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2023.05.14
FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介! polly・ULTRA・ODD Foot Worksほか全18作品 -2023.05.13-
カルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信するサービス FRIENDSHIP.の新譜を紹介。
キュレーターの金子厚武とナビゲーターの奥宮みさとによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
みさと:5月8日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全18作品の中から、まずはパート1 、6作品をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます。なんだか男性ボーカリストがすごく良いなっていうパート1だなと感じてたんですけど、somaさんが今回EPをリリースということで、おめでとうございます。
金子:やっぱり良い声ですよね。
みさと:癒されたー。すごく良かった。
金子:弾き語りがベーシックだから、somaさんの声の良さがめちゃめちゃ生きていて。FRIENDSHIP.で弾き語りの人だと眞名子新さんとかもいますけどsomaさんも素材の良さは十分伝わってくるから、この後どうなっていくのかがすごく気になる人ですね。
みさと:すごくフォーキーな、ちょっと雲がかった感じに、彼の良さがすごく表れていて。シンプルなんだけど、この後もうちょっと調理させていただけたらどうなるのか。そんな期待も込めつつ、このEPを経て、どんな作品が作られるかも楽しみですよね。
金子:バンドアレンジしてもいいだろうし。
みさと:良さそう。ライブ観てみたいなー。
金子:トラックメーカーと一緒にやってもいいと思うし、どっちもできそうですよね。
みさと:ioniさんはいろいろ遊びながら作られるタイプなので、ioniさんスタイルでsomaさんがやるようになってもきっとはまるだろうし。「カーブミラー」、よかったですね。大好きです。
金子:5月も半ばを迎えまして、五月病でね、"うーん"ってなってる人もいるかもしれないですけど、この曲では〈真夜中2時半〉が歌われていて、今の時間にぴったりな曲で。毎日が不安だったりする中で、少し愚痴みたいなことを吐き出したら、ちょっと気持ちが楽になって、これをそのまま曲にしちゃえばいいんだと思って作ったというのが、ご本人のコメントとしてありまして。実際ちょっと内省的だけど、音は非常に繊細なioniさん節で、不安な気持ちとかがすっと消化されていくような曲になっているので、今五月病かなっていう人にもいいんじゃないかなと思います。
みさと:すごくいい。やっぱり丑三つ時はみんな感傷的になりますよね。作り方としても多重録音のパートは即興的に重ねたっていう風にコメントをいただいてるんですけど、自分の中にあるものを吐き出しながら作っていったっていうのは、不安を吐露するようなテーマと相まって、すごく素晴らしい作品ですね。さあ、そんなパート1からはどなたをかけましょうか?
金子:pollyをかけようと思います。
みさと::polly、今回EPですよ。
金子:3人組のpollyとなってからは初めてのEPということで、僕この前SENSAで取材をしたんですけど、メンバー3人とも晴れやかな表情でした。新しい体制になって、デビュー作みたいなつもりで作ったと越雲くんが言っていた通り、新たな名刺になるような作品になったんじゃないかと思うし、「これぞpolly」っていう感じの作品に間違いなくなってるなと思ういます。
みさと:越雲くんの声って、細胞に染み渡ってくれるような、私達に向けて届けてくれた言葉が自分の中で増幅するような、そういう言葉遣い、言葉選びがあって、彼の声のエッセンスがまた強くなっていくんでしょうね。
金子:歌詞を読むと別れがテーマになってるんですよね。本作は元PELICAN FANCLUBのカミヤマくんがサポートでベースを弾いていて、エンジニアがIvy to Fraudulent Gameのドラムの福島くんなんですけど、メンバー含めた5人が5人とも、この1年でメンバーの脱退、もしくは自分が脱退することを経験していて。
みさと:泣きそう。
