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2025.06.22
New Release Digest Part 1
みさと:6月16日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜、全25作品の中からPart-1をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます。Part-1は福岡祭りですね!中島涼之介さんに小田奈都美さん、そして、aldo van eyck。こちら3rdアルバムリリースということで、おめでとうございます。
金子:YOURNESSも6 mabも福岡。FM福岡からお送りしております!
みさと:福岡番組〜。こういうの待ってたよ〜。
金子:aldo van eyckはアルバムが完成しまして、全20曲、70分超えの大作。
みさと:すごくないですか?
金子:aldo van eyckは前のアルバムも20曲入っていて、いつもすごいんですよね。基本的にはポストパンクとかノーウェーブ、フリージャズみたいなところが軸にあるんだけど、ボーカルがトランペットを吹いたり、ギターがサックスを吹いたり、ボーカルは鍵盤も弾いてて、楽器編成的にもジャズに寄ってる感じはしますね。「Plastic Gold」はアルバムの一番最後の曲で、ホーンセクションであり、エレピの音色が印象的。ジャズと言ってもフリージャズ的というよりも、最近のヒップホップに接近したものに近くて、なおかつちゃんとポップソングにもなっている。幅を見せてくれる一曲になっていると思います。
みさと:20曲目に収録されている意味を味わえるような楽曲になっていて、映画のエンディングで流れそうな、全てを包む懐の深さであったりとか、アルバム全体を抱きしめるような素晴らしいアウトプットだと思いました。1曲目から味わうことでさらに20曲目の意味であったりとか、聴き心地も変わってくると思うので、ぜひアルバム通して20曲楽しんでみてください。続いては、6 mab。ちょっとひさしぶりじゃないですか?
金子:リリースは約1年ぶり。去年、僕らが福岡に行ったときに番組にゲスト出演してくれて。
みさと:ありがとうございます。
金子:その後に田中みな実さんが出演した、花王のCMソングも手掛けたりして、活躍の幅を広げてるわけですけど、今回5曲入りのEPが到着と。セルフライナノーツに"制作を始めて、2曲くらい触っているあたりで今回全体的に小じんまりとした空間が思い浮かぶような、クローズドで低音なサウンドにしたいと思った"と書いてあって、「Da Latte」を聴いたときはそこまでクローズドではない、結構ダイナミックなサウンドで、立体的なトラックになっているなと思ったんですけど、EP全体を聴くと、確かにクローズドで低音なサウンドになっていました。
あと、4曲目の「Thron」が印象的で。この後YOURNESSが出てくるんですけど、黒ちゃん(黒川侑司)とボーカルの庄司くんは昔からの知り合いで、"歌がすごい"と前から言ってたんですよね。でも6 mabはトラックがかっこいいイメージで、ちょっと低体温だったりするから、ボーカルもあまり張り上げたりせず、サウンドと一体になっているような感じで、いい声なんだけど、「歌」のイメージはあまり強くなくて。
みさと:だから、黒ちゃんがそこまで褒めるのは、正直ちょっと意外でした。今まではね。
金子:でも「Thron」では結構歌い上げてて、"これか!"と。トラックのかっこよさと歌の良さを両方改めて感じられる、すごくいいEPだったなと思います。
みさと:セルフライナーで"閉ざされた低音な曲たちが並んでいますが、だからこそ感じられる安堵感や逃避感があると信じています。聴いていただける方には内省と、それにしては軽薄なポップのバランスに浸って楽しんでほしい"といただいています。デジタルの無機質さはあるんですけど、ユーモアを感じられるというか、"軽薄なポップ"とご本人は言葉を選んでいますけど、すごく人間らしいなと。その人が持つ2面性や多面性を味わえるような曲だったと思うし、6 mabの伸びしろを味わえる1枚になっていると思います。ということで、お待たせしました。我らが黒ちゃんがフロントマン、YOURNESSでございます。
金子:YOURNESSの新曲はドラマタイアップですね。
みさと:おめでとう!
金子:FODで配信されている『被写界深度』というドラマのエンディングテーマで、タイトルが「眩」。"「眩しい」という言葉をテーマに、バンドの強さでもある歌、歌詞にフォーカスを当て、『被写界深度』という作品を表現させていただきました"ということで、まさにこの言葉通り、もちろんサウンドやアレンジもかっこいいんだけど、やっぱり歌。改めて、歌。
みさと:すごいですね!
