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2024.07.14
FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!She Her Her Hers・アポンタイム・アツムワンダフルほか全24作品 -2024.7.13-
New Release Digest Part 1
みさと:7月8日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜、今週は全24作品でした。Part-1、ダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます。まず、暴動クラブ!
金子:暴動クラブもだんだん人気が高まってきていて、今年は春フェスだとアラバキ(ARABAKI ROCK FEST.)にも出演したり、活躍の場を広げている中で新曲が届きました。このアナログな音質が他の曲と並べて聴くと特に目立ちますけど、さらに彼らは8月にアルバムが出ることが決まっていて、こちらはCDのみのリリースという。デジタルサービスの番組で言うのもなんですが(笑)、アルバムはCDのみということで。でもこのいい意味で時代に逆行していく、"俺たちがやりたいのはこういうこと"というやり方を貫き通しているのはいいですよね。
みさと:音も、そしてアウトプットの仕方も、アナログというものを、平均年齢20歳のロックンロールバンドがやっているところがすごく重要だなと思っていて。これをおじさんたちがやると、すがりついていたりとか、負け惜しみに聞こえるパターンもあると思うんです。もちろん、全員ではないと思いますが。だけどこれを若い世代がやることの意味というものをすごく感じるし、そのアウトプットがこうやって日の目を浴びてきているというのが、時代と戦ってるってかっこいいなと思わせる。今、風吹いていますよね。
金子:今年は毛皮のマリーズがアルバムをアナログで再発していて。ロックンロールのリバイバルのリバイバルのもう一回リバイバルぐらいなのが(笑)、また今年、暴動クラブをきっかけに起こったらいいなと思いますね。
みさと:期待ですね。続いて、AGATHAが今回アルバムになります。かっこよかった。おめでとうございます。
金子:FRIENDSHIP.からリリースするようになったのは最近ですけど、もともと2016年の結成で、2019年にフジ(FUJI ROCK FESTIVAL)のルーキー(ROOKIE A GO-GO)に出たりもしているバンドなんですよね。ただその後にコロナ禍が始まってしまって、なかなかアルバムにまでは辿り着かなかったけど、ついに完成ということですね。3ピースとは思えない情報量の多いマスロック、ハードコアサウンドがやっぱりかっこいい。僕の世代でいうと、FRIENDSHIP.でお馴染みのLITEというよりは、mudy on the 昨晩とかに通じる感じがします。特に今回紹介している曲は、カオティック・ハードコアにハマったことをきっかけに書いた曲ということで、このアグレッシブさが非常にかっこよかったですね。
みさと:ポストハードコアの重たさの中に疾走感と、たまにエモさを入れてくるあたりが、憎いなっていうところ。 この音像でしっかりメロが聴こえてくるのも、楽曲としての完成度高いなという。アルバム通して聴いていただきたいですね。
金子:このアルバムがリリースされた7月10日って、toeが9年ぶりのアルバムを出していたりもして。今のtoeとAGATHAは音楽性は全然違うといえば違うんだけど、インストのロックバンドの盛り上がりも感じられる2024年になっている感じがします。
みさと:そんなPart-1からお送りするのはどうしましょう?
