SENSA

2025.03.09

FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!downy・Jumpei Kamiya・ayutthayaほか全23作品 -2025.3.8-

FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!downy・Jumpei Kamiya・ayutthayaほか全23作品 -2025.3.8-

カルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信するサービス FRIENDSHIP.の新譜を紹介。 キュレーターの金子厚武とナビゲーターの奥宮みさとによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!

New Release Digest Part 1


みさと:3月3日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜、全23作品の中からPart-1をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます。はじめましてさんから行きましょう。blankshore

金子:このバンドは2024年秋より本格的に活動開始ということなので、まだ1年満たない、半年ぐらいという若いバンド。デモテープ審査会議で通ったバンドで、プロフィールを読むと影響を受けた音楽が「Radiohead、THE 1975、Enfantsodol、羊文学、Homecomings、ゲーム音楽からボーカロイドまで、多種多様なジャンル」ということで、ここに「Enfants、odol」って入っている時点でFRIENDSHIP.から出すしかない!みたいな(笑)、文章的に引きがありつつ、曲を聴いたらめちゃ良くて。
ずっと言ってるように、女性ボーカルのオルタナティブなバンドがたくさん出てきている中で、頭一つ抜けて曲がいいなと思いました。今回3曲入りで、その中の「胡蝶の夢」という曲はすでに去年1曲だけリリースしてるんですけど、まずその曲がめちゃめちゃいい曲で、"もうこれ、メジャーデビューシングルでいいじゃん"みたいな感じ。今回の「東雲」は非常にアグレッシブで、「胡蝶の夢」ともタイプが違うかっこいい曲だったし、ボーカルのクサナギ朱夏さんが詞曲も書いて、アートワークも自分でやってるっていうことで、クリエイティブな人なんだろうな、というのもいろんなところから伝わってきて、すごく楽しみなバンドです。



みさと:私は今回初めて聴かせてもらったんですけど、「東雲」に関しては、未練という一言では言い表せない複雑な気持ちがすごくストレートに伝わってくる楽曲だなと感じました。まっすぐ、ストレートな歌唱であったり、声が震えるほどの心の機微までしっかり表現できるボーカリストだなと。表現力があるなと感じたので、他の楽曲を聴くとさらにサウンド感であったりとか、良さが伝わってくるんでしょうね。続いてもはじめましてさんです。WATER KIN



金子:こちらは武藤弘樹さんによるソロプロジェクト。もともとFEEDWITというバンドをやっていたりもして、現在はソロで活動、プロデューサーであり、シンガーソングライターであり、ギタリストであり、自分でレコーディング、ミックスからマスタリングまでやっていると。

みさと:わぁ。なんでも屋さんだ。

金子:作家としてはSixTONESやINIにも関わっているということで、すでにキャリアがある方ですけど、そのキャリア通り、楽曲は非常にかっこよくて。ビートのアプローチもかっこいいし、ジャズやソウルのフィーリングを感じさせるコードワークも良かったし、ボーカルもソウルフルな色合いがあって、パートによってKeishi Tanakaさんを想起させるような部分もあったりして、すごくいい声だし、どこを切り取っても美味しい楽曲でした。

みさと:ドラムのビートがめちゃくちゃ気持ちいいですよね。ブレイクの入り方とかエレピの入り方、総じてサウンド的には気持ちがいい、という一言に尽きる。サウンドはグローバル感もあるんだけど、声を張って歌いたくなるメロは日本人のDNAであるカラオケ文化にもフィットするなと思うと、先ほど名前が挙がった方々に楽曲提供しているのも納得のクリエイティブな方だなという印象でした。そんなPart-1からどうしましょう?

金子downyの新曲を紹介しようと思います。



みさと:いやー、アルバムでございます!

金子:アルバムがリリースされました。なんといっても、今年で結成25周年。

みさと:おめでとうございます!

