SENSA

2023.03.04

『TENDOUJI presents OTENTO'23』開催間近!モリタ&アサノ×出演者代表・吉田崇展(ズーカラデル)スペシャル鼎談

『TENDOUJI presents OTENTO'23』開催間近!モリタ&アサノ×出演者代表・吉田崇展(ズーカラデル)スペシャル鼎談

3月3日に大阪GORILLA HALL公演、3月16日に川崎 CLUB CITTA'と、東西2ヶ所で始まったTENDOUJIのお祭り『OTENTO'23』。ありそうでなかった豪華メンツも気になるところだが、これが単発のイベントではなく、バンドが打ち上げるフェスティバルとして続いていくことにも注目したい。そこにはどんな夢や気持ちが込められているのだろう。
今回はTENDOUJIのツートップであるモリタナオヒコ(Vo/G)、アサノケンジ(Vo/G)、さらに東京公演に出演するズーカラデルから吉田崇展を迎えてのフリートーク。露わになるそれぞれの違い、それでも通じ合っているリスペクトの心をお楽しみください。


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「誰でもできる」って思えちゃう感覚って、ズーカラの底知れない魅力

―みなさんの出会いはどんな感じなんですか?


吉田崇展:サヌキロック(SANUKI ROCK COLOSSEUM)の時に、商店街の特設ステージみたいなところで、ケンジさんとキイチくん(キイチビール&ザ・ホーリーティッツ)と座って喋るみたいな。あの時初めて会ったんじゃないかな?

アサノケンジ:あ、あのトークショーみたいなやつ。4年くらい前か。

吉田:いざ会って話したら、思ったよりずっといい人だった。

アサノ:俺は逆に、初めて会う人にそう思われてるだろうと思ってたから、最初から「ズーカラデルすごい好き」って言ってた。"俺嫌な奴じゃない"アピールをした気がする。

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―TENDOUJI、怖かったですか?


吉田:いや、俺、その頃は札幌に住んでたんですけど、当時TENDOUJIのことを見たのが「ミュージックビデオで骨折してゲラゲラ笑ってる、やべぇバンドがいるぞ」みたいなインターネットの記事だったんですよ。めちゃくちゃ怖いじゃんと思ってた。東京のストリートは怖いなって(笑)。

アサノ:あははははは!

吉田:当時の僕はバンドっていうか、歌うことは始めていて。ただ、ライブハウスに出てはいるけど、そんなに馴染んでないというか、胸張ってレペゼンできる状態じゃなかったから。だからTENDOUJIのビデオを観て「あぁ、こんなカッコいい世界がほんとにあるんだ」って思ってた。

アサノ:マジで?

吉田:ほんとに。初めて対バンした時も描いてたイメージに近いものはあって。ライブハウスにちゃんと根ざしてるライブだった。楽しみ方を共有してるというか。お客さんもすげぇカッコいいなと思ってました。

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―ライブハウスで熱狂を巻き起こすTENDOUJIと、歌が沁みてくるズーカラデル。パッと聴いた感じ音楽性はかなり違うように思えます。


モリタナオヒコ:そうっすよね。でも俺、ズーカラは最初から好きだった。やっぱり曲。曲がよすぎた。普通に聴いてたし、今も散歩中とかよく聴いてる。あんまりそういうこと、同世代のバンドだと意外と少なくて。

吉田:ありがたいですね。嬉しい。

アサノ:これ、いいふうに取ってくれたらいいんですけど、なんか、俺らが小学校の時に聴いてた曲のメロディの空気感があって。安心して好きになれるっていうか、すぐ大好きになった。

モリタ:わかるわ。日本の3ピースのバンドで、好きな系譜みたいなのがあって。それこそいちばん人数がコンパクトな時のサニーデイ・サービスとか、3人の時のくるりとか。その系譜を感じた。その3人にしかできない絶妙なバランス。これ以上楽器足さなくていいし、シンプルだからこそ歌のよさもわかるし、その人の人間味まで伝わってくる感じ。ズーカラはほんと、俺の感覚で言うとくるり以来って思えるバンド。楽器の絡み合いとかも好きだし、あと吉田くんの歌ね。めっちゃ羨ましい、あの感じ。

吉田:TENDOUJIは英語で歌うじゃないですか。でも歌詞の対訳が必ずあって。あれ見ると、いつも「これ俺の書きたい、いい歌詞だわ」って思うんですよ。だから、いつか日本語の曲も聴いてみたいなって思ってた。

モリタ:あぁ、嬉しい、それは。

アサノ:......書いてくんない?

吉田:いやっ、それ全然意味なくない(笑)?

モリタ:いいね。吉田くんの歌詞めっちゃ歌いたい!

