SENSA

2020.12.20

ジャンル不特定バンドOchunism、孤独がテーマの新作『INSIDE』とバンドのこれまで。

ジャンル不特定バンドOchunism、孤独がテーマの新作『INSIDE』とバンドのこれまで。

「ジャンル不特定」を掲げる6人組ロックバンドOchunism(オチュニズム)が11月11日に1stミニアルバム『INSIDE』をリリースした。2019年4月に大学のサークル仲間を中心に結成されたOchunismは、同年11月に開催された「Next Age Music Award2019」でグランプリを獲得。今年3月にリリースした1stフルアルバム『Gate of Ochunism』では、収録曲「rainy」のミュージックビデオが12万回再生を突破するなど、ハイクオリティな楽曲が注目を集めている。そんな前作から8ヵ月ぶりとなった今作『INSIDE』は、アシッドジャズやネオソウル、R&B、ヒップホップといったブラックミュージックをはじめ、トライバルな民族音楽も取り込み、コロナ禍の心境も滲ませた内省的な世界観を作り上げた。洗練されたアート性と日常のBGMとしても機能する親しみやすさを両立させた今作は、2020年代を席捲する新たなポップアイコンの登場を予感させる1枚だ。

Ochunism.jpeg

―変わったバンド名ですね。


ちゅーそん(Gt)僕の名前がちゅーそんなので、インスタの名前を「ochun(オチュン)」にしてたんです。そこきっかけで、僕が「Ochunism」っていう漫画を描いてたんですね。で、バンド名を決めるときに、たくさん候補を出したなかにOchunismがあって。見た目がスタイリッシュなのと、検索しても被らないので、最終的にこれになっちゃいました(笑)。

―ちなみに、どんな内容の漫画だったんですか?


ちゅーそんSF超大作です。

nagito(Vo)普通の漫画じゃないですよ、落書きみたいな..(笑)「おちゅぶた」っていう僕らのキャラクターもちゅーそんが描いてるんですけど、ああいう感じの絵です。



―英語で「~イズム」というと、「主義」という意味ですけど、そういう意味合いはあるんですか?


ちゅーそんないですね(笑)。

nagitoでも、ファンの方は、僕らのことを「オチュ」って呼んでくださるので。「オチュ」の「イズム」で、オチュニズムっていうと、ひとつの確立されたジャンルみたいな感じの響きにもなってるかなと思いますね。名前から唯一無二感は出せるのかなって。

―結成はどういう経緯だったんですか?


nagito僕らは6人中5人が同じ大学なんです。イクミン以外ですね。そこの軽音サークルでコピバンをしてたのがはじまりで。もともとちゅーそんがバンドをやってたんですよ。

ちゅーそん高1ぐらいから5年間ぐらいやってました。

nagitoで、そのバンドをちゅーそんが「辞めたい」って言いはじめたときに、「じゃあ、俺とバンドやろうか」みたいに軽く言ったのが最初でした。それまで僕は音楽をやってなかったから、Ochunismが初めのオリジナルバンドなんですけど、ちゅーそんとは一緒にコピバンをしてたから、音楽性は合うと思ったんです。で、そこからメンバーを集めて。たいちとか。

たいち(Key)サークルのイベントのときに、ちゅーそんが隣に来たんですよ。僕は作業をしてて、すっごい忙しいときなのに、「バンドやる?バンドやる?」って聞かれて(笑)。「はいはい、やるやる」って答えたら、いつの間にかバンドのLINEグループに招待されてました。

nagitoあと、僕はアカペラサークルもやってたから、そっちで関わりが深かったのがokadaですね。Suchmosのコピーをするときに手伝ってもらっていて、DJとか機材が好きなのも知ってて、何より音楽がめっちゃ好きなのが伝わるから、一緒にやれたらおもしろいなと思って、

okada(Sampler)nagitoに誘われたとき、実は公務員になろうと思ってたから、けっこう悩んだんです。ただ、やっぱり音楽をやりかったので入ることにしました。

