SENSA

2024.07.25

踊ってばかりの国、故郷の大阪城野音で魅せた真夏の夜の夢『解夏 -GE GE-』「最高の仲間を連れて帰って来れました」

踊ってばかりの国、故郷の大阪城野音で魅せた真夏の夜の夢『解夏 -GE GE-』「最高の仲間を連れて帰って来れました」

踊ってばかりの国が7月20日に大阪・大阪城音楽堂で、ワンマンライブ『解夏 -GE GE-』を開催した。

満員の会場へ開演ジャストに現れたメンバーに、場内はいきなり総立ち。「ようこそ、踊ってばかりの国へ」と下津光史(Vo,Gt)が呼び掛け、ザラついたギターにゆっくりとリズムが合流し、一つの一つの言葉を広大な大空にちぎって投げるかのように、じっくり「ニーチェ」を歌い上げていく。一曲目から気持ち良さそうに音のプールに身を委ね肩を揺らす聴衆を前に、大舞台の重圧などみじんも感じさせず、いつも通り、いや、いつも以上に、踊ってばかりの国は踊ってばかりの国であり続ける。

2I1A0620.jpg
「Yeah~! ハイだぜ」(下津、以下同)と放った「your song」では、緩やかに上り詰めていくグルーヴに昇天させられ、「一曲一曲かみ締めてやっていきます、よろしくお願いします」と告げた後も、ピースフルでサイケな「Hey human」に身も心も溶かされ極楽浄土にトリップ。じりじりと不穏なビートで攻め立てた「Notorious」を経由し、「Lemuria」では文句なしの晴天となった真夏日にそよぐ風とともに、得も言われぬエクスタシーを演出。野外ライブのうま味を全抽出したような心地良さたるや......バンドが完璧に仕上がった状態でここに立っているのは、堂々たるパフォーマンスからも明白だ。

2I1A0729.jpg
「大阪城野音、僕の地元で一番デカい、野外でやれるところです。やっと来れましたここに。しかも最高の仲間を連れて帰って来れました。やっぱ感謝の気持ちを忘れたらあかんなという歌を」

そんなMCを添えて始まったのは、「光の中に」。彼らにとって地元大阪における過去最大のステージであると同時に、過去最大の挑戦でもあったこの日に駆け付けた同志たちを、下津のしなやかな歌声と、それを優しく支える演奏が包み込む。静寂のたびに耳に飛び込むセミの鳴き声をBGMに、「もう会えない人を思い浮かべて聴いてください」と「!!!」を切々と届けた後も、ポエティックでアヴァンギャルドな、踊ってばかりの国ならではの亜流のミクスチャー「Twilight」で圧倒。こんなバンド、やはり他にはいない。

2I1A1502.jpg
後方の芝生スペースで楽しそうに踊るオーディエンス、そこかしこで顔を合わせ再会に盛り上がる人々......笑って泣いて歌って叫んで、ワンマンでありながらフェスティバルのごとく自由な雰囲気には、「知る由もない」~「クロール」というトリッピーな楽曲群がシンデレラフィット。何もかも忘れて没入する夢のひとときを作り上げるのに見事に機能していた。

2I1A1270.jpg
したたる汗をぬぐいながら足元のエフェクターボードを眺め、「ここ、ちょっとお茶こぼしたぐらいにびちゃびちゃで、音が鳴ってるのが奇跡です(笑)」と笑った下津が、「めっちゃいい空ですね。お天道さんありがとうございます」と空を見上げる。少しずつ日差しが弱まってきた大阪城野音に掲げられた「orion」が、ひときわロマンチックに響き渡る。

「アルバムが出ます。それに伴い全国ツアーも決まりまして。どんどん転がっていこうかな、ロックンロールバンドやし。大阪は味園ユニバースですね。もうすぐなくなってまう俺の青春の地でもあるんで、もう一ぺんできることをうれしく思ってます。皆さんぜひ来てください」

2I1A3034.jpg
後半戦は、3年ぶりのニューアルバム『On the shore』の収録曲から、ライブでいち早く披露され音源化が熱望されていた「兄弟」や「H2O」、絡みつくギターが導いたタイトル曲にして名曲「On the shore」と、メロウでモダンな新境地を提示。アルバムの全貌に期待が高まる最高のプレリュードとなった。

2I1A3258.jpg2I1A2875.jpg
「まだまだいけまっか。やっと夜が来るぞ~!」と下津が雄たけびを上げると、「Mantra song」では黄金色の照明が頭上を舞う中、あっという間に巨大な祝祭空間を構築。ここで、「東京で出会った最強の友達を連れてきたぜ!」と呼び込まれたのは、昨年、踊ってばかりの国とスプリットEP『no.9』を配信したヒップホップユニット、ゆるふわギャングだ。同作から「wash up brain」「no.9」を立て続けに投下し、狂乱の宴にカオスをぶち込む刺激しかないハイライトに!