金子:She Her Her Hersの新曲をご紹介しようと思います。
みさと:いやー、いいなー。さっきのロックンロールシーン、インストのシーン、それぞれ盛り上がっているけど、アジアに向けて日本のアーティストが羽ばたいているシーンも注目ですよね。
金子:She Her Her Hersは去年11月にアルバムを出して、その後に16都市17公演のアジアツアーを行なって、中国のみならずアジア全体に活動範囲を広げていて。そういう中での今回の新曲というところで、前回のアルバムから繋がっているグルーヴィーな今のShe Her Her Hersの路線をさらに推し進めつつ、繊細な楽器のレイヤーという部分ではもともとのShe Her Her Hersらしさもあって。特に最近のライブではバイオリンがすっかり欠かせない要素になっていて、それがアジアに響いた一つの要因な気もするし、今回バイオリンの響きもすごく印象的。ミックス、マスタリングはThe fin.のYuto Uchinoというところで、盤石の布陣であり、仕上がりなんじゃないでしょうか。
みさと:今年最初のシングルが、上半期を経て下半期に突入したタイミングでというのも、ライブにかける時間が長かったというのも伺わせますけど。だからこそのアウトプットでここに行き着いたのかなというのが見える楽曲だったなと感じています。前作までの作品がライブを想定して盛り上がるような、少しBPM高めの、速めのものもリリースした中で、今回はすごく集中力というか、没入感というか、すごく緊迫感のある楽曲になっていて。She Her Her Hersって踊らせることもできるし、世界に入り込ませるのももともと得意だったよという、ライブでのパフォーマンスの変幻自在さを物語っている楽曲かなと思っていて。いまのShe Her Her Hersのライブ、観たいですね。
New Release Digest Part 2
みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-2でした。リリースおめでとうございます。さあさあ、我らがShimon Hoshinoさん、アルバムリリースです。
金子:今週から夏っぽい曲がグッと増えてきて。
みさと:"Wave"ってタイトル、ちらほらあったりだとか。
金子:Part-1はPOOLSが「wave」で、Wataru Fujiwaraさんが「Wave noise」、 Part-2ではまほろばが「夏休み」という曲を出していて、サーファーの季節になってきたというところで、Shimon Hoshinoさんがこれまで出してきた曲も含めたアルバムのリリース。Shimon Hoshinoさんはこれまでもそうなんですけど、サーフ・ミュージックというものを新しく捉え直して、こういうローファイな感じこそが、今のサーフ・ミュージックなんじゃないかという提案をしていて。前には「zen jam」という曲もありましたけど、 こういうミニマリズムが、まさにShimon Hoshinoさんらしさを表していて、しかもその感覚がちゃんと海外の人にも伝わっていて。世界的にサーフ・ミュージックを新しく捉え直すような動きにも繋がっているような感じが、改めて面白いなと思いますね。
みさと:本当、そうですね。Shimon Hoshinoさんからお話を伺うと、SNS上でサーファーにとってのアルバムとして作品を作ってほしいというオファーが直接届くとおっしゃっていたかと思うんですけど、今回タイトルが『dear surfers』ですから。世界中にいるサーファーに向けて、日本の海ってこうなんだよと聴かせられる一曲一曲が詰まっているなと思っていて。やはり少し陰鬱なんですよね。翳りを感じるというか。そこの陰鬱さが癒しにも繋がっているというところは、日本の穏やかな波も連想させるひとつの要因だと思うんですけど、明るく陽気なサーファーのための楽曲は、もうすでに世界には溢れていたりするので、Shimon Hoshinoさんだからこそ書ける日本の海、サーフ・ミュージックという落とし所が本当に素晴らしかったですね。
金子:グリーン・ルーム(GREEN ROOM Fes.)とか、福岡だったらサンセット(Sunset Live)とかにShimon Hoshinoさんが出たらどんな感じになるのかな。
みさと:良さそう。DJステージありますもんね。
金子:観てみたい。
みさと:そして今回、OtomodatchiとしてもFRIENDSHIP.からリリースしているAmiideがソロ名義でリリースです。
金子:ソロ名義では結構ひさしぶりのリリースで、1年半ぶりなんですね。今回はローファイ・プロデューサーのビートを、サンプルフリップチャレンジという、いわゆるチョップじゃなくてフリップ、拍を変えたりだとか、音色を変えたりして新たに構築して作られた楽曲ということで、ローファイなビートが気持ちいい曲になっています。タイトルが「FRIENDZONE」で、友達を題材にしているのは、Otomodatchiの活動があるからなのか、意識しているのか分からないけれど、それもユーモラスでいいなと思いました。
みさと:「FRIENDZONE」の解釈って、日本でいう"友達以上恋人未満"というより、"あなたは恋人の候補としてはあり得ない"って、割と絶望的な、戦力外通告くらいな感じだと認識しているんですけど、彼女自身もコメントで書いているように、普段「FRIENDZONE」される側なのですが、今回はする側の視点で書いてみましたということで。楽曲のテーマによってユニットなのかソロなのか客演を迎えるのかという風に、棲み分けられるのが彼女の持ち味というか、強みでもあるなと思っていて、やっぱりこれはOtomodatchiではなく、ソロだからこそな感じがしますよね。いい曲でした。そんなPart-2からはどうしましょう?