金子:同じ場所でRoom"H"の収録もしているから、黒ちゃんとすれ違うこともよくあって、そのときは気さくないい兄ちゃんって感じで、歌うまなことを忘れちゃうんだけど(笑)、やっぱりすごい。ドラマのエンディングテーマということもあって、しっかり歌を聴かせる、言葉を聴かせる、YOURNESSの武器が存分に発揮されている曲だったんじゃないかなと思います。
みさと:同感です。一聴して感じたのは、ドラマのタイアップってことで、YOURNESSファン以外の方にも届く機会になるわけじゃないですか。万人を黙らせるような圧倒的な歌唱力を魅せてきたなと。ポップスとして美メロでキャッチーさもあるのに、歌おうとするとかなり複雑な旋律で、ハイトーン、ロングトーン、さらにフェイクもあるし、めちゃくちゃ難しいんですよね。これは"実力の暴力"です。この曲をきっかけにYOURNESSに出会った人はやっぱりプロってすごいなと思うだろうし、こんなバンド、こんなボーカリストがいたんだときっと嬉しくもなるだろうし。
金子:生で聴きたくもなるでしょうね。
みさと:そして、古参のファンの方々は「私、前から推してたんです」と自慢もしたくなるような、そんな一曲だと思う。これはちょっととんでもない曲ですね。
New Release Digest Part 2
みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-2でした。リリースおめでとうございます。EPISODEが結成10年目、ファーストアルバムリリースです。おめでとうございます。
金子:10年目のファーストアルバム、11曲入りで『11 Episodes』というタイトルになっていると。EPISODEの曲は本当に色んな音楽性が詰まっているので、一言で表現するのが難しいんですけど、全体的には人懐っこくてポップ、でもすごく多面的な側面を持ったビートミュージックでもあるみたいな、その独特のバランスがやっぱりかっこいいですよね。色んな曲が入ってるんですけど、「In The Box」はチルでベットルームポップ寄りな楽曲。「In the Box」というタイトルなので、段ボールに荷物を詰めていって、思い出に浸るような、ノスタルジックな雰囲気が魅力的でした。
みさと:あの人との別れとか、段ボールに荷物を詰めていく中で、一回一回見るじゃないですか。それで作業が全然進まなかったり、頷いてしまうようなことを思い出せる一曲になっていて。一番最後に環境音のサンプリングが入るんですけど、日常の切り取りをすごく味わえるような楽曲になっています。全体的にシンセと声のアンサンブルが美しいので、サウンドとしての味わい方と世界観としての味わい方、両側面持った素晴らしい曲でしたね。
金子:他にもビートが立っている曲とかラップの曲もあるので、全曲聴いてほしいです。
みさと:続いてはYAJICO GIRLなんですが、新プロジェクトになりますね。
金子:ボーカルの四方くんがお休みに入っている中で、残ったメンバーで"YJC LAB"というプロジェクトを始動。今はメンバー4人が横並びに並んで、楽器も使いつつ、打ち込みの機材も使いつつ、みたいな感じでライブをやっていて。
みさと:紅白のサカナクションみたいなイメージですよね。ラップトップで。
金子:過去の曲を4人編成でやるために、リミックス、再構築をして、今回『YJC LAB. 01』という形でリリースしていると。だから、バンドよりもクラブ的なニュアンスが感じられますよね。もともとどっちの要素もあったけど、クラブの要素がより強まっているイメージで、いろんなコラボレーションができそうだなという気がしています。前にも言ったことがある気がするんですけど、T.M.Pと一緒にやったら、今の編成とすごく合う気もしたし、この前Pablo Haikuと対バンをしてましたけど、最近YAJICO GIRLのドラムの古谷くんがPablo Haikuのサポートをやったり、そういう交流も生まれていて。YJC LAB.をやりながら、いろんなつながりを増やしていけるような、そんな期間になったらいいんじゃないかなと個人的には思っています。
みさと:「ユーフォリア - YJC LAB. mix」に関しては、中盤以降かなり音遊びをしているんですけど、〈Euphoria〉のリフレインで、ポップさの印象づけもすごくあるので、ちゃんとリスナーが離れていかずに最後まで楽しめる楽曲のアレンジになっていました。こうやってプロジェクトを立ち上げて、今まであった過去を手放さない姿勢からメンバーのYAJICO GIRLに対する愛を感じられるし、お客さんに対しての愛のアウトプットなのかなと。応援したいですよね。そんなPart-2からはどうしましょう?