吉田:はははっ。まぁふたりは英語で歌うことに馴染んでるんだろうけど。この人たち日本語で歌ったらどうなるんだろうって思ってた。対訳を経ないで聴けたら嬉しいだろうなって。

アサノ:日本語、やりたいんだけどねぇ。めっちゃムズい。

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―TENDOUJIのおふたりがよく言っているのは、照れがあるから日本語で本音なんて言えない、という話。


アサノ:それはある。あとはシンプルにほんと難しい。メロディに日本語をはめられない。

吉田:俺は逆に英語で書けない。最初に曲を作った時に「なんとなく英語っぽいメロディーだから英語で歌ったほうがいいかも」とか思って書いたんですけど、全然よくなくて。日本語しかできないんだなぁと思って今に至る感じ。

モリタ:でも素朴というか......なんだろ? いい意味で「なんも考えてないのかな?」とか思わせちゃう曲と演奏だよね。ものすごく言葉を簡単にすれば「誰でもできる」「あ、俺もこれ弾いてみたい、歌ってみたい」って思えちゃう感覚。それってズーカラの底知れない魅力だから。

吉田:や、もちろん頑張っては作ってるんですよ。一生懸命こねくり回して作ってはいるんだけど。ただ、そもそも自分が到達できる頑張りの深度がそんなに深くない(笑)。でも、それがいい感じに届くんであれば、みんなハッピーでいいなって思うんですよね。

アサノ:それってセンスだよね。そこが卓越してるんだと思ってる。

吉田:......だったらカッコいいっすね(照笑)。

きっと新しい楽しみ方が生まれてくると思うし、そういうフェスにしたい

―はい。では今回のテーマ、『TENDOUJI presents OTENTO'23』の話になります。これはどんなふうにスタートしたんですか?


アサノ:まぁバンドに大きい目標がいくつかあって、たとえばフジロックのGREEN STAGEでやるとか。その中のひとつが、地元の松戸で野外フェスをやりたいっていうことで。とはいえ、場所を借りるのも実績がないと難しかったり、そもそもいきなり大きいところでやるのも難しい現状があって。その目標から逆算していくと、ちょっと一回フェスっていうものを謳って、自分たちが好きなバンドを集めてやってみる。ただのハコのイベントじゃなくてフェスを始めようっていうスタートですね。

―いつかの地元フェスに向けて。今回からは事務所も離れていますけど、自主で独立する第一歩みたいなニュアンスもあります?


モリタ:そうですね。あんま独立とも考えてなかったけど。でも、意外と何でも自分たちでできんだな、みたいな気持ちもあって。

―メンツはどんなふうに決めていきました?


モリタ:けっこうアレだよね、バーッて名前挙げて。それこそズーカラとかいちばん最初から出てほしいって言ってたし。

アサノ:ほぼ肌感覚で決まったよね。そこから自分たちで声かけて。

モリタ:うん。過去に一回は自分たちのツアーに呼ばせてもらったバンドばっかりで。初めましてなのはGLIM SPANKYくらいだった。

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―吉田さん、誘われた時はどんなことを感じましたか。


吉田:単純に嬉しい、だったんですけど。その時点で想定してるラインナップを聞かせてもらって、個人的に刺さったかな。東京のメンツとか、それぞれ別で対バンしたことありますけど、みんな突き抜けてデカいもの掲げてる人たち、あとはライブ観て一回落ち込んだことがあるバンドばっかりで。このラインナップの中に一緒に入れるのはすごく嬉しかった。個人的に、めちゃくちゃ好きですね。みんな好きだと思う。

―誘うバンドの基準、テーマはあったんですか?


モリタ:いいバンドっていうのはもちろんですけど。でも、ギターロックやってる、ギター持ってバンドやってる、っていうのはちょっと意識してた。好きなんですよね。

アサノ:うん。ただジャンルレスっていうより、今はシンプルにバンドがいいなって気持ちもあって。

―あとは先輩が少ない。同世代というのも意識してます?


モリタ:自然と、でしたけどね。先輩との関わりってないんすよ(笑)。可愛がってもらうとか、ゼロですね。

アサノ:あんまない。ほんとに年齢が離れてる人は別ですけど。ただ、バンド歴で2~3年先輩とかになると、だいたいが年下なんですよ。その歪みをお互い嫌がるっていう(笑)。

モリタ:嫌だよね、それは(笑)。

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―TENDOUJIは結成するまでに時間がかかってるバンドだから。


アサノ:あとコロナでイベントを組めない時期が1〜2年続いたのもある。その間に知り合った年下のカッコいいバンドとか、実際に対バンできてなかったりするから。それでどうしても同世代が多くなりましたね。

