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2022.04.17
FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!カネコアヤノ・THE 2・Predawn ほか全14作品 -2022.04.16-
カルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信するサービス FRIENDSHIP.の新譜を紹介。
キュレーターの金子厚武とラジオDJ MISATOによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
MISATO:4月11日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全14作品の中から、まずはPart 1の7作品をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます!カネコアヤノさんはCMのタイアップ曲ということで、もう耳にしている方も多いと思います。
金子:ひさびさの新曲ですけど、良いですね。
MISATO:いいですね。
金子:聴く度にカネコさんの声の凛々しさがますます増している感じがして、頭にざらついたギターから始まるアレンジも新鮮だったんですけど、やっぱりこの声。さらに言うと、歌詞。これまでカネコさんは"私"だったり、"私の半径1mにいる人たち"みたいなところを基本歌ってきた人の印象があって、でもこういうCM曲のタイミングで、「わたしたちへ」と広く言っているのって、大きな変化なんじゃないかなと。それこそ昨年武道館でのワンマンとかもあったから、歌詞を書くときの視線にも少し変化が出てきた、わりとターニングポイントな1曲なんじゃないかなという印象が個人的にはありました。
MISATO:そうですね、まるでジャンヌ・ダルクのように旗を振っている感というか。先導している、見えているところが自分だけじゃないという。その経験の中で届けたい人の層も増えて、厚みが増したのかもしれないですね。
金子:たぶんわかりやすく旗を振るとかはしない人で、もっと個々を大事にしている人だと思うんですけど、でも心の中のフラッグみたいなものは、もしかしたら出てきたのかもしれないですね。
MISATO:なるほど。そしてIN-KYA in Canadaとmiida and The Departmentがコラボしています。
金子:お馴染みのmiidaのYouTubeチャンネルでコラボをして、その音源がこうしてFRIENDSHIP.からリリースされるということで。IN-KYA in Canadaはスリーピースでダンスミュージックを演奏するバンドなんですけど、このバンド名が示している通り、もともとavengers in sci-fiのファンだったらしく。
MISATO:あ、そうなんですね!
金子:だからIN-KYA "in" Canadaとなっているらしく、念願の共演だったみたいです。
MISATO:おめでとうございますですね、これは!
金子:曲自体も面白くて、The Departmentの太郎くんのコメントによると、「ニューディスコ的な趣だった原曲を大幅にテンポチェンジして、80'sのシンセポップのオマージュ、YMOやDaft PunkやSynth Waveまで、シンセにまつわるドリームを全部詰め込んだ」とのことで(笑)。
MISATO:あはは。お祭りだ!
金子:たしかに80's感もするし、でも古臭くないギリギリのラインを攻めている感じがかっこよかったですね。
MISATO:そしてはじめましてさんが、JitteryJackal。
金子:この方はもともとTAMTAMのメンバーでもあったんですけど、脱退してからはJitteryJackal名義でずっと活動してきていて、ソロのリリース、コラボレーション、曲提供、あとはCMの楽曲制作、サウンドデザインとか、音楽家として幅広く活動してきたんですよね。ライナーノーツが届いているんですけど、「コロナ禍で改めて自分の音楽を見つめ直したタイミングがあって、幅広くいろんなことをやってきたなかで"改めて自分の音楽ってなんだろう?"と考えたときに、自分が一番好きな音楽、大好きなダンスミュージックを作ろう、というところに立ち返った」とのことで、そうやって今回の作品が生まれたようです。
MISATO:かなりぎっしりライナーノーツを書いてくださっていて、思いの丈がここに詰まっているんだなというのが窺える作品になっています。ぜひEP聴いてみてください。さあ1曲お送りしましょう!
金子:今週Part 1は、Predawnを紹介しましょう。
MISATO:なんと素晴らしいアルバムなんでしょうね。
金子:アルバムが遂に完成いたしました。
MISATO:おめでとうございます。待っていました。
金子:5年半ぶりです。
MISATO:みんな待っていたよね。きっとね。
金子:5年半と聞くと長いっちゃ長いけど、Predawnの曲は非常に普遍性が高くて、某コーヒーショップとかでもよくかかっていて(笑)。
MISATO:某コーヒーショップ、とても有名なね(笑)。
金子:「Suddenly」がよくかかっていて(笑)。
MISATO:そうなんですね!
