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2024.07.22
ベランダ presents "Spirit" Release Tour 夜明け生まれの人たち vol.5が下北沢THREEにて、7月7日に開催された。七夕の夜、ベランダの6年ぶりとなる3rd Album「Spirit」のリリースを共に祝うのは、ベランダとの親交も深いpavilion。両者の音を介したコミュニケーションは、どこか温かく、それでいて熱く、その場所に来たオーディエンスの心に"音楽"の力をまざまざと見せつける多幸感溢れるステージを魅せつけてくれたように思う。本稿ではそのイベントの模様をお届けする。
猛暑日だった7月7日、そんな外の暑さを超越するような熱いパフォーマンスが下北沢THREEでは繰り広げられた。満員の人で埋め尽くされた、会場。オーディエンスは、ライブのスタートを待ち望んでいる。最初に姿を現したのは、pavilionだ。クールにステージに姿を現した彼らは、森夏月の「RACE TO THE HEAVENS」という叫びにも似た号令からライブをスタートさせた。
ライブ冒頭から初期衝動のようにロックサウンドをかき鳴らすpavilionのパフォーマンス。1曲目から彼らはフルスロットル。そんな勢いに振り落とされないようにオーディエンスたちは彼らの奏でるサウンドに呼応する。極上のロックサウンドを鳴り響かせながら、「RACE TO THE HEAVENS」を歌い上げると、森は「ありがとう」とひと言。間髪を入れず、「ダーレンシス」、「渦」と続けざまに投下。激しいロックサウンドながら、時折魅せるセッションにも似た各々スキルフルな演奏に会場では拳を高く突き上げるオーディエンス、首をこれでもかと上下に振り続けるオーディエンスの姿がある。pavilionは冒頭の3曲足らずで会場を自分たちのフィールドに誘う。アグレッシブに続くライブパフォーマンス。森の「新曲をやります」という声に大きな歓声と拍手が沸き起こる。激しくギターを奏でる森と山本、そこに佐藤のベースの低音が乗り、ドラムの的確かつ激しいビートが会場を包み込む。間髪を入れずスタートした「Yumeji Over Drive」では、疾走感溢れるサウンドにオーディエンスは酔いしれ、山本にスキルフルなギターソロに呼応するかのようにオーディエンスは拳を突き上げる。pavilionのロックサウンドが会場を完全に掌握しているのだ。流れるように5曲をやり終えると、MC。
森はベランダのアルバムリリースを祝うとともに、彼らとの関係性を語り始めた。
「ベランダは大好きなバンド。バンドをやり始めて半年くらいの頃、先輩に教えてもらって、CD買って、狂ったように聞いて、僕の青春の一部」だと。
あまり対バンするバンドを崇めるのはと口を止めようとした森だったが、すかさず佐藤が「いいものはしょうがないよ」と追撃のひと言。すると森は「対バンできること、光栄に思います。ベランダは目標に掲げていたバンドの一つです」と愛のこもったMCを締めるとスタートした「エメット」。優しく語りかけるように、それでいて音像は力強く、我々オーディエンスはどこか違う場所へと誘ってくれるかのような心地よさを孕んだ楽曲を歌い終えると、「ここに地終わり」、「Surf and You」とボルテージをさらに上昇させながら、ライブを進行していくpavilion。
途中、ドラムのシンバルが割れてしまうハプニングがあり、森は「いつもは自分が弦を切るのに、なんか気分がいいわ」と悪戯な笑みを浮かべながら言葉を発すると、会場からは笑いが起こった。再び「新曲を」と始まった、pavilionの新たな楽曲。メンバー同士が時折、目配せをしながら演奏する姿を見ていると彼らは信頼し合いながら、音楽が楽しんでいるんだなと思ってしまう。ステージの上で飛び跳ねながら完成度の高い演奏を終えると、森は「緊張した...」とひと言。「あと2曲やって、ベランダに繋ぎます!」と宣言し、「La La La」と「Hit-or-Miss」を間髪を入れず、続けて投下。圧巻のパフォーマンス、彼らは魂を叫ぶように歌い奏で、それに呼応するかのようにオーディエンスは体を揺らす。最後の最後まで彼らの提示するロックサウンドを我々に魅せつけてくれた、極上のライブパフォーマンスでベランダへとバトンを繋いだのだった。
