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2023.10.29
カルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信するサービス FRIENDSHIP.の新譜を紹介。 キュレーターの金子厚武とナビゲーターの奥宮みさとによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
New Release Digest Part 1
みさと:10月23日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全20作品の中からまずはPart-1、7作品をご紹介しました。リリースおめでとうございます。秋のフェスでこの曲聴けたら最高だな、片手にはクラフトビールでっていう感じですね。FILTERとTHE LOCAL PINTSがコラボレーションでリリースしてます。
金子:この2組で11月にEPが出るんですけど、そこからの先行配信で、そのEPはコラボレーションによる2曲と、それぞれの新曲が1曲ずつ入ってるらしいです。
みさと:しかもスプリットツアーも開催される予定ということで。
金子:そうそう、福岡にも行くみたいなので。
みさと:楽しみですね。
金子:今、言ってくれたみたいにフェスが似合う、まさにアンセミックな、みんなで合唱したい、コカ・コーラのCMが似合いそうな曲ですよね。作曲がFILTERで編曲がTHE LOCAL PINTSらしく、THE LOCAL PINTSっぽいアメリカのメインストリームのポップスという感じもすごくあるし、そこにFILTER印のキャッチーなメロディーも加わって、やっぱり相性良いんでしょうね。
みさと:いいですね。そして、Thiiird Place、今回も好きです。
金子:こっちもフロアで聴きたい曲ですよね。
みさと:これもピクニックにぴったりな。
金子:みんなで一緒にいる場所に合いますよね。Thiiird Placeはコンスタントにリリースありますけど、毎回良くて。
みさと:グッときちゃいますよね。
金子:大人数バンドなので音楽的にも色んな要素が混在してるし、今回「それから、どうする」というタイトルで、歌詞では「君と私は違う」っていう、まずその認識をして、それからどうするかっていう問いかけが詰まっていて。まさにThiiird Placeらしい、人と人がどう交わるかを考えさせる歌詞であり曲だなと思いました。
みさと:すごくセッションが得意なメンバーだと思うんですけど、フレーズもリフレインする楽曲が多いなっていう印象があって。この曲をセッションで作ったのかは分からないけど、言葉と音のマッチ度の高さっていうのは、そういったメンバーで13人でやってるからなんだろうなっていう、どの楽曲を聴いてもマッチ度がすごく高いなって感覚になります。
金子:やっぱりアフロの要素も大きいバンドだから、反復の感じは基調になっていて、Part-1はNishikawaさんもアフロっぽい要素ありましたよね。
みさと:そうでしたね。
金子:今週ね、わりとアフロっぽい要素の曲が多くて。
みさと:確かに、ちょっとサイケデリックでアフロな感じというか、民族感ある楽曲が10月多いですね。そんな中、お送りするのはどうしましょう。
金子:Guibaをかけようと思います。
みさと:アルバムリリースとなりました。おめでとうございます。9曲入りのアルバムになってまして、歌モノにこだわった1枚ということですね。
金子:South Penguin、Helsinki Lambda Club、Group2、odol、Tocago と、それぞれバンドをやってる人たちが集まって、ユーミンとかサザンとか、日本のポップス・歌謡曲に影響を受けつつ、でもこのメンバーだからこそのインディーロック感があるという、その感じが9曲に詰め込まれた、Guibaオリジナルな作品になってると思います。
みさと:セルフライナーノーツを読んでも、歌詞を読んでも、音楽界の高田純次だな、といつも思っていて(笑)。
金子:その心は?
みさと:適当なんですよ(笑)。とてつもなく適当なんですけど、でも高田純次さん嫌いな人っていないじゃないですか?