金子:アポンタイムを紹介しようと思います。
みさと:良かった!
金子:アポンタイムもアルバムが完成しまして。ボーカルの三輪卓也さんは、みさとさんがお休みしていたとき、カンナさんがピンチヒッターでDJをされてたときにゲストで来てくれていて。
みさと:そうですか〜。
金子:前作が2019年だったから、5年ぶりのアルバムが完成と。
みさと:おめでとうございます。
金子:"温故知新的王道和製ポップス"というキャッチフレーズがぴったりな作品になっていて。まさに温故知新的な音楽のエッセンスが詰め込まれていて、そこに三輪さんのハナレグミとかを連想させるような素晴らしい歌声がのっていて、文字通り王道和製ポップスなアルバムになっていましたね。
みさと:〈"人生は死ぬまでの暇つぶし"だと 僕には何ができる?〉という終わり方だったんですけど、この言葉って捉える人によってはすごくネガティブに受け取られる言葉でもあるけど、これからも前向きに人生が続いていくのを予感させる終わり方だったのがすごく好印象でしたね。
金子:アルバムの最後の曲でもあるので、その余韻はいいですよね。
みさと:良かったですね。あと、「Life is 道楽」 と「take it easy」の語呂感の良さとか、聴いていても耳に馴染んでくる感じがすごくいい言葉選びをされますね。
金子:これ小ネタなんですけど、この曲ボ・ディドリー・ビートというのが使われていて、ボ・ディドリーってロックンロールの生みの親の一人みたいな、レジェンド的な人なんですけど。俺、このボ・ディドリー・ビートを初めて意識したのが、山下達郎さんの「ドーナツ・ソング」というミスター・ドーナツのCMの曲で。あの曲"ドーナツ、ドーナツ"って歌ってて、この曲"ドーラク、ドーラク"って歌ってたから、俺の中ですごくリンクして。
みさと:ドーナツ・ソングじゃん。
金子:ドーラク・ソング。
みさと:ドーラク・ソングだ。待って、これから聴くんだけど、山下達郎さんに聴こえてこないかな、大丈夫かな。
金子:いい声つながりって意味ではそういう要素もあるというか、それこそ温故知新って意味ではね、山下達郎さんとも通じるものはありますよね。
みさと:あらー、聴き応えありますよ。
New Release Digest Part 3
みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-3でした。リリースおめでとうございます。はじめましてさんです、ホピーハイボ。
金子:ホピーハイボは最近FRIENDSHIP.からリリースするようになった、祖国のメンバーの加藤さんがフロントマンを務めるバンド。プロフィールを読むと、加藤さんと坂本龍一さんというドラマーが一緒に活動しているそうで、もう字もそのまま坂本龍一で。すごいですよね。
みさと:これ本名かな。
金子:そうなんじゃないですか?