続いて、登場したのは本日の主役・ベランダ。彼らの登場に会場は大きな歓声と拍手で埋め尽くされている。「Tidepool」からスタートした彼らのライブ。〈地下鉄の改札は 正直者しか通さない〉と髙島颯心の歌声が会場を包む。たった一声で会場を掌握するこのスキル、流石である。その声に寄り添いながら心地良さそうに体を揺らしている。儚くも激しいサウンド、冒頭からオーディエンスの熱気は上昇傾向。彼らの演奏に度々大きな歓声が上がる。
続けて「in my blue」、「夏休み」を投下。荒々しくも繊細で、感情に訴えかけるようなベランダのサウンド。そんな彼らの奏でる音の葉にオーディエンスは体を揺らし、拳を突き上げる。洗練されたサウンドに酔いしれていると、「ありがとう、ベランダです、よろしくお願いします」と挨拶をし、「Not Bad」へ。ベースの中野鈴子がステージ上で楽しそうに音を奏でるものだから、なんだかこちらも笑顔になってしまう。ステージにいる全員が音を介したコミュニケーションを楽しんでいるのがヒシヒシと伝わってくる。ライブでより感じる極上のアレンジの妙。オーディエンスはベランダのかき鳴らす音楽の虜だ。
4曲を演奏し終わると、髙島が口を開く。
「お集まりいただきありがとうございます。pavilionの言葉を聞いてマスクの下でニチャ〜としてしまいました」と笑いを誘い、お返しとpavilionについて語り始めた。
「SNSで見つけて聴き始めた。絶対に企画をやるときは呼ぼうと決めていて、今日それが叶って嬉しいです。彼らは世が世なら天下獲ってるバンド。現世でも天下を獲ってくれ!」と最高級のエール、愛を語ると、会場には温かい空気が流れている。互いが互いに信頼をし、音楽というフィールドで切磋琢磨している2バンド。その愛に、そして音楽に触れることができるのはとても幸せなことだろう。
熱いMCの後にスタートした、「早い話」ではイントロが流れるとすぐオーディエンスが歓声をあげた。極上のハーモニーと、田澤守の変態的なギタープレイ、サポートドラムの若松祥太郎(5kai)の的確に刻む心地よいドラムの音色に応えるようにオーディエンスは飛び跳ねる。一緒に声を出して歌うオーディエンスもいる。多幸感で埋め尽くされる会場。オーディエンスの表情は皆、笑顔。その空間を作り出しているのは、紛れもないベランダだ。多幸感はそのままに「エニウェア」、「Funeral」と過去のアルバム収録曲も織り交ぜながら演奏していく。
ライブが展開していくたびに歓声は大きくなり、このライブがいかに幸せなものになっているかを物語っている。ライブは終盤戦、夕日色に照らされたステージの上で「ハッピーホリデイ」、「オーバードライブ」を連続投下。「オーバードライブ」で田澤が奏でた、歪んだギターソロ。圧巻のサウンドにオーディエンスは熱狂する。ベランダを熱くさせるスイッチを持っているのは、田澤だ。彼が自由に奏で始めるとそこに呼応するかのように音がさらに分厚くなる。ライブのエンディングに向けてさらにボルテージを上げていくベランダのパフォーマンス。「Tonight (is the night)」、「スピリット」を彼らが歌う頃には、もう我々は身を委ねるだけ。彼らの奏でる音楽に寄り添うだけで鼓動は高鳴り、その場にいるだけで幸せな気分になってしまう。「スピリット」を丁寧に力強く歌い終えると、本編は幕を閉じる。イヤモニのコードが引っかかり退場に支障をきたすことを悟った髙島が、それならばと機転を効かせて自らアンコールの手拍子を要求すると、オーディエンスは笑みを浮かべながら反応。
再びメンバーがステージに登場すると髙島が「アンコールを強要してるのであればすみませんでした」と遠慮気味に挨拶。会場からは「最高だよ!」と声が上がる。再びpavilionへの感謝とリリースツアーへの思いを語り、アンコール曲「let's summer」がスタート。この時期にぴったりな爽快感のある楽曲にオーディエンスは最後の最後まで酔いしれていた。演奏後、割れんばかりの歓声と大きな拍手が会場を包み込むと鳴り止むことのない拍手。再び、ステージに姿を現したベランダのメンバーたち。髙島は「時間は大丈夫ですか?」と心配そうにスタッフへと問いかけるが、OKサインが。
「最後にもう1曲だけやって帰ります!」とWアンコールに答え、「水辺」を披露。オーディエンスも一緒になって歌う幸せなエンディング、最後の最後までベランダ色に染め上げた極上のライブはこれにて幕を閉じたのだった。
文:笹谷 淳介
撮影:岩本実里
ベランダ「Spirit」
2024年4月17日(水)
Format:Digital / CD
Label:ゆんべレコード
Track:
1.スピリット
2.オーバードライブ
3.夏休み
4.独白
5.Not Bad
6.Tidepool
7.in my blue
8.Funeral
