SENSA

2024.08.18

FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!miida・Pablo Haiku・Tomato Ketchup Boysほか全18作品 -2024.8.17-

FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!miida・Pablo Haiku・Tomato Ketchup Boysほか全18作品 -2024.8.17-

カルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信するサービス FRIENDSHIP.の新譜を紹介。 キュレーターの金子厚武とナビゲーターの奥宮みさとによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!

New Release Digest Part 1


みさと:8月12日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜、全18作品の中からPart-1をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます。六原心房さん、EPリリースです。

金子:5曲入りのEPですね。この方は全部一人で作詞・作曲・アレンジ・歌唱・演奏・レコーディング・MV制作まで行うということですけど、曲を聴くと結構バンドっぽいアレンジが特徴だなという感じがして。出身は静岡ですけど、現在は関西、京都を拠点に活動しているということなので、くるりみたいなバンドも連想したり。ソロで、宅録でスタートして、それをライブで演奏するにあたってメンバーを集めて、ソロからバンドになっていくみたいなことも結構あったりするので、そういう未来も感じさせるような作品でした。



みさと:シンガーソングライターとしての音数の少なさというよりは、厚みもあるし、全部できる方だからこそ見えていることが音にしっかり形になっている作品だなという印象はありました。セルフライナーで「辛いときにも、辛くないときにもそばにある1枚になってくれたら嬉しいです」という一言をいただいているんですが、その平熱感が作品を通して感じるところで。どんな時にも隣にいてほしい作品に仕上がっていたし、穏やかさとか日常において心の置き方ってこういうことだよなという。すごく奇を衒っているわけでもないし、派手なことをしているわけでもないんだけど、今この瞬間にいてほしい、そんな作品作りがお上手だなという印象でした。
続いて、Geloomy。最近インスタをフォローしたんですけど、すごくかっこいいなと思っていて。1.7万人もフォロワーがいるんですね。でも作品は2作目じゃないですか? あ、ちがう?

金子:FRIENDSHIP.からは今回が2作目、トータルだと3作目。

みさと:3作目、そうか。そのキャリアにしてはすごいですよね。SNSの動き方がだいぶ注目されているなと思うんですけど。

金子:まだ正体が不明でありつつ、某新進気鋭のバンドのボーカルに声が似ているんじゃないかという噂もちらほら聞こえてきたりしつつ......。

みさと:早耳リスナーさんたち1.7万人はもう気づいちゃっている感じですよね。

金子:どうでしょう?わからないですけど。

みさと:厚武さん、もう気づき始めてるんじゃないですか?

金子:いや......ちょっとわかんないですねえ。

みさと:あれ?目合わせないですね(笑)。

金子:いやいやいや、小腸さん、肝臓さん、肺さん、腎臓さんですから。ちょっと誰かはわからないですけど、でもね、曲は本当にかっこいいですよね。「ネオディスコ」って掲げてますけど、今回の曲は少しメロウなファンクチューンになっていて、映画が題材になっているだけに一曲の中でも映画っぽい作りになっていて。最後の方はエンドロールからの予告編みたいな感じになっていたりもして、一曲丸々聴いてほしい曲ですね。



みさと:始まりも映写機が回り始めた、海外のミニシアター感のある距離感と音質になっている、あのザラついたアナログっぽい質感も、ネオディスコならではの演出の仕方だなと思いながら聴かせてもらいました。注目ですね。そんなPart-1からお送りするのはどうしましょう?

金子miidaの新曲を紹介しようと思います。

みさと:miidaの新曲、とてもよかった。

金子:我らがFRIENDSHIP.のキュレーターでもある、マスダミズキさんのmiidaですけど、去年はお子さんが産まれたりということもありまして、コラボレーションやフィーチャリングの作品は出ていたんですけど、miida単体の名義としては2年ぶりですかね、ひさしぶりの楽曲ですけど、かっこよかったです。こちらもディスコ・ファンクを感じさせつつ、クールな雰囲気があり、でもベースが生だったりするので、すごくグルーヴ感があって、非常に洗練されたトラックになっていたなと。
でもメロディーの感じからは少しねごと時代を思い出したりもして、個人的には新鮮さと懐かしさを両方感じるような、すごく好きな一曲でした。

