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2023.12.29
国もジャンルも越えた5バンドが共演した最高の夜。「RUSH BALL in 台湾 on the ROAD with FRIENDSHIP.」を現地ライターがレポート!
日本の大人気大型音楽イベント「RUSH BALL」と日本の音楽デジタルディストリビューション「FRIENDSHIP.」がタッグを組んで、12月15日に台北を代表するインディーズ系ライブハウス「The Wall Live House」にてライブイベントを開催した。日本から招かれたアーティストは、クレイジーなガールズバンド東京初期衝動、インスト・ロックバンドLITE、東京のインディーズシーンで脚光を浴びているTENDOUJI、そして台湾からは、日本語で歌う台湾バンド・ゲシュタルト乙女、台湾のポップパンクバンド・粗大Band(Thick Big Band)、計5組が出演した。
The Wallの入口を入り階段を降りるとすぐに、「RUSH BALL in 台湾 on the ROAD ~RUSH BALL 25years Goes On!~」と掲げられた幕が目に入った。壁にはFRIENDSHIP.のおすすめプレイリストとQRコードが所狭しと貼られている。受付の横には台湾らしいデザインの「RUSH BALL」というネオンサインが飾られ、雰囲気を盛り上げていた。
最初のステージはTENDOUJI。タオルを手にカッコよく登場した。最前列には銅鑼を打ち鳴らして出迎えるファンもいる。「RUSH BALL IN TAIWAN ARE YOU READY?」というメンバーの声とともに一曲目の「COCO」が始まった。ストレートな日本ロックがダイレクトに響き渡り、会場の雰囲気を徐々にヒートアップさせていく。TENDOUJIは普通のロックバンドと違って、曲によってボーカルが変わる。そのため、メンバーの立ち位置も工夫されていて、左右にギター2人、中央にベースという配置だ。
一曲目が終わると「台北のみなさん、よろしくお願いします。TENDOUJIです。」と挨拶し、続いて「BIG LOVE」と「Young Love」を演奏。続く「FIREBALL」では会場を巻き込んでの大合唱になり、全員が手を振ったりジャンプしたりと、場内の熱気は徐々に高まっていった。「HATTRICK」では、ギター2人とベースが交互にシャウトし、会場内はますますヒートアップ。テンションが上がったギターのアサノケンジがギターを高く持ち上げて歯で演奏する場面もあり、会場は歓声に包まれた。
東京初期衝動は今回が3回目の台湾ライブ。来年はアメリカの大型フェスSXSWにも出演が決まっている。リードボーカルのしーなちゃんはまず冒頭に中国語で「你好!(ニーハオ)」と挨拶し、未公開の新曲を披露した。その後「高円寺ブス集合」「トラブルメイカーガール」などが続き、その間にフロアにダイブを繰り返すしーなちゃんを、ファンは慣れた様子で手を上げて受け止め、会場中が盛り上がっていた。
「久しぶりに台湾に来れて嬉しいです。みんなも楽しんでますか?ぜひまた呼んでください!つぎは新曲を歌います!」との言葉に、フロアからは歓声が上がり、しーなちゃんは「リアクションが素晴らしい!」と喜んだ。そして台湾で初披露となる新曲「恋セヨ乙女」を演奏。ステージを去る前に、フロアに向かってしーなちゃんが水をかけ、さらに汗を拭いたタオルも投げるというパフォーマンスで、クレイジーなライブを終えた。
この日の三番手は、台湾のロックバンドながら日本語で歌詞を書くゲシュタルト乙女。マイクスタンドには赤い提灯が吊るされている。幕開けは「生まれ変わったら」を披露。ボーカルのMikanが中国語と日本語で自己紹介し、今回のライブに参加できて光栄だと挨拶したあと、来年リリースされるニューアルバムとツアー予定について報告した。つい先日「PARCO MUSIC JAM」に参加するために大阪に行っていたせいか、Mikanの日本語には少し大阪弁が混ざっていて、フロアからは可愛い!と大いに盛り上がった。