金子:なので、あんまりひさしぶり感がないといえばないのですが、とはいえ5年半ぶりです。でもやっぱり普遍性の高さは健在というか、アコースティックなサウンドでも、エレクトリックなサウンドでも、どこかノスタルジックな感じがする普遍性の高い楽曲が並んでいて、その中心にいるのはやっぱりPredawnの歌声、それ自体は変わらないなと思いました。ゲストには神谷洵平さんをはじめとした豪華な面々が、実力者が揃っていて、アレンジも特別、奇を衒ったことをやっているとかではないんだけど、ひとつひとつの演奏だったり音色だったりが、ノスタルジックと言ってもただ古いだけじゃなくて、現代的なアメリカのインディー・フォークと呼ばれる流れとも接続していたり、ちゃんと更新されている部分もあって、そのバランスも素晴らしかったですね。
MISATO:最後に収録されている「The Bell」に関しては、ちょっとアコギの音を強めで、でもストリングスが「ファ〜」と鳴っている感じが新しいというか、変わったことをしていても、そのおっしゃる普遍性というのがエッセンスとしてあるという、良いバランス感覚で最後を終えられるんだなという。
金子:最後の「The Bell」はRayonsという音楽家がアレンジ/プロデュースしていて、Predawnとは昔から一緒にコラボレーションしているんですけど、現代音楽とかの畑出身の人なので、弦の感じとかが他の曲とはちょっと違って、いいアクセントになっていますよね。
MISATO:構築感がまさにという感じがしますね。ではアルバムからの1曲どうしましょう?
金子:フラッシュでは「Star Child」を聴いてもらったんですけど、個人的に好きな別の曲を聴いてもらいたいなと思って。たぶんなんですけど、おそらくこれもRayonsがアレンジしている曲です。他の曲はギターがアンサンブルの中心なのですが、1曲だけピアノが中心の曲があり、非常に印象的だったので、それを聴いてもらおうかなと思います。Predawnで「Canopus」。
MISATO:アルバム一枚通して、「あ、これがこの人と一緒にやっているのかもしれない」という発見というか、探す作業というのも面白そうですね。
MISATO:4月11日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全14作品の中から、Part 2の7作品をダイジェストでご紹介しました!新譜が出るというのは嬉しいのですが、bonobosが解散を発表しまして...。同時に発表されているニューシングルが「YES」です。
金子:解散発表しましたね...。
MISATO:なんかもう苦しいですね。
金子:残念ですね。
MISATO:きっと蔡さんのことだから、いろんなことがあって、きっと何度も考えられての決断だと思うので、もう私たちはそれに「そうだね、じゃあ1年間見守るね」としか言いようがないですね。
金子:来年の春まで活動は続くということなのでね。
MISATO:それはやっぱり優しさですよね。最後にいろいろツアーとかフェスとかに出られて、みんなにお披露目する機会があるということですよね。
金子:きっとそうでしょうね。曲自体は本当に流石というか、しみったれた曲では全くなくて、bonobosらしい非常に高揚感のあるエクスペリメンタルな曲で。最後までかっこいいまま解散していくバンドなんだろうなという気はします。残念だけどなあ...。
MISATO:残念なんだけど、でも最後のライブとかどうなるのかなという楽しみもちょっとある。そしてはじめましてさんがいらっしゃいます。Tokiyo and the Times。
金子:And Summer ClubのギタリストでもあるTokiyoさんのソロ・プロジェクトです。前はソロ名義だったんですけど、今回からバンド・プロジェクトとしてTokiyo and the Times名義になっているということです。
MISATO:なるほど。
