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2025.05.29
2025年5月18、19日、The fin. とShe Her Her Hers (以下、シーハーズ)は、ロンドンのOslo Hackneyにてソールドアウト・ショーを敢行した。
今回のライブは、週末に行われた、イギリスの音楽フェスティバル、『The Great Escape』でのデジタル配信サービスFRIENDSHIP.のショーケース「Shibuya Sound Riverse from Tokyo : Curated by FRIENDSHIP.」プロジェクトからの流れを汲む、特別ロンドン公演で、18日はThe fin.が、19日はシーハーズがヘッドライナーを務めるという、ダブルヘッドライナー・ギグ。幸運なことに筆者は2日目の19日、この二組のライブを観ることが出来た。会場となったOslo Hackneyは東ロンドンに位置するキャパ550人のミュージック・ヴェニュー。ビクトリア朝様式の建物を改装し、2フロアにわたる空間にはバーエリアも併設。アートと音楽が自然に溶け合う、ハックニーらしいスタイリッシュな空間だ。早めに到着すると、ドアには既に長蛇の列が出来ており、現地の音楽ファンの間でも、この2つのバンドの評価が着実に広がっていることが伝わってくる。

本日のトップバッター、The fin.。Yuto Uchinoが、左手前に置かれたキーボード/シンセに着席すると、ライブは「Pale Blue」でスタート。淡いシンセの波が、柔らかなトーンを奏でると、オーディエンスはざわめきを飲み込む。続く「Misty Forest」は、軽やかなギターとコーラスが、まるで朝霧の中に足を踏み入れたかのような感覚を与え、「Old Canvas」は、幻想的なイントロが美しい、ノスタルジーと再生が入り混じる楽曲だ。
今回のラインナップは、Yuto、Kaoru Nakazawaの二人に加え、Tomo Carter(Dr)Kazuya Takenouchi(G)、そして、Hinata Ishii(Sax)の5人編成。Yutoが総指揮をとってはいるものの、より"バンド"としてのライブ・プロダクションが強く、各メンバーの演奏が有機的に絡み合いながら、音のダイナミズムと一体感を生み出している。


Yutoが「ロンドン!久しぶりのライブだよ。4~5年ぶりかな?戻ってこれて嬉しいよ」と伝えると、オーディエンスからは、ウェルカムバックのどよめきが起こる。「Sapphire」、「Without Excuse」、「Swans」へと展開されるセットは、シンセとギター、ドラムの音が交差しながら、そこにサックスが時折入るという、よりライブ感の強い印象で、オーディエンスのレスポンスも、よりダイレクトかつ熱を帯びたものになっていく。バンドメンバー個々の技術が際立つ場面もありつつ、それぞれが曲の世界観に寄り添い、全体として一つの大きなストーリーを描き出すような構成が印象的だ。

そんな中、チェット・ベイカーの「Time After Time」のカバーは、セットの中でもひときわ異彩を放っていた。The fin.ならではの解釈で再構築されたこの名曲は、原曲の儚さと甘美なメロディを丁寧に受け継ぎながらも、より広がりのある空間的なアレンジとドリーミーなサウンドスケープで観客を包み込んだ。
Yuto が「先日リリースされたばかりなんだ」と紹介し、新曲「Nebula」が始まる。都会の夜を思わせるアーバンな雰囲気が漂うこの曲のデビューを飾るのに、ロンドンはこれ以上にない舞台だ。Yuto の軽やかなボーカルに、シンセのしっとりとしたサウンドが重なり、深夜のドライブに出ているかのような感覚に包まれる。オーディエンスはこの瞬間を共有できたことに喜びを感じているようだ。



The fin. の音楽は、どのジャンルにもカテゴライズしきれない"感触"のようなものがある。シンセポップのチル・ウェイヴにとどまらず、そこにはフリート・フォクシーズのようなスピリチュアル感、サンダーキャットのようなフュージョン・スタイル、カマシ・ワシントンのような即興的ビートサイエンスなどが、ところどころに散りばめられている。このように書くと、さぞかし複雑な音のように聴こえるが、実際に耳にすると、そのサウンドは驚くほどスムーズで、感覚の方から自然と包み込んでくるような柔らかさがある。音のレイヤーは幾重にもあるものの、それぞれが無理なく溶け合い、聴くたびに新しいディテールが浮かび上がるのだ。そして、その唯一無二の質感は、ロンドンのオーディエンスにも確実に届いていた。「Night Time」、「Deepest Ocean」から「Days With Uncertainty」。夜と海と日々というイメージが連続する流れは、The fin. というバンドの根底にある"境界の曖昧さ"を象徴しているかのよう。しかしラストを飾る「Alone in the Sky」は、ライブだと、はるかにエモーショナルかつスケールの大きな一曲で、その名の通り、孤独の中に光を見出すような、美しくも力強いエンディングだった。オーディエンスからの拍手と喝采を浴びてThe fin.はステージを後にした。

「彼らを観るのは5年ぶり」と隣に立つ二人組の女性は言った。2020年、大学の交換留学で、東京に滞在していた彼女たちは、Spotifyでシーハーズを見つけ、ライブに足を運んだそうだ。「だから彼らがロンドンでライブをやると聞いて、これは行かなきゃ!と思ったの」と続けた。
ブライトンの『The Great Escape』から、ソールドアウトのマンチェスター公演を経て、ロンドンの2ナイト。今夜、シーハーズは最終日の大トリを飾る。
「Diagram X」で、ライブはスタート。Taiki Matsuuraの安定したビートにTomasongのシンセサイザーが滑らかに重なり合うと、たちまち会場全体がシーハーズの世界観に染まっていく。続く「Bloody Mary Girl」はオーディエンスのフェイヴァリットだけあって、イントロが鳴った瞬間、大きな歓声が上がる。この瞬間を逃すまいと、カメラを向けながら身体を揺らすオーディエンス。その一体感は、この曲が単なる"人気曲"を超え、バンドとオーディエンスとの絆を象徴する存在になっていることを証明していた。セットの中盤、「SPIRAL」、「s」では、始終落ち着いた雰囲気の中、サウンドの投影を映し出すオーロラのようなエレクトロニクス、行き交うシンセサイザー、そこに重なるHiroyasu Takahashiのギターの旋律が印象的だ。しかし「Day Tripper」では、Taikiの力強いドラミングが、曲全体をぐっと前に押し出す推進力となり、オーディエンスは固唾をのんで、そのドラムさばきを見守る。会場の空気が瞬く間に熱気へと変わる。


だが、今回のライブのハイライトの一つは、TomasongのMCだろう。英語はあまり得意ではないと前置きしながらも、「今夜はUKツアーの最終日です。素晴らしい旅が出来ました。本当にありがとう」と、はにかみながら告げるその真摯なコメントは、スウィートかつチャーミング。観客は彼の発する一言一言に耳を傾け、歓喜の声を上げて、ロンドン公演を実現してくれたバンドに対する感謝の気持ちを表した。
「Episode 33」で、会場は再び熱気に包まれる。グリーンのライトを浴びて、囁くように歌うHiroyasuの声は、静寂の中に溶け込むように観客の耳へと届いてくる。その声に寄り添うように、シンセが淡く揺れ、ドラムが心拍のようにリズムを刻む。


Taikiが今回のバンドメンバーを紹介し、Hiroyasuが「5日間のUKツアーはとても充実したものでした。ルーツがイギリスの音楽が多いのでいろいろな場所をめぐったりして、新しい作品に繋げていきたいし、またここに戻ってきたいと思います」と日本語でコメント。この言葉は、在英ファンにとって、何よりも嬉しい約束であり、観客からは大きな拍手と歓声が送られた。シーハーズの音楽が、ここロンドンに根を下ろしつつあることを実感できた瞬間だった。

「CHELSEA」のなめらかなビートとエレクトロニックなテクスチャーが会場を包み込み、観客は心地よく身体を揺らす。続く幽玄的な「Thirsty」では、繊細な音のレイヤーが空間を漂い、Hiroyasuの透明感のあるボーカルが深く染み込み、穏やかな陶酔へと変わっていった。そして、ラストの「Bystanders」では、澄んだシンセのイントロが静かに鳴り響き、そこから徐々に高揚感を帯びていく展開があまりにも壮大で、息をのんだ。Tomasongが両腕を挙げて、「本当にありがとう!」と叫ぶと、オーディエンスからが喝采があがり、皆が一斉に両手を掲げ、リズムに身を任せて揺れた。ステージとフロアの境界が溶けるような感覚----それはただのライブではなく、共鳴し合う者たちの祝祭だった。エンディングは美しく透き通るシンセの音色が会場を包み込み、まるで夜の余韻を残すように、ショーは幕を閉じた。

幻想的なサウンドとドラマティックなパフォーマンスの融合。活発な曲と静謐な曲をバランス良く配置しながら、徐々に昂揚感をもたらしていくというライブを実現したシーハーズ。魅惑的なショーに没入する時間は、あっという間に過ぎるも、贅沢なひとときだった。
The fin. 、そしてShe Her Her Hers。ロンドンという、多様な文化が交差する都市で、この二つのバンドが響かせた音、そしてライブパフォーマンスは、まさに今この時代に求められる"対話"そのものであり、ジャンルや言語を超えて音楽が繋ぐ力を、改めて実感させられる夜となった。
文:近藤麻美
撮影:Mayumi Hirata
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今回のライブは、週末に行われた、イギリスの音楽フェスティバル、『The Great Escape』でのデジタル配信サービスFRIENDSHIP.のショーケース「Shibuya Sound Riverse from Tokyo : Curated by FRIENDSHIP.」プロジェクトからの流れを汲む、特別ロンドン公演で、18日はThe fin.が、19日はシーハーズがヘッドライナーを務めるという、ダブルヘッドライナー・ギグ。幸運なことに筆者は2日目の19日、この二組のライブを観ることが出来た。会場となったOslo Hackneyは東ロンドンに位置するキャパ550人のミュージック・ヴェニュー。ビクトリア朝様式の建物を改装し、2フロアにわたる空間にはバーエリアも併設。アートと音楽が自然に溶け合う、ハックニーらしいスタイリッシュな空間だ。早めに到着すると、ドアには既に長蛇の列が出来ており、現地の音楽ファンの間でも、この2つのバンドの評価が着実に広がっていることが伝わってくる。

本日のトップバッター、The fin.。Yuto Uchinoが、左手前に置かれたキーボード/シンセに着席すると、ライブは「Pale Blue」でスタート。淡いシンセの波が、柔らかなトーンを奏でると、オーディエンスはざわめきを飲み込む。続く「Misty Forest」は、軽やかなギターとコーラスが、まるで朝霧の中に足を踏み入れたかのような感覚を与え、「Old Canvas」は、幻想的なイントロが美しい、ノスタルジーと再生が入り混じる楽曲だ。
今回のラインナップは、Yuto、Kaoru Nakazawaの二人に加え、Tomo Carter(Dr)Kazuya Takenouchi(G)、そして、Hinata Ishii(Sax)の5人編成。Yutoが総指揮をとってはいるものの、より"バンド"としてのライブ・プロダクションが強く、各メンバーの演奏が有機的に絡み合いながら、音のダイナミズムと一体感を生み出している。


Yutoが「ロンドン!久しぶりのライブだよ。4~5年ぶりかな?戻ってこれて嬉しいよ」と伝えると、オーディエンスからは、ウェルカムバックのどよめきが起こる。「Sapphire」、「Without Excuse」、「Swans」へと展開されるセットは、シンセとギター、ドラムの音が交差しながら、そこにサックスが時折入るという、よりライブ感の強い印象で、オーディエンスのレスポンスも、よりダイレクトかつ熱を帯びたものになっていく。バンドメンバー個々の技術が際立つ場面もありつつ、それぞれが曲の世界観に寄り添い、全体として一つの大きなストーリーを描き出すような構成が印象的だ。

そんな中、チェット・ベイカーの「Time After Time」のカバーは、セットの中でもひときわ異彩を放っていた。The fin.ならではの解釈で再構築されたこの名曲は、原曲の儚さと甘美なメロディを丁寧に受け継ぎながらも、より広がりのある空間的なアレンジとドリーミーなサウンドスケープで観客を包み込んだ。
Yuto が「先日リリースされたばかりなんだ」と紹介し、新曲「Nebula」が始まる。都会の夜を思わせるアーバンな雰囲気が漂うこの曲のデビューを飾るのに、ロンドンはこれ以上にない舞台だ。Yuto の軽やかなボーカルに、シンセのしっとりとしたサウンドが重なり、深夜のドライブに出ているかのような感覚に包まれる。オーディエンスはこの瞬間を共有できたことに喜びを感じているようだ。



The fin. の音楽は、どのジャンルにもカテゴライズしきれない"感触"のようなものがある。シンセポップのチル・ウェイヴにとどまらず、そこにはフリート・フォクシーズのようなスピリチュアル感、サンダーキャットのようなフュージョン・スタイル、カマシ・ワシントンのような即興的ビートサイエンスなどが、ところどころに散りばめられている。このように書くと、さぞかし複雑な音のように聴こえるが、実際に耳にすると、そのサウンドは驚くほどスムーズで、感覚の方から自然と包み込んでくるような柔らかさがある。音のレイヤーは幾重にもあるものの、それぞれが無理なく溶け合い、聴くたびに新しいディテールが浮かび上がるのだ。そして、その唯一無二の質感は、ロンドンのオーディエンスにも確実に届いていた。「Night Time」、「Deepest Ocean」から「Days With Uncertainty」。夜と海と日々というイメージが連続する流れは、The fin. というバンドの根底にある"境界の曖昧さ"を象徴しているかのよう。しかしラストを飾る「Alone in the Sky」は、ライブだと、はるかにエモーショナルかつスケールの大きな一曲で、その名の通り、孤独の中に光を見出すような、美しくも力強いエンディングだった。オーディエンスからの拍手と喝采を浴びてThe fin.はステージを後にした。

