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2025.06.01

FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!ODD Foot Works・エルスウェア紀行・Ålborgほか全27作品 -2025.5.31-
New Release Digest Part 1
みさと:5月26日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜、全27作品の中からPart-1をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます。さあ、はじめましてさんです。アルバムリリースとなります、尾瀬四郎さん。
金子:プロフィールを読んでみると、"詩作と宅録音楽。幼い頃から詩を読むこと、書くこと、歌を歌うことが好きでした。現在は一人の多重録音で曲を作ったり、ギターを弾きながら歌っています。玩具のカメラや鍵盤、博物館や昔の万博など古いものや手の届かないものが好きです"とのことで、すごくよくわかるなという感じがします。もちろんシンガーソングライター的な感じなんですけど、"宅録"という言葉が使われているから、サウンドメイクの面白さだったり、細かな部分が個性につながっているなと。
あと今回『南瓜』というアルバムができたのは、身近な人物の死に直面したことで、生きること、死ぬことについて考えた中から言葉を紡いでいったそうで、ご本人のコメントで、"いろいろな楽器を一人で鳴らすのは、すごく楽しくて、すごく寂しいものでもあった""よかったら同じように部屋で一人聴いてもらえたら嬉しいです"とあって、まさにこのパーソナルな感覚は宅録によって表れていると思うから、いい意味での"一人感"が詰め込まれた作品だなと。
みさと:お家の中にあった楽器であったり、物置で見つけたおもちゃのガラガラの音、そして、おもちゃのピアノを使っているのも、思い出の一端が見えて、すごく良かったなと思います。最近は核家族が増えて、死から学ぶ機会が減っていくんじゃないかとも言われてるじゃないですか。自分と血のつながった人の死でしか学べないこと、感じられないことってきっとあると思うので、ぜひ聴いてほしいですね。続いて、SPENSRくん。ひさしぶり!
金子:純粋な新曲としては去年3月に出したアルバム『Drunk』以来。『Drunk』はUKロックなどのもともとルーツにあった部分を出している点が特徴としてあったわけですけど、今回は結構ダンスミュージックに寄っていて。歌はもちろん、トラックメーカーとしても魅力的で、こういうソウル〜R&Bのシンガーでありつつ、ダンスミュージック的なアプローチをするという意味では、小袋くんの1個前の作品とも通じる部分を感じたりしました。あと昨年末から不定期でYouTubeで作曲配信を始めて、この曲が最初に取り掛かった曲だったそうで、遂に完成したものをリスナーに届けられるという、このあり方も現代っぽくて、また新たな始まりを刻んでるんだなと思いました。
みさと:今回はシンガーとしての良さは感じられるんですけど、声も1つの楽器のような使い方でした。余白を感じられる、そんな楽曲の仕上がりになっていて、だからこそフロアライクな良い曲になっていると思うんですけど、ライブでは上にラップ重ねても良さそうだなと思いました。マルチアーティストだからこそできる引き算の美学と余白が美しい。ラップを入れた曲も聴いてみたいな。
金子:ダンスミュージック寄りだけど、音は生感があるからライブで聴きたいですよね。
みさと:ライブで聴きたいと言えば、この人たちでございます。アルバムが控えてます、ODD Foot Works。
金子:ODD Foot Worksも今年最初のリリースで、4月に有元キイチくんが三浦透子さんとのご結婚を発表されたり、そんな中で新曲が到着。ある種SPENSRとも通じるような、ダンスミュージック的なアプローチで、ちゃんと生感、バンド感もしっかりあるので、ライブで聴きたいですよね。アルバムのリリースが告知されていて、2017年の『ODD FOOT WORKS』以来のセルフタイトル、『ODD FOOT WORKS 2』になるということで。キイチくんとPecoriくん、ラップと歌のツイン体制でのODD Foot Worksが確立されて、新たな始まりの作品になりそうだし、とても楽しみですね。
みさと:フェーズ2が始まったなという感じはちょっと前から感じていて、それが1つの作品になるということでワクワクなんですけど、今回シングルカットされてる曲に関しては、Pecoriのフローがもはや貫禄だなと思う。ラテンで大陸的なサウンドと、時代に中指立てるようなPecoriのラップがベストマッチだったし、そこに間髪入れずに、有元キイチのロマンチックなボーカルが入ることによって、リスナーとの距離をグッと縮めてくれる。本当に素晴らしいですよね。フェーズ2、楽しみにしてます。
New Release Digest Part 2
みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-2でした。リリースおめでとうございます。はじめましてさんです。Hammer Head Shark。
金子:2018年にボーカルのながいひゆさん、ドラムの福間晴彦くんを中心に千葉県で結成。その後メンバー脱退や自主でのリリースもあり、現メンバーが加入してからはより深度の深い楽曲とライブパフォーマンスが各所で注目を集めていると。2018年からやっているバンドっていうことで、名前は知ってたんですけど、ちゃんと聴いたことなくて。
みさと:私も初めて聴きました。
金子:Hammer Head Sharkという名前から男性ボーカルで、ゴリゴリなサウンドのバンドを勝手にイメージしたんだけど(笑)、女性ボーカルなので、いい意味でのギャップがありますよね。きのこ帝国とかがルーツにあるみたいで、そういうバンドの影響を受けつつ、今のものとして鳴らしているバンドは時代的にも求められていると思うし、この後アルバムも控えているみたいなので、楽しみですね。
みさと:今回のタイトルが「園」で、内に向かって守られるべき場所のことを指すと思うんですが、その言葉選びもオリジナリティがあって面白いですよね。続いて、志摩陽立さん。アルバムです。
金子:12ヶ月連続リリースをまとめてアルバムにしたものが去年の7月に出てるので、そこから1年経たずにまた新しいアルバムが出ちゃうというのはすごい。でもやっぱりそもそも多作家で、今回の作品にしても膨大にある過去のストックの中から、この時期にこのタイミングでリリースしたいと思うものをチョイスしてアルバムにしているそうで。
みさと:ストックが相当ありそうですね。
金子:ありそうですよね。今回はそうやって集めた結果として、"愛情"というテーマが見えて、『Love & Affection』というタイトルになったと。「また会いましょう」に関してはクラビの跳ねる音色が非常に印象的で、志摩さんらしい、さすがポップ職人という感じがしましたね。
みさと:ポップ職人の中にも、ソウルであったり、AORであったり、長く音楽を愛してきた大人にも刺さるような。スガシカオさんがお好きな方とかにも、すごいハマりそうな感じもするので、Nolzyくんとの対バン最高じゃないですか?
金子:うん、わかります。
みさと:そんなPart-2からどうしましょう?
金子:エルスウェア紀行の新曲を紹介しようと思います。
みさと:またいいですねえ。
金子:エルスウェア紀行は今年の「EIGHT-JAM」の「2024年の年間マイベスト10曲」で、川谷絵音くんが「素直」を選出したことによって、改めて注目が集まっている中、ひさびさの新曲リリース。番組が1月だったので、次の新曲はいつかいつかと結構待った感じもするんですけど、今回の曲はエルスウェア紀行の新たなスタンダードナンバーだなと。最初に1回聴いたときからその風格があって、ストリングスが印象的に使われているバラードなので、小林武史プロデュースかな?ぐらいの完成度であり、スケール感がある。
みさと:わかる(笑)。
金子:コード進行の凝った感じは"魔改造シティポップ"とも呼ばれている彼女たちらしさがありつつ、ちゃんと開かれた楽曲になっているという落とし所も素晴らしいなと思います。あとは「とわの祭り」というタイトルで、歌詞は別れの日から出会いの日へと時間が逆行する構成になっていて、大切な出会いというものには別れはなく、出会えた瞬間からそれは永遠に続く祭りのようなものかもしれない、というところから「とわの祭り」というタイトルになったと。ネガティブに感じられる側面をポジティブに転換していくことも彼女たちらしい作家性だと思うので、そういう意味でもまさにエルスウェア紀行のスタンダードだなと思いました。
みさと:物語性的には先ほどご紹介した尾瀬四郎さんの「月の小舟」ともある意味リンクするのかなと思っていて、大切な人との別れをどう受け取るかによって、言葉も違うし、見えている景色というのも変わる。その先がすごく感じられる1曲だなと思う。人生のどの瞬間で聴きたくなるのか、考えながら聴いてほしい曲です。
New Release Digest Part 3
みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-3でした。リリースおめでとうございます。さあアルバムです。古燈 直人さん。
金子:もともと英語メインで歌っていたところから、今回は半数が日本語になっているという変化があったり、前に紹介した「絶望の深淵」というロックな曲もあれば、今回紹介している「ステージ」みたいなレトロなエレクトロポップみたいな曲もあったりと、すごく多彩な楽曲が入っていて、『mirror』というタイトルからはいろんな曲が反射し合っているような印象も受けます。ただご本人の言葉では、"ここ数年で感じていた、自らへの過度な客観視を鏡という存在に照らし合わせ、この作品の主題として制作に臨んだ"とのことで、"幼少期から当たり前のように続けてきた音楽をまだ自分があえてやる意義を深く考えた時間でもあったので、その総決算のような楽曲の集合体でもあると思います"というコメントがあって。過度な客観視というのはそれだけ自分を見つめてきたということだと思うんですけど、結果的にそれでも音楽をやるんだというところにたどり着いた。そのある種の決意表明みたいなアルバムでもあるし、ここから始まっていくような作品でもあるのかなと感じました。