金子:前半にカネコアヤノさんの曲がありましたけど、ちょっとカネコさんとかを想像するような、声に凛々しさがあるボーカリストだなという感じがしました。バンド・プロジェクトとして始まった経緯も、もともと自分で曲を作っている中で、バンド録音しようとは思ってなかったけど、ポッと「やってみよう」と思って、メンバーを集めたらしく。そうやって仲間たちと始める感覚とかもカネコさんにちょっと近いのかなという感じもしています。音的にはよりざらついたサイケデリックなロックだったりして、非常にかっこ良いですね。
MISATO:好奇心にすごく忠実なんだろうけど、でももともとある自分に対しての信頼があるというのも、カネコさんと通じそうな感じがしますね。
金子:こういう凛々しい女性シンガーが増えている印象もあります。
MISATO:そうかもしれない。凛々しい男性もはじめましてさんがいらっしゃいます。凌平さん。
金子:凛々しいというか、イカついですよね。
MISATO:イカつい(笑)。GuruConnectプロデュースなんですね。
金子:もともとNAHAVANDというバンドというかユニットをやっていたんですけど、NAHAVANDって面白くて、ボーカルの凌平さんとギタリストとの2人組だったんですよね。言ってみれば、MOROHAスタイルというか。なんだけど、音源はバンドサウンドだったりして、ラッパーなのかバンドなのか、すごく独特な立ち位置の人たちだったんです。で、そのNAHAVANDからギタリストが抜けちゃって、今回から凌平名義でソロでリリースとのことです。GuruConnectが加わったことによって、NAHAVANDよりもヒップホップ/ラップにより接近した印象で、今のトラップの流れも汲んでるし、フロウの感じとかはTHA BLUE HERBとか日本のラップの流れも感じるし、また1つ新しい所に行っていますね。あとこの人はリリックがとても面白いので、じっくり聴いてほしいなと思います。
MISATO:さあ1曲お送りするのは?
金子:Part 2では、THE 2を紹介します。これまでは"2"という名義で活動していて、このタイミングで2人メンバーが新たに加わって、"THE 2"になったと。もともとセカンドキャリアの人たちが始めたバンドで、元The SALOVERSの古舘佑太郎くんと、元ポニーテールスクライムの加藤綾太くんいて、そこに今回、元Shiggy Jr.の森夏彦くん、元赤い公園の歌川菜穂さんが加わり、本当に4人ともこれがセカンドキャリアという。
MISATO:完璧な布陣ですね。この人たちがやっているんだったら、まず聴いてみたいってなるもん。しかも!
金子:しかもここにサカナクションの山口一郎さんがプロデュースでジョインしたという。
MISATO:これはもう絶対に聴くしかないじゃないですか(笑)。
金子:一見意外な組み合わせなんだけど、ぴったりすぎてびっくりしました。もともとオルタナティブ・ロック色の強い"バンド"という感じの音で、それは今回も変わってないといえば変わってないんですけど、でもやっぱり山口さんのプロデュースによって、ダンスミュージックのグルーヴ感と、あとサカナクションの持っている歌謡感。「新宝島」もそうだし、新しい「ショック!」とかもそうだけど、あのあえてやっているダサさギリギリの歌謡感がTHE 2にも加わっていて。
MISATO:だって「恋のジャーナル」ですよ(笑)。
金子:タイトルからしてね(笑)。そのギリギリを攻めている感じがすごくハマっていて、絶対ライブ盛り上がるよね、という曲に仕上がっていました。
MISATO:初めて聴いた方はたぶん飛び跳ねているんじゃないでしょうか?
金子:深夜でも飛び跳ねちゃいますね。
MISATO:ですよね。やっぱりサカナクションと比べると、デジタル的な要素は削ぎ落とされていて、みなさんのやりたい"バンド感"がちゃんと出ているというのが、山口さんが関わっているけど、別にサカナクションになるわけではないという。その住み分けがすごくしっかりされているんだなと思いました。
金子:ベースが元Shiggy Jr.の森くんで、Shiggy Jr.はもともとダンサブルな、跳ねるベースが多かったりもしたから、そこで培われた感覚が加わっているのもたぶん大きいんでしょうね。
MISATO:そうですね!どんどんこういった曲が出るのか、もしくはまた驚かせてくれるのか、楽しみです!
