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2023.05.07
FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介! 志摩陽立・Emerald・LIGHTERSほか全16作品 -2023.05.06-
カルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信するサービス FRIENDSHIP.の新譜を紹介。
キュレーターの金子厚武とナビゲーターの奥宮みさとによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
みさと:5月1日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全16作品の中から、まずはPart 1をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます!First Love is Never Returned、めちゃくちゃ良かったです。
金子:いいですよね。テンポよくリリースが続き、今回は「Twenty-Twenty」というタイトルで、先週omeme tentenのリリースがありましたけど、そのとき紹介したのも「2020」という曲でした。コロナが落ち着いてきて、2020年という年をもう一度見つめ返して表現する人たちが少しずつ増えてきているのかなと思って、「マスク」を歌詞のモチーフにしている「Twenty-Twenty」はまさにそうだなと。ミュージシャンと話をすると、時事ネタを歌詞にしちゃうとそこから何年か経ったときに曲が古くなっちゃうから、あんまり入れたくないみたいな人もいると思うんですけど、個人的にはその時代のモチーフを歌詞に入れこんじゃうの結構好きで。この曲はマスクをモチーフにはしているんだけど、ただ2020年の状況を描くだけじゃなくて、もう少し広く"心の壁"みたいな、それをどう取り払うかを歌っていて、すごく良かったですね。
みさと:グッとくる歌詞にグッドメロディーが重なって、サウンドもときにグルーヴィーでロックだし、でも総じてポップで「海鮮丼だな」という感じでしたね。ネタはウニとイクラ、トロですね。
金子:北海道出身のバンドですからね。
みさと:あはは(笑)。新鮮なネタがてんこ盛りでした。すごい曲作りだなって、改めて脱帽しました。素晴らしい作品のリリースおめでとうございます。そして、かわいあこさんの歌詞も曲作りに対する意識としてとても良かったです。
金子:おっしゃる通り歌詞が印象的で、今回は彼女の出身である岐阜の朝のニュース番組用に書いた曲なんですけど、彼女自身は「普段聴く曲や作る曲がアングラな雰囲気のものが多く、明るい曲を書くのがひさしぶりすぎて苦戦した」という(笑)。
みさと:いいですね〜。
金子:それで最終的に出てきたのが、「特別じゃない僕らのこと ねえ ぎゅっとしてやってよ」という言葉で、「これが今の私が書ける最大限の明るい曲」だとご本人がコメントをくれています。でもこの感じはいいですよね。
みさと:「苦しい」という気持ちを伝えるのにも、どんな言葉を使うかで感じさせ方が変わるなと。日本語の曖昧さとか遠まわしな表現の美学だと思うんですよ。聴く相手が見えているからこそできた歌詞だなと思いました。岐阜のニュース番組の朝の時間にかかるというお題があったからこそ、この歌詞になったんだなっていうのがすごく伝わってきますね。
みさと:ではそんなPart 1からは、どの曲をかけましょうか?