みさと:本当ですね。まさに聴き手に委ねるヴァースと、ストレートに明確な意志で伝えている日本語と英語の半々のバランスが今紹介していただいたセルフライナーノーツに込められていると思うし、一聴してそれが伝わってくる作品だったかと思います。どちらの言語でも本当に素晴らしいですが、言語の選び方でこんなに受け取る側も表現する側も変わってくるんだなと新しい面白さも感じられる1曲だと思います。続いて、Mama Ragもアルバムです。
金子:ファーストアルバムですが、Mama Ragはいつも曲がいいですよね。ルーツにしっかり根ざしていることも感じさせつつ、現代的なアウトプットにしているのもいいし、曲がよくて、ソウルフィーリングがあって、ちょっとKeishi Tanakaさんとも通じるような感覚を個人的には感じています。アルバムが『なんの日』というタイトルで、意味としては"あなたのその日に寄り添う一曲が必ずあるはずで、そんな今日は何の日か日々の答え合わせができるような1枚になればいいなと思います"というコメントがあって。
みさと:いい切り取り〜。
金子:最終的にはポジティブに、アップリフティングさせてくれるような雰囲気があって、今回の曲のタイトルも「万々歳」だったり、最終的には引き上げてくれる感じもKeishiさんと通じるような感じがして、すごく良かったですね。
みさと:コーラスとクラップの多幸感とか、気づいたら2ステップ踏んじゃってる感じとか、日常に置いておきたい一曲一曲が詰め込まれて、アルバムになってるなんて。隣に置いておきたいですね。そんなPart-3からはどうしましょう。
金子:Ålborgの新曲を紹介しようと思います。
みさと:今回も良かったです。
金子:Ålborgは去年出たアルバムがASIAN KUNG-FU GENERATION・後藤正文さん主宰の「APPLE VINEGAR - Music Award」にノミネートされていて。僕、選考会の司会を毎年やってて、accobin(福岡晃子)も毎年選考委員で参加しているので、毎年1回はリモートで顔を合わせる感じなんですけど、選考会でもすごく好評でした。あと今月イギリス・ブライトンの「The Great Escape」に出演していて。
みさと:すごかったらしいですね!
金子:ライブ映像を見たんですけど、会場が教会で。すごくバンドの雰囲気と合っていて、めちゃ良かったですね。
みさと:音と合っていて、いい空間を作り出していたと。Ålborg目当てに来られていたお客さんも多く、ご本人たちも満足したとのことです。
金子:きっとそういったことからのフィードバックも今後出てくるのかなと思うんですけど、今回の曲自体もすごくよくて。良質なインディフォークという基盤がありつつ、ちょっとボサノバっぽいテイストが入っていたり、フィールドレコーディングの要素が入ってたり、録音物としての新しさがすごく出ていて、ファーストアルバムからさらに前進したÅlborgをちゃんと見せてくれて、すごくよかったですね。
みさと:環境音もどこを散歩しているのか想像しやすくて、最初のイントロも足を順番に出しているようなイントロになってるんですけど、ぜひこれはイヤホンで聴いてほしい。ちゃんと(音が)左右行き来する感じ。ちなみに左足からスタートしてました(笑)。この曲と一緒に自分の人生どこに向かおうか、ちょっと立ち止まってもいいし、寄り道してバイクの音を聴いてもいいし。ゆっくりと人生に伴走してくれるような1曲だったかと思います。
番組の後半はTAMTAMがゲストで登場!
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、奥宮みさとと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55 放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
NEW Releases FRIENDSHIP.
FM福岡で毎週水曜日の26:00~26:55まで放送中のラジオプログラム「Curated Hour〜FRIENDSHIP. RADIO」のアフタートーク、番組の中で紹介しきれなかったタイトルを紹介。DJの奥宮みさと、音楽ライターの金子厚武の2人でデジタル音楽ディストリビューション・プロモーション・サービスのFRIENDSHIP.から配信される新譜を中心に紹介するプログラム。
番組MC
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3奥宮みさと
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。 TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。 安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10