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2024.07.07
FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!Ghost like girlfriend・Nishikawa Yasunari・Geloomyほか全17作品 -2024.7.6-
New Release Digest Part 1
みさと:7月1日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜、全17作品の中から まずはPart-1、ダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます。まずはじめましてさんです、 Blue Salutations。
金子:スロウコアバンドCusper、宅録ユニットPoniesのフロントマンであるKeisuke Hamamotoによるソロプロジェクト。PoniesはFRIENDSHIP.からリリースしてましたけど、ソロでは初めてのリリースということで。"アコースティックを基調にしつつ、自分の人生のスナップショットみたいな作品になるように選曲しました"とあって、今回紹介している曲が「The Drugs Don't Work」という、これはUKのThe Verveのカバーですね。The Verveは90年代後半に本国イギリスではOasisとかRadioheadとかと同じぐらい、めちゃめちゃ人気だったバンドで。個人的にも大好きなので、この曲を選んでる時点で"いいね"っていう。Poniesのときから90年代感はありつつ、でもPoniesはちょっとUSっぽい印象だったんだけど、UKも好きなんだなって。多分、僕より歳は下だと思うんだけど、選曲が僕の世代にドンピシャで。もう一曲、Sparklehorseのカバーも入ってるんですけど、それも1998年の曲なので。
みさと:推測できる世代からすると、ちょっと懐メロが好きなのかな、ルーツが深いところにあるのかなって想起させますよね。歌い方も含めて映画の主人公が歌ってるような感覚になれたので、まさに"自分の人生のスナップショット"みたいな作品という意味では表現力がばっちりだったなと感じてます。アルバムのタイトル自体がこのソロプロジェクト名にもなってますし、かなり思い入れの深い作品になったんじゃないでしょうか。続いて、キッサ・コッポラ。
金子:彼らはちょっとひさしぶりの新曲ですかね。今回はGateballersの濱野夏椰くんがプロデュースと。多分前に出た曲を紹介したときに"レコ発にGateballers出るんだ"みたいな話をした覚えがあるんですけど、そこから交流が始まったのか、それ以前からあったのかは分からないけど、資料によるとキッサ・コッポラのボーカルの北川隼也くんが一番尊敬する音楽家が濱野夏椰くんだそうです。やっぱり相性がすごくいいというか、インディー感があって、ほんのりサイケデリック、でもポップスみたいな、この温度感はGateballersと通じるところがもともとあった気がするから、キッサ・コッポラ的なスタンダード・ナンバーみたいなものが出来上がったんじゃないかなって感触でしたね。
みさと:タイトルの「アイズワイドシャット」、"たとえ真実が目の前にあろうとも、それを信じようとしない、受け止めようとしない人をさす言葉"と資料でいただいてるんですが、最近ってネット上での陰謀論とか盲目になりがちな時代なのかなと感じる意味では皮肉も込めてというか、問題提起させられるような楽曲にもなっていて。でも、それを説教臭くならないように1曲作り上げてるのが、ポップスという意味でのアウトプットも出来るバンドの力を感じました。そんなPart-1からどうしましょう?
金子:Ghost like girlfriendの新曲をご紹介しようと思います。
みさと:7ヶ月ぶりですか!
金子:Ghost like girlfriendも結構ひさしぶりですね。2024年になってからは初の新曲ということですけど、いい曲でしたね。
みさと:良かった!