みさと:一聴して最初の感想はギタリストだなという感覚にもなったし、ただ今は圧倒的な武器も持っているシンガーソングライターなんだなと思わせるくらいの歌唱と歌詞の世界観というのが出来上がっていて。才能を持った人が努力をするって、ここまでのアウトプットができるようになっちゃうんだっていう、そういう感動もありました。
あと、「楽園」というタイトルにしてはカッティングのギターの雰囲気とかリズムも速い感じで、その速さが心を惑わしてくるものから、すごく次から次へと目の前に飛び込んでくるような、焦りみたいなものの演出にも少し感じたというか。

金子:後半に後ろで鳴っているギターの感じとかは、そういう少しの焦り、焦燥感みたいなものも感じさせますよね。

みさと:そうですね。"今していることは意味のないことかもしれないと感じたり、誰かを羨ましく思ったり""突然足を取られる感覚に陥ることがある"ということをコメントでいただいてるんですけど、それでも「楽園」を探していく、その過程を一曲にされたということで、音だけでもここまで伝わってくるのは素晴らしいアーティストですね。



New Release Digest Part 2


みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-2でした。リリースおめでとうございます。厚武さん、Shimon Hoshinoさんがinvisible designhario island、その他の名義でたくさん毎週のように新曲をリリースしてくださっているんですけど、今回invisible designにおいて、私、すごくイメージがしづらかったというか、毎作何となくこういう感じの香りかなというのを想像できていたんですけど、今回全く見えてこないくらい、すごく難しい調香をされているなという一曲ができました。タイトル「asia」です。

金子:アジアがテーマということですね。僕は毎作のように「このテーマをよく音と香りに落とし込んでいるな」と思ってますけど、今回もアジアの香りと音って、テーマがデカいだけに難しいですよね。今回の調香はガーデニア、コリアンダー、シダーということらしいですけど。

みさと:紐解けるポイントはあるかなと思っていて。"日本人も含めアジア人が持つと言われる独特の香りを表現した"ということなんですけど、やっぱりシダー、これ何度か紹介してると思うんですけど、日本で言うとビャクダンになるので、お香の香り、畳が似合うとか、神社とかお寺とかそういったものを想起させる香りで。

金子:スギとかですよね。

みさと:そうです、そうです。ヒノキとかそういった森林浴にも近いような香りなので、ここは確かにアジア感が出ると思うんですよ。で、コリアンダーがスパイスのイメージじゃないですか。これはもっと東洋系なイメージなのかなって。なので、広い意味でアジアっていう感じなのかなと思うんですけど、ただそれを合わせるとどんな香り?というところに、さらにガーデニア。ガーデニアはあれです、名曲があるんです。"くちなしの香りの"なので、ここで松任谷由実入れてきた、みたいな。これでわからなくなりました。ここ日本かな?という感じ。

金子:実際に調香を試しながら聴いてもらうのが一番いいですね。



みさと:やっぱりプロの調香師さんが作る曲、そして香りは奥深いなというところで素晴らしいです。続いて初登場になります、quad.



金子:4人組のインストバンドで、初めてのリリースなんですけど、彼らはwooderd chiarieという 2000年代に活躍したバンドの元メンバーが新しく始めたバンドで、LITEとかと同世代のバンドです。音を聴いてもtoe直系のインストロックという感じで、非常にかっこよくて、エンジニアをLITEのギターの構造さんがやっているという。あの頃のシーンの看板バンドの一つが新しく動き始めたというバンドなので、クオリティは保証済みかなという感じでしたね。

みさと:そういうことなんですね。インストでありながら景色が見えるドラマチックさ、滑らかさと激しさの強弱がたまらないなと思って聴かせてもらった理由が今、厚武さんの言葉で納得、紐解けた感じがします。一つ一つの楽器が奏でる個性とアウトプットというのができているのも、経験値ゆえということなんですね。そんなPart-2からどうしましょう?

