一発録りで響かせる稀有な"本物のロック"──サポートギタリストとしても活躍するDURANの新作『Vornak』の背景にある想いとは
INTERVIEW
2025.12.09
Wez Atlas×Yoshi T. サードカルチャーキッズの二人が繋ぐ「東京とNYC」、そして彼らが築く新世代ヒップホップ
本記事では、そんな二人が共有する多文化的ルーツ、バイリンガルとしての表現、J. ColeやKanye、Tyler, The Creatorといったロールモデルの影響、日本とアメリカのシーンの違い、プロモーションとアルゴリズムのいま、そして「日本から世界へ挑む」未来への視点までを深掘りした。12月10日のイベントを目前に、彼らの言葉から立ち上がる「日本に広がりつつある新しいヒップホップの地図」について聞いた。

─まず早速聞きたいのは、お二人ともバイリンガルで多文化環境で育ってきたという点。日本とアメリカ、他の国を行き来してきた中で、その経験は「アーティストとして、そして人としての自分」にどう影響していますか?
Wez:俺はアメリカにいた時期が思春期真っ只中で、それがめちゃくちゃデカい。
─日本から引っ越したのが8歳で、帰ってきたのが15歳だよね?
Wez:そう。だから音楽も文化も、基本アメリカ寄りの感覚で育った。で、高校で日本に戻って"日本の空気"も体験したけど、ベースは「自分はアメリカっぽいな」って感じは強い。
─どういうところで「アメリカっぽい」って感じる?
Wez:例えばインスタのフィード見ても、俺が東京に住んでるって絶対わからないと思う。流れてくるミームとか文化圏もほぼアメリカだし。
─Yoshiの日本との繋がりはどう?
Yoshi:俺的には日本との一番濃い繋がりって、やっぱり親。一応「フル日本人」で...前に遺伝子検査をやってみたら、99%とかじゃなくて、本当に100%Japaneseって出て、「マジかよ」ってちょっと笑っちゃったくらい(笑)。
カルチャー自体は完全に親から受け継いだものだし、そこから自分でも「もっと日本のこと知りたい」とか、「ちゃんと日本の一部でいたい」みたいな気持ちが出てきた。特に東京とか、そのシーンの一員でいたいっていうのはずっとある。でも同時に、アメリカでは日本のカルチャーがめちゃくちゃ人気になったから、「日本人じゃない人より日本のこと知らない」とかになったら、逆におかしいなっていう感覚もあって。特に寿司とかの日本食がどんどん流行ってきたタイミングとかね。「いやこれ、俺ずっと食って育ってるじゃん!」みたいな(笑)。
でも歳を重ねるほど、そのバランスは取れるようになったと思う。自分でも「めちゃくちゃアメリカ的」だっていう自覚はあるけど、同時に「完全に日本人」でもあるから、その両方がだんだんちゃんと共存してきた感じ。
Wez: 俺は逆に、日本にいると「自分は日本人度低いな」って思うけど、一歩外に出ると「あ、俺めっちゃ日本人じゃん」って実感する。最近韓国に行った時、文化が似てる部分も多いけど、やっぱり「日本ならでは」がすごくあるって再確認した。

─話が広がっちゃったけど、Wez の音楽遍歴もちゃんと聞きたくて。アメリカに渡ったのはお母さん(日本人)の留学がきっかけだったと思うんだけど、向こうでは周りの子たちが聴いてる音楽から影響を受けた? それとも自分で見つけたポップカルチャーの方が大きかった?
Wez:母が日本人なんだけど、アメリカに行ったのは彼女が学校に通うためで、「英語をちゃんと練習したい」っていうのが大きかったから、家のルールとして「家では英語だけ喋る」ってなって。日本人同士なのに、母と息子が家で英語だけで話すっていう(笑)。今でもそれが続いてて、正直、日本語の方がコミュニケーション楽そうだなと思うこともあるけど、結局英語で話しちゃう。住んでたのがコロラドで、学校には日本人が一人もいない環境だったから、俺は大分に置いてきた「日本」を一回全部切り離して、メキシコ系の友達や白人、黒人の友達と一緒に、完全にミッドウェストのアメリカ文化にどっぷり浸かってた感じ。
日本で何が流行ってるかとか、当時ほとんど追ってなくて、目の前のアメリカの世界の方がワクワクしてた。で、英語に完全スイッチしちゃって、日本語ほとんど忘れかけて、「やばいな」ってなってから日本語学校に通い始めた感じ。日本語学校にいる子たちは、逆に日本のカルチャーにめっちゃ詳しくて、嵐を追いかけてたり、日本のテレビやNHKワールド観てたりしてて。俺はむしろそっち側じゃなかった。

