SENSA

2024.07.28

FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!踊ってばかりの国・Shōtaro Aoyama・Pictured Resortほか全19作品 -2024.7.27-

FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!踊ってばかりの国・Shōtaro Aoyama・Pictured Resortほか全19作品 -2024.7.27-

カルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信するサービス FRIENDSHIP.の新譜を紹介。 キュレーターの金子厚武とナビゲーターの奥宮みさとによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!

New Release Digest Part 1


みさと:7月22日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜、全19作品の中からPart-1をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます。まずはじめましてさんです、yukue

金子:彼らはもともと2014年に結成された3ピースバンドで、活動休止期間を経て、今回6年ぶりとなる音源をリリース。

みさと:おめでとうございます。

金子:ungulatesというレーベルからのリリースなんですけど、もともとくだらない一日のメンバーでもあった中川さんがやっているレーベルで、近年のエモのリバイバルにも関わっているレーベルなので、そこから出すのが納得なこのポストハードコア感。今回紹介している曲は30秒ぐらいで終わるファスト・チューンなんですけど、資料には「the cabsなど の影響」という文言もあって、yukueの前作は当時残響ショップで大きな反響があったそうなんですね。the cabsは残響レコードから出していたバンドの中でも活動期間はそんなに長くはなかったんだけど、後のバンドにかなり影響を与えていて、「ツァラトゥストラはかく語りき」というタイトルにしても、少しthe cabsっぽさを僕は感じたりもして。その流れにあるバンドが今またこうして盛り上がってるのもいいなと思いました。



みさと:今回の楽曲はドイツの哲学者ニーチェの後期思想を代表する著作からインスピレーションを受けていると資料でいただいているんですけど、自分の人生に影響を与えた作品、特に本は何度も戻ってしまうというぐらい大切なものになると思うんですけど、それと同じように何度も戻りたくなる34秒だったなという気がしました。EPですので、ぜひ他の曲も併せて聴いてみてください。続いて、Emeraldがリリースです。

金子:今月前半はFirst Love is Never Returnedがゲストで来てくれて、彼らが東京にライブに来たタイミングで収録をしたんですけど、そのときに対バンをしたのがEmeraldで。とってもいい2マンで、歌うま対決でもあったんですけど、今回のEmeraldの曲も中野くんのボーカルがすごくいいです。ただ今回の楽曲は中野くんの持ち味の一つであるハイトーンをあえて封印して、落ち着いたトーンでほとんど歌い切っているのがEmeraldとしてはすごく新鮮で。曲調自体はEmeraldらしいネオソウル感があるんだけど、でもボーカルの感じでこれまでと違って新鮮に感じるっていうのは、かなり特徴かなと思います。

みさと:今回の曲は、えつこさんがコーラスワークで入っていらっしゃるというところで、すごく良かったですね。華やかで奥行きのある楽曲に変わっていったんじゃないかなと思わせるアレンジで。夜の時間のビルボードライブとかすごく合いそうだなっていう、大人の時間にしっとりと聴かせてくれる曲だったかなと思います。



金子:8月にはアルバムも出るので、楽しみにしたいと思います。

みさと:9月以降ツアーもありますので、どんな場所でやるのかみなさん乞うご期待です。さあ、Part-1からお送りするのはどうしましょう?

金子:踊ってばかりの国の新曲を紹介しようと思います。

みさと:今回アルバムのリリースです。おめでとうございます。



金子:アルバムとしては約3年ぶり。2022年に『Paradise review』というEPは出ているんですけど、それからしても約2年ぶりなので、結構ひさしぶりではあって。すっかり大人になった踊ってばかりの国というか、初期のサイケロックバンド感ももちろんあるんだけど、そこからジャズだったり、ソウルだったり、そういう端正な雰囲気がどんどん増していて。さっきEmeraldで歌うまって言いましたけど、踊ってばかりの国も歌うまバンドでもあるので、その感じは改めてすごく感じられます。タイトルトラックの「On the shore」に関しては四つ打ちのアプローチで、踊ってばかりの国としてはわりと珍しい。なおかつこのコード感、ジャズ由来だとは思うんですけど、かなり不協和音が使われているのに、最終的にはすごくポップに着地させるこのバランス感覚。今の踊ってばかりの国じゃないとできない一曲だなと思いました。