9.ぷちろーる
10.ハッピーホリデイ
11.Tonight (is the night)
試聴はこちら
CD製品情報
品番:YMBR-1002
価格:¥3,000(税込) ¥2,728(税抜)
JANコード:4522197151205
CD購入者先着特典:メンバー直筆サイン入りポストカード
猛暑日だった7月7日、そんな外の暑さを超越するような熱いパフォーマンスが下北沢THREEでは繰り広げられた。満員の人で埋め尽くされた、会場。オーディエンスは、ライブのスタートを待ち望んでいる。最初に姿を現したのは、pavilionだ。クールにステージに姿を現した彼らは、森夏月の「RACE TO THE HEAVENS」という叫びにも似た号令からライブをスタートさせた。
ライブ冒頭から初期衝動のようにロックサウンドをかき鳴らすpavilionのパフォーマンス。1曲目から彼らはフルスロットル。そんな勢いに振り落とされないようにオーディエンスたちは彼らの奏でるサウンドに呼応する。極上のロックサウンドを鳴り響かせながら、「RACE TO THE HEAVENS」を歌い上げると、森は「ありがとう」とひと言。間髪を入れず、「ダーレンシス」、「渦」と続けざまに投下。激しいロックサウンドながら、時折魅せるセッションにも似た各々スキルフルな演奏に会場では拳を高く突き上げるオーディエンス、首をこれでもかと上下に振り続けるオーディエンスの姿がある。pavilionは冒頭の3曲足らずで会場を自分たちのフィールドに誘う。アグレッシブに続くライブパフォーマンス。森の「新曲をやります」という声に大きな歓声と拍手が沸き起こる。激しくギターを奏でる森と山本、そこに佐藤のベースの低音が乗り、ドラムの的確かつ激しいビートが会場を包み込む。間髪を入れずスタートした「Yumeji Over Drive」では、疾走感溢れるサウンドにオーディエンスは酔いしれ、山本にスキルフルなギターソロに呼応するかのようにオーディエンスは拳を突き上げる。pavilionのロックサウンドが会場を完全に掌握しているのだ。流れるように5曲をやり終えると、MC。
森はベランダのアルバムリリースを祝うとともに、彼らとの関係性を語り始めた。
「ベランダは大好きなバンド。バンドをやり始めて半年くらいの頃、先輩に教えてもらって、CD買って、狂ったように聞いて、僕の青春の一部」だと。
あまり対バンするバンドを崇めるのはと口を止めようとした森だったが、すかさず佐藤が「いいものはしょうがないよ」と追撃のひと言。すると森は「対バンできること、光栄に思います。ベランダは目標に掲げていたバンドの一つです」と愛のこもったMCを締めるとスタートした「エメット」。優しく語りかけるように、それでいて音像は力強く、我々オーディエンスはどこか違う場所へと誘ってくれるかのような心地よさを孕んだ楽曲を歌い終えると、「ここに地終わり」、「Surf and You」とボルテージをさらに上昇させながら、ライブを進行していくpavilion。
途中、ドラムのシンバルが割れてしまうハプニングがあり、森は「いつもは自分が弦を切るのに、なんか気分がいいわ」と悪戯な笑みを浮かべながら言葉を発すると、会場からは笑いが起こった。再び「新曲を」と始まった、pavilionの新たな楽曲。メンバー同士が時折、目配せをしながら演奏する姿を見ていると彼らは信頼し合いながら、音楽が楽しんでいるんだなと思ってしまう。ステージの上で飛び跳ねながら完成度の高い演奏を終えると、森は「緊張した...」とひと言。「あと2曲やって、ベランダに繋ぎます!」と宣言し、「La La La」と「Hit-or-Miss」を間髪を入れず、続けて投下。圧巻のパフォーマンス、彼らは魂を叫ぶように歌い奏で、それに呼応するかのようにオーディエンスは体を揺らす。最後の最後まで彼らの提示するロックサウンドを我々に魅せつけてくれた、極上のライブパフォーマンスでベランダへとバトンを繋いだのだった。
続いて、登場したのは本日の主役・ベランダ。彼らの登場に会場は大きな歓声と拍手で埋め尽くされている。「Tidepool」からスタートした彼らのライブ。〈地下鉄の改札は 正直者しか通さない〉と髙島颯心の歌声が会場を包む。たった一声で会場を掌握するこのスキル、流石である。その声に寄り添いながら心地良さそうに体を揺らしている。儚くも激しいサウンド、冒頭からオーディエンスの熱気は上昇傾向。彼らの演奏に度々大きな歓声が上がる。