金子:志摩陽立さんをかけようかなと思います。
みさと:Part 1は歌詞の世界観が面白い方たちが結構いましたね。
金子:そうですね。「ベンハムのコマ」が何なのか僕はわかってないんですけど(笑)。
みさと:「ベンハムのコマ」調べましたよ!白黒模様のコマを回すと、だんだん色がついて見えてくるんですよ。それが「僕のグレーな世界 ちょっとずつ色が付いてるように見える 君の手品」という歌詞とリンクしているという。ジャケットも「ベンハムのコマ」の独特な模様が使われていました。
金子:なるほど、面白いですね。僕が志摩さんの曲をかけたいなと思ったのが、結構個人的な理由で、ちょっと話がずれるんですけど、シンガーソングライターのKANさんいるじゃないですか?あの方は福岡の出身で、僕昔から大好きなんですよね。「愛は勝つ」だけじゃなくて、いい曲がめちゃめちゃいっぱいある。今年3月にがんを公表して、今は治療をされてるんですけど、志摩陽立さんを聴いてKANさんの曲を思い出したんです。
みさと:そうなんですね。
金子:たぶんルーツが近いんだと思うんですよね。Donald Fagenとか、Stevie Wonderとか、ルーツが近いから似たニュアンスがあるんだと思うんですけど、この感じがすごく好きで。福岡の番組だし、すごく勝手な思い入れなんですけど、応援する気持ちも込めて、この曲をかけたいなと思いました。
みさと:そうしましょう。KANさんは若手が頑張ることすごく好きな方ですもんね。
みさと:新譜ダイジェストPart 2でした。リリースおめでとうございます!毎回新作を聴くたびに才能豊かだなと感じるのはHalleさんです。
金子:若くして才能豊かですよね。
みさと:メロディーラインの美しさにサウンドの遊び方。彼はどういう生き方をされて、こんなふうに成熟されていったんでしょうね。
金子:今回の曲については「自分の見てきた90年代の映画と重ねて歌詞を書きました」というコメントがあって、まだ20歳だから当然90年代の映画なんてリアルタイムではないわけですけど、『ボンベイ』というインド映画が90年代にあって、もしかしたらそれを見ているのかもしれない。あと今回アートワークが、ターンテーブルにカラーバイナルをセットしようとしている写真が使われていて、そういう彼にとっては新鮮な昔のカルチャーも好きなのかなって。
みさと:音を聴くとすごく洗練されていますけど、ルーツはそこなんですかね。
金子:すごく今っぽさもあるけど、その裏側にはいろんな年代に対する興味があってできているって考えると、すごく良いですよね。
みさと:いいですね。その差をどんどん広げて呼吸をなくす感じというと、Mikan Hayashiさん。
金子:これすごくいい曲ですよね。こちらは台湾出身アーティスト同士のコラボで、Mikan Hayashiさんはもともと日本語で世界観を描くということをやってきた方なわけですけど、そのコラボ相手の多多x以捷はこれまで日本語では歌ってないだろうから......。
みさと:資料的にはそんな雰囲気ありますよね。
金子:だとしたら、日本語かなり上手いですよね。
みさと:素晴らしい。
金子:Mikan Hayashiさんが「こういうふうに発音するといいんだよ」みたいなのを教えたのかなあ。
みさと:あったかもしれないですね。
金子:ちなみにMikan Hayashiさんは5月20日と21日に福岡で開催される「CIRCLE」というフェスに出るので、ぜひチェックですね。
みさと:いいな!福岡のみなさん、要チェックです。そんなPart2からは、どの曲をかけましょうか?
金子:Emeraldをかけようと思います。
みさと:とてもよかったです。
金子:良かったですよね。新曲はひさびさです。去年の6月の自主企画があってから、キーボードの中村くんがちょっと活動をお休みしていたんですけど、今回の新曲から復帰して、また本格的に活動していくと。
みさと:よかったですね。
金子:曲自体はもちろんEmeraldらしさが十分にあるんですけど、生演奏というよりも打ち込みのトラック寄りの音像になっていて、この感じのEmeraldは新鮮でした。歌自体も相変わらず素晴らしいんですけど、このトラックと歌との組み合わせがまた新しいEmerald像を作っている感じがしてすごく良かったですね。
みさと:いいですね。打ち込みが生で演奏されるという想像をすると、少しポスト・bonobosな感じがありません?
金子:共通のルーツとしてフィッシュマンズとかはあると思うから、その感じもわかります。
みさと:声もちょっと蔡さんの要素あるなと思って聴いていたんですけど、すごくキラキラ・シャラシャラが行き来する感じも、まさにナイトアーバンポップスだなという、とてもグッドな1曲でしたね。
金子:僕はFirst Love is Never Returnedと対バンしてほしいと思いました。
みさと:行く!そのライブはいつあるの(笑)!?いいね!
金子:ボーカル対決して欲しいですよね(笑)。
みさと:めっちゃいいじゃん!(もし対バンするのであれば)絶対に行きます!