みさと:この曲に関してはバラードというか、踊ってばかりの国流の壮大なラブソングに聴こえてくるほどの、懐の深さみたいなものが感じられて。LRにしっかり振られた狂気というか、サイケという踊ってばかりの国のもともと持っている魅力はそのままにはあるんですけど、すごく"ああ、バラードだ"って感じられる不思議さが、厚武さんがおっしゃるように、端正な大人に向かっていく、今のキャリアじゃないと作れない一曲ということなのかなと感じながら聴いていました。

金子:『On the shore』というタイトルは"渚にて"という意味合いですけど、今回海をモチーフにした曲も多くて。もともと海は踊ってばかりの国の曲の中によく出てくるモチーフではあったんですけど、今回改めてそこがクローズアップされていて、それによってさっきみさとさんが言った懐の広さ、海の広大さみたいなイメージにも繋がってる気がするし、踊ってばかりの国は死生観みたいなものもこれまでずっと描いてきているので、このタイトルには"彼岸"みたいな意味合いもある気がする。いろんな意味での海というモチーフが使われているところもひとつポイントなアルバムかなと思いました。



New Release Digest Part 2


みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-2でした。リリースおめでとうございます!さあ、Ghost like girlfriendがリリースです。

金子:Ghost like girlfriend、岡林くんは7月25日に30歳の誕生日を迎えられたということで。

みさと:おめでとうございます!わー!岡林くん、30代か。勝手に親戚のおばあちゃんみたいな気持ちになっちゃうんですけど(笑)。

金子:今回は20代最後の作品ということで、そんなタイミングでどんな曲を作ったかというと、30代になると長らくお世話になった全能感ともそろそろお別れなのかと思って、さよならという気持ちで書いたと。それによってこのGhost like girlfriendにしては珍しいロックな、まさに全能感を感じさせる曲になっているという、このモチーフの選び方も彼らしいですよね。

みさと:普段そんなに"うわー!"っていうタイプではない方だと思っていたんですけど、20代のその独特のパワーに対しての想いっていうのはこういう風に捉えていたんだなっていう。岡林くんって、楽曲だったりとか、少しノックするともう広大に出てくるタイプの人じゃないですか。だからノックして聴いてみないと彼の頭の中はわからないなと改めて感じた、素晴らしい「全知全能」でした。



金子:根拠のない自信みたいなものは年を重ねるにつれて実際どんどんなくなってはいくけど、でもこの曲を作ったことによって、この曲を歌ったり、ライブでやったりすれば、かつて感じていた全能感がいつでも戻ってくるというか、そんな一曲にもなってるんじゃないかなという気がします。

みさと:彼は素晴らしい武器を手に入れましたよね。続いて、The fin.です。

金子:これはめちゃいいですね。去年の12月に「Swans」という曲を出して、そこから明確に新しいモードに入りましたけど、今回の曲もサックスがひとつの色になっていて、ジャズとかソウルの雰囲気がすごく強まっていて。なんだけど、ミックスはディレイで声を飛ばしたり、かなりサイケデリックなものになっていて、後半になるとモノローグが出てきたり、かなりいろんな要素が一曲の中に詰め込まれていて、めっちゃよかったですね。



みさと:だからこそなのか、よりライブ的な楽曲に聴こえました。声の重ね方、ディレイ、インストパート多め、サックス、ピアノの生音とか。前もお話ししたと思うんですけど、今のThe fin.は深海から浮上したように私は捉えているんですけど。ライブに行くとYutoくんの明るさとか、そういったものにギャップを感じていて、それが魅力の一つでもあったんですけど、「Swans」以降、Yutoくんのもともとの明るさとか温かさとか、そういったものが楽曲にどんどん表れてきたなという感じがあって 今回もすごく温かさいうか明るさというか、色とりどりな景色が見えるいい曲になっていました。では、そんなPart-2からどうしましょう?

金子Shōtaro Aoyamaの新曲を紹介しようと思います。

みさと:今回EPのリリースということで、おめでとうございます!

