SENSA

2021.11.24

世界との柔らかな対峙と偶然のコロナ禍──The fin. Yuto Uchinoが自我の内と外を行き来するアルバム「Outer Ego」を作り上げた必然性

世界との柔らかな対峙と偶然のコロナ禍──The fin. Yuto Uchinoが自我の内と外を行き来するアルバム「Outer Ego」を作り上げた必然性

The fin.のYuto Uchino(Vo/Gt/Syn)はポップミュージックの世界にいるアーティストの中でもとても不思議なフィロソフィをまとった人物だ。もちろんアーティストとチームのスケジュールやビジョンは存在するはずだが、建て付けじゃなく常に音楽や言葉、いわばアートのエレメンツに身体がひたひたに満たされているような、そんな人物だと思う。

そのYutoがほぼすべての楽器、打ち込み、歌、プロデュースから録音、ミックスまでワンマン・レコーディングで完成させたのが約3年8ヶ月ぶりとなるニューアルバム『Outer Ego』だ。ここ数年、バンドという形態に縛られない制作とライブ活動を行い、ロンドンを拠点に国内外で長期に渡るツアーも行ってきたThe fin.。世界中にリスナーが存在し、実際にさまざまな文化圏を訪れていたフェーズでのコロナ禍の時代。だが、Yutoが『Outer Ego』の着想を得たそもそもの発端はパンデミックという時代の変化ではなかった。では何が彼をアルバム制作に向かわせたのか。創作の原点かつアウトプットの場所であるスタジオ兼自宅でじっくり経緯を訊いた。


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もう1回、自分とコネクトできた2020年

―The fin.にとって今回の『Outer Ego』をリリースするまでがどういうタームだったのか、またYutoさん個人にとってはどういう時間だったのかを教えてください。


Yuto:まず、The fin.にとってはライブができないのと、海外にも行けないっていうので全部の動きがストップしてしまって。でも、自分の心持ちとしてはどっちかと言うと「ライブ久しぶりにしなくていいんや」ぐらいの感じやったんですね。

―確かにそれまで膨大な数のツアーをしてましたからね。


Yuto:ヒップランドと契約して今、7年ぐらいなんですけど、ライブがない月なんてほとんどなかったんです。最初は日本でライブしてましたけど、それが海外になって、2019年とか1ヶ月に何回も飛行機乗るみたいな。「成田空港何回行くねん?」って。ロンドンに行ったり来たりもしてて、飛行機も移動も疲れてたんですよ。その時、定住してなかったんで。で、コロナが始まる数ヶ月前にたまたまもう日本に1回帰ってこようと決めて、で、ここを借りたと。

―コロナが理由で自宅スタジオを作ったんじゃなかったんですね。


Yuto:そうなんです。自分で制作環境を固めて、今まで蓄えてきたものを1回ちゃんと形にしようみたいなほうにThe fin.としての制作は向いてて、そのタイミングでコロナになってライブが全部ストップしてしまったんです。そしたらやることはもう制作しかないなみたいな感じになって。最初はみんなそうやったと思うんですけど、すぐ終わると思ってたんですよ。それが結構長くなりそうな感じになってきて、緊急事態宣言も始まって。普通に暮らしてるうちに自然に「アルバム作ろう」と思って。自分の中でEPって作りやすいんですね。曲がある程度あればEPは出せるけど、アルバムは20~30曲あっても、アルバムとしてのストーリーとか内容がないと成立しない。2019年ごろはずっと旅人みたいな状態やったんで、その中でアルバムを作るってイメージはなかなか抱けなかったんです。それがこのコロナというものによって自然に作れる態勢になった感じでしたね。

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―アルバムまでの間、拠点をロンドンに移したり、メンバーの脱退があったり、1番バンドとしてもいろんな動きがありました。