「不思議な感じがします。前回THE WALLに来たのは前のツアーの時だったので、年末に戻ってくることができてとても嬉しいです。ここは私を育ててくれたホームです。この1年はあっという間に過ぎて、色々なことがあったように思うけど、とても充実した1年でした。」とMikanは観客に語った。そして日本のアーティストたちが台湾に来るとたいてい小龍包を食べに行くという話から、Mikanがメンバーに「台湾人から見た台湾の美味しいもの」を尋ねた。ベースの阿司は即座に「台湾のモーニングに出てくるアイスミルクティー!」と回答。ギターの大刀は「僕は日本の食べ物がおいしくて好きだな!」と笑いながら回答。水餃子が大好きなMikanのおススメはもちろん台湾の水餃子だった。
最後の曲「Dreamholic」は、「2023年の最高の歌にしましょう!」とMikanが中国語と日本語で呼びかけ、会場が一体となって大合唱。言語や国籍を超えた楽しい雰囲気となった。
4組目にはもともと日本の「踊ってばかりの国」が予定されていたが、メンバーの発熱によりキャンセルとなり、台湾の「粗大Band」が代役を務めた。リードボーカルの盧が「代役として来たけれど、100%の力を出し切るぜ!」と熱く叫び、台湾ポップ・パンクの持ち味を生かして、「Tell Me(告訴我)」、「It's Time(就是現在)」、「Sad Fries(大薯)」と次々に曲を披露。「City Poop」では、ギターの建龍がステージから飛び降りてファンに肩車される形で演奏し、会場からは歓声が上がった。今回のライブイベントは日本のアーティストが出演していただけでなく、日本から駆けつけたファンも多数いたこともあり、メンバーは英語と知る限りの日本語を駆使してファンを楽しませていた。
ちょうどこの日はベースの羊羊の誕生日。誕生日がライブと重なるのは生まれて初めてだという羊羊は「最高!こんなに沢山の人に誕生日を祝ってもらえるなんて!」と嬉しそうに言った。彼はメンバーからアニメネタでいじられると、「もう"ぼっち・ざ・ろっく!"じゃなくて、"みんな・で・ろっく"だよ!」と楽しそうに開き直っていた。観客が盛り上がってくると、建龍が再度ハイテンションでフロアにダイブして、会場の熱気は最高潮に達した。
ラストを飾ったのは、これまで何度も台湾で公演を行ったことのある日本のインストゥルメンタル・バンドLITEだ。見事な演奏で、あっという間に観客たちをLITEの世界へと引き込んだ。メンバーが中国語で「大家好,我們是(ダージャ・ハオ、ウォーメン・シー)LITE。(みなさん、こんにちは。LITEです)」と簡単に自己紹介した後、まず「Ef」を演奏。数年見なかった間に、LITEのライブ演奏は大きく進化を遂げていた。シンプルな楽器演奏から生み出されるエネルギーだからこそ、歌詞がなくても、より一層ダイレクトに伝わってくる。ファンたちも自然とリズムに合わせて体が動き、会場は熱狂に包まれた。
ギターの武田が観客席に向かって「台湾の皆さん、今日は来てくれてありがとう。皆さん日本語が上手ですね。日本人の方はいますか?」と尋ねると、観客の中にちらほらと手を挙げる人がいた。それを見て武田が「少ないね!えぇ、どうしてみんな日本語がわかるの?!」と驚くと、観客はそれに熱い歓声で応えていた。