nagitoベースは最初別の人を誘ったんですよ。でも辞めちゃって。そこでkakeruを誘ったんです。

kakeru(Ba)正直、ふたりがバンドをはじめるっていうのは聞いてたから、「なんで俺じゃないんだ!?」って思ってました。元のベーシストより、僕の方がちゅーそんとかnagitoとよく組んでたから。違うベースを誘いやがって!って(笑)。バイトをしてるときに、nagitoから「バンドやらん?」みたいなLINEがきたときはうれしかったですね。

nagitoで、イクミンは、ちゅーそんの高校のときの軽音部のつながりで。高校は違うんですけど、関わりがあって。ちゅーそんが「めちゃめちゃ上手いやつおる」っていうので誘ったんです。

イクミン(Dr)ちゅーそんにLINEで誘われたんですけど。僕、大学に入ってからは全然ドラムもやってなかったんです。でも、ちゅーそんからSuchmosの「Miree」のコピー動画が送られてきて。それがけっこうクオリティが高かったから、またバンドをやってみたいなと思うようになったんです。

―メンバーを集めるときに「6人」というのは、こだわりがあったんですか?


nagito僕の作る音楽が4人じゃ無理やなっていうところですね。キーボードが必要なのと、よくヒップホップ寄りのバンドやったら、サンプラーがいるんですけど、ポップスでサンプラーマシンを上手く織り交ぜてるバンドってあんまりいないと思って。バンドにサンプラーでフィンガードラムとかする存在がいたら、おもしろいやろうなって考えてたら、6人になってました。

―組んだときから、「こういうバンドになりたい」っていうようなビジョンはあったんですか?


nagitoいや、僕自身がそれまで作曲したことがなかったので、正直どんなバンドになるのかはわからなかったですね。やりながらどんどん吸収していってる感じというか。思いつくままにどんどん変わり続けているのが、逆にいいのかなと思ってます。

イクミンそういう感性で作るから、nagitoの音楽がかっこいいんですよ。

kakerunagitoの音楽は最強ですね(笑)。

たいちメンバーそれぞれ好きなアーティストも違うから、いろいろなジャンルをやったほうがバランスもとれるし、楽しいですね。

―では、メンバーがそれぞれ影響を受けたアーティストを教えてください。


ちゅーそん僕は親の影響で、LOVE PSYCHEDELICOですね。生まれるときぐらいから聴いてて(笑)。車でよく流れてたので、曲名は知らないんですけど、全部歌えるんですよ。細胞レベルで沁み込んでます。自分の意思で聴き出したのは、小学生ぐらいから、フランツ・フェルディナンドで。歌詞をひらがなで書いてました。あとは桑田佳祐さんとダリル・ホール&ジョン・オーツ。中学のときに、まずギターじゃなくて、ベースをはじめたんですけど、そこで、レッド・ホット・チリ・ペッパーズとレイジ・アゲインスト・ザ・マシーン。高校に入ってからは、フジファブリックっていう感じです。

―ギターは誰の影響ですか?


ちゅーそん特に誰っていうのはなくて。いま言ったようなアーティストの影響だと思います。今回のアルバムに「SHOUT」っていう曲があるんですけど、それは、フランツ・フェルディナンドっぽくしたいなと思って作りはじめた曲でしたね。ギターとかは、そのへんになるのかな。



―では、kakeruくんは?


kakeru中学のときにベースをはじめて。その頃は邦ロックを聴いてましたね。RADWIMPSとかASIAN KUNG-FU GENERATIONとか。で、高校のときに、Suchmosを聴くようになって。最近、ベースの影響を受けてるのはジャミロクワイです。

―イクミンくんは?


イクミン僕は、聴く時期によってバラバラで。小っちゃい頃は、マイケル・ジャクソンとかマルーン5とかを聴いてたんですよ。そのあたりは、nagitoも好きで。高校でライブハウスに出るようになると、邦ロックを聴くようになって、フェスにも行くようになりましたね。

―ドラムをはじめたのは、高校時代から?


イクミン小学生の頃からレッスンに通ってました。そのときの先生がファンクとかジャズが専門のジャンルで。そこばっかり練習してたので。叩くフレーズとかは、そっちに近いのかなと思います。

―たいちくんはどうでしょう?