金子:Emeraldは6月に自主企画のツーマンイベントでYONA YONA WEEKENDERSとの対バンが決まってるみたいなんですけど、2マンシリーズを続けるなら、いつかFirst Love is Never Returnedとも対バンして欲しいですね。
みさと:新譜ダイジェストPart 3でした。リリースおめでとうございます!はじめましてさんが2組いて、SuU(スウ)さんとPuff(パフ)。
金子:SuUさんは2019年に宅録のソロプロジェクトとして始動した方。曲のタイトルが「あなたの中で死んだようです」。インパクトありますよね。
みさと:恋愛の市場では惚れたもん負けですよね。しょうがない。
金子:SuUさんはもともと完全に宅録で、楽器演奏も全部自分でやったりしていたみたいなんですけど、この曲はレコーディングやミックスはご自身でやりつつ、演奏はいろんな人が参加されているみたいです。なのでバンド感もありつつ、このちょっとしゃがれ声でフォーキーなテイストがあって、すごくいい曲でしたね。
みさと:この声とこの歌詞は合いますね。
金子:情念までいかないけど、そういう感じありますよね。
みさと:ちょっとやさぐれてる感じがいいですね。これ爽やかすぎる人だと、もう少し軽く聴こえちゃうんだよな...。
金子:そうですね、わかります。
みさと:でも渋みを増しすぎると、聴いてて心配しちゃう(笑)。
金子:ドロドロになりすぎてもね。
みさと:やっぱりご自身の声に合う曲作りをしているんだなというのも感じたところです。それで言うとPuffも、やっぱりこのチームだからこそ、この曲調なんだなというのが詰まっていますね。
金子:そうでしょうね。Puffは2022年に東京で結成されたポップバンドで、バンド内にデザイナーや映像制作者もいて、まさに曲のタイトル「Creation,Etc」通りのクリエイター集団という感じです。ボーカルのiraminaさん自身が映像作家みたいで、今回の曲に関しては「常に自分が作るものに自信がなくて、日々ダウナーな気持ちなのですが、きっとみんなもそうだろうと思い、そういう気持ちを曲にしました」とコメントされていて、ちょっとかわいあこさんの曲とも通じる部分がありますよね。ちゃんと自分を認めてあげる大事さ。特にもの作りをしている人は日々自分と向きあっているだろうから、そういう自分を認めてあげる大事さというのはあるなと。
みさと:ではPart 3からはどの曲をかけましょうか?
金子:Part 3はかけたい曲いっぱいあって......Sen Morimotoもめちゃめちゃかっこよかったですし。
みさと:めっちゃかっこよかった!なのでポッドキャストで語りましょう!
金子:そうしましょう。沖メイさんの新曲も良かったですしね。
みさと:沖メイさんもよかったよ!出産後の新曲で、やっぱり女性は強くなりますね。
金子:でもPart3ではLIGHTERSをかけようかなと思います。
みさと:LIGHTERSも良かったですよね。
金子:昨年メンバーが1人抜けて、今回からRumi Nagasawaさんの1人になって、でも本名名義でとかじゃなく、ちゃんとこの"LIGHTERS"という看板を守っていくというか。
みさと:素晴らしいよ〜。
金子:まずそれがグッとくるし、でも参加している人たちはこれまで同様サウンドプロデュースにDYGLのKamotoくんがいたり、レコーディングはHiroshi Ikedaさんがやっていたりして。そういうチーム感もありつつ、LIGHTERSらしいインディーロック的な世界観をより突き詰めている感じがして、とても良かったですね。
みさと:1人でやっていくって、すごい覚悟が必要だったんじゃないかと思いますよね。
金子:そうだと思います。
みさと:でもやっぱり周りのサポートしている人たちが納得の布陣だし、彼女はきっとずっと創作を止めないんだなという。安心感のある作品になっていましたね。
金子:2人編成で最後に出した曲が「rainy」というタイトルだったんですよね。雨が降ったけど、でもその先で夜明けを、「dawn」を迎えて、この曲が出来たんだろうなというストーリー性も感じました。
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、奥宮みさとと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。
放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
奥宮みさと
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。
TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。
安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10
Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin
FRIENDSHIP.
キュレーターの金子厚武とナビゲーターの奥宮みさとによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
New Release Digest Part 1
みさと:5月1日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全16作品の中から、まずはPart 1をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます!First Love is Never Returned、めちゃくちゃ良かったです。
金子:いいですよね。テンポよくリリースが続き、今回は「Twenty-Twenty」というタイトルで、先週omeme tentenのリリースがありましたけど、そのとき紹介したのも「2020」という曲でした。コロナが落ち着いてきて、2020年という年をもう一度見つめ返して表現する人たちが少しずつ増えてきているのかなと思って、「マスク」を歌詞のモチーフにしている「Twenty-Twenty」はまさにそうだなと。ミュージシャンと話をすると、時事ネタを歌詞にしちゃうとそこから何年か経ったときに曲が古くなっちゃうから、あんまり入れたくないみたいな人もいると思うんですけど、個人的にはその時代のモチーフを歌詞に入れこんじゃうの結構好きで。この曲はマスクをモチーフにはしているんだけど、ただ2020年の状況を描くだけじゃなくて、もう少し広く"心の壁"みたいな、それをどう取り払うかを歌っていて、すごく良かったですね。
みさと:グッとくる歌詞にグッドメロディーが重なって、サウンドもときにグルーヴィーでロックだし、でも総じてポップで「海鮮丼だな」という感じでしたね。ネタはウニとイクラ、トロですね。
金子:北海道出身のバンドですからね。
みさと:あはは(笑)。新鮮なネタがてんこ盛りでした。すごい曲作りだなって、改めて脱帽しました。素晴らしい作品のリリースおめでとうございます。そして、かわいあこさんの歌詞も曲作りに対する意識としてとても良かったです。
金子:おっしゃる通り歌詞が印象的で、今回は彼女の出身である岐阜の朝のニュース番組用に書いた曲なんですけど、彼女自身は「普段聴く曲や作る曲がアングラな雰囲気のものが多く、明るい曲を書くのがひさしぶりすぎて苦戦した」という(笑)。
みさと:いいですね〜。
金子:それで最終的に出てきたのが、「特別じゃない僕らのこと ねえ ぎゅっとしてやってよ」という言葉で、「これが今の私が書ける最大限の明るい曲」だとご本人がコメントをくれています。でもこの感じはいいですよね。
みさと:「苦しい」という気持ちを伝えるのにも、どんな言葉を使うかで感じさせ方が変わるなと。日本語の曖昧さとか遠まわしな表現の美学だと思うんですよ。聴く相手が見えているからこそできた歌詞だなと思いました。岐阜のニュース番組の朝の時間にかかるというお題があったからこそ、この歌詞になったんだなっていうのがすごく伝わってきますね。
みさと:ではそんなPart 1からは、どの曲をかけましょうか?
