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2024.07.23
今年6月に通算4枚目のアルバム『Hope Hope Hope』をリリースしたpolly。メンバー2名の脱退を経て越雲龍馬(Vo, Gt)、高岩栄紀(Dr)、志水美日(Key, Ch)の3人編成で制作された、本作をひっさげてのアルバムツアー『polly Release Tour「Hope Hope Hope」』が7月16日、東京・新宿Zirco Tokyoからスタートした。
初日は共演にDOGADOGAを迎えての開催。「ドガ」と読むこのバンドは、元plentyの江沼郁弥(Vo, Gt)が昨年結成した新バンドで、メンバーは渡邊恭一(Sax,, Cl, Fl) 、古市健太(Dr) 、元andymoriの藤原寛(Ba)を含む4人組。今年6月に脱退した岡山健二に代わり、この日はDOGADOGAが所属しているレーベルのオーナーでもある庄司信也 (Perc)がサポートメンバーとして参加していた。
ドラムを背に他のメンバーが横一列に並ぶフォーメーションで、卓越したテクニックに裏打ちされた力強いアンサンブルを披露する5人。まずは場末のキャバレーミュージックのような、淫靡なインストナンバーで肩慣らしをした後、〈俺はもう終わりだ 俺はまた始めるさ 俺は太くて繊細なんだ〉と自身の再スタートを高らかに宣言するような江沼の歌詞が印象的な「PYG」へと傾れ込む。その澄んだハイトーンボイスと、スリリングかつ猥雑なバンドサウンドのコントラストが鮮烈だ。
続く「ノー・ヴァージン・スーサイド」は、疾走感あふれるリズムと江沼のポップセンスが炸裂。その後も、宙を切り裂くようなギターのカッティングとラテンビートが混じり合うポストパンクチューン「ドガのテーマ」、スティールパンを彷彿とさせる涼しげな音色と切ないコード進行が夏にぴったりの、その名も「夏の支度」、シャッフルビートに哀愁漂うメロディが絡みつく「酩酊時代」、真っ赤な照明の下で繰り広げられたヘヴィファンク「あゝフラストレーション」など、さまざまな音楽スタイルを貪欲に取り込むカテゴライズ不能なサウンドスケープで観客を魅了した。
さらにミニマルなビートと突き抜けるような江沼のボーカル、それに絡みつく渡邊のサックスが酩酊感を誘う「粋通り」、裏打ちのギターが寂寥感を誘う「日没」と続け、新体制pollyの新しい門出を祝うような演奏で会場を温めた。
オープニングSEが鳴り響き、この日の主役であるpollyのライブがスタート。まずは志水が奏でるきらびやかなシンセと、高岩が踏み鳴らす力強いキックが主軸の「ghost」から。美しく儚げな越雲のファルセットが会場いっぱいに広がり、一瞬にして空気が冬の朝のように澄みわたっていく。
「pollyです、ようこそ!」と越雲が笑顔で挨拶し、多幸感あふれるサウンドの「ghost」から一転、「kodoku gokko」はまるで黄泉の国から響き渡るような漆黒のポストパンクチューン。越雲いわく「polly最短の曲でもあり、ヴォーカルのキーが最も低い曲」で、フロアのボルテージも一気に上昇。越雲がギターを降ろしハンドマイクで歌った「残火」は、2020年にリリースされた2ndアルバム『Four For Fourteen』の収録曲。この曲も、彼が敬愛するTHE NOVEMBERSを彷彿とさせるような、ダークかつ艶やかなファンクナンバーだ。
のっけから漂うヒリヒリとした緊張感を一気に解き放ってくれたのが、pollyのレパートリーの中でも最高級のシューゲイズ曲「Laugher」。当時はまだ正式メンバーではなかった志水美日をゲストに迎え、100トラックを超えるギターを重ねてレコーディングしたこの曲を、ライブ仕様のアレンジで見事に再現。むしろ「静」と「動」を行き来するダイナミックなアンサンブルや、高岩の機関銃のようなドラミングはライブならではの迫力だ。
ミニマルなリズムボックスに導かれ、シンセとギターがアンビエントな響きをたたえながら折り重なる「Starlight Starlight」は、THE NOVEMBERSの小林祐介をプロデューサーに迎えた3rdミニアルバム『FLOWERS』収録曲。越雲のメロディメイカーとしての才能をさらに開花させた楽曲だ。まばゆい光に包まれながら、天上から降り注ぐようなフィードバックノイズと、越雲と志水の美しいハーモニーを浴びていると、ひととき現実から離れて桃源郷を彷徨っているような気持ちになる。