金子:そうですね。
みさと:すごく肩の力が抜けていて、目の前にいる人を楽しませたりとか、温かい気持ちにさせるのを本当に大得意とされている、その感じが歌詞世界にも表れてるというか、サウンドも含めて。
金子:確かに、アカツカくんインタビューだと「本当かよ?」みたいな発言したりするので(笑)。
みさと:それも彼の魅力ですしね。
金子:でもこの「灰」という曲はアルバムの1曲目で、わりと尺も短いし、インディーポップ寄りな楽曲で、聴いた印象は爽やかなんだけど、歌詞を読むと内面も見えるというか。
みさと:そうなんですよねー。
金子:その適当っぽく見せてる裏側にある音楽に対する熱さ、みたいなこともこの曲からは垣間見えたりして。
みさと:そうですね。決めるところは決めるっていうのも含めて、やっぱり高田純次さん。
金子:あはは。
みさと:聴きながらより思ったところです。彼らが万人受けするっていう意味でも、すごく伸びしろを感じるところだと思うので。
金子:彼らの目標は"紅白"だそうです。
みさと:ぴったりだと思うな。
金子:先日、SENSAでインタビューをしてまいりまして、それぞれが色んなバンドやってる人たちだから、4人個別に、それぞれ他でやってるバンドとGuibaとの関係性も含めて話を聞いてきました。
みさと:最高の企画ですね。
金子:それもぜひ読んでいただきたいなと。
みさと:すぐに読めますので、SENSAで検索をお願いします。読み応えばっちりです。
New Release Digest Part 2
みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-2でした。リリースおめでとうございます。クラフトビールやコーラ、シュワシュワが飲みたくなるPart-1に代わっては、温かい飲み物が飲みたくなるPart-2でございましたが、アツムワンダフルさんの一服trackシリーズ、「caffé latte」リリースになってます。
金子:Part-2はオープニングで話した通り、ちょっとゆったりとした、秋の夜長に聴きたい曲たちが入ってましたね。アツムワンダフルさんは最近だとfuturesのトラックも作ってたり、色々ご活躍です。この一服trackという名義では、2021年に奇妙(礼太郎)さんやSundayカミデさんとかをフィーチャーして1曲発表してるんですけど、単独名義としては初めてのリリース。SNSに不定期にアップしている1分のショートトラックのシリーズを再構築して今回からリリースということですね。
みさと:途中で祈りのようなコーラスワークが入って、そこに重なるように雑踏の音も入るんですけど、雑踏もメディテーションになるよなって気付かせてくれる1曲というか。単純にホッと一息つくっていうようなサウンド感ではない、スケール感のある1曲になってて、さすがだなの一言です。
金子:BGMとしても聴けるし、曲としてもちゃんと聴き込める。
みさと:本当ですね。古川麦さんも癒しのアルバム、リリースになりました。
金子:こちらも通じる部分があると言うか、カフェのBGMにもぴったりだし、音楽作品としても聴き込める作品ですよね。去年は歌モノのアルバムをリリースしてるんですけど、今回はインストのアルバムということで、ご自身のギター演奏を中心に、ピアノやコーラス、曲によってパーカッション、エレキ、トロンボーン、クラリネットなども交えて仕上げていると。
みさと:豪華ですね。
金子:古川さんにはルーツとしてブラジルとかアルゼンチンとか中南米の音楽っていうところがあるので、そのテイストも全面に感じられる良い作品ですね。
みさと:季節も昼夜も問わず、どのタイミングでも聴けるけど、やはり秋の夜長にもぴったりな生音感もありつつ、呼吸が深まるんだけど癒しだけじゃなくてちゃんと高揚感も感じさせてくれる、明るさもはらんだ曲作りっていうのがすごく希望を感じさせてくれるアルバムになっていました。そして、新しいバンドが始動してるんですよね。
金子:はい、DOGADOGAを紹介しましょう。
みさと:DOGA、DOGA。2回リフレインしているんですが、読みは"ドガ"です。
金子:元plentyの江沼くんの新しいバンドで、前から気になってたんですよね。多分、前に放送外で普通にお喋りした気がするんですけど。
みさと:オフトークでね。
金子:この前、木(KI)のリリースがあって、彼らは一時期江沼くんのライブでサポートをしてて、彼らのリリースがあったから、「江沼くん、最近どうしてるのかな?」ってSNSを覗いたら、このDOGADOGAを始めたっていうアナウンスがあって。しかもメンバーを見たら、そこに元andymoriの藤原くんと岡山くんが参加してるということで、一定の世代の人たちにとってはスーパーバンドって感じがするし、あと江沼くんここ最近トニセンのバックバンドをやってて、そこにコレクターズの古市コータローさんも参加してて、このDOGADOGAでドラムを叩いてるのが古市コータローさんの息子さんの古市健太くん。なんだこのメンツは!っていう。
みさと:面白いですね。縁が繋がっている。
金子:音楽的には「俺らのノリのパンクバンドを組もう」というところから始まってるそうなんですけど、岡山くんがパーカッションで参加してて、あとサックスのメンバーがいるのがポイントで、ただのパンクというよりはポストパンク寄りな、Talking Headsとか、それこそアフロの要素もすごく感じるし、ニューウェーブ的な感じもするし、なるほどこういうアプローチかっていう、かっこよかったですね。
みさと:かっこよかった。ラテンのリズムの上にジャズのサックスが乗って、たけど、もちろん江沼くんが歌うからJ-POP要素も感じつつ。
金子:ちゃんとキャッチーですよね。
みさと:なんだけどスピリッツがパンクっていうのが歌詞からも伝わってくるし、絶妙なバランスでしたね。
金子:歌詞インパクトありますよねえ。歌い出しが「俺はもう終わりだ 俺はまた始めるさ」っていう、この2行で掴まれますね。
みさと:ホントホント。これは確かに「俺らのノリのパンクバンド」だし、さっき厚武さんが説明してくれたみたいに、メンバーのバックグラウンドを思えば、この2行の重みというか、人生の詰まった1曲なんだなっていうのがひしひしと伝わってくる、素晴らしい楽曲ですね。
金子:江沼くん最近はトラックメーカーとしてもご活躍でしたけど、やっぱりバンドで歌ってる江沼くんを聴きたかった人も多いと思うから、待望のバンド始動なんじゃないでしょうか。
New Release Digest Part 3
みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-3でした。リリースおめでとうございます。こちらも趣を変えて秋にぴったりNolatteさん。
金子:Part-2では、一服trackの「caffé latte」がありましたけど、こちらはNolatteということで。
みさと:Nolatteさん、今、3作連続リリース中で、テーマが「ハッピーホルモンシリーズ」なんですよね。
金子:8月がセロトニン、9月がオキシトシン、そして10月がドーパミンと。
みさと:みんないっぱい出してこ(笑)!