金子:そして、5年ぶりのアルバムと。 今回、ミックスエンジニアにはtoeの美濃隆章さんが参加していて、toeも25周年なんですよね。

みさと:そうか、同期だ。

金子:さらには青木ロビンさんとずっと関わりのあるeksperimentojとかzezecoのメンバーも参加していたり、downyにこれまで関わってきた人たちが集結して作品を作ったような感じ。"これを生演奏してるの?"という、人力ビートミュージック感がさらに更新されて、エレクトロニックな要素もあって、これは本当にdownyでしかない。他の誰かと比べるのは非常に難しい、独自のオリジナリティを獲得しつつ、さらに更新し続けているバンドの凄みがすごく感じられました。
あと印象的だったのが、アートワークが女性の横顔のイラストで、『攻殻機動隊 SAC_2045』とかのキャラクターデザインにも関わっているロシア出身のイラストレーター、イリヤ・クブシノブさんが担当しているそうです。一見これまでのdownyっぽくないアートワークだなと思ったんですけど、でもファーストアルバムが顔のアートワークで、それぶりの顔ジャケだったりするから、一周したような感じを受ける。これまでに活動休止やメンバーの変化といったいろんなことがありつつ、前作で新体制が作れて、今回でより本格的に"これが新しいdowny"というのを打ち出す、そんなニュアンスがジャケットからも感じられて、聴きどころ・見どころの多い作品だなと思いました。

みさと:アルバムタイトル、『無題』って見ると反射的にSIGUR RÓSが浮かんでしまうんですけど、『無題』というと聴き手に委ねてるとも捉えられるし、何にもカテゴライズできないdownyらしさも詰まってる気もするし、ポストロックとかポストハードコアで使われる"ポスト"って実験的で、まだ踏み入れたことがないところへの期待が込められているというところに立ち戻ると、音楽界がどんどん成長していく過程で、フィットするタイトルがそのうち自然とつけられるんじゃないかなって。聴き手に委ねた、聴き手と一緒に成長していくような、The Beatlesの『ホワイト・アルバム』のような、ああいったフィットするタイトルが自然発生するような作品という気もしていて。これから長く愛されるべき作品が生まれた感じがします。



New Release Digest Part 2


みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-2でした。リリースおめでとうございます。今週ははじめましてさんが多いんですよね。エダワカレ



金子:このバンドは奈良発、大阪を拠点として活動中の4 ピースで、ハー"ト"コアバンド。

みさと:ハー"ド"コアバンドじゃないんですね?

金子:僕も間違いかなと思って、SNSを見たらちゃんと"ハートコア"って書いてあって。"愛と憂鬱を歌っています"とも書いてあって、ハートに響く音楽を歌っているということですね。でも、ハードコア的な激しさもちゃんとあって、今回の曲はPixiesとかを連想させる 90年代のオルタナティブ的な良さがありつつ、ボーカルが非常に印象的で、強い歌声が武器のバンドだなと感じました。

みさと:ロックディーヴァ然としたというか、どこにも誰にも迎合してない意志の強さが歌唱方法も相まって、しっかり伝わってくるバンドでした。続いてもはじめましてさんです。Split end



金子:こちらも奈良出身ということで、奈良続きだったりもするんですけど、こちらは女性の3ピースバンド。今回の曲が「深海に住む」というタイトルなんですけど、ご本人のコメントで、この言葉の意味として、仏教用語の諦観を意味しているということで、"どうせ逃げ出すことができないなら、諦め受け入れてこの環境で見つけられる美しいものを探しながら生きていきたい。そういう気持ちをこのシューゲイズサウンドの深く沈み込むようなサウンドに乗せて歌い上げている"というのは非常に現代的な表現だなと思いました。

みさと:深海の静寂さをサウンドに落とし込んでいて、そこに一筋の光が降りてくるような声の対比がより明度を濃くしている楽曲だなと、まさにその空気感・世界観というのが可視化されるような音作りをされているなという感じでした。

金子:ちなみにこのSplit endというバンド名、すごく女性らしい意味だったりするんですけど。

みさと:え?何?