たいち僕は有名なアーティストの曲を聴くっていう感じでした。小学生のころは親が車でサザンオールスターズを流してたのを聴いてて。あとは、FUNKY MONKEY BABYSとか。中学ぐらいからMr.Childrenを聴くようになりましたね。で、乃木坂46とかのアイドルも聴いてて。大学になってから、バンドを聴くようになって、SuchmosとかNulbarich、ジャミロクワイ、マルーン5とか。結局、ハマったのは椎名林檎さんとか東京事変です。

―キーボードはいつから始めたんですか?


たいち4歳からヤマハ音楽教室でエレクトーンをやってたんです。高校2年ぐらいまでやってたんですけど。高校時代はレスリングをしてたので、高校3年間は。ほぼ音楽をやってなくて。大学1年から軽音部に入って、そこからまた触わり始めた感じですね。

―okadaくんは、どうですか?


okada音楽を聴き始めたのは高校2年生の終わりぐらいかな。ネットラップを最初に聴いてたんです。DAOKOとかJinmenusagiとか。そこから王道の日本語ラップを掘り始めて。高校の近くにTSUTAYAがあったんですけど、そこで10枚1,000円で借りれるのがあって。毎週通ってるうちに、Nasとか50セントとか海外のヒップホップも聴くようになりました。大学で軽音サークルに入ってからバンドを聴くようになって。SuchmosとかTempalayとか。ブラック寄りですね。

―本格的にサンプラーマシーンを使うようになったのは、このバンドに入ってからだそうですね。


okadaそうです。それまではDJコントローラーを趣味程度に使ってたぐらいでしたね。

―最後にnagitoくんはどうでしょう?


nagitoいま話を聞いててびっくりしたんですけど、僕全員が聴いてる音楽をほぼ聴いてますね。小さいときは親の影響でクイーンとか、深夜に海外のミュージックビデオが流れてるテレビ番組で流れてるようなメジャーの洋楽を聴いてました。だから、その時代の音楽性は沁みついていると思います。シンプルで音数が少ない感じとか。小学校4年生ぐらいから自分で曲を聴き始めたと思うんですけど。親がそのときに流行ってる音楽をまとめて定期的にCDにしてくれてたんですよ。

―いい環境ですね。


nagitoそのなかから好きなのを探す作業をずっと続けてて。FUNKY MONKEY BABYSとジャミロクワイとRIP SLYMEと宇多田ヒカルさん、ケツメイシとかASIAN KUNG-FU GENERATIONを同時に聴いてました。わけがわからないですよね(笑)。で、中学生になったら、急にONE OK ROCKにハマりました、ライブでTakaさんの動きがかっこよすぎて。そこから、MAN WITH A MISSION、SiM、RADWIMPSとか周りの人も聴いてたので聴くようになって、高校時代はバスケをやってたから、そんなに音楽を聴いてないんですけど、引退したあとは日本語ラップとかを聴くようになって、自分もサイファーとかでラップしたりしてました。大学に入ってからはNulbarichとかSuchmosとか、洋楽も自分で色々聴くようになりました。そこはちゅーそんとの出会いが大きいんです。

―あんまり特定のジャンルを聴くようなことはしないんですね。


nagito音楽をジャンルで聴いたことはないですね。正直、いまもジャンルとかよく知らないです。そういうのは好きじゃないんです。感覚で良いと感じたものは良いと思うので。

―それぞれ嗜好の違う6人で曲を作るときに、どんなことを意識してますか?


nagito僕が音楽を作るときに、「聴かれること」を重視してて。アーティストっぽくないかもしれないんですけど、聴く人も楽しめるようにっていうのを考えてるんです。まずいちばん最初にメンバーに聴いてもらって、好きかどうかを絶対に聞くんですよ。で、「嫌い」って言われたものはやらない。だから、結局、メンバー全員の要素が入るんですよね。良くも悪くもですが、みんなが嫌いじゃない音楽を目指してしまうんです。それがOchunismの大衆性につながってるのかなと思います。