Yuto:2018年、2019年はいろんなことが変わっていってましたね。The fin.の演奏するステージも大きくなったりして。2014年ぐらいからいろんなところに種を蒔いたものが1個実ったなみたいな年が2019年だったんです。じゃあ2020年どうしよう?というときにコロナが始まって、アメリカの「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」も決まってたんですけど、全部白紙になって。でも個人的には「立ち止まっていいんだ」みたいな、自分が決めてないけど、そういう感覚はありましたね。そこからずっと籠もって制作してるうちに、だんだん「あれ? 俺何やってるんだろう」って(笑)、不安が襲ってきたりして。アルバムができたところで、これリリースできないんじゃないかなみたいな。ツアーもできないし、ストリーミングサービスでパッと出て終わっちゃう感じにならないかな?っていう不安も後からきましたけどね。

―確かに何に向けてやってるのか掴みづらくなりますよね。


Yuto:特にバンドが軌道に乗り始めてからは常に人に向かって音楽をやってる意識があったんで、自分の意識が外に向かってたんですね。どっちかと言うと自分を形成するものも外の刺激に頼ってたというか。時間の流れとか、いろんな人がいて、いろんな場所に行ったりで刺激があって、そんな中で自分が形成されていくプロセスやったんです。それがコロナになって、もう1回大学生みたいな誰もいないすごい小さなコミュニティの中で、逆に久しぶりに自分に向き合えたというか、もう1回自分とコネクトする作業を2020年は作りながらできたなと思って。このアルバムのテーマも常に自分の自己と外の世界みたいなものを行ったり来たりしてるんですけど、それもその経験がなかったら絶対そういうふうにはできなかったなと思います。

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「自分のユニバースを形成していくイメージでアルバムができていった」

―コロナ前だと、アルバムっていうものの軸も作りづらかったかもしれないですね。


Yuto:そうですね。ツアーとかしちゃってると軸なんかないんで。今日、中国、明日、どこ、みたいな。言語も変わるし。いかに自分を違う環境にアダプトするかっていうことに長けすぎて、だんだん自分が見えなくなるみたいなことが、もしかしたらツアー中は起こりやすいかもしれない。あと、見られてる自分っていうのもだんだん強くなっていってしまうし。自分を見つめるっていう作業と質量より、他者からの情報が圧倒的多くなってしまうんで。

―世界が均質化してると言われても実際行くと受けるものは全然違うでしょうし。


Yuto:全然違いますね。俺がこの数年間、いろんな国に行って感じたのはやっぱり政治の強さですね。国って大きなコミュニティじゃないですか。だからリーダーとか政策とかルールが変われば人って変わるんですね。あんまり言いたくないんですけど、よくあるじゃないですか、「アメリカ人はだいたいこうだ」とか「イギリス人はだいたいこうだ」とか。絶対、そういうふうに言い切れないし、人それぞれ違うんですけど、やっぱり傾向はあると思うんですよね。こういう環境で育ってこういうルールの中で育って、こういう人間が生まれやすくなるみたいな。ツアーしてると結構それを感じる。で、逆に日本人である自分も浮かび上がってくるんです。

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―ヒットチャートはやはりその国の文化を映してる人が上位にいたりするし、どこの国も言葉の文化なんだなというのを感じるんです。


Yuto:いや、そうですね。人は結局言葉でしか考えられないんで。最近それは思いますね。あと、英語と日本語両方話してると感じることが多くて。英語のコミュニティの人と話してるときと、日本語のコミュニティの人と話してるときって話すことが全然違うんですね。最初それで悩みましたけど、自分が英語で喋りたいことは日本語で喋れないし、日本語で喋りたいことって英語で喋ってなかったりするし。だから友だちが分かれてくるというか、あんまり混ざらないんですよね。地元にいる友だちって高校とかからずっと仲がいい、ほんとに自分が一緒に育ってきた友だちで。今いる友だちはそれがミックスしてたり、英語を喋るようになってからできた友だちとか、やっぱり全然違うコミュニティやし、考え方も違うし。その中で自分の自我みたいなものも違う成長をしてるし。自分の中のいろんなエレメントみたいなものをThe fin.ではなるべく1個1個丁寧に出していこうとしていて、自分の中でそういうのはずっとテーマになってますね。