金子:NolatteさんはArrowArrowの別名義で、これまではわりとR&Bのイメージが強かったけど、今回はヒップホップ寄りな楽曲で、こっちもかっこいいですね。
みさと:良かったですね。ハッピーホルモンにスポットを当ててどんな感じになるのかなと思ったんですけど、ドーパミンだとちょっと楽しくなる、ゲーム、ギャンブルとか、音楽を聴いてるときとか、目標を達成したときに出るホルモンということなので、だからヒップホップなのかなって。
金子:確かに、ビート強めな感じと相性がいい。
みさと:ですよね。今までの曲はもっとリラックス、チルめの要素が強いので、まさにしっかりそのホルモンに合わせた楽曲作りっていうのが素晴らしいなと感じてます。そして、はじめましてさんもいらっしゃるんですよね、giue。
金子:giueは2018年に結成されて、2022年から現在の編成で活動しているバンドということで、こちらもアフロ要素感じられましたね。
みさと:ありますね。なんだろう。密かに通奏低音のようなブームがあるんですかね。
金子:日本のインディーの流れみたいなことで言うと、ceroがアフロビートを使い出したことが今に繋がっている気はして。giueは2018年結成だからceroとかORGE YOU ASSHOLEとか、あの辺りのバンドを聴いて、アフロビートの感じとサイケの感じとちょっとミニマルな感じとを消化して、自分たちなりに表現してるみたいな、そんなニュアンスも感じました。
みさと:今、名前が出てきたバンドとgiueに共通してるのが、インストだけでも成り立つかっこよさ。giueの「Brazil」もボーカルがすごくたくさん出てくるわけじゃないっていう、一つの楽器としての捉え方っていうバランス感覚と、イントロから、「あ、かっこいい!」って思わせる、掴みはOKなバンドですね。さあ、Part-3からはどの曲をかけましょうか?
金子:DENIMSをかけようと思います。
みさと:私、銭湯検定というのを持っていて、祖父が銭湯を経営してたんですよ。
金子:そうなんだ!
みさと:そんなお風呂ラヴァーズな私から言わせていただくと、水風呂に言及しているこの歌詞最高です(笑)。
金子:あはははは。
みさと:今回、「おふろのうた」がリリースになってるんですけど、あっためればいいってもんじゃない。ちゃんと体がほてってしまったらクールダウンする。そして寒い体は温める、いつもニュートラルの状態がいいよねっていう、素晴らしい歌詞ですね。
金子:さすがですね、そこに着目するのは。
みさと:素晴らしかったです。
金子:少し前の10月10日が銭湯の日で、これも番組外で世間話で喋りましたけど、FRIENDSHIP.には前にえんぷていという、銭湯でライブ録音を行ったバンドがいたりして。
みさと:比良温泉というところでのセッション、『HIRA SESSIONS』がリリースになってましたね。
金子:DENIMSに関しては銭湯で録ってるわけではなく、自分たちのスタジオで録ってるんだけど、でもスライドギターを使ったり、ディレイを多用することで、お風呂の響きを表現したり、スネアもミュートを効かせることが多いけど、それを外して広がりのある音像にしてたり。スタジオでお風呂を表現してるという。
みさと:これ、逆に難しいですよね。さすがのテクニックですね。
金子:今は録音もメンバーがやってたりして、そのあたりはさすがですね。
みさと:あと釜中くんのこの声で邪念を洗い流して次に向かわせてくれる、この世界を歌ってくれるのは、「そうだよねー。お風呂浴びに行ってこよ」って思える、ホント肩の力が抜ける、汚れが落ちるような一曲でした。
金子:アフロ、アフロとさんざん言ってきて、最後は、お風呂。
みさと:それが言いたかっただけですね(笑)。おあとがよろしいようで。
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、奥宮みさとと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。 放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55 放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
番組MC
金子厚武 1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。 @a2take / @a2take3 奥宮みさと ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。 TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。 安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。 @_M1110_ / @11misato10 Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar) 神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。 The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。 オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin