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2025.04.06

FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!Blume popo・Texas 3000・N.S. DANCEMBLEほか全26作品 -2025.4.5-
New Release Digest Part 1
みさと:3月31日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜、全26作品の中からPart-1をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます。1曲目と9曲目を比べていただくと、なんとも振り幅の広い楽曲が今週もリリースされております。初登場、長谷川海音さん!
金子:この方は1996年生まれ、神奈川県出身のシンガーソングライター。もともと2019年からロックバンド「のの」で活動をしてたんですけど、2024年末をもって活動を休止して、今年から本名の長谷川海音名義での活動を開始したと。今回のEPはayU tokiOの猪爪東風さんがレコーディング及びミックスを担当。資料によると、「ノートに書き留めた曲は500曲以上」という多作家でもあるらしく、普遍的なシンガーソングライター作品であり、東風さんがレコーディング・ミックスで関わっているから、アレンジなども意見交換しながら作ったのかなという印象も与えるような、上質なポップスでとても良かったですね。
みさと:サウンドがいい意味で余白があるので、しっかり言葉が立ってる印象があって。声も言葉の選択もオリジナリティ溢れるアーティストだなということを感じました。本名自体がオリジナルですよね。
金子:海の音と書いて、長谷川海音(かいと)。
みさと:本名での活動によって、もともと持っていた言葉の個性であったりとか、ご自身のニュートラルな部分がすごく出ている歌詞、世界観だったと思います。
金子:志摩陽立さんと一緒にやっても合いそう。
みさと:合いそう、合いそう。続いても、はじめましてです。SPARK!!SOUND!!SHOW!!。
金子:スサシことSPARK!!SOUND!!SHOW!!。彼らは2010年に大阪で結成されているバンドなので、バンド好きの中では結構有名かなと思います。個人的にはこれまでそんなに接点はなかったんですけど、2023年にKEYTALKの小野武正くんがプロデュースした曲を出してたり、バンドシーンの中でも"アガるバンド"という印象はすごくあって。今回に関しては同郷でもあるヤバイTシャツ屋さんのありぼぼさんがフィーチャリングで参加していると。
みさと:出てくる名前が納得、なるほどと言っちゃうような面々ですね。
金子:曲には一気コールが出てくるから、アルハラが問題視されている時代に大丈夫なのかな?と心配しつつ、でも飲んでいるのはミルク、牛乳なので、健康的という(笑)。
みさと:安心してください。
金子:こういうユーモアも楽しいですよね。
みさと:本当ですね。ありぼぼちゃんが歌うとこういうテイストになるのかと思うようなフィット感もあるんですけど、それを作っているスサシのサウンド感はやっぱりスペシャルですよね。最高にアガる、フロアパーティーチューンかと思います。そんなPart-1からどうしましょう?
金子:Blume popoの新曲を紹介しようと思います。彼らは1月に『Test for Texture of Text』という、曲ごとにア段、イ段、ウ段、エ段、オ段と、それぞれ単一の母音のみで作詞された5曲作品を出していて、それもすごく面白かったんですけど、今回も独自のポップスを作っていて。印象的なのはやっぱり声の音像・音質で、ちょっとボカロっぽかったりして。ボカロが流行って、それを歌い手さんが生の声で歌うことによって、これまでとは違うメロディーライン、歌唱法の人が増えた一方、逆に生の歌なんだけど、音像をボカロに寄せる方法論もある。今作はどちらかというと後者のアプローチかなという印象がありつつ、曲調としてはフォーキーだったりするので、ボーカルエフェクトの使い方も含めてボン・イヴェールとかとも通じる部分があって。なので、日本のボカロカルチャーと、グローバルなボーカルエフェクトの流れと、その中間みたいな印象がしてすごく面白かったです。曲の後半になると、もはやボカロというよりもほぼほぼ電子音になっていくような展開になっていて。<いつまでも いつまでも>というリフレインの中で声がどんどん電子音になっていって、消えていくようなあの感じはすごくエモーショナルで、こういう表現は現代的だなと感じました。
みさと:最後のリフレインはすごく印象的でしたよね。エフェクトのざらつきで声が揺れて、消えていくので"いつまでも"が永遠ではないんだと捉えられました。声とか気持ちすらも揺らいで、変化の兆しがあるようにも受け取れる演出も素晴らしかったです。セルフライナーで"時間が解決するよなんて言われても、私の場合だけはそんなことはないと思っていた。でも、結局時間が解決してしまった。大概のことは時間が解決するというのは悲しくも真実のようです"というのは大共感で。時間が解決してくれるって本当は嬉しいことのはずなんだけど、"時間なんかで解決されないくらい私は傷ついている"と思いたい瞬間ってあると思うんですよ。あれだけ苦しかった私の気持ちも結局は時間が解決してしまった。本当は嬉しいはずなのに悲しく喪失感がある感じが言葉からも音からも伝わってくる一曲でした。
New Release Digest Part 2
みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-2でした。リリースおめでとうございます!こちらにもはじめましてです。LOLOET。
金子:LOLOETはアンジュルムとしても活動していた和田彩花さんがパリの留学中に、より自由な音楽表現を求めて東京のミュージシャンたちと結成したバンド。ベースが劔樹人さん、元"あらかじめ決められた恋人たち"の方で、劔さんはハロプロ好きで知られていたりもしますよね。音楽的にはアンビエント、ドローン、ダブ、環境音楽とか、割と前衛的なサウンド感の曲になっていて、"あらかじめ決められた恋人たち"もダブなバンドだったりするから、そこは通じる感じもありつつ、でも和田彩花さんのボーカルがあることでよりポップス的にもなっていて。さらに言うと、パリ留学中に結成されているだけあって、フランス語で歌われたりしているところがまた独自の質感を生んでいて、非常に面白い楽曲でしたね。
みさと:作品に関しては姉妹の歌がテーマになっているわけなんですけど、(姉妹って)限定的な関係じゃないですか。フランス語とアンビエントや前衛的なモヤがかかった質感と相まって、小説や空想の世界観のような広がりを見せていると思います。続いて、D.W.ニコルズ。アルバムリリースおめでとうございます。
金子:おめでとうございます。ついにアルバムですね。今年結成20周年で、7年ぶり通算5作目。
みさと:うわ〜、おめでとうございます。
金子:『泡 DAYS』というタイトルがついていて、自由に漂い、時に儚く弾ける「泡」と、僕らの「Our」がかけられて、"泡のような僕らの日々"というコンセプト。「夢だったとしても」はアルバムの1曲目なんですけど、10年後について歌われていて。日々は続いていって、泡のように過ぎていってしまう。それが夢だったとしても、それでも残るものがあるという、その感覚は彼らがずっと曲にしてきたエバーグリーンな感覚とまさにリンクするもので。とてもいい曲であり、いいアルバムだなと思います。
みさと:"だったとしても"の一言でこんなに肯定できるのかという。言葉のチョイスもD.W.ニコルズ節だなという感じもしますし、20年やってきて、いい時も悪い時もあったし、それでもずっと一緒に並走してくれたファンの人たちをどういう視点で見てきたかということも感じられる。プラスその後の10年も一緒に想像できるような。前には向かっている、けれどもダッシュしているわけではなくて、泡がちょっと消えていくような、ゆっくりとした歩みの中で泡のきらめきとか質感、やわらかさみたいなもの全てが込められている作品だったかと思います。そんなPart-2からどうしましょう?
金子:Texas 3000の新曲を紹介しようと思います。
みさと:今週、悪魔なの(笑)?今週、悪魔とか悪夢とかすごく多くないですか(笑)?
金子:より悪魔っぽいのがPart-3に控えてたりしますけど、Texas 3000はね、僕はもう大好きなんですよね。
みさと:好きですよね(笑)。
金子:フェチ的な、この音一発でやられてしまうバンドで。
みさと:『Weird Dreams』、奇妙な夢。タイトルです。
金子:僕はやっぱり奇妙なのが好きなんですよねぇ。
みさと:そういうことなのね(笑)。
金子:今年に入って新曲をリリースしてて、それが別のディストリビューターから出てたみたいで、ちょっと寂しい思いをしてたんですけど、EPはちゃんとFRIENDSHIP.からのリリースで、とりあえず嬉しいなと思っていて。
みさと:ただのファンじゃないですか(笑)。
金子:FRIENDSHIP.から出ているデビューアルバム『tx3k』については"バンドのポートレート"と言ってたんですけど、今回の作品に関しては"僕たちの夢の中に流れるミックステープ"というコメントがあって。
みさと:怖い夢見てるんだな。
金子:5曲なんだけど、まさにミックステープ的にいろんな曲が入っていて。Dos Monosの没 aka NGSが参加している、ラップをフィーチャーした曲があったり、ベースのkirinさんのアコギ弾き語りの曲があったり、いろんなタイプの曲が収録されてます。この「Strange Cherry Red」は1曲目で、比較的"らしい"バンドサウンド。スティーヴ・アルビニとか、そういう名前を連想するような生々しいサウンド感がまず素晴らしい。でも途中でちょっとだけホーンが出てくるパートがあったり、展開の面白さもある。僕はやっぱり好きですね。
みさと:その奇妙感というのが本当に構築美として美しさも感じられる。ゴシックなものって怖いけど、美しいじゃないですか。そういった美意識がすごく感じられるバンドだなと改めて感じました。でも、やっぱりちょっと怖いです(笑)。
New Release Digest Part 3
みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-3でした。リリースおめでとうございます。さあ、来ました!悪魔でございます!"サザエでございます!"みたいなテンションで言っちゃったけれども(笑)。Violent Magic Orchestra。略してVMO!
金子:これは確かに怖いですね(笑)。
みさと:怖かったわぁ〜。
金子:悪魔を召喚してますからね。
みさと:召喚してましたね(笑)。低音シャウトが多すぎて怖かった。
金子:Violent Magic Orchestraは結構キャリア長くて、去年の3月に8年ぶりのアルバムをリリースしてるんですけど、そのタイトルが『DEATH RAVE』。コロナ禍以降、世界的にレイヴの復権があって、そういう流れともリンクするようなこのハイパーなサウンド。音だけでもすごいんですけど、彼らはライブもすごくて。プロフィールにメンバーとして"3台のストロボライト(現在は5台)とスモークマシーンで結成"と。
みさと:ちょっと待って(笑)。メンバーとしてカウントされてる???
金子:メンバーらしいです。
みさと:面白いな(笑)。
金子:まさに光も煙も渾然一体となった、すごいライブが繰り広げられるバンドで。そこで悪魔を召喚してると。
みさと:そうか。アートミュージックプロジェクトですもんね。コンセプト的に VJ(ビデオジョッキー)さんもチームと言っているのと一緒ですね。ストロボライトがメンバーなのも面白すぎる〜(笑)。聖飢魔IIと対バンしてほしいですね(笑)。
金子:アリですね(笑)。
みさと:真の悪魔はどちらか。続いては打って変わって、岩田 栄秀さん。
金子:ちょっとテンションを戻しますと。
みさと:落ち着かせてください。
金子:岩田さんはThe Songbardsというバンドでドラムを叩いている方で、The Songbardsもバンドが好きな人の中では結構有名なバンドかと思います。2023年に独立していて、The Songbardsは別のディストリビューターからリリースしてるんですけど、岩田さんのソロがFRIENDSHIP.からリリースになるというのはディストリビューションを自由に選べる時代ならではで面白いなと思います。ドラマーなので普段はメインでは歌ってないんですけど、ソロではシンガーソングライターとして歌っていて、EPの中には弾き語りの曲もあるんですけど、タイトル曲の「ノーリプライ」はベッドルームポップ的な打ち込み感の曲。古くはBECKだったり、最近だとスーパーオーガニズムとかにもちょっと通じるような、まさにベッドルームポップという感じで、曲調は軽やかなんだけど、でも言葉はちょっと内省的という、そのバランスもいいなと思いました。
みさと:ギターの弾き語りだけでも成立するようなメロと歌詞。声もすごくいいし。
金子:いいですよね。
みさと:そこにアクセントになるデジタルのアレンジがいいフックになって、どこまでもやれちゃう人なんだろうけど、引き算の美学も感じられて。まさにベッドルームポップ的な良さが詰まっているなと感じてます。さあ、Part-3からどうしましょう?
金子:N.S. DANCEMBLEの新曲を紹介しようと思います。N.S. DANCEMBLEはNAGAN SERVERを中心としたバンド。ダンスミュージックをテーマにあらゆるジャンルをクロスオーバーするアンサンブルを聴かせると。1月に「pave my path」という曲が出てるんですけど、1年以上前に録音されていた音源で、今の体制になってからは今回が初めての楽曲と。「WE ARE」というタイトルがついてるから、まさに俺たちのテーマソング的な一曲と言ってもいいのかなと。
みさと:スリリングでセクシー、かつ洗練されていて、もともとジャズが持つ品性がありつつも、歌って踊れるアフロビートのバランス感は今までにないバンドだなと感じました。エレクトリックピアノの音色とかリリックに心酔しつつも、アウトロは合唱が起きそうな、フロアを巻き込む様子が容易に想像できる。これはライブ、生で観てほしい。4月12日にイベントが(代々木上原OPRCTにて)ありますので、よかったらチェックしてみてください。
金子:SuchmosのTAIHEIくんとかD.A.N.のJinyaくんとかが参加しているわけですけど、Suchmosは去年再始動が発表されて、3月にはD.A.N.の再始動も発表されて。今ってSuchmosとかD.A.N.を10代のときに聴いていた人たちが成長して、シーンにバンドとして出てきているみたいな状況ですけど、こうして上の世代の人たちもまた戻ってきて、下の世代と繋がることによってより面白くなっていきそうなので、N.S. DANCEMBLEの活躍も楽しみだなと思います。
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、奥宮みさとと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55 放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
NEW Releases FRIENDSHIP.
FM福岡で毎週水曜日の26:00~26:55まで放送中のラジオプログラム「Curated Hour〜FRIENDSHIP. RADIO」のアフタートーク、番組の中で紹介しきれなかったタイトルを紹介。DJの奥宮みさと、音楽ライターの金子厚武の2人でデジタル音楽ディストリビューション・プロモーション・サービスのFRIENDSHIP.から配信される新譜を中心に紹介するプログラム。
番組MC
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3奥宮みさと
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。 TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。 安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10