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、MISATOと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。
放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
MISATO
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。
TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。
安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10
Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin
FRIENDSHIP.
キュレーターの金子厚武とラジオDJ MISATOによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
New Release Digest Part 1
MISATO:4月11日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全14作品の中から、まずはPart 1の7作品をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます!カネコアヤノさんはCMのタイアップ曲ということで、もう耳にしている方も多いと思います。
金子:ひさびさの新曲ですけど、良いですね。
MISATO:いいですね。
金子:聴く度にカネコさんの声の凛々しさがますます増している感じがして、頭にざらついたギターから始まるアレンジも新鮮だったんですけど、やっぱりこの声。さらに言うと、歌詞。これまでカネコさんは"私"だったり、"私の半径1mにいる人たち"みたいなところを基本歌ってきた人の印象があって、でもこういうCM曲のタイミングで、「わたしたちへ」と広く言っているのって、大きな変化なんじゃないかなと。それこそ昨年武道館でのワンマンとかもあったから、歌詞を書くときの視線にも少し変化が出てきた、わりとターニングポイントな1曲なんじゃないかなという印象が個人的にはありました。
MISATO:そうですね、まるでジャンヌ・ダルクのように旗を振っている感というか。先導している、見えているところが自分だけじゃないという。その経験の中で届けたい人の層も増えて、厚みが増したのかもしれないですね。
金子:たぶんわかりやすく旗を振るとかはしない人で、もっと個々を大事にしている人だと思うんですけど、でも心の中のフラッグみたいなものは、もしかしたら出てきたのかもしれないですね。
MISATO:なるほど。そしてIN-KYA in Canadaとmiida and The Departmentがコラボしています。
金子:お馴染みのmiidaのYouTubeチャンネルでコラボをして、その音源がこうしてFRIENDSHIP.からリリースされるということで。IN-KYA in Canadaはスリーピースでダンスミュージックを演奏するバンドなんですけど、このバンド名が示している通り、もともとavengers in sci-fiのファンだったらしく。
MISATO:あ、そうなんですね!
金子:だからIN-KYA "in" Canadaとなっているらしく、念願の共演だったみたいです。
MISATO:おめでとうございますですね、これは!
金子:曲自体も面白くて、The Departmentの太郎くんのコメントによると、「ニューディスコ的な趣だった原曲を大幅にテンポチェンジして、80'sのシンセポップのオマージュ、YMOやDaft PunkやSynth Waveまで、シンセにまつわるドリームを全部詰め込んだ」とのことで(笑)。
MISATO:あはは。お祭りだ!
金子:たしかに80's感もするし、でも古臭くないギリギリのラインを攻めている感じがかっこよかったですね。
MISATO:そしてはじめましてさんが、JitteryJackal。
金子:この方はもともとTAMTAMのメンバーでもあったんですけど、脱退してからはJitteryJackal名義でずっと活動してきていて、ソロのリリース、コラボレーション、曲提供、あとはCMの楽曲制作、サウンドデザインとか、音楽家として幅広く活動してきたんですよね。ライナーノーツが届いているんですけど、「コロナ禍で改めて自分の音楽を見つめ直したタイミングがあって、幅広くいろんなことをやってきたなかで"改めて自分の音楽ってなんだろう?"と考えたときに、自分が一番好きな音楽、大好きなダンスミュージックを作ろう、というところに立ち返った」とのことで、そうやって今回の作品が生まれたようです。
MISATO:かなりぎっしりライナーノーツを書いてくださっていて、思いの丈がここに詰まっているんだなというのが窺える作品になっています。ぜひEP聴いてみてください。さあ1曲お送りしましょう!
金子:今週Part 1は、Predawnを紹介しましょう。
MISATO:なんと素晴らしいアルバムなんでしょうね。
金子:アルバムが遂に完成いたしました。
MISATO:おめでとうございます。待っていました。
金子:5年半ぶりです。
MISATO:みんな待っていたよね。きっとね。
金子:5年半と聞くと長いっちゃ長いけど、Predawnの曲は非常に普遍性が高くて、某コーヒーショップとかでもよくかかっていて(笑)。
MISATO:某コーヒーショップ、とても有名なね(笑)。
金子:「Suddenly」がよくかかっていて(笑)。
MISATO:そうなんですね!