─Yoshiは、アメリカの音楽だけを聴いて育ったイメージがあるけど、日本の音楽とも触れてた?
Yoshi:めっちゃ触れてた。ていうか俺、3歳くらいまで英語喋れなかったんだよね。家が完全に日本語環境だったから。ロサンゼルスに住んでた時、両親が住む場所住む場所で日本人コミュニティをすぐ見つけるタイプで、周りに日本語しか話さない人が多かった。だから家では日本語脳だった。
アメリカでも当時はビデオ屋で日本の番組DVDを週レンタルしてて、両親が好きな番組や音楽番組、Mステとか、SMAP×SMAPとか、そういうのを毎週見て返す生活だった。だから聞いてたのは90年代のJ-POP、サザンとか、Mr.Childrenとか、松任谷由実とか、そういう親世代の定番ばっかり。振り返ると、そのJ-POPの影響って、後に俺がハマったアメリカの音楽にも繋がってる気がする。
6歳くらいでマイケル・ジャクソンとかスティービーにハマって、2000年代のアイドル音楽にもMJドラムとかニュージャックスウィングの影響残ってたじゃん?あと山下達郎の80sのギターっぽい響きとかね。そういう音を自然と好きになっていった。
で、2008年にNYへ移って小学生の時に友達から Eminemと Nasを教えてもらって、一気にヒップホップにズドンってハマった。高校まではほぼヒップホップ一色。でも日本の音楽が完全に消えたわけじゃなくて、大学ぐらいからまた少しずつ聴くようになった感じ。
─今、日本でライブしたり、コミュニティとの繋がりもできてきてるよね。
Yoshi:そうだね。もともと存在してるコミュニティがあるんだけど、そこにめっちゃウェルカムしてくれてる。本当にありがたい。
出会いと「似た温度のアーティスト」としての関係
─いわゆる「サードカルチャーキッズ」としてのバックグラウンドを共有する二人が出会って自然に繋がったのが面白いなと思っていて。そもそもどうやって知り合ったんですか?初印象など覚えてますか?
Yoshi:初めて会ったのは2年前。Wezの初期のMVを全部撮っていた共通の友達(Ryota Ishizawa)が前から「Wezってやつがいるよ」と教えてくれてて。俺、当時は日本のアーティストとの繋がりゼロだったから、友達が色々紹介してくれて助かった。で、実際会ったら彼の音楽が俺と一番近い感じで、「日本にもこういう人いるんだ!」ってめちゃテンション上がった。文化的なことも色々教えてくれたし、すごく自然に仲良くなった。
─文化的なことって、具体的にどんな話?
Yoshi:彼が日本とアメリカの両方を経験してきた話とか、日本に戻って普通の高校生活してたこととか。
Wez:「アニメで見るやつ実際にやってたんだ!」みたいな(笑)。体育祭とか文化祭とかね。
Yoshi:あとレーベル事情も聞いて、アメリカはインディペンデントが主流になってるけど、それが日本にも少しずつ来てるって話とか。
Wez:でもYoshiは最初から印象あんま変わってない。ブレずにずっと同じエネルギーのまま。初めて会った時、まだ「F* TASTE」も出してなかったよね。「HOW TO GET BACK」のトラックリスト見せてもらって「これ最後にしたら?」とか適当にアドバイスしたら、全然違う順番で出してて笑った。
Yoshi:あったね(笑)。あれ2年しか経ってないのに、もっと前に感じるわ。Wezも当時はまだ日本語の曲ほぼ作ってなかったのに、今は完全に両方いけてて、成功してて、ほんとすごいと思う。

バイリンガルの表現・ラップのスタイル
─Wezは曲を出し始めた頃、英語だけでラップしていたよね?それは意識的な選択だった?
Wez:いや、全然。単純に自分の"いちばんピュアな表現"が英語だったってだけ。自然に出てきたのが英語だった。
─じゃあ、日本語でラップし始めた時は、逆に意識的なチャレンジだった?
Wez:それはそう。最初は完全に「自分を押してやる」みたいな感じだった。でも続けていくうちに楽しくなってきて、今は"自分なりの日本語の声"を見つけられた気がする。国内のラッパーとも違う感じで、それが逆に面白い。

─二言語を使えることで表現の幅が広い、と感じる?
Wez:うん、めっちゃそれはある。
─バイリンガルだと、片方の言語では出るのに、もう片方で出てこない言葉とかあるよね。曲を書く時にもそういう現象って起きる?言語ごとに使う脳の部分が違う感じとか。
Wez:完全にそう。普段話してる時と同じで、相手が英語も日本語もわかる人だったら、出しやすい方の言語でポンって単語とかフレーズを言っちゃうじゃん?書く時も同じで、急に日本語の単語が浮かんだらそのまま日本語で書いちゃう。
インスピレーション源
─ラップを本格的に始めたのは大学生時代ののクルー(Solgasa)からだよね。Solgasaは、ある意味いわゆる「帰国子女」「ハーフ」みたいなラベリングからからはみ出した「インターナショナルな子たち」の集まりだったよね。
Wez:当時の俺ら、正直「自分たちはシーンから浮いてる」って自覚が全然なかったんだよね。完全に「友達同士の遊び」から始まってたから。
今振り返ると、俺らは「東京の中のインターナショナルなバブル」にいたんだと思う。イベントに来てくれるお客さんも、インター出身とか、留学帰りとか、バックグラウンドが似てる人たちが多くて、いわゆる「ジャパニーズ・ヒップホップの本流」とはあまり繋がってなかった。メンバーの中だと、Viva Olaが一番日本のシーンと強く繋がってて、Sagiri Solもそういうところに足をかけてたけど、他のメンバーはかなりインターナショナル寄りの空気の中にいたと思う。
当時の俺らは、めちゃくちゃ 88risingに影響を受けてて、「自分たちもクルーとしてやっていこう」って発想もそこから来てる。2018〜19年あたりかな、「アジア人が集まって世界に向けてラップやR&Bやってる」っていう絵面に、すごく勇気をもらった。
─88rising に感じていたのは、サウンド的な部分? それとも「アジア人アーティストの集合体」としてのアイデンティティ?
Wez:どっちかというと完全にアイデンティティの方。
Yoshi:アメリカのリスナーとして見ても、「こんなに各国からアジア人アーティストが集まって、一つのレーベルとしてコラボしてる」って、当時はすごく新鮮だったと思う。アジアって国も多いし、音楽好きも多いのに、そこを真正面からターゲットにしてる存在ってなかなかなかったから。
ヒップホップってヨーロッパの市場も大きいけど、88rising はそれとは別軸で「アジア圏全体」に向けた動きをしてたのが面白くて。いろんな国のアーティストが一つのステージに集まって、いろんな言語が飛び交ってて、「これって新しいな」と思ってた。