金子:でもこの「MORNINGRISE」では〈別れのその先に はじまりの音がする〉と歌われていて。このキラキラした音で、この言葉を歌ってるっていう、それだけでちょっとグッときちゃうんですよ。
みさと:ほんとですね。
金子:これは言葉通り、はじまりの音なんだなっていう。
みさと:やっぱり経験した人じゃないとわからないし、鳴らせない音があるんだと思う。いいね、もう3月4月を経て5月、ちょうどいい季節じゃないですか。聴いてみましょう。
金子:pollyで「MORNINGRISE」
みさと:やっぱり物事の答えが決まってないときが一番つらいと思うんです。でももう別れが終わって、次は前に進むんだっていう時期に来たときの人間としての力というか、個人としてのきらめきみたいなものが詰まってますね。
金子:それが音にも声にも表れてますよね。
みさと:新譜ダイジェストPart2をお送りしました。リリースおめでとうございます。Helsinki Lambda Club、良かったです。
金子:先月出した「speed」もかっこよかったですけど、今回また違うタイプの曲調になっていて、(資料にある)コメントにはいろんなリファレンスになってるアーティストの名前が書いてあったりするんですけど、個人的にはその中でもスーパーオーガニズムっぽい感じと、細野晴臣さんっぽいトロピカルな感じを混ぜつつ、ちょっとパーティーモードに仕上げてるみたいな印象で。これはなかなか他では聴いたことのない、ヘルシンキならではのオリジナルな曲になってるなと思いました。
みさと:リファレンスこうなんだよって書いてくれるのはすごく気持ちがいいですよね。
金子:音楽好きな感じがしますね。
みさと:そして納得ができる。「多分このエッセンスがこれなんだな」っていう、自分の中での答え合わせも楽しい曲だなっていうのと、あと歌詞的に自分自身が理解できない相手とか、"うん?"って思ったときに、肩でこう、スッて避けて生きられたら楽だろうな、生きやすいだろうな、なんてことを思いながら聴いていました。
金子:曲のテーマは、ドラマの「フレンズ」がモチーフになってるらしいんですけど、俺、あんまり「フレンズ」見てないんですよね。
みさと:私も「フレンズ」通ってないんです。
金子:俺、「アルフ」派なんですよね。
みさと:「アルフ」派(笑)!
金子:異星人アルフね。
みさと:ちょっと「フレンズ」と対にするには微妙なところ持ってきました。
金子:アメリカのホームドラマで、90年代でっていう。
みさと:そうですけど、方向性全然違くない(笑)?では、そんな「アルフ」派の厚武さんとお送りしてますが、こちらは初めましてさんです。Roxy Boys。
金子:これも良かったですね。
みさと:Duranさんのプロデュースなんですか?
金子:そうみたいですね。
みさと:びっくりです。
金子:アメリカと日本のミックスの2人組で、2019年に都内で結成して活動してるということで。Duranさんの激しいギタリストのイメージからすると、このロマンティックな、ちょっと80年代っぽいポップスをプロデュースしてるのは結びつかない気もしちゃうけど、でも彼らの声を聴いて、僕はThe fin.を連想して、この声の透明度はちょっと通じるところがあると思うんですよね。で、DuranさんはThe fin.と仲良くてライブでもサポートをしてたりするから、そこを考えればちょっとリンクもあるかなっていう。
みさと:確かに。別に対極にいるわけでもないっていうか、どこか交わってる感じはしますね。
金子:Duranさんはそれだけ幅広く何でもできちゃう人なんでしょうね。
みさと:そして、Part2からお送りするのは、どちらにしましょう。
金子:ULTRAをかけようと思います。
みさと:すごく良かった!「浮いた欲」、リリース待ってました。素晴らしいEPでした。
金子:改めてですけど、やっぱり壺坂さんと宮本さんのツインボーカルの相性が抜群ですよね。もちろん、オルタナなサウンドもめちゃめちゃかっこいいですけど、このボーカル2人の声の重なりにいろんなパターンがあって、相乗効果が起きていて、個人的にはそこがめちゃめちゃ魅力的でした。
みさと:リズム隊の骨太さに媚びないギターリフにやっぱりこの2人の声。最終的にやっぱりこの声だなっていう、すごくバリバリ硬派なわけじゃないっていうのはきっとこの2人の声に透明感があって、もろいわけじゃないんだけど、なんていうんだろうな、"触れるな危険"みたいな。そういうステッカーが貼ってあるような2人の混ざり合いっていうのが、自分たちの中のヒリヒリ感とリンクするっていう。これは他のバンドにはない強みですよね。