―たしかにOchunismの音楽には、コアなミュージックリスナーに刺さる要素と、ポップミュージックとしての親しみやすさがユニークに共存してますよね。


nagitoそこは、みんなエンタメ精神があるんですよね。アーティスト性のひとり歩きみたいなのは嫌いなんです。okadaとかはマニアックなことも好きだけど、そういうのはアルバムのなかの1曲、ライブのアレンジ、曲のブリッジの部分だけでやる。それがOchunismかなと思います。

okada自分が聴く音楽とプレイヤーとしてやる音楽は、まったく別モノとして考えてますからね。アングラなやつも好きですけど、やるのは、みんなが楽しめるもののほうがいいんです。

―曲作りは、どんなふうに進めるんですか?


nagitoiPhoneのGarageBandです。曲作りは、僕とちゅーそん、たまにokadaもやってます。7割ぐらい僕ですね。僕がゼロから十まで作るパターンと、ちゅーそんが8~16小節ぐらい作ってきたものを僕が1曲に伸ばすパターン。あと、僕はパソコンを持ってなくて、okadaがいちばん機材とかソフトを持ってるから、僕が作ったやつを、okadaがリメイクするパターンがあるんです。

―リメイクっていうのは?


nagito音色とか細かいところですね。構成とかは僕がほとんど考えるので、ちゅーそんとかokadaの癖を、きれいに曲としてまとめてる感じです。

―そのデモをもとにメンバー全員でアレンジを詰めていく流れですか?


nagitoほぼデモで9割ぐらい完成させて、レコーディングしながら作っていきますね。ちゅーそんに、「もっと頭おかしいギターにしてくれ」とか言って。逆にちゅーそんがパって適当に弾いたような、使うとは思ってなかったやつを使おうとか。そういうのが好きで。ベースとかも、ずっとデモでつくってきたメロディが、レコーディングの2日前に変わることもありますね。

kakeruキツいですね(笑)。

―それはどの曲?


nagito「BLUE」です。もともと1番と2番でメロディがほとんど変わらない曲だったんですよ。でも、1日目のレコーディングで楽器を録り終えたあと、2日目に歌を録るんですけど、メロディを変えたくなっちゃって。結局2番だけメロディが変わることになって、1番と2番はっきりと違いを作るために、僕が歌を録ってるあいだにokadaがパーカッションを打ち込んでくれました。

okadaめっちゃ大変でした。打ち込みって、基本事前に準備していくものだから、こういうのは初めてで。ラップっぽいメロディだったから、ハイハットを細かく刻んだらおもしろいかなとか、その場で考えながら作りましたね。

―かなり瞬発力が求められる現場ですね(笑)。


イクミンそうですね(笑)。僕はそうでもないんですけど、okada、ちゅーそん、kakeruあたりは、急にレコーディング中に変わるから、大変なんじゃないかなと思います。

たいちキーボードで言うと、「bubble」のアウトロのピアノとかは、前日までに考えてたのが却下されて、夜中に考えたやつです(笑)。

―「bubble」は全体に打ち込み主体のメロウな曲調ですけど、途中から加わる歪んだギターとピアノが高揚感を加速させていく感じがいいですよね。


nagito最初、「bubble」は中途半端だったんですよ。基本的にはR&Bっぽくて、きれいに打ち込まれた音ですけど、そこにバンド感があったらおもしろいなと思って変えていったんです。

ちゅーそんライブでは打ち込みのうえで、あのギターをやるんだっていうのを想像すると、けっこう針に糸を通すような感覚なんですけどね。

―「bubble」もそうですけど、Ochunismの音楽を聴いてると、きれいなだけじゃ終わらないというか。それぞれの曲に独特のけれん味があって、違和感みたいなものを感じるんです。


nagito違和感は大好きですね。裏切るのがいい(笑)。技術が発展して、簡単に音楽が作れるようになった今だからこそ、違和感とか、頭をひねらなきゃいけないような部分は絶対に必要やなと思ってます。

―なるほど。


nagitoあと、作曲とかレコーディングのときに心がけてるのが、自分の求めてるものを出すんじゃなくて、メンバーから出たものを「求められてるもの」に変えていくのが好きで。たとえば、kakeruから思ってるベースラインと違うやつがきたときに、これを生かすにはどうしよう?って考えるんですね。だから、ジャンル不特定になるのかもしれないですね。

―個人的には「shinsou」が好きでした。野性味のあるビートのうえで跳ねるベースラインが暴れまわってて、最終的にはよくわからない狂騒を生むダンスナンバーで。





nagitoこれは、ちゅーそんのデモからじゃない?