みさと:本名じゃなかったらさすがに付けづらいか。どちらにしても何か持っている方ですね。
金子:その2人を中心に結成されて、今年から固定のサポートメンバーであるギター、ベース、キーボードのメンバーが正式メンバーになり、現体制になっていると。祖国でも面白いなと感じていたあの雰囲気がやっぱりホピーハイボにもあって。加藤さんのルーツにラテン音楽があり、特に今回の曲に関してはマンボの要素がある。でも、それをそのままやるのではなくて、バンドでプログレッシブに構築しているというこの面白さ。やっぱりいいですね、加藤さんが作る音楽。
みさと:本当ですね。楽しい、愉快、沼にはまりそう、みたいな勢いだけでも聴けるんですけど、もう一回聴き直していくと、とても難しいことをやっていらっしゃるというか。その感じは祖国とも通じるところがあるんですが。セルフライナーノーツを読ませていただくと、様々な音楽のオマージュが散りばめられているということも書かれているので、音楽好きの方にも"あれ?もしかして"という瞬間がたくさんあるのではないかと思います。
金子:曲タイトルとかも色々気になりますよね。
みさと:「すにふる」。ひらがなだし、考察ができないな〜。
金子:EPのタイトル『ほふり盤』とかね。
みさと:"ほふり"はひらがな、"盤"は名盤とかの盤ですけど、何語なんでしょうね。
金子:気になります。
みさと:気になります。続いてFunkindustry、ひさしぶりですね。
金子:ひさしぶりのリリースですね。愛すべきフランスのバンドですけど、去年は『MIDNIGHT CITY LOVERS』という日本のシティポップのトリビュート的なEPを出して、来日もしていて。観に行きましたけど、楽しいライブをしてくれて、やっと会えたという感じだったんですけど、その来日時に日本のシティミュージックの代表とも言える流線形のクニモンド瀧口さんに実際に会っていて、それをきっかけにして今回、流線形をカバーすることになったと。
みさと:すごいな〜。
金子:EPのときは日本のボーカリストを迎えたていたんですけど、今回はフランスのClairさんをボーカルに迎えてカバーすることによって、原曲とはまた違う、チルな雰囲気の曲になっていて。でもフランス人のボーカリストがカバーすることによって、少しフレンチポップ的なニュアンスも入ってきて、それが逆に今度はピチカート・ファイブとか渋谷系っぽいニュアンスも出していたりして。色んな階層で曲を解釈できる、面白い曲になっていましたね。
みさと:誰が歌うか、誰が解釈するかによって、こんなにパリと東京の駆け橋になれるんだなという新しい発見をもらいました。「Étretat」というタイトルになっているんですけど、ノルマンディ海岸にあるパリジェンヌに人気の週末旅行地と聞いていて、パリにとっては東京にとっての逗子とか湘南海岸のようなものという風にセルフライナーでもいただいているんですけど、どちらの海を想像して聴くかによっても見える景色が、聴こえ方が変わってくる面白い曲ですね。さあそんなPart-3からはどうしましょう?
金子:アツムワンダフル、一服trackの新曲を紹介しようと思います。
みさと:アツムワンダフル、一服trackシリーズはコンスタントにリリースを続けていますよね。
金子:さっきも言ったように、今週は夏を感じさせるリリースが多いので、そういう曲を1曲は紹介したいなと思ったときに、この「projection summer」がすごく面白くて。最初はローファイ・ヒップホップ的な、チルな感じで、それこそローファイ・サーフと言ってもいいような感じで始まるんだけど、だんだんビートの音数が増えていって、後半になるとトロピカルな、ディスコティックでのれる感じに変わっていって。ローファイな、チルな曲をやる人はたくさんいるし、最近ディスコティックな曲をやる人も多いんだけど、それが1曲の中に同居してる。こういうのはあんまり聴いたことがなくて、でもそれがすごく自然に同居していて、面白い曲でした。
みさと:まさにそれってひと夏を振り返ると様々なシーンがあるのが当たり前だよねと気が付かせてくれた曲でもあって。
金子:なるほど。
みさと:水の音とか緑とか、チープなシンセとか、ディスコティックで踊れる、少しチルな雰囲気とか。振り返るとこうやって夏を思い出せるよねという、夏のたくさんのシーンが貼り付けられているような、 1曲でひと夏を振り返られる曲になっていたと思います。
金子:「projection summer」だからね。プロジェクターで夏を投影して振り返るような、そういう1曲というイメージだと思うから、まさにという感じですよね。
みさと:表現力が素晴らしいですね。
後半はFirst Love is Never Returnedがゲスト出演!
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、奥宮みさとと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55 放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
NEW Releases FRIENDSHIP.
FM福岡で毎週水曜日の26:00~26:55まで放送中のラジオプログラム「Curated Hour〜FRIENDSHIP. RADIO」のアフタートーク、番組の中で紹介しきれなかったタイトルを紹介。DJの奥宮みさと、音楽ライターの金子厚武、そしてFRIENDSHIP.のキュレーターの平大助の3人でデジタル音楽ディストリビューション・プロモーション・サービスのFRIENDSHIP.から配信される新譜を中心に紹介するプログラム。
番組MC
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
奥宮みさと
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。 TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。 安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10