金子:今回EPは「浮いた欲」っていうタイトルで、特徴的なタイトルですけど、これについてはコメントがあって。「シンクの掃除をしていたら、どろっとした汚れがあって、汚いなと思いつつ、でもこれも人間が出したもので、内側か外側にあるかだけで感じ方が違う。いろんなことって全て表裏一体で、その対比があるから、綺麗なものを綺麗と感じることができる」みたいなコメントを寄せてくれていて。この対比みたいなものを2人のボーカリストが表していて、さっき言ってた"触れるな危険"みたいな、それって繊細さとも言えるし、獰猛さとも言える気もするし、そういう対比がこのバンドの曲を形作ってるんだなっていうのを、このタイトルからも改めて感じました。
みさと:声が乗ってないパートもかっこいいですよね。
金子:実力者揃いですからね。
みさと:素晴らしいです。
みさと:新譜ダイジェストPart3をお送りしました。リリースおめでとうございます。AKIRAさんが初めまして。
金子:2021年に都内を拠点に活動を開始した方で、2月のデビューシングルを皮切りに、まず12ヶ月連続リリースを敢行。ただ、制作意欲が止まることを知らず、結果的に23ヶ月連続リリース。倍になっちゃいました。
みさと:2年近くね、ずっとリリースしちゃった(笑)。FRIENDSHIP.にはShimon Hoshinoさん周りとかコンスタントに毎週のように曲を出してる方もいるんですけど、インストゥルメンタルな方がやっぱり多い。AKIRAさんは歌ってますからね。この制作意欲っていうのは、自分の中から湧き出るものが止められなくなっちゃった感じなんでしょうかね。
金子:トラックメーカーは結構いろんな方が参加してるから、その人たちとやり取りしつつってことだと思うんですけど、今回はSPENSRがトラックを担当していて、非常にかっこいいですね。歌声自体も非常にスムースで気持ちがいい。せっかくFRIENDSHIP.から出してくれたから、プレイリストとかに入ると、グッと再生回数伸びるんじゃないかっていう、そのポテンシャルは十分なんじゃないでしょうか。
みさと:いいですね。「人生の歩み方も歩むペースも選択するのは自分自身である。自分のことになると俯瞰で見られなくなり、キャパシティオーバーになることが多かったので、自分へのメッセージも込めて綴りました」と。もうまさにこの2年間のことが書かれていて。
金子:ちょっとキャパシティオーバーになっちゃってたんでしょうね。
みさと:でもそれをちゃんとこのペースに落とし込められたっていうのは、彼にとっても良かったんじゃないでしょうか。そして、ODD Foot Worksが結構いいんですけど。
金子:相変わらずかっこいいですね、この人たちは。Tondenheyこと有元キイチはちょっと前にソロを出してて、あれもまた違うスタイルでめちゃめちゃかっこよかったんですけど、今回のODD Foot Worksはショパンのノクターン第2番をサンプリングで使ったトラックになっていて。
みさと:今っぽいですよね。
金子:K-POPのアーティストとかもクラシックをサンプリングしてたりするから、そういうトレンド感も出しつつ、でもこのトラックはODD Footならではであり、このラップもODD Footならではっていう感じがすごくしますよね。
みさと:ヒップホップ色強めだなとは思うけど、少し上品に感じるのはこのサンプリングとミックスありきなのかなって思うと、有元キイチ、Tondenheyの才能も改めて感じられる1曲ですね。そんなPart3からお送りするのは......。
金子:楓幸枝さんをかけようと思います。
みさと:楓さんもEPのリリースです。おめでとうございます。
金子:元々最初のリリースが「ナンバムッタ」という曲で、漫画「宇宙兄弟」の主人公をモチーフにした曲だったわけですけど、その曲を出したことで、幸枝さんは「宇宙兄弟」の公式サイトでコラムの連載も始まったりとかして。
みさと:知らなかった。やっぱり声に出すというか、歌に出すというか。
金子:どんな形でも表に出すことって大事ですよね。そこから1年経って、今回はもう1人の主人公「ナンバムッタ」の弟である「ナンバヒビト」をテーマにした曲で、それでEPが締めくくられる。曲順で言うと、「ナンバヒビト」が頭で「ナンバムッタ」が最後になってるんですけど、それでEP全体が完成してるっていう、そのストーリー性もいいなと思いました。