〈何を手に入れたって 埋まることなどなくて また底に潜った〉と、多かれ少なかれ誰しもが抱える喪失感や欠乏感に正面から向き合う美しいミドルバラード「東京」、メランコリックなシンセをバックに〈生きるとは喪失です 果てなき孤独の代償です〉と絶望を甘やかに綴った「生活」と 『Clean Clean Clean』からの楽曲を2曲続け、再び『Hope Hope Hope』より「MORNINGRISE」を披露。越雲がフェイバリットバンドの一つに挙げる、チャプターハウスからの影響をてらいなく反映させたこの曲は、志水のイノセントなコーラスが聴くものの心を浄化する。
ライブ後半は、越雲がバイオリンの弓を使ってギターを弾く「ボウイング奏法」で「See the light」、「Kikoeru」そして「Long Goodbye」と『Hope Hope Hope』の収録曲を畳み掛けるように演奏。「See the light」は大地を揺るがすような高岩の力強いドラミングが、「Kikoeru」は越雲と志水の声が立体的に交差しながら紡ぐメロディラインや、ブレイクと同時に突然転調する楽曲構成が秀逸。そして本編最後は、pollyの中でも一際美しいメロディの「ごめんね」。一瞬の静寂の後、凄まじい轟音が会場を埋め尽くす。鳴り止まぬアンコールに応え、切なくも壮大な楽曲「Mei」を披露しこの日のライブを締め括った。
越雲、高岩、志水の新体制でフルアルバムを制作し、バンドとしての結束力をさらに強めたpolly。ツアーはこのあと大阪、福岡、愛知と周り、9月27日には再び東京に戻ってくる。その時までに『Hope Hope Hope』の楽曲たちがどのような成長を遂げているか、ツアーを経てバンドの絆がどう深まっているか、今から楽しみでならない。
文:黒田隆憲
撮影:稲垣ルリコ
2024年8月6日(火)大阪・SOCORE FACTORY
ゲスト:Enfants / Newsperk
OPEN18:00/START18:30
チケット発売中
ぴあ
ローチケ
e+
2024年8月8日(木)福岡・OP's
ゲスト:Karl! / O.A. isana
OPEN18:00/START18:30
チケット発売中
e+
2024年8月23日(金)愛知・名古屋ell.size
ゲスト:EASTOKLAB / Newsperk
OPEN18:00/START18:30
チケット発売中
ぴあ
ローチケ
e+
OPEN18:30/START19:00
チケット先行受付 7/31(水)23:59まで
一般発売 8/3(土)
e+
チケット料金:前売4,500円/学割2,500円(drink別)
@polly__jp
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初日は共演にDOGADOGAを迎えての開催。「ドガ」と読むこのバンドは、元plentyの江沼郁弥(Vo, Gt)が昨年結成した新バンドで、メンバーは渡邊恭一(Sax,, Cl, Fl) 、古市健太(Dr) 、元andymoriの藤原寛(Ba)を含む4人組。今年6月に脱退した岡山健二に代わり、この日はDOGADOGAが所属しているレーベルのオーナーでもある庄司信也 (Perc)がサポートメンバーとして参加していた。
ドラムを背に他のメンバーが横一列に並ぶフォーメーションで、卓越したテクニックに裏打ちされた力強いアンサンブルを披露する5人。まずは場末のキャバレーミュージックのような、淫靡なインストナンバーで肩慣らしをした後、〈俺はもう終わりだ 俺はまた始めるさ 俺は太くて繊細なんだ〉と自身の再スタートを高らかに宣言するような江沼の歌詞が印象的な「PYG」へと傾れ込む。その澄んだハイトーンボイスと、スリリングかつ猥雑なバンドサウンドのコントラストが鮮烈だ。
続く「ノー・ヴァージン・スーサイド」は、疾走感あふれるリズムと江沼のポップセンスが炸裂。その後も、宙を切り裂くようなギターのカッティングとラテンビートが混じり合うポストパンクチューン「ドガのテーマ」、スティールパンを彷彿とさせる涼しげな音色と切ないコード進行が夏にぴったりの、その名も「夏の支度」、シャッフルビートに哀愁漂うメロディが絡みつく「酩酊時代」、真っ赤な照明の下で繰り広げられたヘヴィファンク「あゝフラストレーション」など、さまざまな音楽スタイルを貪欲に取り込むカテゴライズ不能なサウンドスケープで観客を魅了した。
さらにミニマルなビートと突き抜けるような江沼のボーカル、それに絡みつく渡邊のサックスが酩酊感を誘う「粋通り」、裏打ちのギターが寂寥感を誘う「日没」と続け、新体制pollyの新しい門出を祝うような演奏で会場を温めた。
オープニングSEが鳴り響き、この日の主役であるpollyのライブがスタート。まずは志水が奏でるきらびやかなシンセと、高岩が踏み鳴らす力強いキックが主軸の「ghost」から。美しく儚げな越雲のファルセットが会場いっぱいに広がり、一瞬にして空気が冬の朝のように澄みわたっていく。