ちゅーそんジャングルみたいなイメージで作ってたんですよ。それをnagitoに送ったら、ジャングル感が消えて、神聖な泉みたいな曲になって返ってきたんです(笑)。

nagitoコード進行が力強かったから、それにメロディをのせたら、こういう感じになっていったんです。"踊りたいなら踊れば良いのに"っていう歌詞もすぐに出てきて。あ、これは洗脳するような、語りかけるような曲になっていくんだろうなって作りながら連想していったんです。

―アルバムはインスト曲「Inside(intro)」から幕を開けますけど、こういう構成にしたのは?


nagitoOchunismは世界観が強いバンドだと思うので、アルバムの曲だけ入れるよりも、最初にイントロのを入れることで、ストーリー性が出るかなと思ったんです。アルバムのコンセプトも大事だし、歌詞にも意味を求めたいタイプなので、その意味が濃くなるように作りたくて。

okada『INSIDE』っていうアルバムは孤独がテーマなんです。だから、「Inside(intro)」はひとりで部屋にいるのをイメージして、音楽が聴こえたり、映画の声が聞こえたりする。そこから、ビートが鳴りはじめて、急に激しいトラップビートになるんですけど、それは不安定な心情を表現してみました。



―孤独をテーマにしようと思ったのは、どうしてですか?


nagitoアルバムを作ってたのがコロナ禍だったから、知らない間にこうなったんです。気づいたら、自分の心の内側を歌ってる曲が多くて。自分への問いかけとか、誰かに語りかけてる曲が、無意識に増えていったんです。もともと僕はひとりで家にいるのが好きやったのに、急に友だちと遊びたいって思いだしたり。なんかしんどい、みたいな感じはありましたね。

―なかでも、死生観が表現された「SHOUT」には、コロナの影響が強く出ていますね。


nagitoそうですね。コロナで亡くなる人が増えていくなかで、「死はすぐそこにあるよ」っていうことを書いたんです。いまの先進国の人にとって、死は遠いことだなと思ったんですね。死というものが薄いゆえに、生きていることを実感できてないというか。すぐ死ぬからこそ、終わりがあるからこそ、いま生きてることを実感できると思うんですよね。本当は、みんないつか死ぬっていうことをわかってるけど、勝手に知らんふりしてるんじゃない?っていうメッセージの曲です。

―なるほど。アルバムの最後に収録されている「anohi」は、アコースティックギターの温かい響きもあって、どこか懐かしさを感じるスローナンバーです。





nagitoこれもレコーディング中の思いつきで。スタジオにあったアコギをちゅーそんに渡して、落ちサビだけ弾いてもらったんです。それにしても、あの曲はギターセンスが光ってると思いますね。ギターのおかげで、ちょっと泥臭いバンドの要素も出てるのかなと思います。

ちゅーそん僕はアコギを弾いたことがなくて。いきなりアコースティックギター渡されて難しかったんですけど、なんとか一発でいけました。

―タイトルは「あの日」の意味だと思いますが、歌詞はどんな想いで書いたんですか?


nagitoノスタルジーを感じる瞬間って、たとえば、道の端にある溝とか、公園で風に揺れてるブランコとか、すべり台とか、そういうのを見たときやなと思って。主人公が、ふとそういう瞬間に感じる想いを書いた感じですね。過去ばかり見てないで、前を向いて歩き出そうよ、みたいなことです。

―「音楽を作るうえでは大衆性を意識している」っていう話も出ましたけど、歌詞に関しては、どうでしょう? もう少しパーソナルなものとして捉えてるようにも感じましたが。


nagitoたしかに歌詞に関しては、大衆性はあんまり意識してないかもしれないです。ラブソングとか失恋系の歌はわかりやすいですけど。そうじゃなくても、僕自身の想いを書けば、誰かに刺さると信じてるというか。そういうもののほうが届くんじゃないかと思ってるんです。

―わかります。『INSIDE』は、まさにOchunismのジャンル不特定な音楽性を感じる多彩な作品だと思いますが、そのなかで貫かれているものがあるとしたら、何だと思いますか?