―そう、コロナ禍で2年以上不自由な時間を過ごしましたよね。そのことでイベントに対する感覚の変化ってあるでしょうか。


アサノ:変わってはいますよね。言葉にするの難しいけど。

モリタ:まぁでも、TENDOUJIはモッシュ・ダイヴっていうカルチャーの中でやってきたから。それが一回なくなるの、正直、けっこう辛くて。どうやったらいいんだろうって悩んだ時期もありましたけど、最近はなんか大丈夫そうな気がする。戻っていくのか、形が変わっていくのかはわからないけど、お客さんが元気になってきたのはすごく感じるから。前と同じモッシュ・ダイヴじゃなくても、きっと新しい楽しみ方が生まれてくると思うし、そういうフェスにしたいと思ってます。いろんな楽しみ方をしてほしい。

アサノ:あとステージ側からすると、シンプルに「もっと来ていいよ?」って感じ。強制はしないけど、「全然、まだ余裕あるっしょ?」って感覚。

吉田:そっか。僕の場合は、コロナの前ってわりとお客さんに対して「こっちはこっち、あなたはあなたですよ。別に友達じゃないしね?」みたいな気持ちがあったんですよ。

アサノ:ははは!

吉田:ただ、『OTENTO』でも対バンするKOTORIとかも一緒だったイベントのツアーが、コロナで途中から中止になったんですよね。そこから一年越しに、もっかい同じメンツでやりましょうって集まった時に「なんか......今まで俺は酷いことをしてたかもしれない。もっと愛があるじゃないか!」みたいな気持ちになって(笑)。今はめちゃくちゃピースフルな気持ちでライブに向かえてます。

アサノ:確かにね。わかるわかる。

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『OTENTO』は聴く人を選ばないポップな質感がTENDOUJIっぽい

―大阪が3月3日、東京が3月16日。ひとつ疑問なのが、なんでどっちも平日なのかということで。


アサノ:独立したからです! 

モリタ:値段が高いっすよ、土日のハコ押さえるのは。まぁでも「平日でも全然余裕だよ」と言ってたら......全然余裕じゃねぇ。あははは!

―チケット動くのは直前だったりするから。あと、ステージ以外で何かお楽しみはあるんでしょうか。


アサノ:あります。ラジオの公開収録みたいな。

モリタ:フェスってそういうの入るじゃないですか。フジロックでもinterfmとか。前にレギュラーやったことある番組に直接インスタで「一緒にやりませんか?」って言ったら、すぐ「やりましょう。メンツ見ました、面白そう!」って返事くれて。自分たちでやるとなおさら、そういう声が嬉しい。

アサノ:そうそう。あとはね......ダーツがあります。

吉田:マジで?

モリタ:これね、マジで吉田くんにもやってほしい。巨大なダーツ。『関口宏の東京フレンドパークII』みたいな、たわしかパジェロか何か当たるかもしれない(笑)これみんなぜひやってほしい。吉田くんには絶対やってもらいます。

吉田:ははははは。

―バンドで主催して、みんなで動かしていく。苦労はあってもトータルで見れば楽しいでしょうね。


吉田:うん。大変だとは思いますが。

アサノ:楽しいは楽しい。フェスやるって言って、誘ったバンドが出てくれるって言ってくれた時点で、基本的には報われてるから。

吉田:『OTENTO』って何かのジャンルに寄ったフェスではないと思うんですけど。でもすごい......「わかる」って思った。さっき肌感覚って言ってたけど、これがTENDOUJIの、バンドとしてのカッコよさとリンクするところがあって。

―今の「わかる」って、もう少し具体的にお願いできます?


吉田:要するに「俺もいいと思います」ってことなんですけど。なんだろうな......オープンだな、とはすごく思った。全然聴く人を選ばない。根底にある明るさ、ポップさみたいなもの。その質感がTENDOUJIっぽいな、と思ったのかもしれない。たぶんJ-POPを普段聴いてる人が突然連れてこられても楽しめるし、洋楽しか聴かないよっていう人がいても面白かったと思えるんじゃないかな。そんな気はしましたね。

モリタ:吉田くんが「わかる」って言ってくれる感覚、俺もわかる。なんだろうな、この感覚。何がわかるのか、何がいいのかって......たぶんね、人間性がみんなめっちゃ出てるんだと思う。まんま性格出てるな、みたいなバンドが揃ってる。俺らはそういうバンドが好きなんですよね。「うわ、まんまだな、この人」みたいな。音楽聴くだけで人となりが見えちゃう。そういうのがいい音楽だって自分は思うんで。

アサノ:嘘つきがひとりもいない感じはするよね。自分のやってる音に対して。

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どんどん面白いこと作らないと自分の心が痩せていっちゃう

―楽しみにしています。『OTENTO』って名前はどこから?