金子:なので、あんまりひさしぶり感がないといえばないのですが、とはいえ5年半ぶりです。でもやっぱり普遍性の高さは健在というか、アコースティックなサウンドでも、エレクトリックなサウンドでも、どこかノスタルジックな感じがする普遍性の高い楽曲が並んでいて、その中心にいるのはやっぱりPredawnの歌声、それ自体は変わらないなと思いました。ゲストには神谷洵平さんをはじめとした豪華な面々が、実力者が揃っていて、アレンジも特別、奇を衒ったことをやっているとかではないんだけど、ひとつひとつの演奏だったり音色だったりが、ノスタルジックと言ってもただ古いだけじゃなくて、現代的なアメリカのインディー・フォークと呼ばれる流れとも接続していたり、ちゃんと更新されている部分もあって、そのバランスも素晴らしかったですね。
MISATO:最後に収録されている「The Bell」に関しては、ちょっとアコギの音を強めで、でもストリングスが「ファ〜」と鳴っている感じが新しいというか、変わったことをしていても、そのおっしゃる普遍性というのがエッセンスとしてあるという、良いバランス感覚で最後を終えられるんだなという。
金子:最後の「The Bell」はRayonsという音楽家がアレンジ/プロデュースしていて、Predawnとは昔から一緒にコラボレーションしているんですけど、現代音楽とかの畑出身の人なので、弦の感じとかが他の曲とはちょっと違って、いいアクセントになっていますよね。
MISATO:構築感がまさにという感じがしますね。ではアルバムからの1曲どうしましょう?
金子:フラッシュでは「Star Child」を聴いてもらったんですけど、個人的に好きな別の曲を聴いてもらいたいなと思って。たぶんなんですけど、おそらくこれもRayonsがアレンジしている曲です。他の曲はギターがアンサンブルの中心なのですが、1曲だけピアノが中心の曲があり、非常に印象的だったので、それを聴いてもらおうかなと思います。Predawnで「Canopus」。
MISATO:アルバム一枚通して、「あ、これがこの人と一緒にやっているのかもしれない」という発見というか、探す作業というのも面白そうですね。
New Release Digest Part 2
MISATO:4月11日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全14作品の中から、Part 2の7作品をダイジェストでご紹介しました!新譜が出るというのは嬉しいのですが、bonobosが解散を発表しまして...。同時に発表されているニューシングルが「YES」です。
金子:解散発表しましたね...。
MISATO:なんかもう苦しいですね。
金子:残念ですね。
MISATO:きっと蔡さんのことだから、いろんなことがあって、きっと何度も考えられての決断だと思うので、もう私たちはそれに「そうだね、じゃあ1年間見守るね」としか言いようがないですね。
金子:来年の春まで活動は続くということなのでね。
MISATO:それはやっぱり優しさですよね。最後にいろいろツアーとかフェスとかに出られて、みんなにお披露目する機会があるということですよね。
金子:きっとそうでしょうね。曲自体は本当に流石というか、しみったれた曲では全くなくて、bonobosらしい非常に高揚感のあるエクスペリメンタルな曲で。最後までかっこいいまま解散していくバンドなんだろうなという気はします。残念だけどなあ...。
MISATO:残念なんだけど、でも最後のライブとかどうなるのかなという楽しみもちょっとある。そしてはじめましてさんがいらっしゃいます。Tokiyo and the Times。
金子:And Summer ClubのギタリストでもあるTokiyoさんのソロ・プロジェクトです。前はソロ名義だったんですけど、今回からバンド・プロジェクトとしてTokiyo and the Times名義になっているということです。
MISATO:なるほど。
金子:前半にカネコアヤノさんの曲がありましたけど、ちょっとカネコさんとかを想像するような、声に凛々しさがあるボーカリストだなという感じがしました。バンド・プロジェクトとして始まった経緯も、もともと自分で曲を作っている中で、バンド録音しようとは思ってなかったけど、ポッと「やってみよう」と思って、メンバーを集めたらしく。そうやって仲間たちと始める感覚とかもカネコさんにちょっと近いのかなという感じもしています。音的にはよりざらついたサイケデリックなロックだったりして、非常にかっこ良いですね。
MISATO:好奇心にすごく忠実なんだろうけど、でももともとある自分に対しての信頼があるというのも、カネコさんと通じそうな感じがしますね。
金子:こういう凛々しい女性シンガーが増えている印象もあります。