─インスピレーションの話に戻ると、Wez は J. Cole の名前をよく挙げているよね。改めて、「自分の中のアーティストのロールモデル」として J. Cole を挙げる理由って?
Wez:彼が出てきた2000年代後半〜2010年代前半って、他のラッパーが扱うテーマと、Cole が扱うテーマがちょっと違ってて。彼はもっとパーソナルなこと――家族のこととか、お母さんのこととか、自分の気持ち――をすごくストレートに描いてた。それが当時の俺にはめちゃくちゃ刺さった。サウンドもすごくリッチだし、聴いてて「世界が広がる」感じがあった。
しかも歌詞の内容が、「黒人にしかわからないこと」じゃなくて、「ひとり親家庭で育った」とか、「家族との関係に悩んでる」とか、そういうバックグラウンドの人なら人種問わず深く共感できるものになってて。
だから「自分がラップをやってもいいんだ」と思わせてくれた存在。「これは自分のことじゃないから喋っちゃいけない」っていう壁を感じないまま、自然に「書いてみよう」と思えたのは、J. Cole の存在が大きいです。
─日本でも「誰がどのストラグル(苦しみ)を語っていいのか」っていう議論がずっとあるよね。Yoshi はそのあたり、どう考えてる?
Yoshi:俺の場合、たとえばベイエリアの音楽は大好きだけど、あえてあまりベイっぽいサウンドはやらないようにしてる。中途半端に真似したくないというか、「自分が何百時間も聴いてきたニューヨークの音」の方が、リアルに根っこがあるから。
どこ出身でも、「その土地のストラグル」を借りて語るのはちょっと違うと思うんだよね。
それより、J. Cole や Kanye、Tyler みたいに、「めちゃくちゃ身近なこと」をラップしてるアーティストにすごく影響を受けてきた。Kanyeがケンタッキーフライドチキンについてラップしたり、Tyler がくだらないことを全力で曲にしてるとか、そういう「普通の話」を大真面目に曲にするスタイル。
成功したい、とか、お金が欲しい、とか、家族のこととか、クリエイティブな不安とか。そういう「どこに住んでても共通する欲望や悩み」をラップすることが、俺の中ではすごく自然なんだと思う。