続けて「in my blue」、「夏休み」を投下。荒々しくも繊細で、感情に訴えかけるようなベランダのサウンド。そんな彼らの奏でる音の葉にオーディエンスは体を揺らし、拳を突き上げる。洗練されたサウンドに酔いしれていると、「ありがとう、ベランダです、よろしくお願いします」と挨拶をし、「Not Bad」へ。ベースの中野鈴子がステージ上で楽しそうに音を奏でるものだから、なんだかこちらも笑顔になってしまう。ステージにいる全員が音を介したコミュニケーションを楽しんでいるのがヒシヒシと伝わってくる。ライブでより感じる極上のアレンジの妙。オーディエンスはベランダのかき鳴らす音楽の虜だ。
4曲を演奏し終わると、髙島が口を開く。
「お集まりいただきありがとうございます。pavilionの言葉を聞いてマスクの下でニチャ〜としてしまいました」と笑いを誘い、お返しとpavilionについて語り始めた。
「SNSで見つけて聴き始めた。絶対に企画をやるときは呼ぼうと決めていて、今日それが叶って嬉しいです。彼らは世が世なら天下獲ってるバンド。現世でも天下を獲ってくれ!」と最高級のエール、愛を語ると、会場には温かい空気が流れている。互いが互いに信頼をし、音楽というフィールドで切磋琢磨している2バンド。その愛に、そして音楽に触れることができるのはとても幸せなことだろう。
熱いMCの後にスタートした、「早い話」ではイントロが流れるとすぐオーディエンスが歓声をあげた。極上のハーモニーと、田澤守の変態的なギタープレイ、サポートドラムの若松祥太郎(5kai)の的確に刻む心地よいドラムの音色に応えるようにオーディエンスは飛び跳ねる。一緒に声を出して歌うオーディエンスもいる。多幸感で埋め尽くされる会場。オーディエンスの表情は皆、笑顔。その空間を作り出しているのは、紛れもないベランダだ。多幸感はそのままに「エニウェア」、「Funeral」と過去のアルバム収録曲も織り交ぜながら演奏していく。
ライブが展開していくたびに歓声は大きくなり、このライブがいかに幸せなものになっているかを物語っている。ライブは終盤戦、夕日色に照らされたステージの上で「ハッピーホリデイ」、「オーバードライブ」を連続投下。「オーバードライブ」で田澤が奏でた、歪んだギターソロ。圧巻のサウンドにオーディエンスは熱狂する。ベランダを熱くさせるスイッチを持っているのは、田澤だ。彼が自由に奏で始めるとそこに呼応するかのように音がさらに分厚くなる。ライブのエンディングに向けてさらにボルテージを上げていくベランダのパフォーマンス。「Tonight (is the night)」、「スピリット」を彼らが歌う頃には、もう我々は身を委ねるだけ。彼らの奏でる音楽に寄り添うだけで鼓動は高鳴り、その場にいるだけで幸せな気分になってしまう。「スピリット」を丁寧に力強く歌い終えると、本編は幕を閉じる。イヤモニのコードが引っかかり退場に支障をきたすことを悟った髙島が、それならばと機転を効かせて自らアンコールの手拍子を要求すると、オーディエンスは笑みを浮かべながら反応。
再びメンバーがステージに登場すると髙島が「アンコールを強要してるのであればすみませんでした」と遠慮気味に挨拶。会場からは「最高だよ!」と声が上がる。再びpavilionへの感謝とリリースツアーへの思いを語り、アンコール曲「let's summer」がスタート。この時期にぴったりな爽快感のある楽曲にオーディエンスは最後の最後まで酔いしれていた。演奏後、割れんばかりの歓声と大きな拍手が会場を包み込むと鳴り止むことのない拍手。再び、ステージに姿を現したベランダのメンバーたち。髙島は「時間は大丈夫ですか?」と心配そうにスタッフへと問いかけるが、OKサインが。
「最後にもう1曲だけやって帰ります!」とWアンコールに答え、「水辺」を披露。オーディエンスも一緒になって歌う幸せなエンディング、最後の最後までベランダ色に染め上げた極上のライブはこれにて幕を閉じたのだった。
文:笹谷 淳介
撮影:岩本実里
RELEASE INFORMATION
ベランダ「Spirit」
2024年4月17日(水)
Format:Digital / CD
Label:ゆんべレコード
Track:
1.スピリット
2.オーバードライブ
3.夏休み
4.独白
5.Not Bad
6.Tidepool
7.in my blue
8.Funeral
9.ぷちろーる
10.ハッピーホリデイ
11.Tonight (is the night)
試聴はこちら
CD製品情報
品番:YMBR-1002
価格:¥3,000(税込) ¥2,728(税抜)
JANコード:4522197151205
CD購入者先着特典:メンバー直筆サイン入りポストカード