金子:エンドがスプリットしてるんですよ。

みさと:終わりが分かれてる...?

金子:終わりが分かれてると気になっちゃいますよね。

みさと:終わりが分かれてると...?枝毛...?

金子:正解。

みさと:えぇー!?枝毛のことスプリットエンドって言うの?

金子:そういう意味らしい。

みさと:可愛い!そうなんだ!

金子:一つ前(に紹介したバンド)はエダワカレ。

みさと:怖い!同じバンドじゃないよね!?

金子:エダワカレをどういう意味で付けてるかはわからないけど、でもどっちも奈良発ですよね。

みさと:プロデューサーいるんじゃないの?影のフィクサーみたいな。すごい!アハ体験してしまった。面白い。仲良くなってほしい。

金子:すでに仲いいのかもしれないけど(笑)。

みさと:「枝毛だよね〜」みたいな話をしてるかもしれないね(笑)。びっくりしたー!ではそんなPart2から何を紹介しましょう?

金子Jumpei Kamiyaさんの新曲を紹介しようと思います。

みさと:アルバム!ひさしぶりですね。



金子:ひさびさのアルバムです。前作はコロナ禍だったこともあって、リモートで制作したアルバムを『Jumpei Kamiya with...』というタイトルで出していて。そのときはたくさんゲストが参加してたんですけど、今回に関してはシンガーに昔からの付き合いのDaniel Kwonを迎えつつも、それ以外の録音・ミックスから全ての楽器演奏をKamiyaさん自身が担当していると。ドラマーの作品ということもあるっちゃあるけど、ソングライティングもDaniel Kwonさんの歌も素晴らしいし、あとやっぱり音像がとても良いです。
Kamiyaさんが前からずっと好きだと言ってるジョン・ブライオンとかジム・オルーク、よりKamiyaさんと同じ世代で言うと、ショーン・エヴェレットとかブレイク・ミルズとか、アメリカの名プロデューサーと言われる人たちの流れを日本で受け継いでるのはやっぱりKamiyaさんだなという感じがして。ルーツミュージック的な側面もあるんだけど、そこに現代的な音響感覚、立体的な音響感覚が付与されていて、このバランスで作れる人はそんなにいないと思うので、アルバム全編素晴らしかったです。

みさと:そうか、そういうことなのか。弦の擦れる音とかDaniel Kwonさんのリップノイズとか、無声音すら聴こえる、この距離感というのが素人でも一番耳に残ったんですけど、聴き手と音の距離感というのがまさに2025年に鳴らせる音像だったということなんですね。そういったこともちょっと意識しながら、もう一度聴き直してみたいと思います。

New Release Digest Part 3


みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-3でした。リリースおめでとうございます。今週は6組のはじめましてさんがいまして、5組目になります。my ex



金子:彼らは2009年結成の3ピースバンド。メンバーそれぞれ奈良、大阪、滋賀に住んでいるそうで、なんだか奈良づいてますよね。

みさと:奈良づいてる。今週、奈良多いですね。

金子:でも練習を京都で行っているため、京都を中心に活動していると主張しているという(笑)。

みさと:正しい、嘘ついてない(笑)。

金子:my exはプロフィールからすごく人柄が伝わってきて、今回過去作を一気にサブスクで配信するということらしいんですけど、そうしようと思ったのは、とにかく知らない誰かに聴いてほしいという一心だと。"レコーディングした音源は自分にとって一生の宝物で、それはCDやレコードにパッケージされて叶うものだと考えていた。その気持ちに変わりはありませんが、1曲でも30秒でも誰かの耳に触れる機会があれば、その可能性があれば、これから先の10年後もバンド活動を楽しめるかもしれない。エモーショナルじゃなくてセンチメンタルな、感傷的なだけのギターロックがあります"ということで。すごく人柄・気持ちが伝わるし、それがそのまま音楽になっている感じもして、この文章が非常にmy exを表してるんじゃないかと思います。