「pollyです、ようこそ!」と越雲が笑顔で挨拶し、多幸感あふれるサウンドの「ghost」から一転、「kodoku gokko」はまるで黄泉の国から響き渡るような漆黒のポストパンクチューン。越雲いわく「polly最短の曲でもあり、ヴォーカルのキーが最も低い曲」で、フロアのボルテージも一気に上昇。越雲がギターを降ろしハンドマイクで歌った「残火」は、2020年にリリースされた2ndアルバム『Four For Fourteen』の収録曲。この曲も、彼が敬愛するTHE NOVEMBERSを彷彿とさせるような、ダークかつ艶やかなファンクナンバーだ。
のっけから漂うヒリヒリとした緊張感を一気に解き放ってくれたのが、pollyのレパートリーの中でも最高級のシューゲイズ曲「Laugher」。当時はまだ正式メンバーではなかった志水美日をゲストに迎え、100トラックを超えるギターを重ねてレコーディングしたこの曲を、ライブ仕様のアレンジで見事に再現。むしろ「静」と「動」を行き来するダイナミックなアンサンブルや、高岩の機関銃のようなドラミングはライブならではの迫力だ。
ミニマルなリズムボックスに導かれ、シンセとギターがアンビエントな響きをたたえながら折り重なる「Starlight Starlight」は、THE NOVEMBERSの小林祐介をプロデューサーに迎えた3rdミニアルバム『FLOWERS』収録曲。越雲のメロディメイカーとしての才能をさらに開花させた楽曲だ。まばゆい光に包まれながら、天上から降り注ぐようなフィードバックノイズと、越雲と志水の美しいハーモニーを浴びていると、ひととき現実から離れて桃源郷を彷徨っているような気持ちになる。
〈何を手に入れたって 埋まることなどなくて また底に潜った〉と、多かれ少なかれ誰しもが抱える喪失感や欠乏感に正面から向き合う美しいミドルバラード「東京」、メランコリックなシンセをバックに〈生きるとは喪失です 果てなき孤独の代償です〉と絶望を甘やかに綴った「生活」と 『Clean Clean Clean』からの楽曲を2曲続け、再び『Hope Hope Hope』より「MORNINGRISE」を披露。越雲がフェイバリットバンドの一つに挙げる、チャプターハウスからの影響をてらいなく反映させたこの曲は、志水のイノセントなコーラスが聴くものの心を浄化する。
ライブ後半は、越雲がバイオリンの弓を使ってギターを弾く「ボウイング奏法」で「See the light」、「Kikoeru」そして「Long Goodbye」と『Hope Hope Hope』の収録曲を畳み掛けるように演奏。「See the light」は大地を揺るがすような高岩の力強いドラミングが、「Kikoeru」は越雲と志水の声が立体的に交差しながら紡ぐメロディラインや、ブレイクと同時に突然転調する楽曲構成が秀逸。そして本編最後は、pollyの中でも一際美しいメロディの「ごめんね」。一瞬の静寂の後、凄まじい轟音が会場を埋め尽くす。鳴り止まぬアンコールに応え、切なくも壮大な楽曲「Mei」を披露しこの日のライブを締め括った。
越雲、高岩、志水の新体制でフルアルバムを制作し、バンドとしての結束力をさらに強めたpolly。ツアーはこのあと大阪、福岡、愛知と周り、9月27日には再び東京に戻ってくる。その時までに『Hope Hope Hope』の楽曲たちがどのような成長を遂げているか、ツアーを経てバンドの絆がどう深まっているか、今から楽しみでならない。
文:黒田隆憲
撮影:稲垣ルリコ
LIVE INFORMATION
polly 4th Album Release Tour「Hope Hope Hope」
2024年8月6日(火)大阪・SOCORE FACTORY
ゲスト:Enfants / Newsperk
OPEN18:00/START18:30
チケット発売中
ぴあ
ローチケ
e+
2024年8月8日(木)福岡・OP's
ゲスト:Karl! / O.A. isana
OPEN18:00/START18:30
チケット発売中
e+
2024年8月23日(金)愛知・名古屋ell.size
ゲスト:EASTOKLAB / Newsperk
OPEN18:00/START18:30
チケット発売中
ぴあ
ローチケ
e+
TOUR FINAL ONEMAN
2024年9月27日(金) 東京・大塚Hearts+OPEN18:30/START19:00
チケット先行受付 7/31(水)23:59まで
一般発売 8/3(土)
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チケット料金:前売4,500円/学割2,500円(drink別)
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