SENSA

2020.08.07

-Highlighter Vol.025-「KOTARO SAITO」

-Highlighter Vol.025-「KOTARO SAITO」

音楽だけでなく、どのカルチャーも共通点やつながりがあるということをコンセプトにしているSENSA。INTERVIEWシリーズ「Highlighter」では、アーティストはもちろん、音楽に関わるクリエイターにどのような音楽・カルチャーに触れて現在までに至ったか、その人の人となりを探っていく。
Vol.025は、8/7(金)にHajime Uchiyamaと共に制作したアルバム「VOYAGER」をリリースした作曲家・音楽プロデューサーのKOTARO SAITOに迫る。

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KOTARO SAITO
作曲家、音楽プロデューサー。中学3年間をインドで過ごし、独学でピアノと作曲を習得。慶應義塾大学を経て博報堂に新卒入社。5年で独立しCM・舞台・ショー音楽制作を開始。
2018年「秒の間」「Brainstorm」がSpotifyバイラルトップ50(日本)で1位,2位にランクイン。
2019年は毎月楽曲をリリースし、10月には渋谷音楽祭に出演。ビリー・アイリッシュらと並び、Music-Ally Japanの年間ベストマーケティングアクトに選出される。
2020年に入って、Spotifyの累計リスナーが100万人を突破。楽曲「Right」は2020年8月現在130万回以上再生されている。
楽曲制作に留まらず、日々の音楽活動ぶりやアルバム制作の過程を描いた彼のnoteにも注目が集まる。


活動を始めたきっかけ
中学の頃から音楽家になるのが夢でした。高校、大学と作曲を続けてきて、将来を考えていた際に博報堂の社員の方とお会いする機会があり、音楽だけでなく色んな表現を使ってコミュニケーションを考える仕事に興味を持ちました。
博報堂に入社し、営業職として5年間クライアントと対峙しながらクリエイティブ、メディアの仕事に携わりました。その間も5年間燃え尽きることがなかった音楽への想いを叶えるべく、2014年に退職しました。博報堂での経験と縁から、独立後すぐにCM音楽の世界に足を踏み入れ、国内外の様々な企業のCM音楽を今に至るまで作っています。
2018年から、自分自身の楽曲を作品として本格的にリリースするようになりました。無名の状態からスタートした僕はSpotifyでのプレイリストピッチング、及びその過程をnoteに克明に書き記したことが話題になり、アルバム「BRAINSTORM」内の2曲がSpotify日本バイラルトップ50で1位、2位になりました。この経験を糧に、CM音楽職業作曲家の自分から、アーティストとして表現の道に主を置き、音楽と向き合う決意ができました。
これまでのキャリアで出会った仲間たちと共に、自由に僕ららしい音楽表現で希望を形にしていきたいと考えます。



影響を受けたアーティスト
中学の時にピアノを独学で覚えたのが最初の音楽体験で、その頃はベートーヴェンを中心に聴いていました。ロマン派だとリストやショパン、近代系だとラヴェルが好きです。



青春時代、最も影響を受けたのはQueenです。特に、Wembley Studiumで行われた86年のツアー映像に強く惹かれました。スマートで上品、構築的な音楽を奏でていることも影響を受けた他、彼らが高学歴バンドだったので、僕も慶應義塾大学を目指して受験したほどです。


その後、60~90年代の英米のクラシックロックを中心に、ロックミュージックを聴きあさって学生時代を過ごしました。同時に映画が好きだったこともあり、Hans ZimmerJames Newton Howard坂本龍一氏などの映画音楽作品にも影響を受けています。CM音楽の世界では今も、ピアノと弦楽四重奏、スウィング系の楽曲などクラシカルな楽器によるプロデュース、作曲する音楽領域に多大なる影響を受けています。







しばらく電子音楽には興味がなかったのですが、2012年のDaft Punk「Random Access Memories」でのネオディスコファンク、年ごろからEDMブームの流れでZEDDCalvin Harrisの存在を知り、シンセサイザーの面白さに気づき始めました。ハマると一気に興味と関心が湧いてしまうので、そこから鬼のようにシンセサイザーを集めるようになり、今の自分のサウンドの源流ができています。
かなり端折っていますが、クラシック音楽からソウル、R&Bも含め、本当に幅の広い音楽を好きで聴いています。作っている、作ってきた楽曲と必ずしも自分の好きな音楽が一致していないことも多々あり、まだまだ音楽性の引き出しが眠っていると感じています。