みさと:ナンバヒビトと楓さんの関係値という意味でライナーノーツに書かれてるんですけど、「ヒビトと私が見た絶望と希望の記録」だという風に書いています。「パニック障害で宇宙飛行士としての人生を一度失った彼が、新たな希望を求めて歩き出し、再び望んだ未来へ降り立つ姿を描いた」と。楓さんご自身は病気と向き合ってた時期があったっていうことも含めて書かれてるんですけど、だからこそ1曲目に来てるんだろうなっていう、そのスタートがあったからこその締めくくりに向かう、そういった曲順でもあるのかなって思うと、胸がいっぱいになる。良いEPですね。
金子:この2曲はトラックメーカーも同じ人だったりして、そういう繋がりも感じさせつつ。
みさと:いや素晴らしい。EP「万華鏡タペストリー」からの1曲です。
みさと:こうやって振り返られるところまで来れてよかったです。本人はつらい時間も過ごされてきたと思いますけど、やっぱりミュージシャンはそういうつらさもこうやって作品にできるっていう強みがありますよね。
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、奥宮みさとと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。
放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
奥宮みさと
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。
TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。
安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10
Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin
FRIENDSHIP.
キュレーターの金子厚武とナビゲーターの奥宮みさとによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
New Release Digest Part 1
みさと:5月8日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全18作品の中から、まずはパート1 、6作品をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます。なんだか男性ボーカリストがすごく良いなっていうパート1だなと感じてたんですけど、somaさんが今回EPをリリースということで、おめでとうございます。
金子:やっぱり良い声ですよね。
みさと:癒されたー。すごく良かった。
金子:弾き語りがベーシックだから、somaさんの声の良さがめちゃめちゃ生きていて。FRIENDSHIP.で弾き語りの人だと眞名子新さんとかもいますけどsomaさんも素材の良さは十分伝わってくるから、この後どうなっていくのかがすごく気になる人ですね。
みさと:すごくフォーキーな、ちょっと雲がかった感じに、彼の良さがすごく表れていて。シンプルなんだけど、この後もうちょっと調理させていただけたらどうなるのか。そんな期待も込めつつ、このEPを経て、どんな作品が作られるかも楽しみですよね。
金子:バンドアレンジしてもいいだろうし。
みさと:良さそう。ライブ観てみたいなー。
金子:トラックメーカーと一緒にやってもいいと思うし、どっちもできそうですよね。
みさと:ioniさんはいろいろ遊びながら作られるタイプなので、ioniさんスタイルでsomaさんがやるようになってもきっとはまるだろうし。「カーブミラー」、よかったですね。大好きです。
金子:5月も半ばを迎えまして、五月病でね、"うーん"ってなってる人もいるかもしれないですけど、この曲では〈真夜中2時半〉が歌われていて、今の時間にぴったりな曲で。毎日が不安だったりする中で、少し愚痴みたいなことを吐き出したら、ちょっと気持ちが楽になって、これをそのまま曲にしちゃえばいいんだと思って作ったというのが、ご本人のコメントとしてありまして。実際ちょっと内省的だけど、音は非常に繊細なioniさん節で、不安な気持ちとかがすっと消化されていくような曲になっているので、今五月病かなっていう人にもいいんじゃないかなと思います。
みさと:すごくいい。やっぱり丑三つ時はみんな感傷的になりますよね。作り方としても多重録音のパートは即興的に重ねたっていう風にコメントをいただいてるんですけど、自分の中にあるものを吐き出しながら作っていったっていうのは、不安を吐露するようなテーマと相まって、すごく素晴らしい作品ですね。さあ、そんなパート1からはどなたをかけましょうか?