―ああ、なるほど。今回のアルバムって雑な言い方をすると結構、ソングアルバムだなと思って。


Yuto:おお、ありがとうございます。

―歌だけに耳が行くわけじゃないんですけど、歌われてることに自ずと耳が行くというか。1曲1曲のサウンドデザインの違いも大きいのかもしれませんが。


Yuto:今まで自分で作ってきたいろんな自分みたいなのが結局このコロナで1個にまとまったところがあって。でもそれを1つずつちゃんと照らし合わせて、比較していって自分のユニバースを形成していくみたいなイメージでアルバムができていったんですよ。最初はそれこそ『ホワイトアルバム』(ザ・ビートルズ)みたいな雑なアルバムを作りたかったんで、もっと全然関係ないものをバン!って詰め込んだ。曲も20曲ぐらい入れて、みたいなこと考えてたんですけど、だんだん作ってるうちにテーマが大きくなってきて。自分がやりたいテーマのほうが自分の計画を食ってきたというか、キャラが勝手に動き出した感じで、最終的にそっちのほうが大きくなってきて、だんだんまとまっていきましたね。



―コロナで1年経って、まだ先が見えない状態で、そこからどうしていくのかな?って感じもあったじゃないですか。自分の態度を決めかねるというか。


Yuto:はいはい。

―特にものづくりをしてる人には指標が必要だろうなと思います。


Yuto:俺はほんとにラッキーだったかもしれないですね、この場所があって。常に音楽と一緒にいられたんで。常に戻っていく場所が音楽やったんやなっていうのは自分で再確認できたというか。だから正直、これが聴かれようが聴かれまいが「自分は音楽好きやな」みたいな感じで作っていけたんで、コツコツと。そもそもこれで大きなツアーをしようとか、そういう意思もなかったから、もしかしたらその分、すごくピュアに作れたかもしれないですね。

自分が感情をトランスレートするときはやっぱりメロディなんだなと

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―Yutoさんがラジオで全曲解説している1回目を訊いたんですが、アルバムには1つの時間軸があると。


Yuto:そうなんですよ。大体の流れを意識しながら作っていきましたね。パルスみたいな感じで自分が外の世界と接してて生まれた世界と、自分の頭の中だけにある世界とをグルグル行ったり来たりするみたいなフェーズになってて、最後1回帰ってくるみたいな感じにしました。そういうのもやってるうちに......最初からあったわけじゃないんですよ。やってるうちに自分で分析してると見えてきて。この曲はこうでこの曲はこうやな、じゃあそういうふうに作ったらアルバムがきれいにつながるかも、と思ったらうまくいきましたね。



―いくつか特に気になった曲についてお聞きするんですが、ラジオでもおっしゃってましたが「Over the Hill」を入れるかどうかは確かにちょっと考えちゃいますね。


Yuto:「Over the Hill」はちょっと異色の曲で。生まれた経緯も友だちと遊んでて、友だちが「この感じの曲作ってよ」「今遊んでる感じの曲を作ってよ」って言ったのをテーマにして、そこからアイデアを得て。ロンドンに引っ越すときに自分の故郷について歌った曲なんです。結構前にできてた曲でもあって、これをアルバムに入れるかはすごく悩んだんですけど、結局流れを考えたときに最初の「Shine」と「Over the Hill」っていう外から入ってくるエナジーを自分が受け止めてるっていう、それをどう解釈しようかっていう流れがちゃんとあったんで。実際、入れてみるとなんか良かったんですよね。

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―「Over the Hill」があることによってこのアルバムの物語が成立するし、全12曲のアルバムの中だと違和感がない感じで。


Yuto:2015年以降ぐらいからラップミュージックが流行ってきて、自分もラップとか聴くようになったりして、気づいたら自分も歌ってないな、メロディをと。でもそこからもう1回メロディが好きになってきたんですね。ビートルズや70年代のソウルとかを聴いてるとやっぱりすごくメロディがきれいで、コードもきれいだなっていうところにもう1回帰ってくるんですよ。俺は自分の気持ちを表現するってなったらやっぱりメロディなんだなって。作ってるときにこのアルバムはたぶんメロディでいっぱいなアルバムになるなと思って。歌だけじゃなく、鍵盤であったりとかいろんな「歌えるメロディ」みたいなのをたくさん入れてて。それは自分が感情をトランスレートしようとしたときにやっぱりメロディになるんだなっていうのをすごい感じましたね。