注目してほしい、自分の関わった作品
ピアノサウンドでは、Spotifyで合計150万回以上再生してもらえている「Poem, Poetry or Not」は非常に素の自分と言えます。弦楽器を織り交ぜたスタイルだと、「秒の間」も力を入れて作っており、この曲がSpotify日本バイラルトップ50で1位になりました。こんな静かなインスト曲で1位になったのは僕だけじゃないかと思います(笑)





一方で、僕の身体が持つグルーヴはレイドバックした後ろノリで、自分の聴いてきた音楽歴とは少しずれるのですが、ソウルやR&B的でもあります。それが如実に出ているのは「Supernova」「Cactus」や「Ginger」「VIrgin Mint」です。









そして、昨年リリースした「Reason」という楽曲、2018年の「Love Song」にも強い想いがあります。ボーカルMAYUMI(アルバムリリースを機にMayumi Watanabeに統一予定)は今作「VOYAGER」でも「Waterfall」でその抜群の歌唱力を存分に発揮してくれているので重ねて聴いてみてください。





現在の僕の作風の根幹を支えているのは、歴史的名機と呼ばれるシンセサイザー(以後「シンセ」と明記します)のサウンドです。

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ジャンルを超えて、現代の音楽シーンに必要不可欠な楽器として挙げられるシンセサウンド。3年前から狂ったようにシンセに夢中になり始め、ありとあらゆるソフトメーカーが復刻しているヴィンテージシンセを実機で使いたいと、自身の利益のほとんどを楽器に突っ込んで生活しています(笑)
昨今のソフトシンセや復刻版のハード楽器は非常に優秀だと僕も感じますが、当時の実機で状態のいいものは、はっきり言って別次元です。たった1音で聴く人にドリーミーなシャワーを浴びせるような多幸感、没入感を与えてくれます。僕はSpotifyという非常に現代的なプラットフォームをきっかけに世の中に知ってもらえていますが、音楽の作り方は非常にアナログ志向です。最新作「VOYAGER」では、ほとんどの作業を宅録かつリモートで行っていますが、その在り方を存分に発揮して楽曲制作できました。気持ちの良い音の粒たちを、存分に楽しんでもらえたら嬉しいです。




今後挑戦してみたいこと
僕は自分自身がプロデューサー気質だと考えているので、仕掛ける側として、表現者としての両輪でやりたいことがあります。
仕掛ける側としてやりたいことの一つ目は、国内外、特に海外の才能あふれるアーティストとの共演機会を増やしたいです。今年に入ってリリースする楽曲でも、海外のシンガーやエンジニアの方々とのセッション機会が増えています。日本国内で魅力的だと感じるインディ、ポップシーンも最近更なる注目を集めているので、僕なりの切り口と表現方法で音楽作品を多く残していきたいです。同時にリミックスもより多くのアーティストとのコラボレーション機会として挑戦したいと考えます。
仕掛ける側としての二つ目は、キュレーション活動の本格化です。2年続けているnoteも音楽ファンの皆さんや業界関係者の方々を中心に多く読んでいただいていて、このプラットフォームをより、僕が興味を持った音楽家やクリエイターをピックアップし紹介する場に育てていきます。
また秋冬ごろからは世界中で展開するマリオットホテル系列「Aloft(アロフト)東京銀座」とリアル・オンライン双方でライブキュレーションを行います。世界中にあるAloftのラウンジ「Bar w xyz」にて、今をときめくスーパースターたちがインディ時代にライブをしています。
SpotifyやYouTubeにプレイリストやチャンネルがあり、そちらをご覧いただくとこのホテルが持つ歴史の価値を体感できます。その面々にびっくりしますよ。




世界中のアーティストを育ててきたと言っても過言ではないこの空間が、満を辞して日本に初上陸する、その記念すべき出来事を、アーティスト・音楽プロデューサー両輪の立場でコラボレーションできること、大変嬉しく思います。
僕が世界中に紹介したいと思うアップカミングなアーティストの皆さんと共に、東京発の音楽・アートカルチャーのシーンにサステナブルで全く新しい軸を作ります。