「彼らを観るのは5年ぶり」と隣に立つ二人組の女性は言った。2020年、大学の交換留学で、東京に滞在していた彼女たちは、Spotifyでシーハーズを見つけ、ライブに足を運んだそうだ。「だから彼らがロンドンでライブをやると聞いて、これは行かなきゃ!と思ったの」と続けた。
ブライトンの『The Great Escape』から、ソールドアウトのマンチェスター公演を経て、ロンドンの2ナイト。今夜、シーハーズは最終日の大トリを飾る。
「Diagram X」で、ライブはスタート。Taiki Matsuuraの安定したビートにTomasongのシンセサイザーが滑らかに重なり合うと、たちまち会場全体がシーハーズの世界観に染まっていく。続く「Bloody Mary Girl」はオーディエンスのフェイヴァリットだけあって、イントロが鳴った瞬間、大きな歓声が上がる。この瞬間を逃すまいと、カメラを向けながら身体を揺らすオーディエンス。その一体感は、この曲が単なる"人気曲"を超え、バンドとオーディエンスとの絆を象徴する存在になっていることを証明していた。セットの中盤、「SPIRAL」、「s」では、始終落ち着いた雰囲気の中、サウンドの投影を映し出すオーロラのようなエレクトロニクス、行き交うシンセサイザー、そこに重なるHiroyasu Takahashiのギターの旋律が印象的だ。しかし「Day Tripper」では、Taikiの力強いドラミングが、曲全体をぐっと前に押し出す推進力となり、オーディエンスは固唾をのんで、そのドラムさばきを見守る。会場の空気が瞬く間に熱気へと変わる。


だが、今回のライブのハイライトの一つは、TomasongのMCだろう。英語はあまり得意ではないと前置きしながらも、「今夜はUKツアーの最終日です。素晴らしい旅が出来ました。本当にありがとう」と、はにかみながら告げるその真摯なコメントは、スウィートかつチャーミング。観客は彼の発する一言一言に耳を傾け、歓喜の声を上げて、ロンドン公演を実現してくれたバンドに対する感謝の気持ちを表した。
「Episode 33」で、会場は再び熱気に包まれる。グリーンのライトを浴びて、囁くように歌うHiroyasuの声は、静寂の中に溶け込むように観客の耳へと届いてくる。その声に寄り添うように、シンセが淡く揺れ、ドラムが心拍のようにリズムを刻む。


Taikiが今回のバンドメンバーを紹介し、Hiroyasuが「5日間のUKツアーはとても充実したものでした。ルーツがイギリスの音楽が多いのでいろいろな場所をめぐったりして、新しい作品に繋げていきたいし、またここに戻ってきたいと思います」と日本語でコメント。この言葉は、在英ファンにとって、何よりも嬉しい約束であり、観客からは大きな拍手と歓声が送られた。シーハーズの音楽が、ここロンドンに根を下ろしつつあることを実感できた瞬間だった。

「CHELSEA」のなめらかなビートとエレクトロニックなテクスチャーが会場を包み込み、観客は心地よく身体を揺らす。続く幽玄的な「Thirsty」では、繊細な音のレイヤーが空間を漂い、Hiroyasuの透明感のあるボーカルが深く染み込み、穏やかな陶酔へと変わっていった。そして、ラストの「Bystanders」では、澄んだシンセのイントロが静かに鳴り響き、そこから徐々に高揚感を帯びていく展開があまりにも壮大で、息をのんだ。Tomasongが両腕を挙げて、「本当にありがとう!」と叫ぶと、オーディエンスからが喝采があがり、皆が一斉に両手を掲げ、リズムに身を任せて揺れた。ステージとフロアの境界が溶けるような感覚----それはただのライブではなく、共鳴し合う者たちの祝祭だった。エンディングは美しく透き通るシンセの音色が会場を包み込み、まるで夜の余韻を残すように、ショーは幕を閉じた。

幻想的なサウンドとドラマティックなパフォーマンスの融合。活発な曲と静謐な曲をバランス良く配置しながら、徐々に昂揚感をもたらしていくというライブを実現したシーハーズ。魅惑的なショーに没入する時間は、あっという間に過ぎるも、贅沢なひとときだった。
The fin. 、そしてShe Her Her Hers。ロンドンという、多様な文化が交差する都市で、この二つのバンドが響かせた音、そしてライブパフォーマンスは、まさに今この時代に求められる"対話"そのものであり、ジャンルや言語を超えて音楽が繋ぐ力を、改めて実感させられる夜となった。
文:近藤麻美
撮影:Mayumi Hirata
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