―「Deepest Ocean」はギターもシンセもなかなか強めですね。


Yuto:これは自分の中でプロダクションで遊べた1曲というか。テーマがガチっとはっきりしてたので。最初、波の音が入ってて、自分は海岸にいるんですけど、イントロが始まるときにザブンと(海に)入っていくんですね。そこからだんだん深海に行って、最後は海の深いとこに行って、だんだん自我がなくなっていくみたいな曲の展開になってるんですけど、それぐらい自分の中にストーリーがあったんで楽器とかも決めやすかったというか、遊びやすかったというか、CGを作ってるような感じです(笑)。ストーリーラインがあって、バックグラウンドをガンガン組み立てて行って、最初グリーンバックやったものにいっぱい足して背景を作るような感じですごい楽しかったですね。遊び尽くした1曲です(笑)。



―意外なSEや音選びもあり、割とマッシヴだし。


Yuto:マッシヴな音も好きなんで。1枚目のころはもっと頭が狭かったんで、柔らかい音ばっかり使ってたんです。でも色んな音楽も好きやし音も好きやし。サウンドプロダクションをすごい好きになったんで、そういう意味で自分で振れるようになって。強い音も弱い音も作れるし、それがレイヤーとして一緒に鳴ってたりするんですよね。それが立体感につながってたり。それはここ数年でいろいろ学んだなっていう。

―機材やDAW上の知識は自然に得られたものなんですか?


Yuto:そうですね。俺は特に誰に教えてもらったとかなかったんで。でも、全部自分で試してみて、限界があって。2枚目でロンドンのプロデューサーとやったときに、いろいろ見て盗んで、聴いて盗んで。それからはまた自分でいろいろやりだして。でも結局ツールや、こういう機材、プラグインとかを教えてもらってそれをそのまま使ってたら一緒なんですよね。自分の使い方を発見するっていうのが1番のミソで。結局は新しい製品が出たら俺はすぐ買っちゃうんですよ(笑)。買って試す。で、自分が使えるなっていうものだけ残っていってる感じですね。例えば曲も完成するまでにいろんなバージョンがあって、曲によってはバージョン60トラックぐらいできてたりするんですよ。その中で全然違う音像だったり、その曲が求めてるものを探っていくみたいな。だから自分で実験しながら発見していく感じですね。その基礎はだいたいできたんで、あとはクリエイティビティですね。

―60トラック......。そして「At Last」はアコギとアブストラクトなリフが面白くて。


Yuto:これこそ『ホワイトアルバム』みたいな感じやなと俺は思うんです。自分の中で1個ショートストーリーみたいなものがあって、それをどうやって表現しようかなってなったときに、最初はアコギ弾いて歌うような60年代みたいな曲になってたんですけど、いろいろ遊んでるうちにこうなったって感じなんですよ(笑)、自分のストーリーを昇華させるというか。でも最近ここに来て思ったのはやっぱフォークソングとかもストーリーじゃないですか。歌いながらストーリーが紡がれていくみたいな側面はちょっとあったかもしれないですね。

―この曲は特に架空のフォークロア感があります。ビートルズから連綿と流れてるのかもしれないけど、レディオヘッドのストイックさに似たものもあるなぁと。


Yuto:ああ、俺、レディオヘッドはすごい聴いたんで。全部のアルバムを聴いてるわけじゃなくて、好きなアルバムをめちゃくちゃ聴いてて。『In Rainbows』なんですけど。レディオヘッドの音楽に対する向かい方や姿勢みたいなものから学んでるところは多い気がしますね。2枚目を作ったときのプロデューサーが、昔レディオヘッドと一緒にやってて。たぶん『In Rainbows』のときだと思うんですけど、そういうときの話も聞いてて。やっぱりトム・ヨークとジョニー・グリーンウッドはすごいらしくて、もう、延々やってるんですって。そういうストイックさというか、音楽に対する諦めなさ。リック・ルービンが言ってたんですけど、「その曲の終わりっていうのは自分が負けたとき」って(笑)。もうこれ以上できない、無理だと。

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―白旗を挙げるとき?