─じゃあ、今名前を挙げたアーティストたち――J. Cole、Kendrick、Kanye、Tyler――は、Yoshi にとってもロールモデルと言える?
Yoshi:うん、完全にそう。KanyeとTyler は特に大きいし、J. Coleや Kendrickも「イノベーター」としてずっと意識してる。彼らの共通点って、サウンドも歌詞も「幅が広い」ことだと思う。ジャンルに縛られずに他の音楽からもどんどん影響を取り入れて、ラップだけじゃなくて歌ったり、変な声出したり、バンドっぽいことしたり...とにかくいろいろ試してる。コラボ相手も全然違うジャンルの人と組んだりするし。
作品ごとに人格も変わっていくし、人生のフェーズによって歌うことも変わっていく。その"変化"がちゃんとアルバムごとに刻まれてるのがすごい。Kendrickは一枚も同じアルバムを作ってないし、Tylerも最初はめちゃくちゃ尖った変なことやってたのに、今はCoachellaのヘッドライナーになってて、「こんなに"変"なままメインストリームに行けるんだ」っていう希望を与えてくれてる。Kanyeは正直、今は褒められない部分も多いけど、「作品ごとに自分を更新し続けるアーティスト像」としては、やっぱり影響は大きい。
10年後に「Sabrina Carpenterと Tyler, The Creator が同じ時代のビッグアーティストだった」と振り返るのって、かなり面白い風景だと思うんだよね。ポップもオルタナもヒップホップも、全部同じ地平で並んでいる感じがして。
─Yoshi の曲を初めて聴く人はよく「Mac Millerっぽい」って言いがちだと思うんだけど、その表現についてはどう感じてる?
Yoshi:影響は全然影響受けてるし、Macも間違いなく自分の中の重要なアーティストの一人。
でも「Macっぽい」って言われることをネガティブに思ったことは一回もなくて。むしろ、それで自分の音楽を知ってくれる人が増えた側面もあるし、ある意味わかりやすい「入り口」になってる感覚がある。「Macっぽい」って言われることで、そういうサウンドの文脈にまず置かれて、そこから別のことをやった時に「あ、今回は違う」って感じてもらえる。そのコンテクスト作りという意味でも、結構助けられてる部分はある。
Mac自身も、アーティストとしての伸び方がすごかったよね。『Watching Movies with the Sound Off』くらいから特に、毎作毎作新しいことを試して、自分の立ち位置をちゃんとキープしてた感じがする。
12月10日・東京のショーについて
─前にWezが「ここにいるお客さんが、アーティストを通してコミュニティを作ってるのがすごくいい」と話していたのが印象的で。それを踏まえて、次のイベントではお二人が同じステージに立つことになりますよね。まず、そのイベントがどうやって実現したのか、そして一緒にやることについてどう感じていますか?
Wez:まず、共通の友だちのJohnから「Yoshi T. が日本に来るらしいよ」って聞いて、「じゃあ絶対ショーに出てもらわないと」と思ったのがきっかけ。それに、Yoshi のルーツは大分で、俺も大分出身で、もう一人の友だちのSkaaiも大分出身で、みんな同世代で、ラップ〜オルタナのラインにいる。だから「これはもう一緒にやるしかないでしょ」と。
本当はSkaaiにも出てもらいたかったんだけど、スケジュールが合わなくて。でも、俺の中では今回のブッキングは、「ついに自分が本当に"共感できる人たち"を集めたイベントができる」と思えて、めちゃくちゃ楽しみだった。これまで俺が出てきたイベントって、周りがほぼドメスティックなシーンで、自分だけが英語でラップしてることも多くて、いつもどこか「ズレ」みたいなものを感じてて。でも今回は、「ここは自分の"村"だな」って思えるような、ちゃんと自分の部族・自分のトライブみたいな感じがしてる。

─「自分が本当に"共感できるたち"」というのは、やっぱり多文化バックグラウンドを持っている人たち、という意味?
Wez:そうそう。多文化のバックグラウンドを持ってて、それが当たり前になってる人たち。
Yoshi:俺も前から「もっと日本との繋がりをちゃんと作りたい」ってずっと言ってて。だから今回、Wez がそういう場を用意してくれたのは本当にありがたい。自分にとっても「ここで自分が日本でどんな立ち位置にいられるのか」をちゃんと確かめられる機会になると思うし、ここから少しずつスタートしていけたら、って気持ちがある。
Wez:うん、まさにそういう回にしたかった。
─じゃあ、その「日本にもっと枝を伸ばしたい」というモチベーションについて、Yoshi に改めて聞きたいです。
Yoshi:そうだな...。一言で言うと、「自分は日本人だから、日本でも自分のことを好きでいてくれる人がいてほしい」っていう、すごくシンプルな気持ちだと思う。子どもの頃、自分みたいな存在ってほとんど見たことがなかったし、ロールモデルもあまりいなかった。
だから、自分がアメリカで活動しながらも、日本にも友だちがいて、好きでいてくれる人たちがいる、っていう状態が作れたら単純に嬉しい。とはいえ、日本語のリスナーだけに向けた「日本語縛り」の音楽をやろうとは、あまり思ってなくて。どっちかというと、「アメリカにいるけど、日本のアーティストたちともちゃんと繋がってる"あの日本人のヤツ"」みたいな存在になれたらいいな、という感じ。日本の人たちって、海外で活躍してる日本人を見るのが好きなところもあるし、俺自身もそういうの見ると嬉しいから。八村塁みたいな感覚というか(笑)。「あの人、向こうでやってるけど、ちゃんと日本とも繋がってるよね」みたいな。