アサノ:ウチのヨシダが。

―後ろにいるヨシダさん、今だけ参加してもらえますか?


ヨシダタカマサ(B):えっと、タイトルどうしようかって話をしてて、何分か経過したときに浮かんで。TENDOUJIって名前と、明るさ、あと僕たち柏レイソルが好きなんで、そういうのイメージしてたら『OTENTO』って。

モリタ:けっこういい名前だなと思って。テントってフェスっぽいし、しかもひとりでは張れないという。みんなで協力しないとテントというのは建たないですから。

―このフェスは、今後も続けていくんですよね。


アサノ:うん、年イチくらいではやりたいっすね。いずれ外でやることは目指しつつ。

モリタ:外でやるの、何月がいいんだろうね? 雨降るの嫌だなぁ。

―あぁ、考えていくといろいろ問題ありますね。


モリタ:大変っすよね、フェスって。マジで大変。

―でも、始めたからには続けていく。


モリタ:もちろん。やっぱ暇なんで。

―「暇なんで」!


モリタ:暇です(笑)。なんかね、最近フェスとか始める人の気持ちわかってきた。暇だったんじゃないかなーと思って(笑)。

アサノ:確かに、これなかったら暇すぎてヤバいよね、年明けてからの一年の活動が。

モリタ:やっぱミュージシャンも分かれると思うんですよ。タイアップに追われたり、作品いつも作ってなきゃっていう人は一年中制作に忙しいと思うんです。でもウチらは「タイアップとは?」みたいなバンドだから。そうすっとライブが増えていくんですよ。暇なの嫌だから。で、ツアーも謎にいっぱいやるんだけど、それでも暇なんですよね。どんどん面白いこと作らないと自分の心が痩せていっちゃう。

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―ちなみに吉田さんは、放っておいたらずっと曲を作っていられる、一年中曲作りができるタイプだと伺っています。


アサノ:えっ、そうなの?

吉田:そうですね。ほんとは曲だけ作って一生終えたい感じ。

アサノ:すげぇ。いいなぁ! 曲作るの楽しいってめっちゃ羨ましい。

モリタ:え、楽しくないの?

アサノ:楽しくねーよ!

一同:あはははははは!

アサノ:俺、曲作らなくていいなら作りたくないもん。ずーっとライブやってたい。新しい曲勝手に出てこないかなぁって思ってる(笑)。

吉田:俺はずっと家にいて作業してたいかも。レコーディングとかも、自分で演奏しなくていいならしたくないと思ってる。人に指示出してできあがるならそれでいいっていうか。

モリタ:へぇー! 作っていくと曲が溜まっていくでしょ? たとえば新しい作品のレコーディングする時って、ストックの中から選ぶのか、それとも最新のやつをやりたくなるの?

吉田:なんかね、バンドで「一応ワンコーラスくらい録音しとこう」みたいなものをたくさん作ってて、その中から選ぶ会議をする。だけれども「ちょっと違うか。じゃあ新しいの作るか」ってなって、結局新しい曲が入ってくる比率は高くなる。

アサノ:すっげぇ。「次どうしようか?」って話始める段階で、ある程度ストックがある状態ってこと?

吉田:それはある。

アサノ:すげぇな!

モリタ:お前、曲買えよ。

アサノ:確かに! 売ってくれ!

―ははは。全然タイプが違うことはよくわかったけど、でも「わかる」でハマれるのがいいですね。当日の『OTENTO』、期待してます!


モリタ:うん。一回目からこれだけのメンツが集まってくれるとは思ってなかった。楽しみですね。

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取材・文:石井恵梨子
撮影:岩澤高雄

RELEASE INFORMATION

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TENDOUJI「BeachBoys」
2023年2月15日(水)
Format:Digital
Label:天童児

Track:
1.BeachBoys

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LIVE INFORMATION

OTENTO'23
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TENDOUJI presents OTENTO'23 WEST
2023年3月3日 (金)
GORILLA HALL OSAKA
出演 : TENDOUJI
GUEST : Age Factory / SIX LOUNGE / GLIM SPANKY / ドミコ/ O.A. xiexie

TENDOUJI presents OTENTO'23 EAST
2023年3月16日 (木) 川崎 CLUB CITTA'
出演 : TENDOUJI
GUEST : キュウソネコカミ / Hump Back / ズーカラデル/ KOTORI / O.A. pavillion

前売りチケットは両日共に5,555円
OTENTO一般発売
※予定枚数に達し次第販売終了となります
https://eplus.jp/tendouji23/

LINK
オフィシャルサイト
@TENDOUJItw
@tendouji_tendouji

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