金子:ご本人のコメントで"寂しいことを寂しいままでしか表現できなかったこの1~2年でしたが、ようやくその季節を抜けられつつあるのかなと、完成したこの曲を聴いて、ふと思いました" とあって。
みさと:いいコメント。
金子:この曲は以前にも1回作ろうとしたんだけど、上手く仕上がらなくて、時間をかけてもう1回作ってできたということなんですけど、それもあってか新鮮な仕上がりになっていて。サックスが印象的なのでジャズっぽいニュアンスもあるし、後半になるとゴスペルのクワイアが出てきて、スケールの広い感じになってて、ドラムもかなりパワフルだったりして。タイトルは「ミスユー!」で、歌詞の内容的に喪失感みたいなものはずっとあるんだけど、でもさっきのコメント通り、それをそのまま悲しい雰囲気で歌うんじゃなくて、パワフルな力強いサウンドに乗せて歌うことによって、前向きな力にも変えていけるし、逆にその切なさがより引き立ったりもするしっていう。こうやって両面性が感じられるのがポップミュージックのいいところだなと改めて思うし、Ghost like girlfriendはやっぱりそういう表現が似合うというか、そんな印象を受けました。
みさと:まさにそうですね。彼自身もこの曲が完成して、癒されて、ネクストステージに向かってるんだなっていうのも見えてくる音像だったし。私たちが聴いても、過去に傷ついた経験がある人は過去が癒されて、過去を肯定できるような1曲になってるんじゃないかなと思う。すごく時間って重要だな〜っていう、時間が癒しを与えてくれたり、時間が経つから"あの頃って煌びやかないい思い出だったよね"っていうものに見えたり。見方を変えてくれることは起こりうるんだなって、改めて感じてます。
金子:誰だってね、バイオリズムがあったり、人生の中でアップダウンがあって。Ghost like girlfriendのキャリアを追ってると、そういう人生のアップダウンによって、時期によって生まれる曲の温度感が違ったりして、その変化を見せてくれるのもいいなと思いました。
みさと:彼のコメントで"この曲が完成したことで、とても嬉しい"ってひと言があって、それを見るだけでこっちも嬉しくなりますね。ここから飛び抜けて、どんな曲を作り続けるのか楽しみです。
New Release Digest Part 2
みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-2でした。リリースおめでとうございます。Ålborgは毎作出すたびに触れたくなる。
金子:Ålborgはいいですよね。7月17日にファーストアルバムのリリースが決まっていて、その先行曲となるタイトル曲。6分近い長めの曲で、前半はÅlborgらしい、フォーキーな感じなんだけど、後半になると分厚いギターが入ってきて、スケール感の大きいサウンドになっていて。どっちかというと、サウンドスケープ的には狭い感じの印象が強かったけど、この曲は大きいところで鳴らすのが似合うサウンドになっていたので、ファーストアルバムのリリースを機に、バンドとしてもより大きなところへ出ていくような、そんな未来も予感させる一曲でした。
みさと:季節的にも夏フェスであったりとか、野外で大所帯というか、ずらっとバンドメンバーが並ぶ様を想像するだけで、"いい未来が近づいてきたな"という感じがしますね。
金子:アルバムのタイミングで改めて触れたいと思います。
みさと:続いて、三好文水さんはEPですね。
金子:三好文水さんは3月に出した「液化してゆく」という曲がそれ以前までとは印象が違うポストロックっぽいニュアンスの曲で、英詞だったりもして。僕その曲がすごく好きだったんですけど、今回のEPにはその曲も入ってるし、タイトル曲の「日ぐれ泡だつ」にしてもポストロックっぽいニュアンスがあって。この曲自体は1分20秒ぐらいの短い曲なんですけど、サウンドの良さがギュッと詰まってて、コーラスの重ね方はちょっとCorneliusみたいな感じもあったりして、すごく新鮮でした。
みさと:"よーし、背筋を正して聴くぞ!"と思ったら、あっという間に終わってしまうような、潔い1曲でもありますね。テーマとしては"寂しさも内包されている"と資料にいただいてるんですけど、声の重なりとかある程度の疾走感みたいなものも感じるし、その動いている感覚が心が動いている様を彷彿とさせるような、テーマ作りの素晴らしさや曲ごとの楽しさも味わってほしいと思わせる作品です。そんな中、ご紹介するのはどうしましょう?
金子:Nishikawa Yasunariさんの新曲をご紹介します。
みさと:Nishikawa Yasunariさんは毎作、驚きが。
金子:そうなんですよね。今年は3月に「Everytime」という曲を出していて、それはソウルとかR&Bっぽい中にミュージック・コンクレートの要素が入ってたりしましたけど、今回は4つ打ちのクラブミュージックになっていて。ただやっぱりNishikawa Yasunariさんらしい不協和音、現代音楽的な要素が入ってるし、あとは声の加工が印象的で、主旋律をボコーダー(ロボットボイスを作り出す機器)で歌ってて。さらに高い音と低い音、どちらも加工された声が印象的に使われてて、それがちょっとSFチックな感じを表してたり。ポップスなんだけどアバンギャルド要素もあり、歌い方の感じも含めて、KIRINJIを連想したりもしました。
みさと:合いそう。やっぱり2000年代のハウス感みたいなものもすごく感じて。
金子:このボコーダーの感じがね。
みさと:そのあたりが大好物って方にはささると思うし、でもその入りじゃなくても、前衛的というか、音楽で芸術を表しているタイプのアーティストさんだと思うので、どこを切り取っても面白い楽曲作りですよね。
金子:前も言った気がするけど、現代音楽とかアバンギャルドってなると、どうしても難解な方に行きがちだったりするけど、Nishikawa Yasunariさんはアウトプットがちゃんとポップスになっていて、そこが毎回面白いなと思いますね。
New Release Digest Part 3
みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-3でした。リリースおめでとうございます。Warashand、かっこよかった!