金子:志摩陽立さんをかけようかなと思います。
みさと:Part 1は歌詞の世界観が面白い方たちが結構いましたね。
金子:そうですね。「ベンハムのコマ」が何なのか僕はわかってないんですけど(笑)。
みさと:「ベンハムのコマ」調べましたよ!白黒模様のコマを回すと、だんだん色がついて見えてくるんですよ。それが「僕のグレーな世界 ちょっとずつ色が付いてるように見える 君の手品」という歌詞とリンクしているという。ジャケットも「ベンハムのコマ」の独特な模様が使われていました。
金子:なるほど、面白いですね。僕が志摩さんの曲をかけたいなと思ったのが、結構個人的な理由で、ちょっと話がずれるんですけど、シンガーソングライターのKANさんいるじゃないですか?あの方は福岡の出身で、僕昔から大好きなんですよね。「愛は勝つ」だけじゃなくて、いい曲がめちゃめちゃいっぱいある。今年3月にがんを公表して、今は治療をされてるんですけど、志摩陽立さんを聴いてKANさんの曲を思い出したんです。
みさと:そうなんですね。
金子:たぶんルーツが近いんだと思うんですよね。Donald Fagenとか、Stevie Wonderとか、ルーツが近いから似たニュアンスがあるんだと思うんですけど、この感じがすごく好きで。福岡の番組だし、すごく勝手な思い入れなんですけど、応援する気持ちも込めて、この曲をかけたいなと思いました。
みさと:そうしましょう。KANさんは若手が頑張ることすごく好きな方ですもんね。
New Release Digest Part 2
みさと:新譜ダイジェストPart 2でした。リリースおめでとうございます!毎回新作を聴くたびに才能豊かだなと感じるのはHalleさんです。
金子:若くして才能豊かですよね。
みさと:メロディーラインの美しさにサウンドの遊び方。彼はどういう生き方をされて、こんなふうに成熟されていったんでしょうね。
金子:今回の曲については「自分の見てきた90年代の映画と重ねて歌詞を書きました」というコメントがあって、まだ20歳だから当然90年代の映画なんてリアルタイムではないわけですけど、『ボンベイ』というインド映画が90年代にあって、もしかしたらそれを見ているのかもしれない。あと今回アートワークが、ターンテーブルにカラーバイナルをセットしようとしている写真が使われていて、そういう彼にとっては新鮮な昔のカルチャーも好きなのかなって。
みさと:音を聴くとすごく洗練されていますけど、ルーツはそこなんですかね。
金子:すごく今っぽさもあるけど、その裏側にはいろんな年代に対する興味があってできているって考えると、すごく良いですよね。
みさと:いいですね。その差をどんどん広げて呼吸をなくす感じというと、Mikan Hayashiさん。
金子:これすごくいい曲ですよね。こちらは台湾出身アーティスト同士のコラボで、Mikan Hayashiさんはもともと日本語で世界観を描くということをやってきた方なわけですけど、そのコラボ相手の多多x以捷はこれまで日本語では歌ってないだろうから......。
みさと:資料的にはそんな雰囲気ありますよね。
金子:だとしたら、日本語かなり上手いですよね。
みさと:素晴らしい。
金子:Mikan Hayashiさんが「こういうふうに発音するといいんだよ」みたいなのを教えたのかなあ。
みさと:あったかもしれないですね。
金子:ちなみにMikan Hayashiさんは5月20日と21日に福岡で開催される「CIRCLE」というフェスに出るので、ぜひチェックですね。
みさと:いいな!福岡のみなさん、要チェックです。そんなPart2からは、どの曲をかけましょうか?
金子:Emeraldをかけようと思います。
みさと:とてもよかったです。
金子:良かったですよね。新曲はひさびさです。去年の6月の自主企画があってから、キーボードの中村くんがちょっと活動をお休みしていたんですけど、今回の新曲から復帰して、また本格的に活動していくと。
みさと:よかったですね。
金子:曲自体はもちろんEmeraldらしさが十分にあるんですけど、生演奏というよりも打ち込みのトラック寄りの音像になっていて、この感じのEmeraldは新鮮でした。歌自体も相変わらず素晴らしいんですけど、このトラックと歌との組み合わせがまた新しいEmerald像を作っている感じがしてすごく良かったですね。
みさと:いいですね。打ち込みが生で演奏されるという想像をすると、少しポスト・bonobosな感じがありません?
金子:共通のルーツとしてフィッシュマンズとかはあると思うから、その感じもわかります。
みさと:声もちょっと蔡さんの要素あるなと思って聴いていたんですけど、すごくキラキラ・シャラシャラが行き来する感じも、まさにナイトアーバンポップスだなという、とてもグッドな1曲でしたね。
金子:僕はFirst Love is Never Returnedと対バンしてほしいと思いました。
みさと:行く!そのライブはいつあるの(笑)!?いいね!
金子:ボーカル対決して欲しいですよね(笑)。
みさと:めっちゃいいじゃん!(もし対バンするのであれば)絶対に行きます!