2I1A3692.jpg
「あなたが生まれてこの方ずっとすれ違ってきた魂を、僕が生まれてこの方すれ違い続けてきた魂を、今日は共に踊りたいので、全員脱ぎ捨ててください。明日どないなるか分からん世界になってきてるけど、俺たちはこの音の元、また集まりましょうね。約束しようぜマジで!」

2I1A1390.jpg
イントロの時点で歓声が沸いた「ghost」では、見渡す限りの拳が突き上がる熱狂を生み出し、「ラストナンバーです。ありがとう、愛しとるぜ!」と絶叫したトドメの一曲は「それで幸せ」。下津の日々に目を落としたメッセージ、それを歌にするどこまでも美しく神々しいボーカルが、天高く突き抜けていく――!

2I1A2520.jpg
壮絶なフィードバックノイズにまみれたしばしの放心状態から、皆が我を取り戻し巻き起こったアンコールでは、「俺の街にゆるふわギャングが来てくれたんで、アンコールもぜひ一緒にやりたいな」と、再びのコラボ実現で「君の街まで」を。結果的にEPを全曲網羅した豪華客演で、すっかり夜のとばりが降りた野音につかの間のチルタイムをプレゼント。「童心を忘れないカッコいいヤツらです」と2人を送り出した下津だが、その一言をそのまま踊ってばかりの国にも捧げたい。

2I1A2722.jpg
「夏を乗り切れる最強のロックンロールナンバーでお別れしたいと思います。ありがとう!」と、最後に放ったのは「Boy」。音楽がもたらす力と幸福をとことん思い知らされながら、それはまだ感動のピークではなかった......! 曲間で〈たった一かけらの勇気があれば ほんとうのやさしさがあれば あなたを思う本当の心があれば 僕はすべてを失えるんだ〉と、くるりの「ロックンロール」や、〈信じることさ 必ず最後に愛は勝つ〉と、KANの「愛は勝つ」をマッシュアップした奇跡みたいな光景に、生きていて良かったと魂が震える。いつまでも拍手が鳴りやまない、胸いっぱいのエンドロールとなった。

2I1A3819.jpg
なお、今後の踊ってばかりの国は、約3年ぶりとなる9枚目のフルアルバム『On the shore』、昨年12月の東京・日比谷野外大音楽堂公演をフル尺で収めた映像作品『冬の光 2023 at日比谷野外大音楽堂』(Blu-ray +写真集)を7月24日にリリース。また、9月28日(土)神奈川・横浜ベイホールより11月30日(水)東京・恵比寿ザ・ガーデンホールまで、全15公演に及ぶ全国ツアー『On the shore release tour 「渚にて」』を開催。オフィシャルサイトにて、7月28日(日)23:59までチケット先行予約を受付中。

文:奥"ボウイ"昌史
撮影:石毛倫太郎

RELEASE INFORMATION

Ontheshore_踊ってばかりの国_jk_20240610.jpg
踊ってばかりの国「On the shore」
2024年7月24日(水)
Format:CD / Digital
Label:FIVELATER
価格:¥3,300(税抜価格¥3,000)

Track:
1.Universe
2.兄弟
3.H2O
4.Au te amour
5.サテン
6.On the shore
7.ビー玉
8.燈
9.ムカデは死んでも毒を吐く(DADGAD Ver)
10.ZION

踊ってばかりの国「冬の光2023 at 日比谷野外大音楽堂」
2022年7月24日(水)
Format: Blu-ray+写真集
Label:FIVELATER
価格:¥7,480(税抜価格¥6,800)



LIVE INFORMATION

踊ってばかりの国 On the shore release tour「渚にて」
tour_visual_1000.jpg
チケットオフィシャルサイト先行
受付期間:2024年7月12日(金) 21:00〜2024年7月28日(日)23:59
https://eplus.jp/odotte24tour-of/

LINK
オフィシャルサイト
@odotte_official
@odottebakarinokuni_official
Official YouTube Channel

気になるタグをCHECK!