─そのスタンスは、正直すごく新鮮だなと思います。というのも、日本と縁のない海外アーティストのなかには、「日本=ユートピア」「でかいマーケットだから、ここでだけ食っていきたい」と理想化して語る人も多いから。日本にアーティストビザを取って永住したがる人も多くて、「日本さえ行けば安泰」みたいな幻想を持っている人も結構いる。そういうなかで、Yoshi のスタンスは等身大というか、「日本との距離感」がとてもリアルに感じられます。
Yoshi:うん、まあ俺の場合は、もともと日本にルーツがあるし、こっちに来ても、ただ遊びに来るだけじゃなくて、普通に友だちとご飯行ったり、飲んだりする場所でもあるからね。だから、「せっかくこんなに頻繁に来てるんだから、ここにいる人たちにも自分の音楽をもうちょっと知ってもらえたらいいな」という自然な感覚が近いと思う。
ただ、さっき言ったみたいに、俺は日本語でガッツリ歌詞を書くタイプじゃないし、「日本語話者だけのためのポップス」を作ってるわけでもない。だから、ここでバリバリ活動してるアーティストたちと同じように日本のマーケットに本格参入、というよりは、「日本にいる自分のリスナーや仲間を増やせたらいいな」というニュアンスが強い。
Wez:でも、そういうアーティストが来日してくれるのを待ってる層って、東京には結構いるんだよね。俺もそうだけど、For You ページが完全にアメリカのカルチャーで埋まってる日本在住の人って、実はかなり数がいると思う。そういう人たちは、今までだったらニューヨークまで行かないとYoshi のライブは観られなかったけど、「東京で観られる」ってなるだけで、すでに何百人も余裕でいると思うし。そういう意味でも、このイベントが「最初のハブ」になったら面白いなと思ってる。
日本とアメリカのシーン
─近年の日本の音楽シーンって、昔みたいに「ひとつの大きな流れ」じゃなくて、すごく細分化されてますよね。ニッチごとにファンがいて、それぞれが独自の文化を持ってる感じ。お二人は、最近その変化をどう感じてる?
Yoshi:うん、日本で出会う人たちって、まず最初の入り方がめちゃくちゃ自然なんだよね。スタジオで「初めまして」みたいな堅い感じじゃなくて、普通に友だちとして会って、そのまま一緒に過ごす感じで。で、そのあとでインスタでフォローしたり、少し一緒にいる時間が増えたりしてから、ようやくその人の音楽を聴くんだけど、そこで毎回ビックリする。全員、作ってる音楽が全然違うんだよね。本当にバラバラで、めちゃくちゃ幅が広い。
ファッションにもその多様性がちゃんと出てて、日本ってジャンルごとに明確なスタイルやニッチがあるじゃん?ヒップホップの中だけでも、小さな島がいくつもあって、それぞれにアイデンティティがある感じ。それがすごく面白いし、めっちゃ良いと思う。しかも、リスナーも「なんでも聴く人」もいれば「このジャンルだけ好き」って人もいて、その選択肢の広さがまたクール。
俺が最初、日本のこの細分化されたシーンを何も知らずに来たことが逆によかったんだと思う。先入観ゼロで、いろんなタイプの人たちに出会えて、後から「この人とこの人、こう繋がるんだ!」って点が線に繋がっていく感じ。それがめちゃくちゃ楽しい。

─Wezはどう思う?
Wez:俺も同じ意見。日本って、「ヒップホップの本場」であるアメリカからは海を挟んで完全に離れてる。だからこそ、アメリカの流れがそのまま入ってくるんじゃなくて、日本で解釈されて、ちょっと形がズレたり変化したりする。それがすごくユニークなサウンドを生む土壌なんだと思う。それこそ、東京という街の見た目とか空気感の中で作るから、「東京っぽい」ヒップホップが自然と生まれる。
だって俺ら、ニューヨークのクイーンズにも、ブロンクスにもいるわけでもない。東京に住んでて、東京の景色や空気の中で音楽を作ってるわけだから、自然と「東京っぽさ」がにじみ出る。しかも、一人のビートメイカーが自分の部屋にこもって、同じ街にいる他のミュージシャンと一切交わらずに、自分だけの世界観で作り続けてたりもする。で、ある日いきなり SoundCloudとか Spotify にポンと上がってきて、「え、何これ!?」ってなるような音が出てくる。
─一方で、アジア人がラップすると必ず出てくる「真似事だ」「リスペクトがない」みたいな批判の声もありますよね。Yoshiはニューヨークでも活動していて、そういう視点も感じる場面があったと思うけど、その点どう思いますか?
Yoshi:正直、インターネットでのヘイトはあんまり気にしてない。俺が気にするのは周りにいる実際の人たちの反応。ニューヨークって音楽的にもカルチャー的にもめちゃくちゃ濃い街だから、「どれだけ本物か」がすぐ見抜かれるんだよね。嘘っぽかったり、背伸びしてたりすると、一瞬で「corny(ダサい)」って言われるし。
でも俺のまわりの人たちは、俺の音楽がちゃんと「自分の体験から出てるもの」だってわかってくれてる。リップオフ(盗用)してるわけじゃなくて、自分の人生から出た感情で曲を作ってる。だからリスペクトを持って受け止めてくれてると思う。
ただ、日本でたまに「これはインターネットで見たやつをそのままやってるだけだな」って感じるものがあるのも事実。(コーンロウなどの)ヘアスタイルとか「こういうのがかっこいいんでしょ?」っていう表面的な模倣だけが前に来ると、「いやいや...もっと自分のリアルを出せばいいのに!」って思っちゃう。
ヒップホップはブラックカルチャーから生まれたものだから、リスペクトは絶対必要。そのうえで、自分のルーツ・自分の文化に根ざした「本物のスタイル」って絶対作れるし、むしろそっちのほうがかっこいい。
─その「リアルなスタンス」って、Wez 的にはどう感じる?
Wez:俺が「この人マジでかっこいい」って思う日本のラッパーって、本人の「日本らしさ」が音にもビジュアルにもちゃんと出てる人。たとえば、俺が好きなのは5lack。彼は板橋出身なんだけど、板橋の街を歩きながら彼の曲を聴くと「あ、この空気だ」ってわかるんだよね。環境がそのまま音に滲んでる。
しかも、わからない英語を無理に使ったりもしない。背伸びしてない、ちゃんと地に足ついた表現で、それがすごくかっこいい。