金子:象眠舎の新曲を紹介しようと思います。
みさと:それぞれの曲がすごいラインナップですね。
金子:小西遼くんのソロプロジェクトですけど、近年の活躍がすごすぎて。
みさと:本当よ。万博よ。
金子:今年は万博の開会式で音楽監督を務めていて、去年は紅白のオープニングの曲も手掛けてたりとか、サウンドプロデュースで関わっているアーティストで言うと、Mrs. GREEN APPLE、milet、TOMOO、Omoinotake、King & Princeとかね。FRIENDSHIP.で配信してるアーティストの中でも一番と言ってもいいぐらいの活躍ですよね。
みさと:そうだと思いますよ。日本の音楽界にはなくてはならない人になりましたね。
金子:今回のEPは5年の制作期間を経て遂に完成した作品で、7曲入りと。各曲にゲストボーカルを迎えていて、今回のリード曲は三浦透子さんをフィーチャリング。ちょっと前にODD Foot Worksのキイチくんとの結婚の話もしましたけど、ここにも登場してくれて。
みさと:みんなファミリーで嬉しいよね。
金子:結構ダンスミュージックな感じになっていて、象眠舎としては珍しいっちゃ珍しいけど、近年の小西くんの多彩な活動を考えれば、こういう曲もできちゃうのは納得。でも、ただのダンスミュージックじゃなくて、後半に入ってくるストリングスの感じはまさに象眠舎という感じだし、三浦さんのちょっと中低域の声がこのダンストラックにも合ってるし、すごく良かったですね。
みさと:厚武さんがお話してくれたように、何かを求められて、そこに自分の技術、個性、経験を活かして届けていくフィールドの仕事が目立ってはいるけど、象眠舎のプロジェクトはより小西遼そのものが色濃く出てくるプロジェクトだと思うので、歌詞であったり、メロは彼そのもの、魂みたいなものが込められていて、より丁寧に聴きたくなるプロジェクトだなと思いましたし、三浦透子さんについては今まで聴いてきた透明感のある歌唱というよりは、中性的で少し陰りを感じるような声の出し方になっていて。曲のテーマである生きている実感、孤独、死生観みたいなものに対して、誰かに伝えるためではなく、自分自身の耳だけに届くような距離感の歌唱法でした。三浦透子さんの表現力も際立っていて、全員の経験値とパワーがアップしてしまうようなプロジェクトだと改めて味わえたEPでした。
金子:全曲が人との別れをテーマに書き下ろされているということなので、歌詞も含めて聴いてもらいたいですね。
New Release Digest Part 3
みさと:新譜ダイジェスト Part-3でした。リリースおめでとうございます。春ねむりさんリリースです。
金子:Part-3はメッセージ性の強い曲が並んでいて、Limited Express(has gone?)の曲がジェノサイドに対してNOを突きつける曲だったわけですけど、春ねむりさんの曲も戦争が題材になっていて、自分たちの加害の歴史からも目を背けちゃいけないんじゃないかということがテーマ。この2曲の並びはすごく考えさせられるなと。しかも春ねむりさんの曲はかなり煽動的なトラックに乗せて、そういう内容がラップされているので、歌詞も含めて聴き込んで、色々考えてみてほしいなと思います。
みさと:厚武さんがおっしゃった現状、現在地の確認と、それを一掃するような、神からの啓示を受けた圧倒的な全知全能が降りてくるみたいな、そういったスケールの大きい曲になっていて、どこを切り取ってもメッセージ性と春ねむりさんのスタンスが見えてきました。そして私たちも一度立ち止まらなくちゃいけないと気がつかせてくれるような曲になっています。続いては、Pastoral。
金子:アルバムが完成しました。僕、大好きです。前にTexas 3000のボーカルのJojoがベースをやっている話はしたんですけど、今回プロフィールを詳しく調べてみると、メンバー4人全員がアメリカ出身で、それぞれ異なるルーツやバックグラウンドを持った人たちの集まりみたいで。個人的な印象としては、僕の大好きなポストロックの要素がすごく感じられて、特にシカゴのポストロックという印象が強い。中でも、ドラムのakio Jeimusがまさにシカゴ出身で、フリージャズのシーンでも活動しているほか、最近ではgoatという人力ミニマルのバンドにも参加していて、めちゃめちゃいいドラマーで。「Streams」でも彼のドラムが本当に素晴らしいので、ぜひそこに注目して聴いてもらいたいです。
みさと:リズム隊の低さと重さをすごく味わえるけれども、引っ張られるような重さではないという。だからこその没入感が味わえる1曲、アルバムになっています。そんなPart-3からはどうしましょう?
金子:MEMEMIONの新曲を紹介しようと思います。
みさと:口が気持ちいいバンド名。
金子:FRIENDSHIP.からのリリースは初になるんですけど、もともとエドガー・サリヴァンというバンドでギターを弾いていた坂本遥さんを中心としたバンドで、メンバーそれぞれがいろんなアーティストのサポートで大活躍していて、その人たちが集まって、ポップスをやっていると。我々に近いところで言うと、Room"H"仲間のNolzyくんのライブのサポートメンバーが、MEMEMIONのメンバーを中心に構成されていて。今回からハナブサユウキというキーボードが新メンバーとして参加してるんですけど、彼はスガシカオさんのサポートをやってたり、ギターのキュアかいとさんはNulbarichで弾いていたり、こういうキーワードからもわかる通り、まさにファンクが得意な人たちが集まってるので、そのカッコよさが非常に感じられる一曲でした。
みさと:イントロからギターリフに入るまでの展開がすごく引き込まれる。その集中力をサビまで持続させられるような、タイトで、手数も多いんですけど、サビに来るととんでもなくポップ。それぞれのバックグラウンドを味わえる一曲になってます。
金子:「5ジャブ6アシスト」、曲タイトルも要注目ですね。
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、奥宮みさとと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55 放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
NEW Releases FRIENDSHIP.
FM福岡で毎週水曜日の26:00~26:55まで放送中のラジオプログラム「Curated Hour〜FRIENDSHIP. RADIO」のアフタートーク、番組の中で紹介しきれなかったタイトルを紹介。DJの奥宮みさと、音楽ライターの金子厚武の2人でデジタル音楽ディストリビューション・プロモーション・サービスのFRIENDSHIP.から配信される新譜を中心に紹介するプログラム。
番組MC
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3奥宮みさと
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。 TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。 安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10