カルチャーについて

触れてきたカルチャー
ファッションシーンには非常に多くの影響を受けています。2000年代初頭のAlexander McQueenのアヴァンギャルドで儚いエレガンスには強く衝撃を受けました。

当時は自分の音楽性もクラシカルな表現を多用することが多く、彼の作品の影響を色濃く受けました。徐々に電子音楽やダンスポップミュージック、モダンなニューウェーヴに僕自身が傾倒し始め、現在は「上質かつヤンチャ」「エイジレスなストリートスタイル」「音楽やアートとの深い関わり」を感じる服にライフスタイルを彩られています。
僕にとってのその代表格が、現在衣装サポートをいただいているイタリアの人気ブランド「MSGM」です。2012年ごろからここの服が持つ独特のストリート性に惚れ込み、気がつけばプライベートでもかなりの頻度でMSGMの洋服を着ています。まさに「ハイストリート」という言葉が似合う、デザイナーのマッシモ・ジョルジェッティ氏の粋な感性が僕らの音楽にも大きく影響を与えてくれています。昨年出演した渋谷音楽祭、そしてアルバムと同じタイミングで公開する「Waterfall」のMV、さらには僕と肇さんの最新アーティスト写真も、MSGMチームの皆さんのお力添えをいただいています。


※リリース後、「Waterfall」MVに差し替えいたします。


今注目しているカルチャー
内山肇さんも同じことを答えそうですが(笑)、僕らの共通の趣味として植物の育成、料理は非常に熱がこもっています。僕らの自宅は至るところで植物を育てています。我が家の自宅スタジオには、そのシンボルともいえる巨大なエバーフレッシュが鎮座しています。朝起きると葉を開き、寝る頃には葉を閉じる、非常にチャーミングなシンボルツリーです。

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また、マダガスカルに生息している塊根植物という珍しい植物にもハマっています。彼らは株の部分に貯水タンクを持っており、水を遣るとパンパンに膨れ上がり、夏の時期は可愛らしい葉、運がいいと黄色やピンク色の花を咲かせます。上述した楽曲「Cactus」が世界中で50万回を超える再生につながったことをお祝いして、昨年から育て始めた塊根植物たち。我が家を可愛らしく、魅力的な鉢と共に彩ってくれています。

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友人である内田朝陽さんと共に、これら塊根植物をテーマに楽曲制作をしています。ぜひ聴いてみてください。現在、第二弾を制作中です。



もう一つの趣味である料理は、僕らメンズ作曲家の間でここ数年ものすごく流行しています。音楽家は男女問わず料理好きが多く、それぞれの料理に音楽スタイルがものすごく現れるのが非常に面白いです。
僕と内山肇さんは、楽器を愛でる心が食材選びにも如実に出るタイプです。素材にこだわるし、盛り付けるお皿にもムードを非常に求めます。僕は白や透明などスマートなスタイルのお皿を好み、味付けは甘めでフルーティ。肇さんは少し土臭くワイルドで、味付けは華やぎの中にまるで幾つもの色を重ねた絵画のようなサイケデリックさを感じます。
アルバム「VOYAGER」の制作では2人で方針を決めながらも、互いの個性が生きる形で役割分担ができていきました。僕がサウンド全体をまとめる役割を主に担い、言うなれば「引き算担当」。肇さんは僕のコンセプトやアイデアを聞きながら、曲にかけた想いを邪魔することなく「音の足し算」でさらに広がりと深みを与えてくれました。これが、お互いに1ミリも妥協なく、最後に100%、2人が納得できる形で完成させられたのは、普段から料理を通じてお互いの趣味をしっかり理解し合えているからだと思います。

僕の料理アカウント、よかったら見てみてください。



RELEASE INFORMATION
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KOTARO SAITO & Hajime Uchiyama「VOYAGER」
リリース日 2020年8月7日(金)
視聴はこちら



LINK
KOTARO SAITO &Hajime Uchiyama YouTube channel 「Chill On Wednesday」
オフィシャルサイト
KOTARO SAITO note
@kotarosaito1211
@kotaro_saito
FRIENDSHIP.

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