金子:Emeraldは6月に自主企画のツーマンイベントでYONA YONA WEEKENDERSとの対バンが決まってるみたいなんですけど、2マンシリーズを続けるなら、いつかFirst Love is Never Returnedとも対バンして欲しいですね。
New Release Digest Part 3
みさと:新譜ダイジェストPart 3でした。リリースおめでとうございます!はじめましてさんが2組いて、SuU(スウ)さんとPuff(パフ)。
金子:SuUさんは2019年に宅録のソロプロジェクトとして始動した方。曲のタイトルが「あなたの中で死んだようです」。インパクトありますよね。
みさと:恋愛の市場では惚れたもん負けですよね。しょうがない。
金子:SuUさんはもともと完全に宅録で、楽器演奏も全部自分でやったりしていたみたいなんですけど、この曲はレコーディングやミックスはご自身でやりつつ、演奏はいろんな人が参加されているみたいです。なのでバンド感もありつつ、このちょっとしゃがれ声でフォーキーなテイストがあって、すごくいい曲でしたね。
みさと:この声とこの歌詞は合いますね。
金子:情念までいかないけど、そういう感じありますよね。
みさと:ちょっとやさぐれてる感じがいいですね。これ爽やかすぎる人だと、もう少し軽く聴こえちゃうんだよな...。
金子:そうですね、わかります。
みさと:でも渋みを増しすぎると、聴いてて心配しちゃう(笑)。
金子:ドロドロになりすぎてもね。
みさと:やっぱりご自身の声に合う曲作りをしているんだなというのも感じたところです。それで言うとPuffも、やっぱりこのチームだからこそ、この曲調なんだなというのが詰まっていますね。
金子:そうでしょうね。Puffは2022年に東京で結成されたポップバンドで、バンド内にデザイナーや映像制作者もいて、まさに曲のタイトル「Creation,Etc」通りのクリエイター集団という感じです。ボーカルのiraminaさん自身が映像作家みたいで、今回の曲に関しては「常に自分が作るものに自信がなくて、日々ダウナーな気持ちなのですが、きっとみんなもそうだろうと思い、そういう気持ちを曲にしました」とコメントされていて、ちょっとかわいあこさんの曲とも通じる部分がありますよね。ちゃんと自分を認めてあげる大事さ。特にもの作りをしている人は日々自分と向きあっているだろうから、そういう自分を認めてあげる大事さというのはあるなと。
みさと:ではPart 3からはどの曲をかけましょうか?
金子:Part 3はかけたい曲いっぱいあって......Sen Morimotoもめちゃめちゃかっこよかったですし。
みさと:めっちゃかっこよかった!なのでポッドキャストで語りましょう!
金子:そうしましょう。沖メイさんの新曲も良かったですしね。
みさと:沖メイさんもよかったよ!出産後の新曲で、やっぱり女性は強くなりますね。
金子:でもPart3ではLIGHTERSをかけようかなと思います。
みさと:LIGHTERSも良かったですよね。
金子:昨年メンバーが1人抜けて、今回からRumi Nagasawaさんの1人になって、でも本名名義でとかじゃなく、ちゃんとこの"LIGHTERS"という看板を守っていくというか。
みさと:素晴らしいよ〜。
金子:まずそれがグッとくるし、でも参加している人たちはこれまで同様サウンドプロデュースにDYGLのKamotoくんがいたり、レコーディングはHiroshi Ikedaさんがやっていたりして。そういうチーム感もありつつ、LIGHTERSらしいインディーロック的な世界観をより突き詰めている感じがして、とても良かったですね。
みさと:1人でやっていくって、すごい覚悟が必要だったんじゃないかと思いますよね。
金子:そうだと思います。
みさと:でもやっぱり周りのサポートしている人たちが納得の布陣だし、彼女はきっとずっと創作を止めないんだなという。安心感のある作品になっていましたね。
金子:2人編成で最後に出した曲が「rainy」というタイトルだったんですよね。雨が降ったけど、でもその先で夜明けを、「dawn」を迎えて、この曲が出来たんだろうなというストーリー性も感じました。
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、奥宮みさとと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。
放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
番組MC
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
奥宮みさと
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。
TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。
安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10
Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin
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