金子:これまでもどんぐりずとのコラボだったり、元yonawoの荒谷くんとのコラボだったりをご紹介してきましたけど、それらの曲も含めたEPになっていて。

みさと:めちゃめちゃかっこいい。

金子:よかったですね。そういうコラボがたくさん入っているのはこの『SOCIAL CLUB』というタイトルにも表れていて。もともとShōtaro Aoyamaさんがパリに住んでいた頃によく遊びに行ってたクラブの名前だと。



みさと:私、このクラブ本当にずっと行きたくて、でももう閉店しちゃってるんですよね。すごくイケてる、カウンターにも美男美女のスタッフさんがいて、みたいな。旅行に行くと若い子たちがみんなそこに遊びに行くみたいな。東京で言うと、渋谷のイケてるクラブみたいな、そういう印象があるところなので、ここが行きつけだったなんて、おしゃれですね。

金子:そこがコミュニティのような感じになっていて、そこにクリエイターたちが集まるその雰囲気を作品として形にしていると。今回紹介する曲に関しては、以前もコラボしたことがあるNAGAN SERVER、さらにはまだ20歳のボーカリストYunoaさんをフィーチャーしていて。

みさと:Yunoaさんすごくいいですね。

金子:さらにはキーボードとベースをSuchmosのメンバーであり、今は賽(SAI)をやっているTAIHEIくんが担当しているということで。このアシットジャズ風味な曲調は、まさにSuchmosとも通じるものがあるし、TAIHEIくんはSuchmosのメンバーの中でも特にテクノとかハウスが好きなメンバーの一人で。それは今やっている賽(SAI)にも表れているから、彼がこういうダンスミュージックに参加しているというのはすごく納得で、めちゃめちゃかっこいい仕上がりでした。

みさと:賽(SAI)でNAGAN SERVERくんと一緒にやったりもしているので、横のつながりがこうやってコミュニティを作るというEPにもぴったりだなっていうところも感じるし、世の中に認知されている方から若手まで起用しているということと、彼ら彼女らの得意技がしっかりアウトプットできる曲であることと、視点を変えればShōtaro Aoyamaさんが作る楽曲に振り落とされないアーティストさんたちであるということも含めて、『SOCIAL CLUB』の凝縮されたこの1枚ができて、この輪はどんどん広がり続けるんだろうなという予感もさせる、とってもワクワクする1枚になっています。

金子:それこそShōtaro さんはNFにも関わっているわけで、人が集まってくるコミュニティ感というのは、音楽のとっても素敵なところの一つですよね。



New Release Digest Part 3


みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-3でした。リリースおめでとうございます。さあ、井上杜和さんアルバムです。

金子:今週FLANKREのリリースもありますけど、このアルバムにはFLANKREこと茅根さんもキーボードで参加していたり、あとゲストにGateballersの濱野夏椰くん、kiss the gamblerのかなふぁんさんとか、わりとFRIENDSHIP.周りの人たちがたくさん参加していて、そういうところも馴染みがあっていいですし、彼の作品には"奇天烈日記ポップス"というキャッチコピーがあって、まさに日記的な、日常的な題材が歌われているのも面白くて。今回の「何が出るかな?」という曲に関しては、トレーディングカードのゲームがモチーフになっていて、"欲張ると手に入らなかったりするけど、何気ないときに大切なものをすでに自分が持っていることに気づいたりする"みたいな、ちょっとした人生訓が各曲に込められている、その感じも面白いなと思います。

みさと:アルバムのタイトルが『冗句冗談』ですけど、冗談の中にこうやって大きな気づきがあることを教えてくれる一枚でしたね。「かににさされた!」とか口に出したくなるようなタイトルの曲も収録されているんですけど、"「冗句冗談」とは人の名前でもある。あとはご想像にお任せします。あなたの内なるジョジョを感じて欲しい"というふざけたライナノーツもあるんですが(笑)、人生の中でふざけられるそのユーモアって大切だよねっていうところと、どんなスタンドが出るのか、ジョジョファンのみさととしては気になるところです。