たいちボーカルが主役になってるところですかね。基本的にリスナーって、そこまで楽器を細かくは聴いてないと思ってて。僕自身も元々そうでしたし、楽器だけ良くても、歌が悪かったら聴いてもらえない。だから、歌がいちばんよく聴こえるようにしたいんです。とはいえ、ソロでは楽器が主役になる部分もあるし、ここの場面で、この楽器を聴いたらいいっていうのがわかりやすい。それもこだわりですね。

ちゅーそん主役がわかりやすいですよね。ギターを考えるときも、いかにメロディを邪魔しないかを考えてながら、かつマニアックな演奏をやってたりするので。

イクミンドラムに関しても、いっぱい詰め込むようなドラムというよりも、曲全体で聴いたときに曲の一部になるように、自然と入ってくるビートとかフィルを入れてるんです。

kakeruたぶん、みんなの性格が出てますね。謙虚なのが(笑)。主張が激しくない。

okadaバンドと言ってるけど、ポップスに近いかもしれないですね。わかりやすさもありつつ、でも、ブラックミュージックとかダンスミュージックが根底にあって。うまく調和されてるのかなと思います。

―nagitoくんは、どうですか?


nagitoさっきも言いましたけど、「聴いてくれる人がいる」っていうのを、いちばん気にしてますね。ライブもそうです。自分たちがやりたいことでも、「こんなんやっても、おもろないやろ、やめようや」とか言っちゃうので。それが作品にも出てると思います。歌を立てるのも、楽器で主張を激しくしすぎないのも、シンプルにするのも、みんな目的はひとつなんです。

―聴いてくれる人を楽しませるための選択である、と。


nagitoあとはシンプルに売れたいです(笑)。たくさんの人に聴いてもらうために、デカくならないといけないと思ってるので。「そのためにどうする?」っていう目的意識が全員でしっかり一致してるんです。

―どれぐらいデカくなりたいですか?


nagitoみんなが知ってるバンドになりたいですね。まずは武道館かな。


取材・文:秦理絵


RELEASE INFORMATION
ochunism_inside_jk_re.jpg

Ochunism「INSIDE」
2020年11月11日(水)
Format: Digital
Label: FRIENDSHIP.

Track:
1. Inside(intro)
2. BLUE
3. shinsou
4. daydream
5. SHOUT
6. bubble
7. anohi
8. dancin' feat. SOMAOTA (「INSIDE」ver. )

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LIVE INFORMATION
2020年12月20日(日)
12/20 見放題2020 - FRONTIER EDITION Vol.19 -
メールにて予約受付中



PROFILE
ジャンル不特定6人組バンドOchunism(オチュニズム)。 2019年4月に結成し、同年11月16日に開催されたAgestock2019では、学生バンドの日本1を決めるイベント、「Next Age Music Award2019」にて3000人の前でLIVEを披露し、グランプリを獲得。
2020年3月には結成から1年足らずで1st Full Album「Gate of Ochunism」をリリースする。
収録曲の「glass」はFM NORTH WAVE、SAPPORO HOT 100で29位にランクインし、「rainy」のMVはyoutubeで10万回再生を突破。
また、同アルバムの配信では数多くのプレイリストにも選曲されるなど、1stながらその名を広めることになった。
今作「INSIDE」は既にデジタルリリースをしている「shinsou」、「SHOUT」、「anohi」を含めた7曲に、さらにCDにのみボーナストラックとして前作アルバムから「dancin'」をINSIDE ver.としてリミックスを収録した8曲入りとなっている。

LINK
オフィシャルサイト
@ochunisband
@ochunisgram
FRIENDSHIP.

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