金子:pollyをかけようと思います。
みさと::polly、今回EPですよ。
金子:3人組のpollyとなってからは初めてのEPということで、僕この前SENSAで取材をしたんですけど、メンバー3人とも晴れやかな表情でした。新しい体制になって、デビュー作みたいなつもりで作ったと越雲くんが言っていた通り、新たな名刺になるような作品になったんじゃないかと思うし、「これぞpolly」っていう感じの作品に間違いなくなってるなと思ういます。
みさと:越雲くんの声って、細胞に染み渡ってくれるような、私達に向けて届けてくれた言葉が自分の中で増幅するような、そういう言葉遣い、言葉選びがあって、彼の声のエッセンスがまた強くなっていくんでしょうね。
金子:歌詞を読むと別れがテーマになってるんですよね。本作は元PELICAN FANCLUBのカミヤマくんがサポートでベースを弾いていて、エンジニアがIvy to Fraudulent Gameのドラムの福島くんなんですけど、メンバー含めた5人が5人とも、この1年でメンバーの脱退、もしくは自分が脱退することを経験していて。
みさと:泣きそう。
金子:でもこの「MORNINGRISE」では〈別れのその先に はじまりの音がする〉と歌われていて。このキラキラした音で、この言葉を歌ってるっていう、それだけでちょっとグッときちゃうんですよ。
みさと:ほんとですね。
金子:これは言葉通り、はじまりの音なんだなっていう。
みさと:やっぱり経験した人じゃないとわからないし、鳴らせない音があるんだと思う。いいね、もう3月4月を経て5月、ちょうどいい季節じゃないですか。聴いてみましょう。
金子:pollyで「MORNINGRISE」
みさと:やっぱり物事の答えが決まってないときが一番つらいと思うんです。でももう別れが終わって、次は前に進むんだっていう時期に来たときの人間としての力というか、個人としてのきらめきみたいなものが詰まってますね。
金子:それが音にも声にも表れてますよね。
New Release Digest Part 2
みさと:新譜ダイジェストPart2をお送りしました。リリースおめでとうございます。Helsinki Lambda Club、良かったです。
金子:先月出した「speed」もかっこよかったですけど、今回また違うタイプの曲調になっていて、(資料にある)コメントにはいろんなリファレンスになってるアーティストの名前が書いてあったりするんですけど、個人的にはその中でもスーパーオーガニズムっぽい感じと、細野晴臣さんっぽいトロピカルな感じを混ぜつつ、ちょっとパーティーモードに仕上げてるみたいな印象で。これはなかなか他では聴いたことのない、ヘルシンキならではのオリジナルな曲になってるなと思いました。
みさと:リファレンスこうなんだよって書いてくれるのはすごく気持ちがいいですよね。
金子:音楽好きな感じがしますね。
みさと:そして納得ができる。「多分このエッセンスがこれなんだな」っていう、自分の中での答え合わせも楽しい曲だなっていうのと、あと歌詞的に自分自身が理解できない相手とか、"うん?"って思ったときに、肩でこう、スッて避けて生きられたら楽だろうな、生きやすいだろうな、なんてことを思いながら聴いていました。
金子:曲のテーマは、ドラマの「フレンズ」がモチーフになってるらしいんですけど、俺、あんまり「フレンズ」見てないんですよね。
みさと:私も「フレンズ」通ってないんです。
金子:俺、「アルフ」派なんですよね。
みさと:「アルフ」派(笑)!