MISATO:そうかもしれない。凛々しい男性もはじめましてさんがいらっしゃいます。凌平さん。
金子:凛々しいというか、イカついですよね。
MISATO:イカつい(笑)。GuruConnectプロデュースなんですね。
金子:もともとNAHAVANDというバンドというかユニットをやっていたんですけど、NAHAVANDって面白くて、ボーカルの凌平さんとギタリストとの2人組だったんですよね。言ってみれば、MOROHAスタイルというか。なんだけど、音源はバンドサウンドだったりして、ラッパーなのかバンドなのか、すごく独特な立ち位置の人たちだったんです。で、そのNAHAVANDからギタリストが抜けちゃって、今回から凌平名義でソロでリリースとのことです。GuruConnectが加わったことによって、NAHAVANDよりもヒップホップ/ラップにより接近した印象で、今のトラップの流れも汲んでるし、フロウの感じとかはTHA BLUE HERBとか日本のラップの流れも感じるし、また1つ新しい所に行っていますね。あとこの人はリリックがとても面白いので、じっくり聴いてほしいなと思います。
MISATO:さあ1曲お送りするのは?
金子:Part 2では、THE 2を紹介します。これまでは"2"という名義で活動していて、このタイミングで2人メンバーが新たに加わって、"THE 2"になったと。もともとセカンドキャリアの人たちが始めたバンドで、元The SALOVERSの古舘佑太郎くんと、元ポニーテールスクライムの加藤綾太くんいて、そこに今回、元Shiggy Jr.の森夏彦くん、元赤い公園の歌川菜穂さんが加わり、本当に4人ともこれがセカンドキャリアという。
MISATO:完璧な布陣ですね。この人たちがやっているんだったら、まず聴いてみたいってなるもん。しかも!
金子:しかもここにサカナクションの山口一郎さんがプロデュースでジョインしたという。
MISATO:これはもう絶対に聴くしかないじゃないですか(笑)。
金子:一見意外な組み合わせなんだけど、ぴったりすぎてびっくりしました。もともとオルタナティブ・ロック色の強い"バンド"という感じの音で、それは今回も変わってないといえば変わってないんですけど、でもやっぱり山口さんのプロデュースによって、ダンスミュージックのグルーヴ感と、あとサカナクションの持っている歌謡感。「新宝島」もそうだし、新しい「ショック!」とかもそうだけど、あのあえてやっているダサさギリギリの歌謡感がTHE 2にも加わっていて。
MISATO:だって「恋のジャーナル」ですよ(笑)。
金子:タイトルからしてね(笑)。そのギリギリを攻めている感じがすごくハマっていて、絶対ライブ盛り上がるよね、という曲に仕上がっていました。
MISATO:初めて聴いた方はたぶん飛び跳ねているんじゃないでしょうか?
金子:深夜でも飛び跳ねちゃいますね。
MISATO:ですよね。やっぱりサカナクションと比べると、デジタル的な要素は削ぎ落とされていて、みなさんのやりたい"バンド感"がちゃんと出ているというのが、山口さんが関わっているけど、別にサカナクションになるわけではないという。その住み分けがすごくしっかりされているんだなと思いました。
金子:ベースが元Shiggy Jr.の森くんで、Shiggy Jr.はもともとダンサブルな、跳ねるベースが多かったりもしたから、そこで培われた感覚が加わっているのもたぶん大きいんでしょうね。
MISATO:そうですね!どんどんこういった曲が出るのか、もしくはまた驚かせてくれるのか、楽しみです!
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、MISATOと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。
放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
番組MC
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
MISATO
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。
TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。
安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10
Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin
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