─Yoshi は、日本の「アメリカ由来のカルチャー」への向き合い方についてどう見てる?
Yoshi:ヒップホップって、アメリカ→日本→アメリカみたいに、ずっと相互に影響し合ってきたジャンルだと思う。2000年代のアメリカのラッパーも日本のファッションやカルチャーにめちゃくちゃ影響受けてたし、いまでも Rocky、Kanye、Pharrell とか皆そう。日本はずっと文化的に重要な場所。
だからこそ、「日本にしかないスタイル」って本来めちゃくちゃ強い武器だと思ってて。例えば JP THE WAVYがこの前ニューヨーク来たんだけど、もう見た目が最強(笑)。全身にジュエリーまとっててカラフルで、でもそれが「日本のかっこよさ」として成立してる。音がどうとか以前に、「こういうファッションは日本じゃないと生まれないよな」って思わせる力がある。だから逆に、日本の文化的な強みを捨てて「ブラックカルチャーの表面だけ真似する」のはもったいないと思う。
デジタル時代のリスナー、プロモーション、アルゴリズム
─じゃあ、ちょっと話を戻して。日本とアメリカの音楽シーンの違いについて、もう少し聞きたいです。「海外に行きたい」と言う日本のアーティストは多いけど、"アメリカで成功する"って、実際は曖昧な言葉じゃないですか。LAでライブをすることなのか、全米に安定したファンベースを持つことなのか...。お二人から見て、日本とアメリカのシーンを比べたとき、「向こうの方が羨ましい」と思う点、逆に「ここはもっと変わったほうがいい」と感じる点があれば教えてほしいです。
Yoshi:俺はまだ日本のシーンに入って日が浅くて、今も勉強中って感じだから、あんまり偉そうなことは言えないんだけど...ひとつだけ「ここはもったいないな」と思うのは、日本のファンって、アーティストの投稿に全然コメントしないところ。ライブに行くとめちゃくちゃ熱量あるし、本人に会えばみんなすごくフレンドリーで優しいのに、いざインスタを見るとコメント3件とかで、「え、さっきのあの光景どこ行った?」ってなる(笑)。
コメント欄が、仲いい数人だけのグルチャみたいになってて、他の人が入りづらい空気があるというか。
Wez:わかる。あるあるだよね。日本のリスナーって、たぶん「静かに消費する」人が多いんだと思う。曲はちゃんと聴いてるし、ライブにも来るし、でも自分のアカウントでリアクションすることはあまりしない。
その代わりに、Twitter(X)でアーティスト名を出さずにポストしたりするよね。俺も自分の名前をエゴサすると、「え、こんなこと言ってくれてたんだ」って数ヶ月前のポストが急に出てきてビックリするけど、俺のポストのリプ欄には何も残ってない、みたいな(笑)。
─確かに、日本だとYouTubeコメントはめちゃくちゃ熱いけど、Instagramは静かですよね。日本人って匿名性がある場所のほうが本音を言いやすい文化があるから、曲やMVについてるYouTubeコメントとかだと議論も盛り上がるし、感想もガンガン書かれる。でもインスタは本名に近いアカウントを使ってる人が多いから、「コメントする=自分が見られる」という感覚が強くて、そこに抵抗がある気がする。
アーティストとしては、やっぱりコメントをもっともらえたほうが嬉しい?
Yoshi:そりゃコメントが多いに越したことはないけど、今話しててわかったのは、「日本では"表に見えない場所で盛り上がってる」んだなってことかな。アメリカだと、新しいアーティストを見つけるのってTikTokやインスタが多くて、その時にコメント欄も一緒に盛り上がるのが当たり前になってる。そこから火がつくことも多いし。でも日本では、YouTubeやTwitterの裏側で盛り上がってるなら、それはそれでカルチャーの形が違うだけなのかもしれない。
Wez:実際、自分のインスタのインサイトを見ると視聴者の大半は日本なのに、コメントは9割英語だったりするよ。