金子:異星人アルフね。
みさと:ちょっと「フレンズ」と対にするには微妙なところ持ってきました。
金子:アメリカのホームドラマで、90年代でっていう。
みさと:そうですけど、方向性全然違くない(笑)?では、そんな「アルフ」派の厚武さんとお送りしてますが、こちらは初めましてさんです。Roxy Boys。
金子:これも良かったですね。
みさと:Duranさんのプロデュースなんですか?
金子:そうみたいですね。
みさと:びっくりです。
金子:アメリカと日本のミックスの2人組で、2019年に都内で結成して活動してるということで。Duranさんの激しいギタリストのイメージからすると、このロマンティックな、ちょっと80年代っぽいポップスをプロデュースしてるのは結びつかない気もしちゃうけど、でも彼らの声を聴いて、僕はThe fin.を連想して、この声の透明度はちょっと通じるところがあると思うんですよね。で、DuranさんはThe fin.と仲良くてライブでもサポートをしてたりするから、そこを考えればちょっとリンクもあるかなっていう。
みさと:確かに。別に対極にいるわけでもないっていうか、どこか交わってる感じはしますね。
金子:Duranさんはそれだけ幅広く何でもできちゃう人なんでしょうね。
みさと:そして、Part2からお送りするのは、どちらにしましょう。
金子:ULTRAをかけようと思います。
みさと:すごく良かった!「浮いた欲」、リリース待ってました。素晴らしいEPでした。
金子:改めてですけど、やっぱり壺坂さんと宮本さんのツインボーカルの相性が抜群ですよね。もちろん、オルタナなサウンドもめちゃめちゃかっこいいですけど、このボーカル2人の声の重なりにいろんなパターンがあって、相乗効果が起きていて、個人的にはそこがめちゃめちゃ魅力的でした。
みさと:リズム隊の骨太さに媚びないギターリフにやっぱりこの2人の声。最終的にやっぱりこの声だなっていう、すごくバリバリ硬派なわけじゃないっていうのはきっとこの2人の声に透明感があって、もろいわけじゃないんだけど、なんていうんだろうな、"触れるな危険"みたいな。そういうステッカーが貼ってあるような2人の混ざり合いっていうのが、自分たちの中のヒリヒリ感とリンクするっていう。これは他のバンドにはない強みですよね。
金子:今回EPは「浮いた欲」っていうタイトルで、特徴的なタイトルですけど、これについてはコメントがあって。「シンクの掃除をしていたら、どろっとした汚れがあって、汚いなと思いつつ、でもこれも人間が出したもので、内側か外側にあるかだけで感じ方が違う。いろんなことって全て表裏一体で、その対比があるから、綺麗なものを綺麗と感じることができる」みたいなコメントを寄せてくれていて。この対比みたいなものを2人のボーカリストが表していて、さっき言ってた"触れるな危険"みたいな、それって繊細さとも言えるし、獰猛さとも言える気もするし、そういう対比がこのバンドの曲を形作ってるんだなっていうのを、このタイトルからも改めて感じました。
みさと:声が乗ってないパートもかっこいいですよね。
金子:実力者揃いですからね。
みさと:素晴らしいです。
New Release Digest Part 3
みさと:新譜ダイジェストPart3をお送りしました。リリースおめでとうございます。AKIRAさんが初めまして。
金子:2021年に都内を拠点に活動を開始した方で、2月のデビューシングルを皮切りに、まず12ヶ月連続リリースを敢行。ただ、制作意欲が止まることを知らず、結果的に23ヶ月連続リリース。倍になっちゃいました。
みさと:2年近くね、ずっとリリースしちゃった(笑)。FRIENDSHIP.にはShimon Hoshinoさん周りとかコンスタントに毎週のように曲を出してる方もいるんですけど、インストゥルメンタルな方がやっぱり多い。AKIRAさんは歌ってますからね。この制作意欲っていうのは、自分の中から湧き出るものが止められなくなっちゃった感じなんでしょうかね。
金子:トラックメーカーは結構いろんな方が参加してるから、その人たちとやり取りしつつってことだと思うんですけど、今回はSPENSRがトラックを担当していて、非常にかっこいいですね。歌声自体も非常にスムースで気持ちがいい。せっかくFRIENDSHIP.から出してくれたから、プレイリストとかに入ると、グッと再生回数伸びるんじゃないかっていう、そのポテンシャルは十分なんじゃないでしょうか。
