SENSA

2021.04.07

歌が想起させる思い出の景色「宗藤竜太」-Highlighter Vol.065-

歌が想起させる思い出の景色「宗藤竜太」-Highlighter Vol.065-

音楽だけでなく、どのカルチャーも共通点やつながりがあるということをコンセプトにしているSENSA。INTERVIEWシリーズ「Highlighter」では、アーティストはもちろん、音楽に関わるクリエイターにどのような音楽・カルチャーに触れて現在までに至ったか、その人の人となりを探っていく。
Vol.065は、2018年から、名義を"宗藤竜太"に改め、弾き語りのみで活動をしているシンガーソングライターの宗藤竜太を取り上げる。4月7日に発売された2ndアルバム『magenta』は、前作『くるみ』に続き、全編歌とアコースティックギターよる弾き語り一発録りで制作。自身がいちばん好きな色だという「マゼンタ」をタイトルに冠した全9曲が、日々のふとした瞬間を繊細に切り取り、ひとりを感じる時間に優しく寄り添う。


宗藤竜太_アー写_re.jpg

活動を始めたきっかけ
ギターサポートをしていたバンドが活動休止してしまった時期に、よく練習していたスタジオのスタッフさんにイベントに誘ってもらったことがきっかけです。当初はドラムと2ピースで出演する予定でしたが、ドラムの子の都合が合わなくなり、急遽弾き語りで立川のライブハウスで歌いました。そのまま弾き語りと、ギターサポートも機会があればやらせていただいていましたが、今は基本的には弾き語りでのみで活動したいと思ってます。

影響を受けたアーティスト
小さい頃はアニメ映画が好きでした。特にハワード・アッシュマンアラン・メンケンが作詞作曲する『リトルマーメイド』や『ジャングル・ブック』『101匹わんちゃん』『南部の唄』『クーペのスージー』などのディズニー作品をビデオで観ていました。アニメではありませんが、一昨年にやっと『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』も観ました。

小学生に入ってピアノを習わせてもらい、ジブリの『ハウルの動く城』のテーマ曲を妹と連弾したりもしました。今ではもう全然弾けません。16歳の時、SETSTOCKという野外フェスで生のバンドを観てからは、自分で曲を作りたいという意識が芽生えました。

自分にもできる音楽に出会いたくて、父のCD棚から色んなジャンルのバンドだったり、バンドなのかもよくわからない音楽を聴き漁りました。ほとんどはジャズやボサノバで、名盤!みたいな帯の洋楽がざっくばらんに置いてありました。オフコース小田和正小野リサ村田和人オリジナル・ラヴなどの邦楽も混ざっていました。



中でも入りやすかったのはMaroon5の『Songs About Jane』、Norah Jonesの『Come Away With Me』、Aricia Keysの『Unplugged』など、当時は割と新しめな作品でした。

父が持っていなかったロックやブルース、ソウル、R&Bなどは中古CDで買っていました。当時は絶賛ひきこもり中だったので、アンプに繋いだヘッドホンとiPodに繋いだイヤホンを重ねて、ソロギターにもならない音をずっと探して練習していました。Stevie Wonderの『Songs In The Key Of Life』、The Beatlesの『Magical Mystery Tour』、Janis Ianの『Aftertones』は好きで聴いていました。Robben Fordの『The Art of Blues Rhythm』という中古DVDを買って観た時に、少しギターからの視野が広がった気がしました。邦楽は当時の友達が好きだったユーミンフジファブリックウルフルズが好きでした。



上京してからは、共演や人前で歌う機会が圧倒的に増えて、自分の歌もギターも音量が小さいことに気づいたので、気持ち大きめに出そうと今日まで努めています。19年に映画館で『メリー・ポピンズ リターンズ』を観てからは、またディズニーばっかり聴いたりしています。



注目してほしい、自分の関わった作品
今まで関わった作品の中でも思い出深いのは、カメラ=万年筆の『眠り粉 EP』です。自分の名前が初めてクレジットされたCDです。スタジオに入ってセッションしたり、デモ音源をもらって制作に関わったのも初めての経験でした。佐藤望さんと佐藤優介さんのお二人それぞれの活動をファンのような気持ちでいつも追いかけています。

もう一つは、ODD Foot Worksの「夜の学校」という楽曲に"もののあわい"名義で参加したことです。バイトの合間にMV撮ったり、ぎゅうぎゅうの車でフジロックに行った時は流石に青春かと思いました。いっつも聴いてます。



新譜『magenta』についてですが、今作は去年12月に一発録りしました。前作『くるみ』もそうですが、今度もそうしたのはひとりを感じている時に寄り添える曲を作っているつもりだからです。聴き手と同じように時間が流れることに、一発録りの良さはあると思っています。そして何より、あっという間に終わって家に帰れます。焦らず、ひと所に長居できる日がいつか来るんでしょうか。



今後挑戦してみたいこと
子どもたちの目に留まる創作に関われたら嬉しいです。5年間、託児所で働いてたので、「あ!せんせーじゃん!」とか思ってもらえたら最高です。まだ、あの子たちが触れられる媒体には届いていない気がしています。彼らが大きくなった時に「こんなに人って頼りなくてもなんとかなるんだな」と思ってもらえるまで、弾き語りを続けたいです。

カルチャーについて

触れてきたカルチャー
子どもの頃から変わらず、ミュージカルの要素のあるアニメ映画は大好きです。中でもディズニーの『南部の唄』や『メリー・ポピンズ』のような、アニメーションと実写の融合した世界はツボです。一昨年に妹と従兄弟夫婦とディズニーランドのミッキーのフィルハーマジックに行った時、現実に僕自身が好きなキャラクターの世界に行けた気がして号泣しました。

また、カートゥーン調のキャラクターデザインや、主人公が大人になるために人の願いを叶えていくという設定が好きで、『GIFTPIA』というゲームは未だにサントラを聴いていたり、実況動画を見ていたりします。テーマ曲を作られた谷口博史さんが、母と中学の同級生と知り、つい最近絶句しました。驚きで。

今注目しているカルチャー
音楽と全く関連のないもので、興味があるものが生活にほとんどないです。聖歌、讃美歌を聴いてみたり、宗教画をみたりして理解を深めたつもりになっていますが、心があるかは怪しいです。一方で、カウンターカルチャーとしての宗教があったり、宗教の産物に対するカウンターカルチャーとして成り立った芸術があったのですから、無関係ではないと思って本を読んだりしています。

全く関係ないところで言うと、YouTuberの東海オンエアが好きです。何も考えずに見られる砕けた投稿を昔から楽しみにしています。ごはんについても、もっと考えたいと思っています。



RELEASE INFORMATION

magenta_up_0223_re.jpg
宗藤竜太『magenta』
2021年4月7日(水)発売
試聴はこちら

PROFILE
宗藤竜太_アー写_re.jpg宗藤竜太
2014年に"もののあわい"名義で弾き語り、 "宗藤竜太"名義でギターサポートを始める。 以来、ゲストボーカルとして踊Foot Worksやまん腹の楽曲に、サポートギタリストとしてカメラ=万年筆や四万十川友美の楽曲に参加。
2018年からは、名義を"宗藤竜太"に改め、弾き語りでのみ活動している。
2020年3月にファーストアルバム『くるみ』を、続いて6月にデジタルシングル『花瓶 / 幸せ』をリリース。
11月にカクバリズムの文化祭 "FRESH STAGE"公募枠で選出され出演。「ギターと歌声だけでグッと引き込まれる、一本の映画のような構成力」と話題を呼んだ。

LINK
@ring_mune
@recordsinbetween
Official YouTube Channel

気になるタグをCHECK!