─シーン全体で見たときに、「アメリカはここがすごい」「日本はここが良い」みたいな点は?
Wez:アメリカで「いいな」と思うのは、アーティスト自身がプロモーションやロールアウト(リリースの時のPR)に深く関わってること。例えばWHATMOREとか彼らのまわりの動き見てて、「この人たち、マジで一個も投稿を無駄にしてないな」って思った。世界観の作り込みとか、キャラクター紹介の仕方とか、Yoshiが父親と話すエピソード回なんて、ほとんどショートフィルムみたいだったし。そういう「ブランディングと物語づくり」にアーティスト自身がちゃんと関わってるのは、すごくインスパイアされる。
日本で「ここがすごい」と思うのは、オフラインの熱量。インスタや数字だけ見ると「そんなにハネてないのかな?」と思うアーティストでも、実際にライブに行くとフロアがパンパンで熱狂してて、「え、こんなにファンいるじゃん!」ってなる。だから日本には、ネット上の数字では測れない盛り上がりがめちゃくちゃある。それってちょっと「秘密の現場」っぽくて、行った人だけが味わえる感じがするのも、すごくいいところだと思う。
Yoshi:それに、日本はまだフィジカル文化がちゃんと生きてるのもデカいよね。CDやバイナルをちゃんと買って、物として大事にするカルチャーがある。それって、結局「音楽そのものへの愛」がないと続かないし。
─一方で、アメリカだと「プロモーション疲れ」みたいな話もよく聞きます。音楽を作るよりもコンテンツを作ることが優先されすぎて、アーティストがTikTok クリエイターみたいな立場を求められるようになってしまった、というか。WHATMOREの場合は、全員が自分のキャラと物語を理解していて、そこから生まれたロールアウトだったから説得力があったと思うんです。でも今、「アーティストは全員TikTokerであるべき」みたいな空気になってしまって、その瞬間にコンテンツとしての魅力が薄れるケースも多いと感じてて。
Yoshi:うん。「残るものを作る」って、一番むずかしくて、一番価値があることだと思う。WHATMOREをローンチした時にたくさん投稿したリミックス動画シリーズとかは、正直、俺らなりの「ちょっと自分たちを売りに出す」ラインだったと思う。皆ソロでは慎重に作品を出してるタイプだから、「とにかく毎日バズりそうな動画を上げる」みたいなことはしたくなくて。
@whatmoreeee muttttt @Leon Thomas ♬ original sound - whatmore
でもグループとしてゼロからファンベースを作るには、何かしら入口が必要で、「俺たちの実力が見える範囲で、ギリギリやってもいい"セルアウト"」があのリミックス動画シリーズだった。トレンドに乗りすぎたコンテンツには興味はないけど、才能はちゃんと見せたい、っていうバランス。その上で、「本当にやりたいこと」を見せていくフェーズに少しずつ移っている感じかな。
でも結局、カルチャーって「誰かが新しいことをやる→それが普通になる→みんなが真似する」の繰り返しだと思う。だからコピーばかり見てると残念な気分になるけど、たまにDijonみたいに全然違うアプローチの人が出てきて、ほぼロールアウトなしで成立してたりもする。
─Spotifyのプレイリストやアルゴリズムの話も出ましたが、今は一時期前より「何をやれば当たるか」が読めなくなっているようにも感じます。
Yoshi:そうだと思う。前は「この音っぽく作って、こういう繋がりがあれば、このプレイリストに入るはず」みたいな「攻略法」がもう少し見えてたけど、今はかなり不確実になってる。結局、ゲートキーパーがSpotifyのキュレーターから「アルゴリズムそのもの」に移った感じ。だからみんな、何とかしてアルゴリズムに引っかかる方法を探して試すし、バイラルヒットが起きると、それを再現しようとする。
ただ、昔の「Spotifyの大きなプレイリストに入ったら人生変わる」みたいな時代と違って、今はプレイリストに入っても、それだけじゃそこまで世界は動かない。Remi Wolfみたいにプレイリストで人生変わったケースは、もう「伝説エピソード」に近いと思う。
─Zane Loweの番組に出たり、COLORSに出たりすることも、昔と今では「意味合い」が変わってきてると思う?
Yoshi:そうだね。前は COLORS に出るって、「ブレイクの証明」みたいな感じだったと思う。「あのカラフルな部屋で歌う=ヤバい新人」っていう共通認識があったし、自分もCOLORSを通してアーティストを発見してた。今は、もちろん出られるのはめちゃくちゃ光栄だし、嬉しいけど、それで人生すべてが変わる、みたいな感じではない気がする。どっちかというと「アーティストとしての通過儀礼」みたいな意味合いが強くなってるのかもしれない。
Wez:俺はそれでも、もちろん出たいけどね(笑)。
─何かがバイラルになる「文脈」を理解しないまま、「とりあえず真似しておけばいい」と考える日本のレーベルも多い印象があります。「何がどうハマったのか」を理解しないまま、「この見た目の施策をそのままなぞればバズる」と思ってしまう。というか。
Yoshi:それはアメリカのレーベルも同じだと思う。新しいアイデアを出す人って、ごく一部で。多くの現場は、「あれがここでうまくいったから、うちでもやってみよう」っていう動き方をする。本当に新しいことを提案してくれるのは、結局アーティスト本人か、クリエイティブ寄りの少数の人たち。その試行錯誤の中から、また新しい「当たり前」が生まれていくんだろうな、とは思う。
海外進出について
─Wez に聞きたかったのが、「海外に進出する」というテーマ。ここ数年、それがひとつの大きな目標になっていたと思うのですが、その理由と、今どんな段階にいるのか聞かせてください。
Wez:うん、これはいつか必ず向き合わなきゃいけないテーマで。キャリアのどこかの段階では、やっぱりアメリカとか、いわゆる「外のシーン」に一度飛び込まないといけないと思ってる。特に、俺の場合はニューヨーク。ヒップホップのメッカでもあるし、自分がずっと憧れてきたカルチャーが凝縮されてる場所だから、一度ちゃんとそこに触れてみたい。
それに、正直言うと、自分のなかの「アメリカ的な感覚」がだんだん薄れてきてる気がするんだよね。日本に長くいると、日本語脳になっていくというか、生活の全部が日本仕様になるというか...。もちろんそれ自体は良いことなんだけど、音楽的にはもう一回ちゃんと「火をつけ直したい」感覚がある。
情報も、10年前と今では全然違うし、俺の持ってる「アメリカ観」もそろそろアップデートしないと完全に時代遅れになる。現地のスタジオでセッションしたり、クラブのオープンマイクを見たり、リアルタイムの空気に触れて自分の感覚をリセットしたいっていうのが大きいね。
─その感覚、すごくわかります。私自身もしばらく日本に住んだあとアメリカに戻ったとき、「世界のノイズ」がいきなり全部聞こえてきて、常にピリッとした状態になるような感覚がありました。日本は便利で快適だけど、逆に自分の半径1mの世界に閉じこもれてしまう。そういう意味で、アメリカは常に「外の世界」を意識せざるを得ない環境ですよね。
Wez:まさにそれ。政治とか社会問題とかも、目を閉じてれば見なくて済む国だと思う、日本って。でもアメリカにいる人の発信を見てると、「ちゃんと考えなきゃな」って自分を引き戻される。音楽でも同じで、ずっと日本のシーンにいると、影響源がすごく限られてくるんだよね。だから一度ガツンと別の環境に晒されたい、みたいな気持ちは強い。ニューヨークのNubluでのジャムセッションみたいなのを生で見たいし、そこに混ざってみたい。