みさと:いいですね。「人生の歩み方も歩むペースも選択するのは自分自身である。自分のことになると俯瞰で見られなくなり、キャパシティオーバーになることが多かったので、自分へのメッセージも込めて綴りました」と。もうまさにこの2年間のことが書かれていて。
金子:ちょっとキャパシティオーバーになっちゃってたんでしょうね。
みさと:でもそれをちゃんとこのペースに落とし込められたっていうのは、彼にとっても良かったんじゃないでしょうか。そして、ODD Foot Worksが結構いいんですけど。
金子:相変わらずかっこいいですね、この人たちは。Tondenheyこと有元キイチはちょっと前にソロを出してて、あれもまた違うスタイルでめちゃめちゃかっこよかったんですけど、今回のODD Foot Worksはショパンのノクターン第2番をサンプリングで使ったトラックになっていて。
みさと:今っぽいですよね。
金子:K-POPのアーティストとかもクラシックをサンプリングしてたりするから、そういうトレンド感も出しつつ、でもこのトラックはODD Footならではであり、このラップもODD Footならではっていう感じがすごくしますよね。
みさと:ヒップホップ色強めだなとは思うけど、少し上品に感じるのはこのサンプリングとミックスありきなのかなって思うと、有元キイチ、Tondenheyの才能も改めて感じられる1曲ですね。そんなPart3からお送りするのは......。
金子:楓幸枝さんをかけようと思います。
みさと:楓さんもEPのリリースです。おめでとうございます。
金子:元々最初のリリースが「ナンバムッタ」という曲で、漫画「宇宙兄弟」の主人公をモチーフにした曲だったわけですけど、その曲を出したことで、幸枝さんは「宇宙兄弟」の公式サイトでコラムの連載も始まったりとかして。
みさと:知らなかった。やっぱり声に出すというか、歌に出すというか。
金子:どんな形でも表に出すことって大事ですよね。そこから1年経って、今回はもう1人の主人公「ナンバムッタ」の弟である「ナンバヒビト」をテーマにした曲で、それでEPが締めくくられる。曲順で言うと、「ナンバヒビト」が頭で「ナンバムッタ」が最後になってるんですけど、それでEP全体が完成してるっていう、そのストーリー性もいいなと思いました。
みさと:ナンバヒビトと楓さんの関係値という意味でライナーノーツに書かれてるんですけど、「ヒビトと私が見た絶望と希望の記録」だという風に書いています。「パニック障害で宇宙飛行士としての人生を一度失った彼が、新たな希望を求めて歩き出し、再び望んだ未来へ降り立つ姿を描いた」と。楓さんご自身は病気と向き合ってた時期があったっていうことも含めて書かれてるんですけど、だからこそ1曲目に来てるんだろうなっていう、そのスタートがあったからこその締めくくりに向かう、そういった曲順でもあるのかなって思うと、胸がいっぱいになる。良いEPですね。
金子:この2曲はトラックメーカーも同じ人だったりして、そういう繋がりも感じさせつつ。
みさと:いや素晴らしい。EP「万華鏡タペストリー」からの1曲です。
みさと:こうやって振り返られるところまで来れてよかったです。本人はつらい時間も過ごされてきたと思いますけど、やっぱりミュージシャンはそういうつらさもこうやって作品にできるっていう強みがありますよね。
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、奥宮みさとと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。
放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
番組MC
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
奥宮みさと
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。
TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。
安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10
Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin
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