金子:Warashandは今回が初のボーカルトラックですね。Warashandは音楽制作2名・映像制作2名のユニットなんですけど、今回ボーカルとリリックを担当しているのが映像担当のメンバーであるかとうたつひこさんだということで。
みさと:棲み分けも何もない。 何でもできちゃうんだ。みんなすごいな。
金子:曲調的にもこれまでになくアッパーで明るい楽曲になっていて。ちょうど昨日、札幌で初ライブをやっていたみたいなんですけど、映像と音楽の組み合わせということでいうと、ライブは絶対刺激的な空間になっていると思うので、ぜひ東京でも見てみたいし、 いずれ福岡にも行ってほしいですね。
みさと:今回の楽曲がShizuka Kanataさんの手術時の全身麻酔での体験談を基に、主観的な心象と客観的な心象を解釈し、曲に乗せたということなんですけど。自分の意志では制御できずに強制的に全く違うところに連れていかれる感じは楽曲から感じられたので、これをメンバーに共有してひとつのものを作るって、相当クリエイティブの力がないとできないなという。今回も素晴らしいです。続いて、Hoboken Surprise。
金子:彼らもちょっとひさしぶりのリリースになりますけど、こちらは初の日本語詞ということで。
みさと:みんな挑戦してるな〜。すごいな〜。
金子:いろんな"初"がありますよね。Hoboken Surpriseはインディーロック感が魅力的で、その感じが個人的にも好きなんですけど、英詞から日本語詞になることによって、哀愁がより引き立つというか、そこは日本人だからなのか、琴線に触れるというやつで。どうしてもね、英詞で歌うと洋楽のマネっぽくなっちゃうところもあると思うけど、日本語で歌うことによって、よりオリジナリティであり、メンバーの人柄、顔まで見えてくるような感覚があって、すごくいい曲でしたね。
みさと:初めての挑戦って、今までのイメージが壊れてしまう可能性があるから、すごく勇気のいる決断だったと思うんですけど、日本語で伝えることによって感情が届きやすくなって、みなさんがこのバンドをやる上で届けたいものがより形になったんだろうなと。すごくいい曲でしたね。
金子:曲のテーマ的にも"どうせ今後のことはわからないから、とりあえず今はできることをしよう、いけるところまで行こう"というメッセージがあって、それを初めての日本語詞で歌ってるっていうのがいいですよね。
みさと:ドラマですね〜。そんなPart-3からどうしましょう?
金子:Geloomyを紹介しようと思います。
みさと:めちゃめちゃかっこよかったです!
金子: GeloomyはFRIENDSHIP.から初のリリースで、曲自体もこれが2曲目のリリース。
みさと:そうとは思えない完成度!
金子:今年4月に最初の曲を発表してるんですけど、インスタのリール動画などで話題となって、すでにトータルでの再生数が174万回超えだそうで。そういうのも現代的ですよね。ただ、プロフィールがまだあまりよく分からず。もらってる資料を見ると、メンバーの名前が小腸、肝臓、肺、腎臓(笑)。
みさと:内臓さんたちで出来てるんですね(笑)。
金子:なので、まだバンドの詳細はわからないんですけど、音楽に関しては"ネオディスコ"という言葉を掲げてるみたいで、実際ディスコティックな、踊れるかっこいい曲で。シンセだったり、ギターソロだったり、各メンバーの色もすごく出たカラフルな、バンド感のある曲に仕上がっていて、かっこよかったですね。
みさと:日本語と英語が入り混じる空耳アワー的な歌唱方法とサウンド、サンプリング、楽器のチョイス、ギターのカッティング、どれをとってもおしゃれで、洗練されていて、もうかっこいいな!と思いつつ、メンバーの名前の小腸、肝臓、肺、腎臓みたいなところを見ると、笑えてきて仕方がないんですが、とにかく気になる存在です。Geloomy、チェックですね。
金子:最近CMでKroiをよく見ますけど、ちょっと前までSuchmosとかがいて、その後にKroiが出てきたなとか思ってたら、Kroiもあっという間に人気になっちゃって。そこからまたさらに洗練されて、Geloomyみたいなバンドが出てきたような印象もあって。
みさと:続くんでしょうか?
金子:このバンドも駆け上がっていくかもしれないですね。
後半はFirst Love is Never Returnedがゲスト出演!
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、奥宮みさとと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55 放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
NEW Releases FRIENDSHIP.
FM福岡で毎週水曜日の26:00~26:55まで放送中のラジオプログラム「Curated Hour〜FRIENDSHIP. RADIO」のアフタートーク、番組の中で紹介しきれなかったタイトルを紹介。DJの奥宮みさと、音楽ライターの金子厚武、そしてFRIENDSHIP.のキュレーターの平大助の3人でデジタル音楽ディストリビューション・プロモーション・サービスのFRIENDSHIP.から配信される新譜を中心に紹介するプログラム。
番組MC
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
奥宮みさと
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。 TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。 安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10