代表曲のほかに、新曲「Deep Inside」も披露された。この曲では処々にボーカルが入り、LITEの違った一面を見せてくれる。ボルテージが上がったまま、リズミカルな「D」、「Infinite Mirror」へと続き、会場の盛り上がりは最高潮に。ラストは熱狂の中でアンコールの声が響くと、それに応えて再びステージに登場し「Human Gift」を演奏した。会場の熱気はステージ上にも伝染して、演奏はさらに激しさを増し、テンションの上がったドラムスの山本晃紀はドラムスローン上に立ち上がるパフォーマンスまでみせた。ライブイベントの最後には、この最高の夜の思い出に、全出演バンドと観客とで記念写真が撮影された。
文:Liao(迷迷音MeMeOn Music)
撮影:Hung Hsu Chen
The Wallの入口を入り階段を降りるとすぐに、「RUSH BALL in 台湾 on the ROAD ~RUSH BALL 25years Goes On!~」と掲げられた幕が目に入った。壁にはFRIENDSHIP.のおすすめプレイリストとQRコードが所狭しと貼られている。受付の横には台湾らしいデザインの「RUSH BALL」というネオンサインが飾られ、雰囲気を盛り上げていた。
最初のステージはTENDOUJI。タオルを手にカッコよく登場した。最前列には銅鑼を打ち鳴らして出迎えるファンもいる。「RUSH BALL IN TAIWAN ARE YOU READY?」というメンバーの声とともに一曲目の「COCO」が始まった。ストレートな日本ロックがダイレクトに響き渡り、会場の雰囲気を徐々にヒートアップさせていく。TENDOUJIは普通のロックバンドと違って、曲によってボーカルが変わる。そのため、メンバーの立ち位置も工夫されていて、左右にギター2人、中央にベースという配置だ。
一曲目が終わると「台北のみなさん、よろしくお願いします。TENDOUJIです。」と挨拶し、続いて「BIG LOVE」と「Young Love」を演奏。続く「FIREBALL」では会場を巻き込んでの大合唱になり、全員が手を振ったりジャンプしたりと、場内の熱気は徐々に高まっていった。「HATTRICK」では、ギター2人とベースが交互にシャウトし、会場内はますますヒートアップ。テンションが上がったギターのアサノケンジがギターを高く持ち上げて歯で演奏する場面もあり、会場は歓声に包まれた。
東京初期衝動は今回が3回目の台湾ライブ。来年はアメリカの大型フェスSXSWにも出演が決まっている。リードボーカルのしーなちゃんはまず冒頭に中国語で「你好!(ニーハオ)」と挨拶し、未公開の新曲を披露した。その後「高円寺ブス集合」「トラブルメイカーガール」などが続き、その間にフロアにダイブを繰り返すしーなちゃんを、ファンは慣れた様子で手を上げて受け止め、会場中が盛り上がっていた。
「久しぶりに台湾に来れて嬉しいです。みんなも楽しんでますか?ぜひまた呼んでください!つぎは新曲を歌います!」との言葉に、フロアからは歓声が上がり、しーなちゃんは「リアクションが素晴らしい!」と喜んだ。そして台湾で初披露となる新曲「恋セヨ乙女」を演奏。ステージを去る前に、フロアに向かってしーなちゃんが水をかけ、さらに汗を拭いたタオルも投げるというパフォーマンスで、クレイジーなライブを終えた。
この日の三番手は、台湾のロックバンドながら日本語で歌詞を書くゲシュタルト乙女。マイクスタンドには赤い提灯が吊るされている。幕開けは「生まれ変わったら」を披露。ボーカルのMikanが中国語と日本語で自己紹介し、今回のライブに参加できて光栄だと挨拶したあと、来年リリースされるニューアルバムとツアー予定について報告した。つい先日「PARCO MUSIC JAM」に参加するために大阪に行っていたせいか、Mikanの日本語には少し大阪弁が混ざっていて、フロアからは可愛い!と大いに盛り上がった。