Yuto:そう。白旗挙げたときがその曲の終わり。自分の中で白旗挙げるまで頑張れる余裕がなかったときとかあったんですね。最初のEPとかはほんとに白旗挙がるまで頑張ってたんですよ。じゃないと完成しない。そこからだんだん自分が上手くなっていって、要領も得てくると「これぐらいで大丈夫」みたいな感じになってくるんですよ。それが結局、自分の成長を妨げてたけど、今回のアルバムは自分が絶対勝てないとこまでやろうってとこまで頑張ってましたね。

―最近、一部かもしれないですけど『In Rainbows』再評価熱高いんですよ。


Yuto:あのアルバムめちゃくちゃ聴きましたよ。ちょうど大学生で無料でダウンロードできたんですよね。各々値付けしてみたいな企画で、それも衝撃的だったんですよ。サウンドプロダクションとかほんとにすごくて。やっぱトム・ヨーク好きなんですよね。自分は特に音楽やってるんで、リスナーより厳しい目で見てると思うんですよ。たまたまいい曲ができたみたいなアーティストも、それはそれでいいんですけど、いい音楽をずっと作ってる人ってなかなかいなくて。そういう意味ではトム・ヨークってひとつのロールモデルみたいになってますよね、アーティストの希望というか。

自分より若い世代にとって、今よりはいい世界にしていきたい

―確かに。アルバム楽曲に話を戻すと、タイトル曲はやはり表題という印象がありました。


Yuto:これは1番外に向かってる曲で。このアルバム自体が中に潜れたんで、その分、外にも思い切り放り出せたというか。自分の中で今まで出してないぐらい、自分より若い人に向けて書いた曲なんです。



―確かに。励ましになってる。


Yuto:自分が今年30歳になったっていうのもあって。自分より若い世代が出てきて、まだ自分は子どもはいないんですけど、お姉ちゃんに子どもが生まれたりとか、自分のことばっかり考えてる歳じゃなくなってきたようなことが、自分の人生的にもあったりして。特にコロナになって、国民が混乱したり、ここ数年のアメリカの混乱とか、人種の混乱とかを見てると、やっぱりちゃんと自分より若い下の世代が幸せに生きていける、今よりはいい世界にしていきたいじゃないですか。そうなったときに自分はやっぱ下に何か残していきたいなっていうのがすごくあって。それが自分にも励ましになったんですよね。ほんとに「Outer Ego」はこのアルバムの中では1番外にいるというか、もう宇宙まで飛んで行っちゃってるぐらいの感じ。

―「Sapphire」はそれを補完するような感じだし、具体的に優しい音像の「Safe Place」にもつながるし。


Yuto:「Sapphire」と「Safe Place」はほんとにシーズン1、2みたいな感じなんで、自分の中で(笑)。

―平穏ですね。


Yuto:これはもう自分の中で疲れてるフェーズというか。弱ってて凪のほうに向かってるフェーズなんで。だんだん静かになっていくみたいな。

―でも、別に悪い感情じゃないんですよね。


Yuto:そうなんですよ。このアルバムに良い・悪いっていうのがないなと思いましたね。自分の感情に対して自分でジャッジするんじゃなくて、それを受け入れてアウトプットしていくみたいな。そのバイアスって結構アーティストにとって✕(バツ)になるというか、自分で感情をジャッジしちゃうとだんだん狭くなってオープンになっていかなくなっちゃう。この数年、すごいそれを考えました。アーティストがオープンにならないと曲も生まれないし、自分に嘘ついてるような狭い曲しか生まれなくなっちゃうんですよね。だからいかに自分がオープンになって、人に自分の心を開けるかみたいなところはすごく大事だなっていうのはありますね。それがあったからこそ、このアルバムの流れもあるんだと思います。

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―ラスト3曲はThe fin.のこれまでの楽曲の中でも泣ける曲でした。


