SENSA

2022.01.21

移りゆく時間の狭間に落ちたポップミュージック「阿佐ヶ谷ロマンティクス」-Highlighter Vol.114-

移りゆく時間の狭間に落ちたポップミュージック「阿佐ヶ谷ロマンティクス」-Highlighter Vol.114-

音楽だけでなく、どのカルチャーも共通点やつながりがあるということをコンセプトにしているSENSA。INTERVIEWシリーズ「Highlighter」では、アーティストはもちろん、音楽に関わるクリエイターにどのような音楽・カルチャーに触れて現在までに至ったか、その人の人となりを探っていく。
Vol.114は、ロックステディやレゲエといった中南米音楽の要素を日本語ポップスへと落とし込む5人組バンド、阿佐ヶ谷ロマンティクスを取り上げる。
1月19日に前作から3年半ぶりとなるアルバム『大人幻想』を発表。2019年にリリースされ、海外からの評価も高い「独り言」をバンド初の英詞でリメイクした「Hitorigoto」も収録する今作は、阿佐ヶ谷ロマンティクスの抒情的なポップスがこれまで以上に幅を広げ、新たな挑戦が詰まった1枚になった。アートワークは細田守監督の『竜とそばかすの姫』のキャラクターデザインに参加したイラストレーターのIKEGAMI YORIYUKIが担当。


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活動を始めたきっかけ
大学時代のサークルを引退し、音楽を続けたいメンバーで集まったのがきっかけです。大学時代ではカリブ海地域(特にジャマイカ)の音楽をひたすらコピーしていました。今までの音楽的な背景も活かして、世の中に音楽をアウトプットしていきたいというモチベーションで始め、今に至ります。

影響を受けたアーティスト
メンバーの音楽の趣味はそれぞれ異なりますが、共通しているのはBob MarleyCarlton &The ShoesPhyllis DillonAlton Ellisなどは全員がコピーしたことのあるアーティストです。
大学時代に有坂(Vo)、貴志(Gt)、古谷(Dr)、本間(Ba)が同じバンドを組んで、Phyllis Dillonの「Don't Stay Away」や「Perfidia」を演奏したのはすごく懐かしく、有坂の声にもよく馴染んでいた印象があります。ロックステディはメインで作曲している貴志がとても好きなジャンルです。日本語詞でロックステディの雰囲気、シンプルなコード感を出すのに苦戦し、なかなか阿佐ヶ谷ロマンティクスの曲に落とし込めていないのが悔しいのですが、今後作っていきたい曲の一つであります。



注目してほしい、自分の関わった作品
1月19日リリースの3rd アルバム『大人幻想』をぜひお聞きください。本作品はコロナの影響や色々なトラブルもあり、前作から3年半をかけてしまいましたが、満足した出来上がりになっています。プレイヤーやエンジニア、サウンドプロダクションなど、今までバンドがお世話になった人に全てお願いしました。そのため、気心の知れた方と作品を作ることができ、要望は細かくお願いしながらも終始温かい雰囲気で制作が進んでいきました。その温かさが音にも表れているのではないかと思っています。制作期間が長かったこともあり、且つコロナ禍での制作だったので、なかなか思うように進まず苦しい期間でもありましたが、この作品をまず仕上げられたことに感謝をしつつ、一つの区切りとして、これからも阿佐ヶ谷ロマンティクスの音楽を見直し築き上げていきたいと思います。



今後挑戦してみたいこと
今後は海外も視野に活動を続けたいと思います。ミュージックビデオで英訳、中国語訳をつけたり、英語詞の曲をリリースするなど、2020年頃から海外を少し意識をしながら活動をしてきました。現在Spotifyでのリスナーの7割以上が海外のリスナーでもあり、色々と応援のコメントもいただいている状況ですので、アフターコロナの際には、海外でも演奏の機会を掴めるよう、準備を続けていきたいと思います。

カルチャーについて

触れてきたカルチャー
私(貴志)に限った話ですが、バックパッカーで旅行することが好きで学生時代からコロナ禍になるまで毎年続けていました。特定のカルチャーに影響を受けるというわけではありませんが、漠然と異文化の香りを求めていたことに海外に気軽に行けない世の中になって気づきました。今まで感じていた様々な香りから我々の2ndアルバム『灯がともる頃には』のコンセプトであった「サウダージ」というワードが出てきたのだと記憶しています。

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モロッコのエッサウィラ

旅をする理由は人それぞれ異なると思います。私は匂いに敏感で色々なものを嗅いでしまうのですが、そうした海外の雰囲気、香りを求めて旅行をしていたのだなと、今回質問いただき再認識させられました。質問の趣旨と回答が逸脱しているような気がしていますが、自ら旅行した国をバンドで演奏して回り、メンバーを案内できればこれ以上嬉しいことはないと今思ってしまいました。

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ラオスのバンビエン

今注目しているカルチャー
最近、名画座に通うことにハマっています。私が通う映画館では1日2本映画が上映されるので4時間程度、映画館にいるわけですが、本当にあっという間に時が経ちます。コロナ禍でここ1、2年は自宅で映画やドラマを見る機会が多くなったわけですが、逆に今ではテレビをつけることが個人的には少なくなりました。その中で名画座と出会い、スクリーンと向き合う行為がこんなにも気持ち良い体験だったのかと再認識させられました。
名画座で最近見たのが、ちょうど最近の映画の会だったのですが、「プロミシングヤングウーマン」「17歳の瞳に映る世界」です。




ケリーライカート監督の「リバーオブグラス」「ミークスカットオフ」なども観に行きます。





2020年に半年ぶりにライブができた時や、少し場面は異なりますが居酒屋で久しぶりにお酒を飲んだ時にも、似たようなフィーリングがありました。幸せな状況に慣れてしまうと幸せだと感じなくなるというのはよく言われることですが、音楽を聴く、人と交わる、足を運ぶ、丁寧にモノを作る、そうしたアナログな事柄を忘れず、今後も大切にしていきたいと思います。

RELEASE INFORMATION

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阿佐ヶ谷ロマンティクス『大人幻想』
2022年1月19日(水)
試聴はこちら

LIVE INFORMATION

Rocket Dash Records PRESENTS「Beat Burn ch96」

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3月12日(土)つくばLIVE HOUSE FROG
OPEN 17:30 / START 18:00
adv ¥2,500 / day ¥ 3,000
LIVE :
阿佐ヶ谷ロマンティクス
ノンブラリ
チーナ

PROFILE

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阿佐ヶ谷ロマンティクス
阿佐ヶ谷ロマンティクスは有坂朋恵(Vo)、貴志朋矢(Gt)、本間玲(Ba)、古谷理恵(Dr)、堀智史(Key)の5人組。2014年春結成。ロックステディやレゲエといった中南米音楽の要素をニューミュージックやティンパンアレイといった、日本語ポップスへと落とし込んだ、バンド名の通りロマンティックなナンバーを奏でるグループ。

LINK
オフィシャルサイト
@Asagaya_Roman
@asagayaromantics
Official YouTube Channel

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