これはツアービジュアルから引用してます。その色は拓也が決めたんですけど。拓也の中でのそれぞれの地方のイメージなんですかね。なんか的を射ている気もするし。

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─でもこれだけ要素が多いと、デザインの落としどころって難しくなかったですか?


あきら:そこは柳井さんがすごく頑張ってくれました。確実に入れたいものっていうのが、「放浪」っていうキーワードと、でも「放浪TOUR」ってちょっといなたいよねっていうところで、マネージャーの杉渕さんが「WANDER ABOUT」っていう英訳を見つけてくれて。それで両方掲げようということになったんです。でもそれぞれニュアンスが全然違うデザインになっているので、それを混在させるのはたぶんめちゃくちゃ難しかったと思います。あえてキャラクターと被せたりして、絶妙なバランスになっているんです。でもこの黒いロンTを見るとおもしろいんですけど、こっちには「WANDER ABOUT」だけで「放浪」が入っていないんですよ。

─ああ、そうですね。


あきら:よく見ると袖のところに小さく入っているんですけど、「背負う・背負わない問題」っていうのが僕の中にあって。それを背負うかどうかで印象がだいぶ変わるっていう。なのでキャラクターもここに顔だけあるようにして、かわいくなりすぎないものを目指しました。

─北海道や九州・沖縄の地図を入れるというのも結構難しかったんじゃないですか?


あきら:ご当地感が出過ぎると、それはそれで恥ずかしいというか、かっこ悪いものになっちゃいますからね。すごくいいバランスにしてくれたと思います。

─デザインも「WANDER ABOUT」というタイトルもスタッフから出てきたというのは、やはりオーラルのチームプレイはすごいですね。


あきら:そうですね。グッズチームとの連携も取れてるバンドだなっていうのは思ってますし、もちろん拓也を中心にバンドは回っていくんですけど、みんなそれぞれの役割をもって支え合いながら、今はいいコミュニケーションが取れていると思います。バンドもいい状態ですし、ようやく落ち着いてきたというか、慌てなくなってきたかなっていう感じがします。

─そういう状態で今回のある意味で原点回帰ともいえるツアーを周れるというのはTHE ORAL CIGARETTESにとっても大きな意味をもつものになるんじゃないかと思います。


あきら:そうですね。お客さんとの距離も物理的に近いし、スタッフの数も減らして搬入や搬出を自分たちもやったりしていくつもりなので。自分たちのバンド活動においての喜びとか、日頃のスタッフへの感謝とか、そういうのも結果的に見つかるんじゃないかなって思っています。



─今回作ったツアーグッズは、お客さんにとってもそうですけど、バンド自身にとっても思い出になるものになりそうですね。


あきら:そうですね。今回のツアーは今までのオーラルのルーティーンとは違った動きなので。アルバムを出してツアーをするとか、フェスに出て名前を売るとか、そういう活動とはまったく違うベクトルなので、そういう意味でも「放浪TOUR」は記憶に残ると思うし、このグッズもだいぶ記憶に残るんじゃないかなって思っていますね。日程もみっちり詰まっているので、怒涛のように過ぎていきそうな気はしています。

─「九州・沖縄編」の最後は沖縄ですが、オーラルは沖縄でライブをするのが初めてだそうですね。ちょっと意外だったんですけど。


あきら:そうなんですよ。海を渡って機材を運ぶのが大変だったり、僕が船が苦手だったりもして、インディーズ時代に行けていなくて。メジャーデビューして最初のほうも車移動だったので行けなくて、気づいたら沖縄に行かないバンドになっていました。でも今回「沖縄、どうする?」って聞かれて、「え、行くと思ってました」みたいな感じで(笑)。ファンクラブに入ってくれている沖縄のファンもいるので、そういう人たちがいるのに行かないのも変だし、きっと沖縄のファンの人たちは九州とかに遠征してライブを観てくれたりしていたんだと思うんです。それは沖縄だけじゃなく、今回初めて行く県はいくつもあるので、そういう人たちにとっては「やっと地元で観られる」というのを叶えられるツアーになると思います。

─いいツアーになることを願っています。あきらくんとしてはその先のグッズも考え始めているんですか?


あきら:まさに現在進行中です。今朝もデザイナーさんとやりとりをしていました。そこで上がってきたものをもとにメンバーに意見を聞いたりして詰めていく作業の真っ只中ですね。今回はライブハウスツアーということで作らなかったアウターっぽいものも、年末フェスでは作ろうかなと思っています。リストアップはだいぶできてきたので、あとはデザイン周りと仕様。今は生地を選んだりもしています。グッズチームとも頻繁に打ち合わせをやっているので、結構バタバタしてはいますけど、それも楽しみにしておいてもらえたらなと思っています。

取材・文:小川智宏
撮影:Taka"nekoze photo

LIVE INFORMATION
THE ORAL CIGARETTES presents "WANDER ABOUT 放浪 TOUR 2023 北海道 編"
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9月21日(木) 【北見】 ONION HOLL OPEN 18:30 / START 19:00
FRONT ACT:SATOH
9月22日(金) 【帯広】 MEGA STONE OPEN 18:30 / START 19:00
FRONT ACT:SATOH
9月24日(日) 【旭川】 CASINO DRIVE OPEN 17:30 / START 18:00
FRONT ACT:SATOH
9月26日(火) 【札幌】 PENNY LANE 24 OPEN 18:30 / START 19:00
FRONT ACT:the McFaddin
9月28日(木) 【小樽】 GOLD STONE OPEN 18:30 / START 19:00
FRONT ACT:the McFaddin
9月30日(土) 【函館】 CLUB COCOA OPEN 17:30 / START 18:00
FRONT ACT:the McFaddin

*開催終了


THE ORAL CIGARETTES presents "WANDER ABOUT 放浪 TOUR 2023 九州・沖縄 編"
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10月11日(水) 【福岡】 LIVE HOUSE Queblick OPEN 18:30 / START 19:00
FRONT ACT:鋭児 *SOLD OUT!!
10月13日(金) 【佐賀】 LIVE HOUSE GEILS OPEN 18:30 / START 19:00
FRONT ACT:鋭児 *SOLD OUT!!
10月14日(土) 【長崎】 DRUM Be-7 OPEN 17:30 / START 18:00
FRONT ACT:鋭児 *SOLD OUT!!
10月16日(月) 【福岡】 Zepp Fukuoka OPEN 17:30 / START 18:30
FRONT ACT:鋭児
10月19日(木) 【大分】 DRUM Be-0 OPEN 18:30 / START 19:00
FRONT ACT:AFJB *SOLD OUT!!
10月20日(金) 【宮崎】 LAZARUS OPEN 18:30 / START 19:00
FRONT ACT:AFJB *SOLD OUT!!
10月25日(水) 【熊本】 熊本 B.9 V1 OPEN 18:30 / START 19:00
FRONT ACT:AFJB
10月26日(木) 【鹿児島】 CAPARVO HALL OPEN 18:30 / START 19:00
FRONT ACT:AFJB
10月29日(日) 【沖縄】 桜坂セントラル OPEN 17:30 / START 18:00
FRONT ACT:Hello Sleepwalkers *SOLD OUT!!

チケット:
オールスタンディング ¥4,800(税込)
<Zepp Fukuokaのみ>
2F立ち見 ¥4,800(税込)
2F指定席 ¥6,300(税込)

*全公演SOLD OUT!!


LINK
オフィシャルサイト
オフィシャルグッズ
@oral_official
@the_oral_cigarettes_official
@THEORALCIGARETTES

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