Yuto:これはだんだん自分の意識が閉じていってるみたいなイメージなんですよ。流れとしては「Shine」「Over the Hill」で自分の自我の中でいうと表層の部分、外界からの情報があって、まだノイズも多くてごちゃごちゃした部分から急に「Short Paradise」で潜って行って、だんだんまたこう出てきて、最後また潜っていくってフェーズなんで。だんだんノイズも消えて自分だけになっていって、最後もう寝る前みたいな(笑)、自我が閉じていって生まれたときぐらいのピュアな感じ。最後の「Edge of a Dream」は自我がないんですね、ほぼ。夢の中で見た情景を淡々と書いてて、そこに自分の感情とか自我みたいなものは全くなくて、でもそれを作り出してるのは結局自分なんで、そこにすごい意味があって。最後にもう1回フェードインで入ってくるんですけど、そこでもう1回自分の自我とコネクトして1曲目の「Shine」に戻るみたいな構図になってるんです。

―「Edge of a Dream」の曲中のブランクとフェードインがないと、このアルバムの円環構造はなかった?


Yuto:最後に思いついたんですよね。このまま終わったら止まっちゃってるなと思って。それじゃテーマと違うなと思ったときに、これは絶対つなぐ何かが必要だなと思って、ほんとにアルバムの1番最後にできた感じですね。

―聴いていて、The fin.の曲なんだけど、自分の感情のようにも思えたり、直感的に聴いていくとすごい面白くて。


Yuto:ほんとにいろいろ考えられるアルバムになってるから。あと言葉を素直に選んで書いたんで、結構誰でも共感できるんじゃないかなと思いました。浮かび上がってくる全体的なイメージが1番大事なので、歌詞一文一文というより、全体図みたいなのをいつも意識してやって、なんとなく伝わればいいなっていう(笑)。しかも俺はそれがどう伝わってもいいんですよ。人がそれでなんか感じて、その人の人生の何かになればいいかなと思っています。

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文:石角友香
撮影:Yoshiaki Miura

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■期間
2021年11月24日(水)21:00〜2021年12月5日(日)23:59まで

■当選発表
2021年12月8日(水)予定

■注意事項
※アカウントが非公開の投稿は応募を無効とさせて頂きます。
※当選者にのみDMもしくはメッセージでご連絡します。DM・メッセージの受信機能を有効にして頂くようお願い致します。
※当選のご連絡から2日以内にお返事がない場合は当選を無効とさせて頂きます。
※選考経過および結果に関するお問い合わせには一切お答えできません。
※プレゼントの当選権利は、当選者本人に限ります。第三者への譲渡・転売・質入などはできません。

RELEASE INFORMATION
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The fin.「Outer Ego」
2021年11月24日(水)
Format: Digital / CD 
¥2,750(税込)

Track:
1.Shine
2.Over the Hill
3.Short Paradise
4.Deepest Ocean
5.Old Canvas
6.At Last
7.Loss, Farewell
8.See You Again
9.Outer Ego
10.Sapphire
11.Safe Place
12.Edge of a Dream

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The fin.「Outer Ego」
2021年11月27日(土)
Format: LP(カラー盤 / 500枚限定プレス)
¥3,960(税込)

Track:
Side-A
1.Shine
2.Over the Hill
3.Short Paradise
4.Deepest Ocean
5.Old Canvas
6.At Last

Side-B
1.Loss, Farewell
2.See You Again
3.Outer Ego
4.Sapphire
5.Safe Place
6.Edge of a Dream

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LIVE INFORMATION

"Outer Ego" Release Tour
Outer_Ego_poster.jpg
2022年2月11日(金•祝)
大阪 梅田Shangri-La
OPEN 17:30 START 18:00
ADV ¥4,000 (Drink代別)

2022年2月18日(金)
東京 恵比寿LIQUIDROOM
OPEN 18:00 START 19:00
ADV ¥4,000 (Drink代別)

チケットオフィシャル先行受付
受付期間: 11月24日(水) 12:00〜12月7日(火) 23:59まで
受付URL: https://www.thefin.jp/

"Outer Ego" Release Special Online Live
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2021年12月3日(金)
渋谷 FS.
START 20:00 (アーカイブ期間: 2021.12.31まで)
※Outer EgoのCD、LPを全国のCD SHOP、オンラインショップで購入の方に先着特典として、配信URL付きステッカーを配布しています。
※数に限りがありますので各CD SHOP、オンラインストアへお問い合わせ下さい。


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