みさと:そうですね。ギターロックで表現してほしい青さみたいなところが真ん中にありつつ、そこから透けて見えてくる人柄もファンになる要素の一つだなと感じました。続いて、最後のはじめましてさんご紹介です。凌子璿。



金子:彼は台湾出身のシンガーソングライターで、EASY SHENという台湾のいろんなミュージシャンを手掛けているプロデューサーを迎えて、現在準備中のデビューEPの中からの1曲と。歌声も素晴らしいし、ドラマチックな展開が印象的な曲ですね。5分45秒ぐらいあるんですけど、途中で1回終わったかな?みたいな、静かになるところがあって、そこからリフレインで歌詞を繰り返すパートに移っていく流れになっていて。そこで歌われているのが"私を抱きしめてくれませんか?"という意味で、自分の気持ちを表現するのは難しいけど、ありのままの自分を受け入れてほしい、という気持ちが楽曲に表れています。こういう内省的な気持ちは国を越えてどんな人でも感じる気持ちだと思うから、言語は違っても、我々日本人にも響くものが確実にあるんじゃないかなと思います。

みさと:言語がわからずとも伝わってきますよね。パーソナルスペースに入り込むような1曲だなとか、この内省的なところから愛情に対して歩み寄っていく様子であったりとか、"抱きしめてくれませんか?"のワンワードを知っているだけでも、歌詞を想像する上でキーになってくると思いますので、また聴き込んでみてほしいです。そんなPart-3からどうしましょう?

金子ayutthayaの新曲を紹介しようと思います。今週も女性ボーカルのオルタナティブなサウンドのバンドが多くて、blankshoreがいて、Split endがいて、エダワカレがいてという中で、FRIENDSHIP.的にそういうバンドの代表格の一つがayutthaya。今回も素晴らしい楽曲を届けてくれて、オルタナティブなバンドが徐々にJ-POPとして、しっかり一ジャンルを確立していく流れを改めて感じました。
振り返ると、MASS OF THE FERMENTING DREGS、現在はULTRAもやっている宮本さんのバンドがいて、ちょっと前だときのこ帝国、今だと羊文学がいて、月9の主題歌をやってる。オルタナティブと言われていたものがどんどんJ-POPの一ジャンルになっていて、さらにその先にblankshoreがいる、みたいな感じですけど、ayutthayaはきのこ帝国とか、そのあたりの世代と近しいバンドで、そういう流れを作ってきたバンドの一つ。だから今回の曲も、もちろんサウンドはオルタナティブではあるんだけど、J-POPと言ってもいい、映画のエンディングとかで流れてもすごくピッタリくるような、ポップスとして非常に素晴らしい、ドラマチックな楽曲だなと思いました。

みさと:本当に要所要所ドラマチックで、壮大なイントロからギターソロもすごくかっこよかったし、サウンドだけでも楽しめるドラマチックさというところは、ayutthayaの武器だなと感じさせつつも、やっぱり太田美音さんの声もスペシャルだし、言葉、単語が頭に残りながらも、サウンドとともに駆け抜けていける、一緒に並走していけるような楽曲という感覚で聴かせてもらいました。




番組の後半はPablo Haikuがゲストで登場!



RADIO INFORMATION

FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」

fmgfukuoka_curatedhour_logo_ok_2204.jpg FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、奥宮みさとと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55 放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)



NEW Releases FRIENDSHIP.
FM福岡で毎週水曜日の26:00~26:55まで放送中のラジオプログラム「Curated Hour〜FRIENDSHIP. RADIO」のアフタートーク、番組の中で紹介しきれなかったタイトルを紹介。

DJの奥宮みさと、音楽ライターの金子厚武の2人でデジタル音楽ディストリビューション・プロモーション・サービスのFRIENDSHIP.から配信される新譜を中心に紹介するプログラム。



番組MC

kanekoatsutake_20210528.jpg金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
1697255226457.jpg奥宮みさと
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。 TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。 安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10

LINK
FM福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」 FRIENDSHIP.

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