金子:「ジョーク・ジョーダン」って、ホントにジョジョに出てきそうですよね(笑)。

みさと:出てきそうですね。スタンドを発動させたいところですね。続いてはYAJICO GIRLです。

金子:YAJICO GIRLもコンスタントに新曲を出してますけど、ダンス・ミュージック路線をどんどん突き詰めていて、今回は結構ミニマルな音作りになっていて。ギミック的なものというよりも、音そのもの、ビートそのもので勝負している感じから、四方くんのトラックメイカーとしての技量がどんどん上がっていることが伝わってきます。もともと四方くんは最初YAJICO GIRLがロックバンドとして始まったところから、R&B/ヒップホップな方向に行ったり、ダンス・ミュージックに行ったり、吸収力がすごい人だなという印象があって。ダンス・ミュージック路線に進んでいく中でも、曲を作っていくごとにどんどんその旨みを吸収していって、それが楽曲になってる。しかも最近はバンドというものに対していい意味でこだわらずに、しっかりトラックとしていいものを、曲としていいものを仕上げようという感じになってきている印象もあるので、それが表れているなと思いました。



みさと:音楽の流れ的に、バンドなんだけど今こういう音とかこういうアレンジにするのが流行っているからやってみよう、ではなくって、YAJICO GIRLってこういう変幻自在なバンドなんだよ、という土台ができてきたなと感じますね。それに対して右往左往振り回されているわけじゃなくて、自分たちがやりたいものがこういうことだったんだというアウトプットの説得力みたいな、解像度みたいなところがすごく伝わってくる。特に今回はミニマルにしたことによって、音数少なく削ぎ落としているからこその自信みたいなものがすごく伝わってくる曲だったなと思いました。さあ、そんなPart-3からどうしましょう?

金子Pictured Resortの新曲を紹介しようと思います。

みさと:こちらもアルバムリリースおめでとうございます。やっぱり夏に合わせてくるよね。

金子:FRIENDSHIP.の夏といえばPictured Resortですからね。

みさと:海開きしたわ。よかった、間に合った。今年も夏が来た。

金子:Pictured Resortは初めてこの名義で曲をリリースしたのが2014年のクリスマスということなので、そこから10年。

みさと:10年のときを経て。

金子:4枚目のアルバムになるんですけど、前作でダンサブルな曲調が増えてきた、今回もその延長線上にありつつ、さらにはもっと初期のAORとかドリームポップみたいな雰囲気も戻ってきていて。言ってみれば、この10年やってきたことの総まとめというか、そんな1枚になっている感じがしました。

みさと:まさにそうだと思います。きらめきもグルーヴも、ポップもファンキーも感じさせてくれるのに、作り手がしっかり見える、ブレていない老舗の幕の内弁当アルバム、そんな1枚だったと思います。

金子:もともと2014年のクリスマスに最初の曲をリリースしたというのが、"最初は夏じゃなかったんだ"って感じがしますけど。

みさと:でもやっぱりロマンチックだな、みたいなね。

金子:アルバムタイトルが『Overdreamt』で、"夢"がテーマになっていて。最初クリスマスにリリースしたときっていうのは、それこそ夏に憧れていた、夏を夢見ていたときで、人生に置き換えると、もしかしたらその頃はまだ先が見えなくて、少し寒いような場所にいたのかもしれない。でも10年やってきたことによって、今はすごく温かい場所に来れた。音楽で生きていくという自分の夢を、この10年かけて叶えてきたというか、そんなことも感じさせるようなアルバムだなと思いました。



後半はÅlborgがゲスト出演!


RADIO INFORMATION

FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」

fmgfukuoka_curatedhour_logo_ok_2204.jpg FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、奥宮みさとと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55 放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)



NEW Releases FRIENDSHIP.
FM福岡で毎週水曜日の26:00~26:55まで放送中のラジオプログラム「Curated Hour〜FRIENDSHIP. RADIO」のアフタートーク、番組の中で紹介しきれなかったタイトルを紹介。

DJの奥宮みさと、音楽ライターの金子厚武、そしてFRIENDSHIP.のキュレーターの平大助の3人でデジタル音楽ディストリビューション・プロモーション・サービスのFRIENDSHIP.から配信される新譜を中心に紹介するプログラム。



番組MC

kanekoatsutake_20210528.jpg金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
1697255226457.jpg奥宮みさと
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。 TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。 安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10

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FM福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」 FRIENDSHIP.

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