─「文化・政治・社会・音楽が全部つながっている」のがアメリカの特徴だと思うのですが、日本はそこが切り離されやすいですよね。音楽はあくまで「エンタメ」として消費できてしまうというか。
Wez:それは本当に大きい差だと思う。
Yoshi:言ってること全部わかる(笑)。付け加えることないくらい。
─日本にいると、どうしても「日本のアーティスト」というラベルを付けられるし、実際に音楽配信も「ジオロック」されているから、日本発で出すと他の国に広がりにくいですよね。そういう仕組み自体が、世界に届く可能性を狭めてしまっているように感じます。
Wez:そこが本当に難しいところで。「日本の音楽を探しています」っていう人は、基本的に「ザ・日本の音楽」を求めてるし、俺が作ってるようなアメリカ寄りのものを探しに来るわけじゃないんだよね。だから、今の自分がどの「棚」に置かれているのかを考えると悩ましい。
─Wez 自身はどんな存在として見られたいと思っていますか?
Wez:俺は、自分のことを「アメリカ的な要素を持つアーティスト」としても全然認識していいと思ってる。アジア系アメリカ人の経験とか、多文化のバックグラウンドとか、そのあたりに根ざしたストーリーを語れるし、実際その方がしっくりくる。逆に、日本でよく見るような「Bボーイ的な日本のヒップホップの文脈」に、俺自身の生活とか価値観はあんまり当てはまらないかな。
日本のヒップホップヘッズは俺の音楽を表面的な部分で楽しんでくれると思うし、それはそれでいいけど、俺の音楽のメッセージや核の部分で強く共鳴するのは、日本のむしろアジア系アメリカ人とかのリスナーなんじゃないかなって思う。
5〜10年後に向けて

─じゃあ最後に、5〜10年後、自分がどこにいて、どんな影響を残していたいと思う?音楽的でもカルチャー的にでも、コミュニティへの貢献でも、何でもいいです。
Yoshi:うーん...正直に言うと、5年後の自分がどこにいるかなんて、全然わからない(笑)。
でも、生きてて、音楽を続けていられたらそれで十分かな。規模がどうとかじゃなくて。もちろん頭の中では「5年後にこうなってたい」っていう理想像はいくつもあるけど、それをいま口に出す必要もないというか。「静かに動く」ってやつ(笑)。とりあえず、どこかでちゃんとやってると思う。
Wez:5年後には、ちゃんと「グローバルの音楽シーンに挑戦する」っていう、リアルな一歩を踏んでいたいと思ってる。それが一番の目標かな。
取材・文:竹田ダニエル
撮影:Ryusei
LIVE INFORMATION
Wez Atlas Presents "ON THE MAP!"

日時:2025年12月10日(水)
会場:CIRCUS Tokyo
OPEN / START 19:00
出演:[LIVE] Wez Atlas / Yoshi T. / It's US!!!! [DJ] uin / nonomi
料金:
一般スタンディング ¥ 3,000 (税込・1ドリンク代別途)
U-22スタンディング ¥2,000 (税込・1ドリンク代別途)
チケット:
https://eplus.jp/onthemap1210/
※未就学児入場不可、小学生以上チケット必要
※U-22チケット注意事項
・2003年4⽉2⽇ 以後に⽣まれた⽅対象
・U-22の⽅は年齢確認のできる写真付き⾝分証明書1点、写真がない場合は2点(学⽣証・健康保険証など)を⼊場時にご提⽰ください。
・身分証を忘れた場合、一般チケットとの差額¥1,000を現金にて頂戴することがございますのであらかじめご了承ください。
お問い合わせ:CIRCUS Tokyo (info@circus-tokyo.com )
LINK
オフィシャルサイト@wezzyatlas
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