金子Pablo Haikuの新曲を紹介しようと思います。

みさと:すごく良かったですね。

金子:この前、6 mabが福岡から東京にライブで来たときの対バンがPablo Haikuで。

みさと:そうか、ご覧になったっておっしゃっていましたよね。

金子:初めてライブを観て。ただ最近はサポートメンバーを入れてライブをよくやっているらしいんですけど。

みさと:3人組なんですよね。

金子:そう、僕が観た日はひさしぶりに3人だけのセットだったらしく、トラックを流しながら演奏していて。だから今のPablo Haikuのフルの形を観たわけじゃないんですけど、それでも曲の良さ、歌の良さというのはしっかり伝わってくるライブでした。で、Pablo Haikuは少し前からエンジニアの中村公輔さんと一緒にやっているわけですけど、どういう経緯で一緒にやり始めたのかを聞いたら、もともと接点はなかったけど、中村公輔さんの、特に折坂悠太くんの作品がすごく好きで、直談判で「やってくれませんか?」って連絡をしたらしくて。それでおそらく中村さんも気に入ってくれて、一緒にやるようになったそうです。

みさと:自分で道を切り拓いている感じがこの曲にもすごく出ているというか、旅の始まりに聴きたくなるような曲だなと思って聴かせてもらったんですけど。きっと、そうやって今自分たちでここからスタートなんだ、この旅にはこの人が必要で、このステージが必要でって自分で手を伸ばして、アウトプットして、その場を掴み取っている姿がすごく見えてくる瞬間なんだな、と改めて思いました。TOKYO CALLINGの「INSPIRED BY TOKYO」とのコラボステージにも出演が決まったということで、ここからのっていくバンドですね。

金子:音楽的には「Dominic Fike、Hard Life、BROCK HAMPTONのようなヒップホップとロックを繋ぐアーティストを参照した」とあって。個人的にはPablo HaikuってUSというよりもUKの匂いがするなと思っていて、さっき挙げた3つの中だとHard LifeがUKのアーティストで、少し前までEasy Lifeという名前だったんですけど、権利関係で引っかかったらしく、最近Easy LifeからHard Lifeに改名して。

みさと:全然違うじゃん!真逆じゃん。

金子:そうなんです(笑)。で、彼らのルーツにThe Streetsというラッパーがいて、僕は今回の曲を聴いてThe Streetsを連想して。個人的にThe Streets大好きなので、Pablo Haikuの今回の曲もめっちゃいいなと思いました。

みさと:音楽玄人がアンテナをビンビン立たせてしまうような、そんなエッセンスがたくさん入っているバンドであり、曲でもありますね。



New Release Digest Part 3


みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-3でした。リリースおめでとうございます。さあさあ、しゅばるがリリースです。「山登り」。

金子:しゅばるはシンガーソングライターなんですけど、Pablo Haikuと同じ中村公輔さんがエンジニアでミックスを担当していて。

みさと:あらあら。

金子:音楽性も全然違うんだけど。

みさと:全く違いますね。中村公輔さんが気になってしょうがない。すごいですね。



金子:作品解説にもあるように、「山登り」は60'sのソウルミュージックと日本の演歌を掛け合わせたミディアムテンポのポップソングで、シタールが印象的に使われていたりして。どっちかというと、しゅばるの方が折坂悠太くん的なニュアンスを感じますよね。

みさと:楽器的にもね。

金子:なので、よりわかりやすく相性の良さが感じられて、すごく良かったです。

みさと:日本昔話タッチなジャケット、あれもすごく良かった。でもシタールは日本の楽器ってイメージじゃないので、広い意味でのアジア感というか、そういった一曲になっているなという。少し中国的なニュアンスとか、日本に限定した感じではなく聴こえるというのも、新しい音楽性を作るという意味では新しい試みなんだなという、すごく引っかかる、フックのある一曲だったと思います。続いて、エルスウェア紀行

金子:少し前にライブを観てきて、SENSAでライブレポートも書かせてもらったんですけど。

みさと:ぜひお読みください。



金子:相変わらず曲がいいですね、エルスウェア紀行はね。一回聴いただけですぐに歌えるようなメロディーのキャッチーさは流石です。でもそれだけではなくて、今回サウンド的にはもともと得意とする80'sのシティーポップと個人的にルーツになっているというゴスペルが組み合わさっていたりという、音楽的なチャレンジもあるし、「ロマンチックサーモス」というタイトルで、歌詞的には温度感みたいなことがテーマになっていて。解説には"グレーな事柄を悪とするムードが強い世の中で、相手への感情を明確な言葉にできるかどうかということよりも、その瞬間ここにある温度だけが本当のことだと信じる瞬間があってもいいのではないか"ということが書いてあって、いやもうわかるなって、めっちゃ思うんですよね。なので、今回の曲も好きですね。