「不思議な感じがします。前回THE WALLに来たのは前のツアーの時だったので、年末に戻ってくることができてとても嬉しいです。ここは私を育ててくれたホームです。この1年はあっという間に過ぎて、色々なことがあったように思うけど、とても充実した1年でした。」とMikanは観客に語った。そして日本のアーティストたちが台湾に来るとたいてい小龍包を食べに行くという話から、Mikanがメンバーに「台湾人から見た台湾の美味しいもの」を尋ねた。ベースの阿司は即座に「台湾のモーニングに出てくるアイスミルクティー!」と回答。ギターの大刀は「僕は日本の食べ物がおいしくて好きだな!」と笑いながら回答。水餃子が大好きなMikanのおススメはもちろん台湾の水餃子だった。
最後の曲「Dreamholic」は、「2023年の最高の歌にしましょう!」とMikanが中国語と日本語で呼びかけ、会場が一体となって大合唱。言語や国籍を超えた楽しい雰囲気となった。
4組目にはもともと日本の「踊ってばかりの国」が予定されていたが、メンバーの発熱によりキャンセルとなり、台湾の「粗大Band」が代役を務めた。リードボーカルの盧が「代役として来たけれど、100%の力を出し切るぜ!」と熱く叫び、台湾ポップ・パンクの持ち味を生かして、「Tell Me(告訴我)」、「It's Time(就是現在)」、「Sad Fries(大薯)」と次々に曲を披露。「City Poop」では、ギターの建龍がステージから飛び降りてファンに肩車される形で演奏し、会場からは歓声が上がった。今回のライブイベントは日本のアーティストが出演していただけでなく、日本から駆けつけたファンも多数いたこともあり、メンバーは英語と知る限りの日本語を駆使してファンを楽しませていた。
ちょうどこの日はベースの羊羊の誕生日。誕生日がライブと重なるのは生まれて初めてだという羊羊は「最高!こんなに沢山の人に誕生日を祝ってもらえるなんて!」と嬉しそうに言った。彼はメンバーからアニメネタでいじられると、「もう"ぼっち・ざ・ろっく!"じゃなくて、"みんな・で・ろっく"だよ!」と楽しそうに開き直っていた。観客が盛り上がってくると、建龍が再度ハイテンションでフロアにダイブして、会場の熱気は最高潮に達した。
ラストを飾ったのは、これまで何度も台湾で公演を行ったことのある日本のインストゥルメンタル・バンドLITEだ。見事な演奏で、あっという間に観客たちをLITEの世界へと引き込んだ。メンバーが中国語で「大家好,我們是(ダージャ・ハオ、ウォーメン・シー)LITE。(みなさん、こんにちは。LITEです)」と簡単に自己紹介した後、まず「Ef」を演奏。数年見なかった間に、LITEのライブ演奏は大きく進化を遂げていた。シンプルな楽器演奏から生み出されるエネルギーだからこそ、歌詞がなくても、より一層ダイレクトに伝わってくる。ファンたちも自然とリズムに合わせて体が動き、会場は熱狂に包まれた。
ギターの武田が観客席に向かって「台湾の皆さん、今日は来てくれてありがとう。皆さん日本語が上手ですね。日本人の方はいますか?」と尋ねると、観客の中にちらほらと手を挙げる人がいた。それを見て武田が「少ないね!えぇ、どうしてみんな日本語がわかるの?!」と驚くと、観客はそれに熱い歓声で応えていた。
代表曲のほかに、新曲「Deep Inside」も披露された。この曲では処々にボーカルが入り、LITEの違った一面を見せてくれる。ボルテージが上がったまま、リズミカルな「D」、「Infinite Mirror」へと続き、会場の盛り上がりは最高潮に。ラストは熱狂の中でアンコールの声が響くと、それに応えて再びステージに登場し「Human Gift」を演奏した。会場の熱気はステージ上にも伝染して、演奏はさらに激しさを増し、テンションの上がったドラムスの山本晃紀はドラムスローン上に立ち上がるパフォーマンスまでみせた。ライブイベントの最後には、この最高の夜の思い出に、全出演バンドと観客とで記念写真が撮影された。
文:Liao(迷迷音MeMeOn Music)
撮影:Hung Hsu Chen