みさと:"体温や鼓動の速さは、考えることや言葉よりもっと瞬間的な真実なんじゃないか"ともいただいていて。まさに感覚的にこの曲を聴くと体が揺れたり口ずさめるっていう、自分自身の意識とは裏腹に勝手に動いている体の熱とかが、この曲を通して自分で実体験できちゃっているということが、彼女たち彼らたちが作りたいことの真実であるなという素晴らしい曲でした。そんなPart-3からお送りするのはどうしましょう?

金子Tomato Ketchup Boysの新曲を紹介しようと思います。

みさと:「いつまでも大人になれない3人組」と伺っています。

金子:でもね、ちょっと大人になってきたんですよ。

みさと:なってきたね(笑)。

金子:Tomato Ketchup Boysはひさびさの新曲で、2022年に前のベースが抜けて活動休止をしていたんですけど、そこから地元の静岡に戻ってメンバーで共同生活を開始し、今年7月に新ベーシストが加わって活動再開、今回のニューシングルが最初の一曲になると。東京に出てきた頃はそれこそまだある意味子供だったのかもしれないけど、色んなことを経験し、地元の静岡に戻り、今は地元のシーンを盛り上げるべく活動をしてきているということで。例えば、NOT WONKがずっと北海道で活動していたり、ローカルのシーンを盛り上げようという動きが改めて色々起きてきている印象もあって、そういう意味でも頼もしいなと思うし、音楽的にも進化をしていて、彼らのもともと持っていたパンク・ガレージロック的なところがありつつも、ソウルやジャズのニュアンスが入ってきていたり、あと90年代のRadiohead感がめちゃめちゃ出ていて。オルタナが戻ってきたという中で、90年代のRadioheadって完全に一つの定番に、今の若い子たちにとってもなっているんだなと感じることが最近は多々あって、今回の曲もそれをすごく感じました。



みさと:具体的にアタックの強さと発音の強さを重ねたパートの前半の耳心地の良さから、リバーブがかかって歪んで世界が広がっていく、奥行き膨張パートの後半の神々しさからシャウトに繋がるまで、あの美しさというのはやっぱりこの爆発力がないとできないし、きっと背景として一度挫折をして、それでもやっぱり音楽に対して光を求めていたり、今の三人のこの活動を経て光を見つけ出したという彼らじゃないと鳴らせない音になっているんじゃないかと思うと、「いつまでも大人になれない3人組」というプロフィールをもう更新された方が良さそうですね。

金子:あ、プロフィールにその一文が書いてあるわけね。

みさと:この一行をカットして、君たちは次のフェーズにいるぞというのを声を大にして伝えたいです。

金子:でも「大人になった」って言っちゃうと寂しいな。

みさと:そうだね、どうする?

金子:「精神的には」でいいんじゃないですか?

みさと:「精神的には、いつまでも大人になれない」。

金子:実際の活動はね、ある意味大人びてきて、地元のシーンを引っ張るような頼もしさを身に着けつつ、でもマインドの部分ではいつまでも少年の心を持っているという。そういうことでどうでしょうか?

みさと:おあとがよろしいようで。

後半はGhost like girlfriendがゲスト出演!



RADIO INFORMATION

FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」

fmgfukuoka_curatedhour_logo_ok_2204.jpg FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、奥宮みさとと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55 放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)



NEW Releases FRIENDSHIP.
FM福岡で毎週水曜日の26:00~26:55まで放送中のラジオプログラム「Curated Hour〜FRIENDSHIP. RADIO」のアフタートーク、番組の中で紹介しきれなかったタイトルを紹介。

DJの奥宮みさと、音楽ライターの金子厚武、そしてFRIENDSHIP.のキュレーターの平大助の3人でデジタル音楽ディストリビューション・プロモーション・サービスのFRIENDSHIP.から配信される新譜を中心に紹介するプログラム。



番組MC

kanekoatsutake_20210528.jpg金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
1697255226457.jpg奥宮みさと
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。 TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。 安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10

LINK
FM福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」 FRIENDSHIP.

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